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第38話:心がざわつく~ダルク視点~
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アンジュ嬢がこの国に来てから、気が付くともう4ヶ月が過ぎようとしていた。スカーレット様とアンジュ嬢が仲良くなってから、王太子殿下も交えて4人で過ごすことも多い。
先日は4人でミラージュ王国の街を見て回った。我が国の運河を見て、アンジュ嬢が目を輝かせていた。その姿からどうしても目が離せず、つい見つめてしまう。彼女が笑うとなぜか私も嬉しいし、彼女が悲しい顔をすると、なぜか胸が締め付けられる。
スカーレット様もアンジュ嬢が大好きな様で、事あるごとに彼女にベッタリとくっ付いている。そんなスカーレット様を見ていると、なぜか腹ただしい気持ちになるのはなぜだろう。
そう言えば王太子殿下も
“僕の可愛いスカーレットが、アンジュ嬢に取られてしまった。アンジュ嬢め!”
と、たまに変な嫉妬をしていた。令嬢に嫉妬するだなんて…そう思っていたが、まさか私も殿下と同じような気持ちを抱くだなんて…1人ショックを受けた。
でも…
アンジュ嬢と過ごしていくうちに、もっと彼女の事が知りたい、一緒にいたいと強く思う様になったのだ。でも、後2ヶ月もすれば、彼女は帰国してしまう。そう考えると、どうしようもない気持ちになるのだ。
そんな日々を送っていたある日、船でのパーティーに誘われたのだ。クラスメイト皆参加する様で、私も参加する事になった。先に船付き乗り場に着いた私たちは、令嬢たちが来るのを待つ。
「ダルク、君、アンジュ嬢が好きなのだろう?せっかくドレスアップしたアンジュ嬢が来るんだ。うまくエスコートしてあげるんだよ」
王太子殿下が隣でそんなふざけたことを言っている。
「殿下、何を訳の分からない事をおっしゃっているのですか。私をアンジュ嬢に近づかせて、その間にご自分はスカーレット様と過ごすおつもりでしょう。あまりアンジュ嬢を目の敵にしないであげて下さい」
「僕は別に、目の敵になんてしていないよ。ただ、アンジュ嬢がスカーレットにベッタリだから」
「どちらかと言えば、スカーレット様がアンジュ嬢にベッタリかと」
そう、スカーレット様がアンジュ嬢にいつも寄り添っているのだ。それなのにアンジュ嬢を目の敵にするだなんて、本当にどうしようもない殿下だ。ただ、それを表に出さないところはさすがだ。
そんな話をしているうちに、令嬢たちがやって来た。その途端、嬉しそうにスカーレット様の方に向かって走っていく殿下。相変わらずだ。
それにしても、アンジュ嬢のドレス姿、とても美しいな。瞳の色に合わせて、水色のドレスを着ている。そんな彼女の後ろをそっと付いて行く。すると、アンジュ嬢がバランスを崩して転びそうになっているではないか!
すかさず助け、手を貸す。彼女の手は小さくて柔らかくて、なんだか落ち着く手だ。ずっと握っていたくらい。今日はずっと彼女の傍で、彼女の幸せそうな顔を見つめていたい。そう思っていたのに…
不覚にも船酔いをしてしまったのだ。こんなにも穏やかな運河に酔ってしまうだなんて、情けない。人目のつかないところで休んでいると、なんとアンジュ嬢が私の元に来てくれて、さらに水と薬まで取りに行ってくれたのだ。
やはりこの子は優しいな。
その後2人で、色々な話をした。私はアンジュ嬢にこの地にとどまって欲しくて、それとなくこの地に留まれないか問いかけたが、いい返事はもらえなかった。
ただ、自国にいる好きだった令息への未練は断ち切った様だ。その点は良かったのだが…
もっと彼女といたい、出来ればずっと…
そんな気持ちが私の心を支配していく。未練たらしいとは思ったが、何とか説得しようと試みる。自分の気持ちが抑えきれなくなった私は“自分と婚約すればこの地に残れる”なんて、恐れ多い事を口にしようとした時、ちょうど船が停泊所についてしまったのだ。
きっとまだ、自分の気持ちを伝えるのは早いという事なのだろう。でも、もう私には時間がないのに…
そんな私に追い打ちをかける事態が襲う。そう、アンジュ嬢を追って、アンジュ嬢のかつての思い人がやって来たのだ。
その日は気の強い令嬢たちに追い返されていたが、翌日、正式に面会を申し込んできた。有難い事に私も面会に参加させてもらえる事が出来た。
それにしても、自分勝手な男だ。アンジュ嬢に“ずっと君が好きだった。騎士団長になるまでは、気持ちを封印していた”など言っていた。さすがのアンジュ嬢も、その気持ちは受け入れられないと拒否していたが、複雑そうな顔をしていた。
彼は1ヶ月後、自国で待っていると言い残して帰って行った。そう、1ヶ月後アンジュ嬢は国に帰る。心優しいアンジュ嬢は、あの男の猛アタックに押されて、彼と結婚する道を選んでしまうかもしれない。
そんな事だけは、絶対させたくはない!
でも…私にはどうする事も出来ない。悔しくて唇を噛んだ。
ただ、スカーレット様が必死にアンジュ嬢にこの地に残る様に訴えている。これはもしかすると、いけるかもしれない。王太子殿下も、アンジュ嬢の身を案じ、すぐに学院に確認していた。
でも…
学院からは留学の延長は認められなかったのだ。
せっかくアンジュ嬢も留学延長にその気になってくれたのに…
先日は4人でミラージュ王国の街を見て回った。我が国の運河を見て、アンジュ嬢が目を輝かせていた。その姿からどうしても目が離せず、つい見つめてしまう。彼女が笑うとなぜか私も嬉しいし、彼女が悲しい顔をすると、なぜか胸が締め付けられる。
スカーレット様もアンジュ嬢が大好きな様で、事あるごとに彼女にベッタリとくっ付いている。そんなスカーレット様を見ていると、なぜか腹ただしい気持ちになるのはなぜだろう。
そう言えば王太子殿下も
“僕の可愛いスカーレットが、アンジュ嬢に取られてしまった。アンジュ嬢め!”
と、たまに変な嫉妬をしていた。令嬢に嫉妬するだなんて…そう思っていたが、まさか私も殿下と同じような気持ちを抱くだなんて…1人ショックを受けた。
でも…
アンジュ嬢と過ごしていくうちに、もっと彼女の事が知りたい、一緒にいたいと強く思う様になったのだ。でも、後2ヶ月もすれば、彼女は帰国してしまう。そう考えると、どうしようもない気持ちになるのだ。
そんな日々を送っていたある日、船でのパーティーに誘われたのだ。クラスメイト皆参加する様で、私も参加する事になった。先に船付き乗り場に着いた私たちは、令嬢たちが来るのを待つ。
「ダルク、君、アンジュ嬢が好きなのだろう?せっかくドレスアップしたアンジュ嬢が来るんだ。うまくエスコートしてあげるんだよ」
王太子殿下が隣でそんなふざけたことを言っている。
「殿下、何を訳の分からない事をおっしゃっているのですか。私をアンジュ嬢に近づかせて、その間にご自分はスカーレット様と過ごすおつもりでしょう。あまりアンジュ嬢を目の敵にしないであげて下さい」
「僕は別に、目の敵になんてしていないよ。ただ、アンジュ嬢がスカーレットにベッタリだから」
「どちらかと言えば、スカーレット様がアンジュ嬢にベッタリかと」
そう、スカーレット様がアンジュ嬢にいつも寄り添っているのだ。それなのにアンジュ嬢を目の敵にするだなんて、本当にどうしようもない殿下だ。ただ、それを表に出さないところはさすがだ。
そんな話をしているうちに、令嬢たちがやって来た。その途端、嬉しそうにスカーレット様の方に向かって走っていく殿下。相変わらずだ。
それにしても、アンジュ嬢のドレス姿、とても美しいな。瞳の色に合わせて、水色のドレスを着ている。そんな彼女の後ろをそっと付いて行く。すると、アンジュ嬢がバランスを崩して転びそうになっているではないか!
すかさず助け、手を貸す。彼女の手は小さくて柔らかくて、なんだか落ち着く手だ。ずっと握っていたくらい。今日はずっと彼女の傍で、彼女の幸せそうな顔を見つめていたい。そう思っていたのに…
不覚にも船酔いをしてしまったのだ。こんなにも穏やかな運河に酔ってしまうだなんて、情けない。人目のつかないところで休んでいると、なんとアンジュ嬢が私の元に来てくれて、さらに水と薬まで取りに行ってくれたのだ。
やはりこの子は優しいな。
その後2人で、色々な話をした。私はアンジュ嬢にこの地にとどまって欲しくて、それとなくこの地に留まれないか問いかけたが、いい返事はもらえなかった。
ただ、自国にいる好きだった令息への未練は断ち切った様だ。その点は良かったのだが…
もっと彼女といたい、出来ればずっと…
そんな気持ちが私の心を支配していく。未練たらしいとは思ったが、何とか説得しようと試みる。自分の気持ちが抑えきれなくなった私は“自分と婚約すればこの地に残れる”なんて、恐れ多い事を口にしようとした時、ちょうど船が停泊所についてしまったのだ。
きっとまだ、自分の気持ちを伝えるのは早いという事なのだろう。でも、もう私には時間がないのに…
そんな私に追い打ちをかける事態が襲う。そう、アンジュ嬢を追って、アンジュ嬢のかつての思い人がやって来たのだ。
その日は気の強い令嬢たちに追い返されていたが、翌日、正式に面会を申し込んできた。有難い事に私も面会に参加させてもらえる事が出来た。
それにしても、自分勝手な男だ。アンジュ嬢に“ずっと君が好きだった。騎士団長になるまでは、気持ちを封印していた”など言っていた。さすがのアンジュ嬢も、その気持ちは受け入れられないと拒否していたが、複雑そうな顔をしていた。
彼は1ヶ月後、自国で待っていると言い残して帰って行った。そう、1ヶ月後アンジュ嬢は国に帰る。心優しいアンジュ嬢は、あの男の猛アタックに押されて、彼と結婚する道を選んでしまうかもしれない。
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ただ、スカーレット様が必死にアンジュ嬢にこの地に残る様に訴えている。これはもしかすると、いけるかもしれない。王太子殿下も、アンジュ嬢の身を案じ、すぐに学院に確認していた。
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