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番外編
旅編5:小人に出会いました
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オスカー様との旅も、残すところ1ヶ国のみとなった。随分北の方まで来ていたが、ゆっくりと南下してきている。
「アメリア、明日には最後の国に着く予定だ。少しゆっくり旅をしたせいで、日程が押していてね。最後の国なのに、明日を入れて2日しか観光をする時間を取れなかったんだ。ごめんね」
申し訳なさそうにそう言ったオスカー様。
「とんでもありません!今回の旅は本当に楽しかったですし。それに2日もあれば、十分観光が出来ますわ!」
そもそもファビアナと旅に出ていた時は、基本的に当日観光して終わりの事が多かった。そのことを考えれば、2日間も観光できるなんて贅沢なことだ!
「ありがとう、アメリア。明日行く国は、小人がいるみたいなんだ。ただ、住民ですら一生に一度会えたらラッキーといわれているほど、姿を現さないらしい。ちなみに小人に会えた人は、一生幸せに暮らせるというジンクスがあるらしいよ」
「まあ、小人ですか?素敵ですわね!」
「ただ僕たちの滞在期間から考えると、まず会えないと思うから、あまり期待しない方がいい。さあ、明日も早いからもう寝よう。おやすみ、アメリア」
「おやすみなさい、オスカー様」
オスカー様と別れ自室に戻ると、そのままベッドに入る。明日小人に会えたら嬉しいな、そう思いつつ眠りについたのであった。
翌日
随分南下してきたという事もあり、ダンの国に比べれば随分と寒さも和らいできた。といっても、まだまだ寒いことは寒いのだが。
上着を1枚はおり、オスカー様と一緒に船を降りる。小人が住んでいるという事もあり、緑豊かな美しい国だ。
「アメリア、ここは大きな湖が有名なんだよ。早速行ってみようか」
オスカー様と一緒に馬車に乗り込み、湖を目指す。それにしても、湖は随分と森の奥にあるようで、どんどん奥に入っていく。
ただ有名な湖という事もあり、湖までの道は整備されている様だ。しばらく森を走ると、開けた場所に着いた。そして目の前に広がっていたのは、海と見間違えるほどの大きな美しい湖だ。
近づいてみると、自分の顔が映るくらい透き通っている。近くには白鳥も泳いでいた。
「アメリア、あそこにボートがあるよ。せっかくだから乗ってみよう」
オスカー様の指さす方を見ると、いくつものボートが目に付いた。湖には、ボートを楽しむ人たちの姿も見える。これは楽しそうね!
オスカー様の誘いに乗り、早速ボートに乗り込んだ。それにしても本当に美しい湖だ。それにこの湖、かなり大きいようで、反対側の岸が全く見えない。
「アメリア、怖くないかい?」
「ええ、オスカー様がゆっくりボートを漕いでくださっているので、大丈夫ですわ。それにしても、本当に綺麗な湖ですわね。オスカー様、見てください。魚が泳いでいますわ!」
しばらくボートを楽しんだ後は、一旦岸に戻ってお昼ご飯だ。近くにレストランもあるのだが、せっかくなら湖の近くで食べようという事になり、レストラン横にあるテイクアウトのお店で食べ物を買うことにした。
ここの国では、スモークにした魚をパンの間に挟んである食べ物が一般的なようだ。早速購入し、敷物を敷いて2人並んで食べる。
「これ物凄くおいしいですね。パンと魚、さらにドレッシングがよく合っていますわ」
「本当だね。初めて食べた味だが、とてもおいしい!」
その時だった。
ガルルルルル!ワンワンワン!
ふと声の方を見ると、野生の犬と思われる動物が、何かを追いかけている様だ。一体何を追いかけているのだろう。気になって近づいてみる。
「アメリア、危ないよ!とにかくここは危険だ。安全な場所に行こう!」
オスカー様に手を引っ張られたが、どうしても気になる。オスカー様の手を振り払い、犬の方に行くと、そこにいたのは!
なんと小人だった。緑色の髪をした小人が、必死に木にしがみついて震えていた。そんな小人に向かって吠える犬。
「アメリア、手を振り払って勝手に行ったら危ないだろう!」
私を追いかけてきたオスカー様に怒られた。でも、今はそれどころではない!
「オスカー様、小人が…小人が犬に襲われています!」
小人の方を指さして、必死に訴えた。私が指さす方を見て、一瞬固まったオスカー様だったが、すぐに近くにあった木の棒を拾い、犬に向かって投げた。
「キャイーン」
オスカー様が投げた棒が、見事犬に的中。急いで逃げていく犬。
犬がいなくなった事を確認し、急いで小人の元へと向かった。そっと手の上に小人を乗せた。まだ震えており、丸まっている。
「犬はオスカー様が追い払ってくれたから、もう大丈夫よ。あなた、小人よね?」
私の問いかけに、ゆっくりと私の方を振り向いた小人。
「ギャーーー、人間に捕まった!売られる~~!」
そう叫んでうずくまった小人。失礼ね!
「ちょっとあなた、私はあなたを売ったりはしないわよ。だから安心して」
私の言葉を聞き、ゆっくり顔を上げた小人。
「それで君は何でこんなところにいるんだい?本来小人は、人気のない山奥で生活をしているのではないのかい?こんな人が多い場所にいるなんて」
オスカー様が小人に問いかけた。確かにこの場所は森の中ではあるが、観光地だ。私たちの他にも、たくさんの観光客がいる。
ふと小人の腕を見ると、怪我をしている様で血が出ていた。大変だわ!小人をオスカー様に預け、カバンからハンカチを取り出した。でも、大きすぎるわね…
小人はちょうど私の手くらいの大きさだ。さすがにハンカチでは大きい。そうだわ。
「オスカー様、ナイフをお借りしますね」
護身用にとオスカー様の腰に付けられているナイフを取り出し、ハンカチを小さく切った。そして切ったハンカチの切れ端を、怪我をしている小人の腕に巻く。
小さすぎてあまり上手に巻けなかったが、仕方ない。
「助けてくれて、ありがとう。僕の名前はテラ。実は恋人と一緒に、湖を見に来ていたんだ。彼女がどうしても湖を見たいというから…でも、人間に見つかっちゃって、彼女が連れ去られてしまったんだ!急いで連れ戻そうとしたんだけれど、犬に見つかり追われていたところを、君たちに助けられたんだよ」
そう言って肩を落とすテラ。小人を攫うなんて、随分と酷い事をするのね!本当に最低な奴らだわ!
「それで、君の恋人はどんな奴らに連れ去られたんだい?」
「若い男4人組だよ。多分まだその辺にいると思うのだけれど…」
なるほど。
「オスカー様、テラの恋人を探しましょう!」
「僕も同じことを思っていたんだ!テラ、僕たちでよければ君に協力するよ」
「本当かい?ありがとう」
そう言って嬉しそうに笑ったテラ。早速テラの恋人の捜索開始だ!
「アメリア、明日には最後の国に着く予定だ。少しゆっくり旅をしたせいで、日程が押していてね。最後の国なのに、明日を入れて2日しか観光をする時間を取れなかったんだ。ごめんね」
申し訳なさそうにそう言ったオスカー様。
「とんでもありません!今回の旅は本当に楽しかったですし。それに2日もあれば、十分観光が出来ますわ!」
そもそもファビアナと旅に出ていた時は、基本的に当日観光して終わりの事が多かった。そのことを考えれば、2日間も観光できるなんて贅沢なことだ!
「ありがとう、アメリア。明日行く国は、小人がいるみたいなんだ。ただ、住民ですら一生に一度会えたらラッキーといわれているほど、姿を現さないらしい。ちなみに小人に会えた人は、一生幸せに暮らせるというジンクスがあるらしいよ」
「まあ、小人ですか?素敵ですわね!」
「ただ僕たちの滞在期間から考えると、まず会えないと思うから、あまり期待しない方がいい。さあ、明日も早いからもう寝よう。おやすみ、アメリア」
「おやすみなさい、オスカー様」
オスカー様と別れ自室に戻ると、そのままベッドに入る。明日小人に会えたら嬉しいな、そう思いつつ眠りについたのであった。
翌日
随分南下してきたという事もあり、ダンの国に比べれば随分と寒さも和らいできた。といっても、まだまだ寒いことは寒いのだが。
上着を1枚はおり、オスカー様と一緒に船を降りる。小人が住んでいるという事もあり、緑豊かな美しい国だ。
「アメリア、ここは大きな湖が有名なんだよ。早速行ってみようか」
オスカー様と一緒に馬車に乗り込み、湖を目指す。それにしても、湖は随分と森の奥にあるようで、どんどん奥に入っていく。
ただ有名な湖という事もあり、湖までの道は整備されている様だ。しばらく森を走ると、開けた場所に着いた。そして目の前に広がっていたのは、海と見間違えるほどの大きな美しい湖だ。
近づいてみると、自分の顔が映るくらい透き通っている。近くには白鳥も泳いでいた。
「アメリア、あそこにボートがあるよ。せっかくだから乗ってみよう」
オスカー様の指さす方を見ると、いくつものボートが目に付いた。湖には、ボートを楽しむ人たちの姿も見える。これは楽しそうね!
オスカー様の誘いに乗り、早速ボートに乗り込んだ。それにしても本当に美しい湖だ。それにこの湖、かなり大きいようで、反対側の岸が全く見えない。
「アメリア、怖くないかい?」
「ええ、オスカー様がゆっくりボートを漕いでくださっているので、大丈夫ですわ。それにしても、本当に綺麗な湖ですわね。オスカー様、見てください。魚が泳いでいますわ!」
しばらくボートを楽しんだ後は、一旦岸に戻ってお昼ご飯だ。近くにレストランもあるのだが、せっかくなら湖の近くで食べようという事になり、レストラン横にあるテイクアウトのお店で食べ物を買うことにした。
ここの国では、スモークにした魚をパンの間に挟んである食べ物が一般的なようだ。早速購入し、敷物を敷いて2人並んで食べる。
「これ物凄くおいしいですね。パンと魚、さらにドレッシングがよく合っていますわ」
「本当だね。初めて食べた味だが、とてもおいしい!」
その時だった。
ガルルルルル!ワンワンワン!
ふと声の方を見ると、野生の犬と思われる動物が、何かを追いかけている様だ。一体何を追いかけているのだろう。気になって近づいてみる。
「アメリア、危ないよ!とにかくここは危険だ。安全な場所に行こう!」
オスカー様に手を引っ張られたが、どうしても気になる。オスカー様の手を振り払い、犬の方に行くと、そこにいたのは!
なんと小人だった。緑色の髪をした小人が、必死に木にしがみついて震えていた。そんな小人に向かって吠える犬。
「アメリア、手を振り払って勝手に行ったら危ないだろう!」
私を追いかけてきたオスカー様に怒られた。でも、今はそれどころではない!
「オスカー様、小人が…小人が犬に襲われています!」
小人の方を指さして、必死に訴えた。私が指さす方を見て、一瞬固まったオスカー様だったが、すぐに近くにあった木の棒を拾い、犬に向かって投げた。
「キャイーン」
オスカー様が投げた棒が、見事犬に的中。急いで逃げていく犬。
犬がいなくなった事を確認し、急いで小人の元へと向かった。そっと手の上に小人を乗せた。まだ震えており、丸まっている。
「犬はオスカー様が追い払ってくれたから、もう大丈夫よ。あなた、小人よね?」
私の問いかけに、ゆっくりと私の方を振り向いた小人。
「ギャーーー、人間に捕まった!売られる~~!」
そう叫んでうずくまった小人。失礼ね!
「ちょっとあなた、私はあなたを売ったりはしないわよ。だから安心して」
私の言葉を聞き、ゆっくり顔を上げた小人。
「それで君は何でこんなところにいるんだい?本来小人は、人気のない山奥で生活をしているのではないのかい?こんな人が多い場所にいるなんて」
オスカー様が小人に問いかけた。確かにこの場所は森の中ではあるが、観光地だ。私たちの他にも、たくさんの観光客がいる。
ふと小人の腕を見ると、怪我をしている様で血が出ていた。大変だわ!小人をオスカー様に預け、カバンからハンカチを取り出した。でも、大きすぎるわね…
小人はちょうど私の手くらいの大きさだ。さすがにハンカチでは大きい。そうだわ。
「オスカー様、ナイフをお借りしますね」
護身用にとオスカー様の腰に付けられているナイフを取り出し、ハンカチを小さく切った。そして切ったハンカチの切れ端を、怪我をしている小人の腕に巻く。
小さすぎてあまり上手に巻けなかったが、仕方ない。
「助けてくれて、ありがとう。僕の名前はテラ。実は恋人と一緒に、湖を見に来ていたんだ。彼女がどうしても湖を見たいというから…でも、人間に見つかっちゃって、彼女が連れ去られてしまったんだ!急いで連れ戻そうとしたんだけれど、犬に見つかり追われていたところを、君たちに助けられたんだよ」
そう言って肩を落とすテラ。小人を攫うなんて、随分と酷い事をするのね!本当に最低な奴らだわ!
「それで、君の恋人はどんな奴らに連れ去られたんだい?」
「若い男4人組だよ。多分まだその辺にいると思うのだけれど…」
なるほど。
「オスカー様、テラの恋人を探しましょう!」
「僕も同じことを思っていたんだ!テラ、僕たちでよければ君に協力するよ」
「本当かい?ありがとう」
そう言って嬉しそうに笑ったテラ。早速テラの恋人の捜索開始だ!
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