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第22話:デイビッド様が面会に来ました
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楽しい船のパーティーが一転、デイビッド様が登場するというハプニングが起こった事で、なんだか心が落ち着かないまま寮に戻ってきた。
「アンジュ様、大丈夫ですか?今日は、ゆっくり休んでくださいね」
「はい、ありがとうございます。ではまた、明日」
令嬢たちと別れ、自室へと戻ってきた。
「おかえりなさいませ、お嬢様。どうでしたか?船のパーティーは?」
満面の笑みで私の方にやって来たのは、カリアだ。
「ええ、とても楽しかったわ。ただ…船から降りたところに、なぜかデイビッド様がいらしたの…」
「何ですって?デイビッド様がですか?あの男、まさか船から降りたお嬢様を待ち伏せするだなんて、油断も隙もありゃしませんわ!それで、大丈夫でしたか?」
「ええ、令嬢たちがすぐに庇ってくれて、馬車に乗せてくれたから…それにしても、カリアはデイビッド様がこの地にいる事を知っている様な口ぶりだけれど」
「実は旦那様から“デイビッド殿がアンジュを訪ねて、ミラージュ王国に行くかもしれない、十分警戒する様に”との連絡が入りまして…部外者は学院内には勝手に入る事は出来ないからと、安心しておりましたの。まさか、外に出たタイミングで接触してくるだなんて。お嬢様にはいらぬ心配をかけたくなくて、黙っていたのですが、それが仇になってしまいましたね。申し訳ございませんでした」
「カリアが謝る事ではないわ。でも、どうしてデイビッド様は、わざわざミラージュ王国にいらしたのかしら?」
「私も詳しい話は聞いておりませんので…とにかく、あの男が既にミラージュ王国に来て居る事だけは確かです。しばらくは学院の外に出ない様にしてくださいませ」
そんな…
後1ヶ月しか皆といられないのに。それじゃあ、思い出が作れないじゃない。こうなったら、さっさとデイビッド様の用件を聞いて、国に帰ってもらった方がよさそうね。
もし面会依頼が来たら、その時は素直に対応しよう。幸い今日、デイビッド様を見てもなんとも思わなかったし。もう私の心も、しっかり踏ん切りがついたのだろう。
デイビッド様ったら!やっと彼を忘れたのに、どうして未だに問題を持って来るのかしら?もう私は、デイビッド様には関わりたくないのに…
はぁ~っとため息が出てしまう。
とにかく今日は疲れたから、もう寝よう。カリアにドレスを脱がしてもらい、湯あみを行った。そしてベッドに入る。
この日はさすがに疲れていたのか、あっと言う間に眠りについたのだった。
翌日、いつもの様に制服に着替える。
「お嬢様、万が一あの男が校門の前で待ち伏せをしているかもしれませんので、まっすぐ寮に帰って来てくださいね」
「分かっているわよ。それじゃあ、行ってくるわね」
カリアに見送られ部屋を出ると、スカーレット様が待っていてくれていた。
「おはようございます、アンジュ様」
「おはようございます、スカーレット様。わざわざ待っていて下さったのですか?」
「ええ、昨日のあなた様の幼馴染の件がなんだか気になって…」
「そうだったのですね。ご心配をおかけしてごめんなさい。何の用事で来たのかは知りませんが、一度会って要件を聞き、さっさと帰ってもらいますわ。あの人には、別に愛する人がいらっしゃいますので」
デイビッド様には、愛するラミネス様がいらっしゃるのだ。私に構っている暇はないはず。もしかして、私に2人の婚約披露パーティーに出ろとか言う話ではないでしょうね?
そんな事を考える。
「アンジュ様、私、なんだか嫌な予感がするのです。昨日も申し上げましたが、もしあの方と面会をする事になったら、私も同席させていただいてもよろしいですか?」
「ええ、構いませんわ。私も1人よりも、スカーレット様がいて下さる方が心強いので。さあ、学院に行きましょう」
スカーレット様と一緒に学院に向かう。他の令嬢たちからも、昨日の件で色々と聞かれた。皆私の事を心配してくれている様だ。
さらにダルク様にまで
「アンジュ嬢、昨日は大丈夫だったかい?昨日の彼、その…アンジュ嬢が好きだった人だろう?」
そんな事を言われたのだ。
「確かに好きだった人でしたが、もう綺麗さっぱり忘れましたわ。ただ、彼が何をしにミラージュ王国まで来たのか、少し気になりまして。さっさと用件を聞いて、カリオス王国に帰ってもらおうと考えておりますの」
「そうか…そう言えばスカーレット様が、万が一その男が面会に来た時、立ち会うと張り切っていたそうだね。ただ…相手は騎士団長にまで登りつめた男なのだろう?令嬢だけでは不安だから、私と殿下も立ち会ってもいいだろうか?もちろん、口出しはしないから」
なるほど、スカーレット様が私の為に立ち会ってくれると聞いた殿下が、スカーレット様を別の男に合わせるなんて不安だ、僕も立ち会う!と言い出したのだろう。
「たかだか私の立ち合いに、わざわざ王太子殿下にお手間を取らせるのは申し訳ございませんので、スカーレット様にもご遠慮して頂きますわ」
大した用事ではないかもしれないのに、一国の王太子殿下に立ち会ってもらうなんて、申し訳なさすぎる。そう思ったのだが…
「既にスカーレット様は、立ち会う気満々です。ですので、どうかお願いできないでしょうか?」
そう言ってダルク様が頭を下げて来た。
「分かりましたわ、それでしたら、よろしくお願いします」
なんだか大事になって来たわね。でも、デイビッド様も昨日あしらわれた事で、諦めて国に帰ったかもしれない。ぜひともそうであって欲しい、そう願っていたが…
「アンジュ・スィークルン嬢、デイビッド殿とのいう方が面会にいらしている。すぐに面会室に来てください」
授業が終わると、先生にそう言われたのだ。早速来た様だ。
本当に一体何の用だろう?
「アンジュ様、大丈夫ですか?今日は、ゆっくり休んでくださいね」
「はい、ありがとうございます。ではまた、明日」
令嬢たちと別れ、自室へと戻ってきた。
「おかえりなさいませ、お嬢様。どうでしたか?船のパーティーは?」
満面の笑みで私の方にやって来たのは、カリアだ。
「ええ、とても楽しかったわ。ただ…船から降りたところに、なぜかデイビッド様がいらしたの…」
「何ですって?デイビッド様がですか?あの男、まさか船から降りたお嬢様を待ち伏せするだなんて、油断も隙もありゃしませんわ!それで、大丈夫でしたか?」
「ええ、令嬢たちがすぐに庇ってくれて、馬車に乗せてくれたから…それにしても、カリアはデイビッド様がこの地にいる事を知っている様な口ぶりだけれど」
「実は旦那様から“デイビッド殿がアンジュを訪ねて、ミラージュ王国に行くかもしれない、十分警戒する様に”との連絡が入りまして…部外者は学院内には勝手に入る事は出来ないからと、安心しておりましたの。まさか、外に出たタイミングで接触してくるだなんて。お嬢様にはいらぬ心配をかけたくなくて、黙っていたのですが、それが仇になってしまいましたね。申し訳ございませんでした」
「カリアが謝る事ではないわ。でも、どうしてデイビッド様は、わざわざミラージュ王国にいらしたのかしら?」
「私も詳しい話は聞いておりませんので…とにかく、あの男が既にミラージュ王国に来て居る事だけは確かです。しばらくは学院の外に出ない様にしてくださいませ」
そんな…
後1ヶ月しか皆といられないのに。それじゃあ、思い出が作れないじゃない。こうなったら、さっさとデイビッド様の用件を聞いて、国に帰ってもらった方がよさそうね。
もし面会依頼が来たら、その時は素直に対応しよう。幸い今日、デイビッド様を見てもなんとも思わなかったし。もう私の心も、しっかり踏ん切りがついたのだろう。
デイビッド様ったら!やっと彼を忘れたのに、どうして未だに問題を持って来るのかしら?もう私は、デイビッド様には関わりたくないのに…
はぁ~っとため息が出てしまう。
とにかく今日は疲れたから、もう寝よう。カリアにドレスを脱がしてもらい、湯あみを行った。そしてベッドに入る。
この日はさすがに疲れていたのか、あっと言う間に眠りについたのだった。
翌日、いつもの様に制服に着替える。
「お嬢様、万が一あの男が校門の前で待ち伏せをしているかもしれませんので、まっすぐ寮に帰って来てくださいね」
「分かっているわよ。それじゃあ、行ってくるわね」
カリアに見送られ部屋を出ると、スカーレット様が待っていてくれていた。
「おはようございます、アンジュ様」
「おはようございます、スカーレット様。わざわざ待っていて下さったのですか?」
「ええ、昨日のあなた様の幼馴染の件がなんだか気になって…」
「そうだったのですね。ご心配をおかけしてごめんなさい。何の用事で来たのかは知りませんが、一度会って要件を聞き、さっさと帰ってもらいますわ。あの人には、別に愛する人がいらっしゃいますので」
デイビッド様には、愛するラミネス様がいらっしゃるのだ。私に構っている暇はないはず。もしかして、私に2人の婚約披露パーティーに出ろとか言う話ではないでしょうね?
そんな事を考える。
「アンジュ様、私、なんだか嫌な予感がするのです。昨日も申し上げましたが、もしあの方と面会をする事になったら、私も同席させていただいてもよろしいですか?」
「ええ、構いませんわ。私も1人よりも、スカーレット様がいて下さる方が心強いので。さあ、学院に行きましょう」
スカーレット様と一緒に学院に向かう。他の令嬢たちからも、昨日の件で色々と聞かれた。皆私の事を心配してくれている様だ。
さらにダルク様にまで
「アンジュ嬢、昨日は大丈夫だったかい?昨日の彼、その…アンジュ嬢が好きだった人だろう?」
そんな事を言われたのだ。
「確かに好きだった人でしたが、もう綺麗さっぱり忘れましたわ。ただ、彼が何をしにミラージュ王国まで来たのか、少し気になりまして。さっさと用件を聞いて、カリオス王国に帰ってもらおうと考えておりますの」
「そうか…そう言えばスカーレット様が、万が一その男が面会に来た時、立ち会うと張り切っていたそうだね。ただ…相手は騎士団長にまで登りつめた男なのだろう?令嬢だけでは不安だから、私と殿下も立ち会ってもいいだろうか?もちろん、口出しはしないから」
なるほど、スカーレット様が私の為に立ち会ってくれると聞いた殿下が、スカーレット様を別の男に合わせるなんて不安だ、僕も立ち会う!と言い出したのだろう。
「たかだか私の立ち合いに、わざわざ王太子殿下にお手間を取らせるのは申し訳ございませんので、スカーレット様にもご遠慮して頂きますわ」
大した用事ではないかもしれないのに、一国の王太子殿下に立ち会ってもらうなんて、申し訳なさすぎる。そう思ったのだが…
「既にスカーレット様は、立ち会う気満々です。ですので、どうかお願いできないでしょうか?」
そう言ってダルク様が頭を下げて来た。
「分かりましたわ、それでしたら、よろしくお願いします」
なんだか大事になって来たわね。でも、デイビッド様も昨日あしらわれた事で、諦めて国に帰ったかもしれない。ぜひともそうであって欲しい、そう願っていたが…
「アンジュ・スィークルン嬢、デイビッド殿とのいう方が面会にいらしている。すぐに面会室に来てください」
授業が終わると、先生にそう言われたのだ。早速来た様だ。
本当に一体何の用だろう?
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