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番外編
旅編1:オスカー様と旅に出ます
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婚約を正式に結び直した翌日。なぜか朝早くにやって来たオスカー様。ちなみに婚約者になったオスカー様は、無事出入り禁止を解除されたのだ。
「アメリア、今から出かけるよ。さあ、おいで」
私の姿を見るや否や、急にそんな事を言いだしたオスカー様。
「出掛けるって、どこへですか?」
気になって聞いて見たものの、「いいところだよ」そう答えるだけで、教えてくれない。
「オスカー、アメリアを頼んだよ。くれぐれも、アメリアには手を出すなよ」
「分かっているよ!そんな事は」
オスカー様に声を掛けるお父様。どうやらお父様は、行き先を知っている様だ。ちなみにお父様とお母様、さらにお兄様まで見送りに来てくれている。一体どこに出掛けるつもりなのかしら?
疑問に思いつつも、オスカー様と一緒に馬車に乗り込んだ。一体どこに向かうのだろう?
馬車に揺られる事1時間、見えてきたのは港だ。港に何か用でもあるのかしら?もしかして、私があまりにも旅に行きたいとうるさいから、海でも見せに来てくれたのかもしれないわね。
そう思っていたのだが…
「アメリア、さあ、僕達が乗る船はあの船だよ!実は僕が継ぐ予定になっている伯爵家も、貿易が盛んでね。いくつか船を持っているんだ。アメリアがずっと旅に行きたいと言っていたから、叔父上に交渉して、船を貸してもらったんだよ。と言っても、いずれ僕の物になる船だけれどね。商船程は大きくないけれど、その点は我慢して欲しい」
何ですって!あの船に乗って旅に行けるですって!なんて素晴らしいの!嬉しくて、オスカー様に飛びついた。
「オスカー様、ありがとうございます!私の為にここまでしてくれるなんて!」
「僕もアメリアやギルバート殿下の話を聞いて、旅に行って見たいと思っていたんだよ。事前にファビアナ嬢から前回の航路は聞いておいたから、今回は反対側を回ろうと思っているんだ。せっかくなら、アメリアが行った事のない国の方がいいだろう?」
まあ、わざわざファビアナにそんな事まで聞いてくれていたのね!そうか、ファビアナはオスカー様の計画を知っていたから、私を商船に乗せてくれなかったのね。
「行った事の無い国を見て回れるだなんて、嬉しいわ。ありがとうございます、オスカー様」
嬉しくてオスカー様の頬に口付けをした。その時、私はある事に気が付いた!
「でも、私着替えなど何も持って来ていませんわ。どうしましょう」
旅に行くとは聞かされていなかったので、全く準備をしていない。1人青い顔をしていると
「昨日メイドが準備してくれているから大丈夫だよ。ほら」
オスカー様が指さした先には、満面の笑みを浮かべるメイドたちの姿と、私の荷物が置いてあった。
「あなた達、ありがとう。今回も付いて来てくれるのね。そうそう、あなたにはお礼を言わないとね。あなたのアドバイスのおかげで、私はオスカー様を選ぶことが出来たわ。本当にありがとう」
そう、あの日私にアドバイスをくれたメイドも付いて来てくれている。せっかくなので、この場でお礼を伝えておいた。
「いいえ、私はただ、思った事を伝えたまでです。その後ご自分で考え、結論を出したのはお嬢様自身ですわ」
そう言いつつも、嬉しそうなメイド。
「そうか、君がアメリアにアドバイスをくれたのか。ありがとう、君のおかげで、今この場所にアメリアと一緒に立つことが出来たよ」
オスカー様からもお礼を言われ、さらに頬が緩むメイド。私は本当にメイドにも恵まれている様だ。彼女達も今回付いて来てくれる様なので、しっかり楽しんでもらおう。
「さあ、そろそろ船に乗り込もう。実は僕、船に乗るのは初めてなんだ。なんだかワクワクするね」
嬉しそうなオスカー様に手を引かれ、船の中へと入って行く。すると、オスカー様専属の執事がやって来た。
「お坊ちゃま、出港までしばらく時間があります。今のうちに船の中をご案内させていただきますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
執事に連れられて、船内を案内してもらう。ファビアナの商船程は大きくはないが、それでも立派な船だ。部屋がいくつもあるうえ、食堂、キッチン、小さいが娯楽スペースもあった。
「こちらがアメリア様のお部屋でございます。隣がお坊ちゃまのお部屋ですよ」
「まあ、随分立派なお部屋なのね。ちゃんと浴槽とシャワーも付いているし。ここならゆっくり過ごせそうね」
「でも、窓が小さいな!これじゃあ、外があまり見えないぞ」
「あら、オスカー様。船の窓と言うものは、こんな物なのではなくって?ファビアナの船も、これくらいの大きさでしたわ。それに、丸くて小さい窓も可愛くてよろしいではありませんか?」
この小さくて丸い窓が良いのよね。この窓から見る海や星空もとても素敵なのよ。
一通り船の中を案内してもらった後は、いよいよ出港の時間だ。オスカー様と一緒にデッキに出た。
汽笛を鳴らしながら、ゆっくりと船が進んでいく。
「アメリア、船が動き出したよ。なんだか興奮して来たよ!」
そう言って嬉しそうにはしゃぐオスカー様。なんだか子供みたいね。それにしても、まさかオスカー様と旅が出来るなんて。
これから始まる新たな旅に、胸を膨らますオスカーとアメリアであった。
「アメリア、今から出かけるよ。さあ、おいで」
私の姿を見るや否や、急にそんな事を言いだしたオスカー様。
「出掛けるって、どこへですか?」
気になって聞いて見たものの、「いいところだよ」そう答えるだけで、教えてくれない。
「オスカー、アメリアを頼んだよ。くれぐれも、アメリアには手を出すなよ」
「分かっているよ!そんな事は」
オスカー様に声を掛けるお父様。どうやらお父様は、行き先を知っている様だ。ちなみにお父様とお母様、さらにお兄様まで見送りに来てくれている。一体どこに出掛けるつもりなのかしら?
疑問に思いつつも、オスカー様と一緒に馬車に乗り込んだ。一体どこに向かうのだろう?
馬車に揺られる事1時間、見えてきたのは港だ。港に何か用でもあるのかしら?もしかして、私があまりにも旅に行きたいとうるさいから、海でも見せに来てくれたのかもしれないわね。
そう思っていたのだが…
「アメリア、さあ、僕達が乗る船はあの船だよ!実は僕が継ぐ予定になっている伯爵家も、貿易が盛んでね。いくつか船を持っているんだ。アメリアがずっと旅に行きたいと言っていたから、叔父上に交渉して、船を貸してもらったんだよ。と言っても、いずれ僕の物になる船だけれどね。商船程は大きくないけれど、その点は我慢して欲しい」
何ですって!あの船に乗って旅に行けるですって!なんて素晴らしいの!嬉しくて、オスカー様に飛びついた。
「オスカー様、ありがとうございます!私の為にここまでしてくれるなんて!」
「僕もアメリアやギルバート殿下の話を聞いて、旅に行って見たいと思っていたんだよ。事前にファビアナ嬢から前回の航路は聞いておいたから、今回は反対側を回ろうと思っているんだ。せっかくなら、アメリアが行った事のない国の方がいいだろう?」
まあ、わざわざファビアナにそんな事まで聞いてくれていたのね!そうか、ファビアナはオスカー様の計画を知っていたから、私を商船に乗せてくれなかったのね。
「行った事の無い国を見て回れるだなんて、嬉しいわ。ありがとうございます、オスカー様」
嬉しくてオスカー様の頬に口付けをした。その時、私はある事に気が付いた!
「でも、私着替えなど何も持って来ていませんわ。どうしましょう」
旅に行くとは聞かされていなかったので、全く準備をしていない。1人青い顔をしていると
「昨日メイドが準備してくれているから大丈夫だよ。ほら」
オスカー様が指さした先には、満面の笑みを浮かべるメイドたちの姿と、私の荷物が置いてあった。
「あなた達、ありがとう。今回も付いて来てくれるのね。そうそう、あなたにはお礼を言わないとね。あなたのアドバイスのおかげで、私はオスカー様を選ぶことが出来たわ。本当にありがとう」
そう、あの日私にアドバイスをくれたメイドも付いて来てくれている。せっかくなので、この場でお礼を伝えておいた。
「いいえ、私はただ、思った事を伝えたまでです。その後ご自分で考え、結論を出したのはお嬢様自身ですわ」
そう言いつつも、嬉しそうなメイド。
「そうか、君がアメリアにアドバイスをくれたのか。ありがとう、君のおかげで、今この場所にアメリアと一緒に立つことが出来たよ」
オスカー様からもお礼を言われ、さらに頬が緩むメイド。私は本当にメイドにも恵まれている様だ。彼女達も今回付いて来てくれる様なので、しっかり楽しんでもらおう。
「さあ、そろそろ船に乗り込もう。実は僕、船に乗るのは初めてなんだ。なんだかワクワクするね」
嬉しそうなオスカー様に手を引かれ、船の中へと入って行く。すると、オスカー様専属の執事がやって来た。
「お坊ちゃま、出港までしばらく時間があります。今のうちに船の中をご案内させていただきますね」
「ああ、よろしく頼むよ」
執事に連れられて、船内を案内してもらう。ファビアナの商船程は大きくはないが、それでも立派な船だ。部屋がいくつもあるうえ、食堂、キッチン、小さいが娯楽スペースもあった。
「こちらがアメリア様のお部屋でございます。隣がお坊ちゃまのお部屋ですよ」
「まあ、随分立派なお部屋なのね。ちゃんと浴槽とシャワーも付いているし。ここならゆっくり過ごせそうね」
「でも、窓が小さいな!これじゃあ、外があまり見えないぞ」
「あら、オスカー様。船の窓と言うものは、こんな物なのではなくって?ファビアナの船も、これくらいの大きさでしたわ。それに、丸くて小さい窓も可愛くてよろしいではありませんか?」
この小さくて丸い窓が良いのよね。この窓から見る海や星空もとても素敵なのよ。
一通り船の中を案内してもらった後は、いよいよ出港の時間だ。オスカー様と一緒にデッキに出た。
汽笛を鳴らしながら、ゆっくりと船が進んでいく。
「アメリア、船が動き出したよ。なんだか興奮して来たよ!」
そう言って嬉しそうにはしゃぐオスカー様。なんだか子供みたいね。それにしても、まさかオスカー様と旅が出来るなんて。
これから始まる新たな旅に、胸を膨らますオスカーとアメリアであった。
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