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第65話:私の出した答え【前編】
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事件から5日後、やっと熱が下がった。ただ、既に明後日にはダルク様の帰国が迫っている。こうしちゃいられない。
急いで着替えを済ませると、デイビッド様とダルク様宛に、手紙を書いた。どちらにも明日、会って話がしたいと言う旨を伝えたのだ。
私は明日、2人に自分の気持ちを伝えるつもりだ。ちなみに今日と明日は、貴族学院がお休み。
念のため今日は極力心穏やかに過ごそう、そう思い、中庭でお茶を飲んでいると
「アンジュ、明後日ダルク様が帰国してしまうのに、そんな悠長にお茶を飲んでいていいの?」
私の元にやって来たのは、お母様だ。
「ええ、明日デイビッド様とダルク様に気持ちを伝えようと思い、既に使いは出しております。友人達にも、手紙を出しましたので大丈夫ですわ」
「そう、やっと自分の気持ちに答えが出たのね。わかったわ、あなたがどんな結論を出そうと、私たちはあなたの味方だからね」
そう言って抱きしめてくれたお母様。家族には今まで散々心配をかけてしまった。だからこそ、私は何が何でも幸せになりたい。後悔しないためにも。
翌日
着替えを済ませると、まず向かったのはデイビッド様の屋敷だ。屋敷に着くと、デイビッド様はもちろん、彼のご両親も笑顔で迎え入れてくれた。
「アンジュ、元気そうでよかったよ」
「アンジュ嬢、よく来てくれたね。さあ、中には入ってくれ」
「アンジュちゃんが誘拐されたと聞いた時は、本当に心配したのよ。でも、元気そうでよかったわ」
「おじ様、おば様、ご無沙汰しております。デイビッド様、今日はお時間を作って下さり、ありがとうございます。少しだけお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。さあ、中に入って」
デイビッド様に促され、案内された部屋は、いつもの客間ではなく、デイビッド様のお部屋だ。
「子供の頃、よくデイビッド様のお部屋にお邪魔させてもらって、2人で遊びましたね。懐かしいですわ」
「そうだね、子供の頃は2人で沢山遊んだね。俺はあの頃から、アンジュが大好きだった。アンジュさえ傍にいてくれたら、それだけで幸せだった。今もその気持ちは変わる事はない。俺はアンジュを守りたいという思いが強すぎて、アンジュを傷つけてしまったこと、今でも酷く後悔している。本当にすまなかった」
深々と頭を下げるデイビッド様。
「それでも俺は、アンジュへの気持ちは今でも変わらない。俺はアンジュを誰よりも愛している。もちろん、ダルク殿よりもだ。アンジュ、もう二度と君に悲しい思いはさせないよ。これからはずっとずっと傍にいたいと思っている。俺にはアンジュが必要なんだ。どうかこれからも、俺の傍にいて欲しい」
必死に訴えてくるデイビッド様。そんなデイビッド様の瞳を、まっすぐ見つめた。
「デイビッド様、覚えていますか?10歳の時、盗賊に誘拐された私を守るため、デイビッド様も捕らえられてしまいましたよね。それでも必死にデイビッド様は、私を守ろうとしてくださいました。それがとても嬉しくて嬉しくて。これからもずっと、デイビッド様の傍にいたい、今度は私が彼を支えて行きたい。そう強く思ったのです。でも…」
不安そうなデイビッド様を見つめた。
「デイビッド様は日に日に私に冷たくなっていきましたよね。それでも私は、デイビッド様が大好きでした。いつか振り向いてもらえる事を信じて、何度も何度もアプローチしました。父に頼んで、サフィーレイズ侯爵家に出向き、私から婚約の申し込みも致しました。それでもあなた様は、私を受けれいて下さいませんでした。そんな中、ラミネス様とのお噂を耳にしたのです」
「アンジュ、ラミネス嬢の件は本当に誤解なんだ。でも、君を傷つけた事は本当にすまないと思っている…」
「ええ、誤解だったことは存じ上げております。ただ、あの日私は、あなた様を忘れるために、ミラージュ王国への留学を決めたのです。あの日から色々な事がありました。ラミネス様とデイビッド様の関係が誤解だったこと、実はデイビッド様が私の事を思っていて下さった事。本当に色々あり、心を取り乱す事もありました。ただ…私はあの日、デイビッド様を諦め留学し、新たな自分として生きていこうと決めたのです。あの日から、もうデイビッド様は過去の人になったのです」
私はあの日、デイビッド様を諦め、前に進みだした。
「帰国後、デイビッド様が私に色々と気遣って下さっていたことは知っています。私も昔のデイビッド様に戻ったと、嬉しく思っていたのも事実です。でも…私が思い出すのは、楽しかったデイビッド様との思い出ばかり。どうしてもあなた様と歩む未来を、想像する事が出来ないのです。デイビッド様、ごめんなさい。このオルゴールもお返ししますわ。どうかデイビッド様も、別の女性と幸せになってください。新騎士団長としてのご活躍を、祈っておりますわ」
ペコリとデイビッド様に頭を下げると、貰ったオルゴールを机の上に置いた。
「そんな…俺はアンジュだけを愛しているのに…そんな…」
フラフラとソファに倒れ込むデイビッド様に頭を下げると、彼の部屋から出た。
「待ってくれ、アンジュ。頼む、俺を捨てないでくれ。俺はアンジュがいないと生きていけない。俺たち、子供の頃からずっと一緒だったじゃないか!どうかもう一度チャンスを…」
「申し訳ございません、先ほども申し上げた通り、あなた様はもう私にとって過去の人なのです。私はもう、あなた様を忘れ新しい未来に向かって歩み始めているのです。どうか私の事はお忘れください」
そう伝えると、急いで屋敷を出る。
「待ってくれ、アンジュ。頼む、アンジュ!!」
必死に追いすがって来るデイビッド様を振り払い、馬車に乗り込んだ。デイビッド様、ごめんなさい。もうあなた様の気持ちに応える事は出来ないのです。
正直デイビッド様がそこまで私に追いすがって来るとは思わなかった。でも…いくら追いすがられても、もう彼と歩む未来は想像できないのだ。
「デイビッド様、ごめんなさい。どうかお幸せに」
小さくなるデイビッド様の屋敷を見つめながら、そっと呟いたのだった。
~あとがき~
【閲覧注意】
その後のデイビッドについて。
アンジュに断られたデイビッドは、ショックのあまり騎士団長を辞職。部屋からほとんど出る事もなくなり、アンジュを思い続け涙を流す日々。食事もろくに取らず、次第に衰弱していったデイビットは、20歳という若さで命を落としたとの事です。
急いで着替えを済ませると、デイビッド様とダルク様宛に、手紙を書いた。どちらにも明日、会って話がしたいと言う旨を伝えたのだ。
私は明日、2人に自分の気持ちを伝えるつもりだ。ちなみに今日と明日は、貴族学院がお休み。
念のため今日は極力心穏やかに過ごそう、そう思い、中庭でお茶を飲んでいると
「アンジュ、明後日ダルク様が帰国してしまうのに、そんな悠長にお茶を飲んでいていいの?」
私の元にやって来たのは、お母様だ。
「ええ、明日デイビッド様とダルク様に気持ちを伝えようと思い、既に使いは出しております。友人達にも、手紙を出しましたので大丈夫ですわ」
「そう、やっと自分の気持ちに答えが出たのね。わかったわ、あなたがどんな結論を出そうと、私たちはあなたの味方だからね」
そう言って抱きしめてくれたお母様。家族には今まで散々心配をかけてしまった。だからこそ、私は何が何でも幸せになりたい。後悔しないためにも。
翌日
着替えを済ませると、まず向かったのはデイビッド様の屋敷だ。屋敷に着くと、デイビッド様はもちろん、彼のご両親も笑顔で迎え入れてくれた。
「アンジュ、元気そうでよかったよ」
「アンジュ嬢、よく来てくれたね。さあ、中には入ってくれ」
「アンジュちゃんが誘拐されたと聞いた時は、本当に心配したのよ。でも、元気そうでよかったわ」
「おじ様、おば様、ご無沙汰しております。デイビッド様、今日はお時間を作って下さり、ありがとうございます。少しだけお話ししたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。さあ、中に入って」
デイビッド様に促され、案内された部屋は、いつもの客間ではなく、デイビッド様のお部屋だ。
「子供の頃、よくデイビッド様のお部屋にお邪魔させてもらって、2人で遊びましたね。懐かしいですわ」
「そうだね、子供の頃は2人で沢山遊んだね。俺はあの頃から、アンジュが大好きだった。アンジュさえ傍にいてくれたら、それだけで幸せだった。今もその気持ちは変わる事はない。俺はアンジュを守りたいという思いが強すぎて、アンジュを傷つけてしまったこと、今でも酷く後悔している。本当にすまなかった」
深々と頭を下げるデイビッド様。
「それでも俺は、アンジュへの気持ちは今でも変わらない。俺はアンジュを誰よりも愛している。もちろん、ダルク殿よりもだ。アンジュ、もう二度と君に悲しい思いはさせないよ。これからはずっとずっと傍にいたいと思っている。俺にはアンジュが必要なんだ。どうかこれからも、俺の傍にいて欲しい」
必死に訴えてくるデイビッド様。そんなデイビッド様の瞳を、まっすぐ見つめた。
「デイビッド様、覚えていますか?10歳の時、盗賊に誘拐された私を守るため、デイビッド様も捕らえられてしまいましたよね。それでも必死にデイビッド様は、私を守ろうとしてくださいました。それがとても嬉しくて嬉しくて。これからもずっと、デイビッド様の傍にいたい、今度は私が彼を支えて行きたい。そう強く思ったのです。でも…」
不安そうなデイビッド様を見つめた。
「デイビッド様は日に日に私に冷たくなっていきましたよね。それでも私は、デイビッド様が大好きでした。いつか振り向いてもらえる事を信じて、何度も何度もアプローチしました。父に頼んで、サフィーレイズ侯爵家に出向き、私から婚約の申し込みも致しました。それでもあなた様は、私を受けれいて下さいませんでした。そんな中、ラミネス様とのお噂を耳にしたのです」
「アンジュ、ラミネス嬢の件は本当に誤解なんだ。でも、君を傷つけた事は本当にすまないと思っている…」
「ええ、誤解だったことは存じ上げております。ただ、あの日私は、あなた様を忘れるために、ミラージュ王国への留学を決めたのです。あの日から色々な事がありました。ラミネス様とデイビッド様の関係が誤解だったこと、実はデイビッド様が私の事を思っていて下さった事。本当に色々あり、心を取り乱す事もありました。ただ…私はあの日、デイビッド様を諦め留学し、新たな自分として生きていこうと決めたのです。あの日から、もうデイビッド様は過去の人になったのです」
私はあの日、デイビッド様を諦め、前に進みだした。
「帰国後、デイビッド様が私に色々と気遣って下さっていたことは知っています。私も昔のデイビッド様に戻ったと、嬉しく思っていたのも事実です。でも…私が思い出すのは、楽しかったデイビッド様との思い出ばかり。どうしてもあなた様と歩む未来を、想像する事が出来ないのです。デイビッド様、ごめんなさい。このオルゴールもお返ししますわ。どうかデイビッド様も、別の女性と幸せになってください。新騎士団長としてのご活躍を、祈っておりますわ」
ペコリとデイビッド様に頭を下げると、貰ったオルゴールを机の上に置いた。
「そんな…俺はアンジュだけを愛しているのに…そんな…」
フラフラとソファに倒れ込むデイビッド様に頭を下げると、彼の部屋から出た。
「待ってくれ、アンジュ。頼む、俺を捨てないでくれ。俺はアンジュがいないと生きていけない。俺たち、子供の頃からずっと一緒だったじゃないか!どうかもう一度チャンスを…」
「申し訳ございません、先ほども申し上げた通り、あなた様はもう私にとって過去の人なのです。私はもう、あなた様を忘れ新しい未来に向かって歩み始めているのです。どうか私の事はお忘れください」
そう伝えると、急いで屋敷を出る。
「待ってくれ、アンジュ。頼む、アンジュ!!」
必死に追いすがって来るデイビッド様を振り払い、馬車に乗り込んだ。デイビッド様、ごめんなさい。もうあなた様の気持ちに応える事は出来ないのです。
正直デイビッド様がそこまで私に追いすがって来るとは思わなかった。でも…いくら追いすがられても、もう彼と歩む未来は想像できないのだ。
「デイビッド様、ごめんなさい。どうかお幸せに」
小さくなるデイビッド様の屋敷を見つめながら、そっと呟いたのだった。
~あとがき~
【閲覧注意】
その後のデイビッドについて。
アンジュに断られたデイビッドは、ショックのあまり騎士団長を辞職。部屋からほとんど出る事もなくなり、アンジュを思い続け涙を流す日々。食事もろくに取らず、次第に衰弱していったデイビットは、20歳という若さで命を落としたとの事です。
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