39 / 50
第39話:よくない方向に進んでいる様な気が…
しおりを挟む
「さあヴィクトリア、そろそろ部屋に戻ろう。僕が抱っこして部屋まで連れて行ってあげるから、大丈夫だよ」
どさくさに紛れて、私を抱きかかえている殿下。これ以上この男の言いなりに何てなるものですか!
「殿下、私は1人で歩けますわ。降ろしてください!」
「でも、まだあの蛇、君を見ているよ。もしかしたらヴィクトリアの事が気に入ったのかもしれないね。一応檻に入っているけれど、僕が降ろしたら君の方にやってくるかもしれないね」
何ですって、あの大蛇がまだ私の方を見ているですって。
ゆっくり檻の方に目をやると、あの大蛇と目があった。ぎゃぁぁぁ、やっぱり無理だわ。ギュッと殿下にしがみつく。
「やっぱり自分の足では歩けそうにない様だね。君たち、悪いけれどマーリン嬢を地下牢に入れておいてくれるかい?それからすぐにフィドーズ公爵家も家宅捜索を行ってくれ」
ちょっと待って、殿下に全てバレていたという事は、マーリン様は。
「殿下、もしかしてマーリン様は、お妃候補ではなくなるという事ですか?」
それは困るわ。彼女がお妃候補を辞退する事になったら、誰がお妃になるのよ。もしかして、また一からお妃候補を選ぶとか言わないでしょうね。また6ヶ月、王宮で生活するの?
「マーリン嬢は今回重大な罪を犯したんだ。マーリン嬢はもちろん、多分彼女に協力していたフィドーズ公爵も逮捕され、場合によって公爵家は取り潰される事になるだろう。そんな令嬢が、このままお妃候補でいられる訳がないだろう」
「そんな…最有力候補のマーリン様が脱落したら、一体誰がお妃になるのですか?まさかまた、一からお妃候補者選びを行うとかですか?その様な事態になったら、今度こそ私は辞退させていただきますわ」
私はこの6ヶ月、色々と頑張って来たのだ。そしてマーリン様から売られた喧嘩にも無事勝利を治めた…はずだ。もう私にやり残したことはないはず…
「もう一度お妃候補を選び直すなんて事はしないから、安心して欲しい。とにかくヴィクトリアは、何も心配しなくていいのだよ。明日は予定通り、お妃を発表するつもりだ。ただ、この土壇場にマーリン嬢の悪事が判明したからね。明日はちょっと混乱するかもしれないね」
本当に心配しなくてもいいのかしら?なんだか物凄く嫌な予感がするのだけれど…こうなったら、アマリリス様をお妃に仕立て上げるしかないわね。それとも、カルティア様を呼び戻す?
「ヴィクトリア、また考え事かい?そんなに心配しなくても、お妃はもう初期の段階から決まっていたのだよ。だから君が今更心配する事はない。さあ、ゆっくりお休み」
いつの間にか部屋まで戻って来ていた様で、そのままベッドに置かれた。
「それじゃあ僕は、後始末があるからちょっと行ってくるね。ごめんね、本当は傍にいてあげたいのだけれど。とりあえずもう部屋から出ない方がいいよ。万が一あの蛇が逃げ出してウロウロとしていたら大変だからね」
ちょっと、なんて恐ろしい事を言うのよ。私はこの世で蛇というものが一番嫌いなのよ。本当に勘弁して欲しいわ。あの男、相当性格が悪いわね。あんな男に助けられるだなんて、やっぱり悔しいわ!
「お嬢様、また勝手な事をして。とても心配していたのですよ。それにしても、大きな蛇でしたね。さすがにあそこまで大きな蛇は、領地には出ませんが。それでも領地にも1メートルくらいの蛇ならいますわ。私も見たことがありますし」
私の元にやって来たのは、クロハだ。
「クロハ、領地には小さなのしかいないはずよ。そんな1メートルのものだなんて、見たことがないわ」
「それはお嬢様が幸運だったのですね。私は2度程見たことがありますわ。お嬢様が怖がると思って、急いで追い払いましたが。それよりもお嬢様、汗をかいたのでしょう。すぐにお着替えと湯あみをしましょう。本当にお嬢様は!」
クロハに連れられ、湯あみを済ますと、ベッドに入った。それにしてもあの蛇、恐ろしかったわ。世の中には爬虫類をこよなく愛する人たちがいると聞いたことがある。きっとマーリン様もそう言うタイプなのだろう。
マーリン様との勝負には勝利したけれど、なんだかモヤモヤする。それにとても嫌な予感がするし…
とにかく今日はもう寝よう。そう思い、ゆっくり瞳を閉じたのだった。
どさくさに紛れて、私を抱きかかえている殿下。これ以上この男の言いなりに何てなるものですか!
「殿下、私は1人で歩けますわ。降ろしてください!」
「でも、まだあの蛇、君を見ているよ。もしかしたらヴィクトリアの事が気に入ったのかもしれないね。一応檻に入っているけれど、僕が降ろしたら君の方にやってくるかもしれないね」
何ですって、あの大蛇がまだ私の方を見ているですって。
ゆっくり檻の方に目をやると、あの大蛇と目があった。ぎゃぁぁぁ、やっぱり無理だわ。ギュッと殿下にしがみつく。
「やっぱり自分の足では歩けそうにない様だね。君たち、悪いけれどマーリン嬢を地下牢に入れておいてくれるかい?それからすぐにフィドーズ公爵家も家宅捜索を行ってくれ」
ちょっと待って、殿下に全てバレていたという事は、マーリン様は。
「殿下、もしかしてマーリン様は、お妃候補ではなくなるという事ですか?」
それは困るわ。彼女がお妃候補を辞退する事になったら、誰がお妃になるのよ。もしかして、また一からお妃候補を選ぶとか言わないでしょうね。また6ヶ月、王宮で生活するの?
「マーリン嬢は今回重大な罪を犯したんだ。マーリン嬢はもちろん、多分彼女に協力していたフィドーズ公爵も逮捕され、場合によって公爵家は取り潰される事になるだろう。そんな令嬢が、このままお妃候補でいられる訳がないだろう」
「そんな…最有力候補のマーリン様が脱落したら、一体誰がお妃になるのですか?まさかまた、一からお妃候補者選びを行うとかですか?その様な事態になったら、今度こそ私は辞退させていただきますわ」
私はこの6ヶ月、色々と頑張って来たのだ。そしてマーリン様から売られた喧嘩にも無事勝利を治めた…はずだ。もう私にやり残したことはないはず…
「もう一度お妃候補を選び直すなんて事はしないから、安心して欲しい。とにかくヴィクトリアは、何も心配しなくていいのだよ。明日は予定通り、お妃を発表するつもりだ。ただ、この土壇場にマーリン嬢の悪事が判明したからね。明日はちょっと混乱するかもしれないね」
本当に心配しなくてもいいのかしら?なんだか物凄く嫌な予感がするのだけれど…こうなったら、アマリリス様をお妃に仕立て上げるしかないわね。それとも、カルティア様を呼び戻す?
「ヴィクトリア、また考え事かい?そんなに心配しなくても、お妃はもう初期の段階から決まっていたのだよ。だから君が今更心配する事はない。さあ、ゆっくりお休み」
いつの間にか部屋まで戻って来ていた様で、そのままベッドに置かれた。
「それじゃあ僕は、後始末があるからちょっと行ってくるね。ごめんね、本当は傍にいてあげたいのだけれど。とりあえずもう部屋から出ない方がいいよ。万が一あの蛇が逃げ出してウロウロとしていたら大変だからね」
ちょっと、なんて恐ろしい事を言うのよ。私はこの世で蛇というものが一番嫌いなのよ。本当に勘弁して欲しいわ。あの男、相当性格が悪いわね。あんな男に助けられるだなんて、やっぱり悔しいわ!
「お嬢様、また勝手な事をして。とても心配していたのですよ。それにしても、大きな蛇でしたね。さすがにあそこまで大きな蛇は、領地には出ませんが。それでも領地にも1メートルくらいの蛇ならいますわ。私も見たことがありますし」
私の元にやって来たのは、クロハだ。
「クロハ、領地には小さなのしかいないはずよ。そんな1メートルのものだなんて、見たことがないわ」
「それはお嬢様が幸運だったのですね。私は2度程見たことがありますわ。お嬢様が怖がると思って、急いで追い払いましたが。それよりもお嬢様、汗をかいたのでしょう。すぐにお着替えと湯あみをしましょう。本当にお嬢様は!」
クロハに連れられ、湯あみを済ますと、ベッドに入った。それにしてもあの蛇、恐ろしかったわ。世の中には爬虫類をこよなく愛する人たちがいると聞いたことがある。きっとマーリン様もそう言うタイプなのだろう。
マーリン様との勝負には勝利したけれど、なんだかモヤモヤする。それにとても嫌な予感がするし…
とにかく今日はもう寝よう。そう思い、ゆっくり瞳を閉じたのだった。
290
お気に入りに追加
3,147
あなたにおすすめの小説
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。
公爵家の家族ができました。〜記憶を失くした少女は新たな場所で幸せに過ごす〜
月
ファンタジー
記憶を失くしたフィーは、怪我をして国境沿いの森で倒れていたところをウィスタリア公爵に助けてもらい保護される。
けれど、公爵家の次女フィーリアの大切なワンピースを意図せず着てしまい、双子のアルヴァートとリティシアを傷付けてしまう。
ウィスタリア公爵夫妻には五人の子どもがいたが、次女のフィーリアは病気で亡くなってしまっていたのだ。
大切なワンピースを着てしまったこと、フィーリアの愛称フィーと公爵夫妻から呼ばれたことなどから双子との確執ができてしまった。
子どもたちに受け入れられないまま王都にある本邸へと戻ることになってしまったフィーに、そのこじれた関係のせいでとある出来事が起きてしまう。
素性もわからないフィーに優しくしてくれるウィスタリア公爵夫妻と、心を開き始めた子どもたちにどこか後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
それは夢の中で見た、フィーと同じ輝くような金色の髪をした男の子のことが気になっていたからだった。
夢の中で見た、金色の花びらが舞う花畑。
ペンダントの金に彫刻された花と水色の魔石。
自分のことをフィーと呼んだ、夢の中の男の子。
フィーにとって、それらは記憶を取り戻す唯一の手がかりだった。
夢で会った、金色の髪をした男の子との関係。
新たに出会う、友人たち。
再会した、大切な人。
そして成長するにつれ周りで起き始めた不可解なこと。
フィーはどのように公爵家で過ごしていくのか。
★記憶を失くした代わりに前世を思い出した、ちょっとだけ感情豊かな少女が新たな家族の優しさに触れ、信頼できる友人に出会い、助け合い、そして忘れていた大切なものを取り戻そうとするお話です。
※前世の記憶がありますが、転生のお話ではありません。
※一話あたり二千文字前後となります。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる