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第17話:久しぶりの再会です
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ついに王宮に行く日を迎えてしまった。王宮に行くとあって、朝から体をゴシゴシ洗われ、香油を全身にたっぷり塗られる。ドレスに着替え、髪をハーフアップにしたら完成だ。
それにしても、まるで夜会に行くような格好ね。やっぱり王宮に行くという事は、それくらい重要な事なのだろう。
コンコン
「お嬢様、そろそろお時間です」
メイドに呼ばれ、仕方なくお父様が待つ玄関まで向かう。正直足取りは重い。一体私が何をしたと言うのかしら?不安しかないわ…
玄関に着くと、オスカー様に抱きしめられた。
「おはよう、アメリア!今日も一段と可愛いね。こんなに可愛いアメリアを、王宮になんて連れて行きたくない!」
そう言ってギューギュー抱きしめるオスカー様。そう言えば、オスカー様も一緒に来てくれると言っていたのよね。オスカー様も一緒なら、何となく心強いわ。
「オスカー、先ほども言ったが、君は王宮には連れていけないよ!そもそも、君は呼ばれていないのだ。呼ばれていない人間が王族に勝手に会いに行くなんて、許される事ではない!」
「別に僕は陛下になんて会いたくはないよ。アメリアが心配で付いて行くだけだ。護衛と思ってもらえばいい」
「は~、そう言う問題じゃないんだよ!頭の良い君なら分かるだろう?頼むから、昔の様な冷静な判断をしてくれないかい?」
お父様がため息を付いて、何とかオスカー様を説得しようとしている。その時だった。
「オスカー!お前は何を考えているのだ!すまん、伯爵。このバカは連れて帰るから、早く王宮に向かってくれ」
やって来たのは、侯爵様とテオ様、さらに護衛騎士4人も一緒だ。どうやらお父様が侯爵家に使いを出した様だ。
「父上、ふざけた事を言うのは止めてくれ!婚約者を1人、王宮に連れて行かせられる訳ないだろう!そうだ、護衛騎士の格好をしていけばいいのか!そこのお前、その衣装を僕に貸してくれ」
護衛騎士の1人に騎士の衣装を貸すように迫るオスカー様。
「バカな事はよせ!とにかく、お前は家に帰るんだ!お前たち、早くオスカーを馬車に放り込んでくれ!」
テオ様の指示で護衛騎士4人が一斉にオスカー様につかみかかった。
「離せ!僕はアメリアを守る義務があるんだ!アメリア!」
必死に抵抗するオスカー様。
「伯爵、朝から本当にすまなかったね。あのバカには、私からきつく言っておくから。それじゃあ」
無理やり馬車に乗せられたオスカー様が一足先に出発したのを見届けた後、侯爵様とテオ様も馬車に乗り込んで帰って行った。
「は~、アメリアを愛してくれるのは嬉しいが、オスカーの行動は少し過激だからな。侯爵も大変だな。それじゃあ行こうか」
気を取り直し、私たちも馬車へと乗り込む。王宮までは馬車で15分ほど。ダメだわ、物凄く緊張してきた。
「ねえ、お父様。どうしてわざわざ陛下に呼び出されたの?私、何か悪い事をしたのかしら?」
我慢できなくなった私は、ついにお父様に聞いた。
「そう言う感じではなかったよ。どちらかというと、“申し訳ないが連れて来てもらえるだろうか”という様に、お願いに近い感じだったな」
お願い?増々よく分からない。でも、お叱りではなさそうなので、その辺は大丈夫そうね。少し安心したわ。
安心したところで、ちょうど王宮に着いた。いよいよね、やっぱり緊張するわ。馬車を降り、王宮内に入って行く。王宮なんて来るのは初めてだ。さすが王宮、物凄く立派ね。あちらこちらに金や銀の装飾品が飾られている。それに、床に敷かれている赤いカーペットがさらに豪華さを演出しているわ。
私がキョロキョロ見ていたせいか
「アメリア、珍しいのは分かるが、あまり周りをキョロキョロ見るのは止めなさい。はしたないぞ!」
そう注意されてしまった。そしていよいよ、陛下の待つ部屋の前まで来た。緊張もマックスだ。
「リーファス伯爵、アメリア嬢。こちらへどうぞ」
ついに来た!まずはお父様が入っていき、その後ろを私が続く。部屋に入ると、男性が2人いた。
1人は陛下だ。もう1人は…
「やあ、アメリア。久しぶりだね。あの時も美しかったが、こうやって着飾っている君も、また格別に美しいよ」
金髪に青い瞳をした男性、この人は!パッショナル王国で一緒に踊った、ギルバート様だわ。
「お久しぶりです、ギルバート様。でも、どうしてあなた様が王宮にいらっしゃるのですか?」
あの時人に追われていたギルバート様。もしかして亡命でもする為、この国に来たのかしら?
「彼はね、パッショナル王国の第三王子、ギルバート・ディアム・パッショナルだよ。僕の友人なのだが、君にお礼を言いたいと、王宮に押しかけて来たんだ。急に呼び出して悪かったね。アメリア嬢」
陛下が丁寧に説明してくれた。それにしても、ギルバート様がパッショナル王国の第三王子様ですって!あまりの驚きに、開いた口が塞がらない。
「実はあの時、勝手に王宮を抜け出して祭りに参加しようとしていた俺を連れ戻そうと、執事と護衛騎士に追われていたんだ。あの時、助けてくれてありがとう。おかげで祭りを楽しむ事が出来たよ。急に君が立ち去ってしまったから、ちゃんとお礼を言えずにすまなかったね」
そう言ってにっこり微笑むギルバート様。
「いいえ、とんでもございません。私こそ、第三王子様とは知らず、馴れ馴れしくお話をしてしまい、申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げた。そんな私たちのやり取りを聞いていた陛下が、私に話しかけて来た。
「アメリア嬢は、ミルソン伯爵家のファビアナ嬢と一緒に、商船に乗って旅をしていたと聞いたよ。旅はどうだった?」
「はい、とても素晴らしかったです。今まで見た事も想像したことも無い世界が広がっていました。物凄く有意義な旅でございましたわ」
「そうかい、これからは令嬢も活躍する時代が来ると、私は思っているのだ。君の様に、休みを利用して世界を見て回るという事は、非常に素晴らしい事だ。ぜひ今後も続けて欲しい」
「ありがとうございます。陛下」
やっぱり陛下は素晴らしい男性だわ。常に未来を見据えているのね。
「そうだ、ギルバートの件だが、しばらく我がカルダス王国を見て回りたいと言っていてね。せっかくだから、アメリア嬢にギルバートの案内役をお願いしても良いだろうか?」
「私にギルバート様の案内役をですか?」
そんな恐れ多い事、出来れば避けたい。ふとお父様の方を見ると、私と同じく固まっている。
「陛下、娘はまだ学生の身でございます。その上、この子は少しどんくさいところもありまして!大切なパッショナル王国の第三王子様のご案内役だなんて、恐れ多すぎてとても娘には任せられません」
お父様がやんわりと断りを入れた。でも、どんくさいは余計だけれどね。
「こいつなら大丈夫だよ。第三王子と言っても、平民に交じって祭りに出るような人間だ。多少放っておいても勝手に帰って来るし。とにかく友人を案内する感じで、気楽に対応してもらえば良いから」
「しかし…アメリアには婚約者がおりますゆえ、あまり別の男性と2人きりにさせるのは…」
確かに、オスカー様がきっと許さないわ。
「そう言えば、サマーグレンド侯爵家の次男、オスカーと恋仲にあると社交界でももっぱらの噂だったね。それなら、オスカーと一緒に案内してもらえばいいよ。とにかく、こいつの面倒を見るのは嫌なんだ。引き受けてくれるかい?」
要するに、陛下がギルバート様の面倒を見たくないと言う理由から、私に押し付けようとしているのね。思ったよりも、ふざけている人だわ!
「おい、アルト!お前随分俺の事をこけ落としてくれるな。アメリア、もし君さえ嫌では無かったら、カルダス王国を案内してくれないだろうか?」
そこまで言われては、断る訳にはいかない。
「わかりました。私でよろしければ、お願いいたします」
こうして私は、ギルバート様の案内役をする事が決まったのであった。
それにしても、まるで夜会に行くような格好ね。やっぱり王宮に行くという事は、それくらい重要な事なのだろう。
コンコン
「お嬢様、そろそろお時間です」
メイドに呼ばれ、仕方なくお父様が待つ玄関まで向かう。正直足取りは重い。一体私が何をしたと言うのかしら?不安しかないわ…
玄関に着くと、オスカー様に抱きしめられた。
「おはよう、アメリア!今日も一段と可愛いね。こんなに可愛いアメリアを、王宮になんて連れて行きたくない!」
そう言ってギューギュー抱きしめるオスカー様。そう言えば、オスカー様も一緒に来てくれると言っていたのよね。オスカー様も一緒なら、何となく心強いわ。
「オスカー、先ほども言ったが、君は王宮には連れていけないよ!そもそも、君は呼ばれていないのだ。呼ばれていない人間が王族に勝手に会いに行くなんて、許される事ではない!」
「別に僕は陛下になんて会いたくはないよ。アメリアが心配で付いて行くだけだ。護衛と思ってもらえばいい」
「は~、そう言う問題じゃないんだよ!頭の良い君なら分かるだろう?頼むから、昔の様な冷静な判断をしてくれないかい?」
お父様がため息を付いて、何とかオスカー様を説得しようとしている。その時だった。
「オスカー!お前は何を考えているのだ!すまん、伯爵。このバカは連れて帰るから、早く王宮に向かってくれ」
やって来たのは、侯爵様とテオ様、さらに護衛騎士4人も一緒だ。どうやらお父様が侯爵家に使いを出した様だ。
「父上、ふざけた事を言うのは止めてくれ!婚約者を1人、王宮に連れて行かせられる訳ないだろう!そうだ、護衛騎士の格好をしていけばいいのか!そこのお前、その衣装を僕に貸してくれ」
護衛騎士の1人に騎士の衣装を貸すように迫るオスカー様。
「バカな事はよせ!とにかく、お前は家に帰るんだ!お前たち、早くオスカーを馬車に放り込んでくれ!」
テオ様の指示で護衛騎士4人が一斉にオスカー様につかみかかった。
「離せ!僕はアメリアを守る義務があるんだ!アメリア!」
必死に抵抗するオスカー様。
「伯爵、朝から本当にすまなかったね。あのバカには、私からきつく言っておくから。それじゃあ」
無理やり馬車に乗せられたオスカー様が一足先に出発したのを見届けた後、侯爵様とテオ様も馬車に乗り込んで帰って行った。
「は~、アメリアを愛してくれるのは嬉しいが、オスカーの行動は少し過激だからな。侯爵も大変だな。それじゃあ行こうか」
気を取り直し、私たちも馬車へと乗り込む。王宮までは馬車で15分ほど。ダメだわ、物凄く緊張してきた。
「ねえ、お父様。どうしてわざわざ陛下に呼び出されたの?私、何か悪い事をしたのかしら?」
我慢できなくなった私は、ついにお父様に聞いた。
「そう言う感じではなかったよ。どちらかというと、“申し訳ないが連れて来てもらえるだろうか”という様に、お願いに近い感じだったな」
お願い?増々よく分からない。でも、お叱りではなさそうなので、その辺は大丈夫そうね。少し安心したわ。
安心したところで、ちょうど王宮に着いた。いよいよね、やっぱり緊張するわ。馬車を降り、王宮内に入って行く。王宮なんて来るのは初めてだ。さすが王宮、物凄く立派ね。あちらこちらに金や銀の装飾品が飾られている。それに、床に敷かれている赤いカーペットがさらに豪華さを演出しているわ。
私がキョロキョロ見ていたせいか
「アメリア、珍しいのは分かるが、あまり周りをキョロキョロ見るのは止めなさい。はしたないぞ!」
そう注意されてしまった。そしていよいよ、陛下の待つ部屋の前まで来た。緊張もマックスだ。
「リーファス伯爵、アメリア嬢。こちらへどうぞ」
ついに来た!まずはお父様が入っていき、その後ろを私が続く。部屋に入ると、男性が2人いた。
1人は陛下だ。もう1人は…
「やあ、アメリア。久しぶりだね。あの時も美しかったが、こうやって着飾っている君も、また格別に美しいよ」
金髪に青い瞳をした男性、この人は!パッショナル王国で一緒に踊った、ギルバート様だわ。
「お久しぶりです、ギルバート様。でも、どうしてあなた様が王宮にいらっしゃるのですか?」
あの時人に追われていたギルバート様。もしかして亡命でもする為、この国に来たのかしら?
「彼はね、パッショナル王国の第三王子、ギルバート・ディアム・パッショナルだよ。僕の友人なのだが、君にお礼を言いたいと、王宮に押しかけて来たんだ。急に呼び出して悪かったね。アメリア嬢」
陛下が丁寧に説明してくれた。それにしても、ギルバート様がパッショナル王国の第三王子様ですって!あまりの驚きに、開いた口が塞がらない。
「実はあの時、勝手に王宮を抜け出して祭りに参加しようとしていた俺を連れ戻そうと、執事と護衛騎士に追われていたんだ。あの時、助けてくれてありがとう。おかげで祭りを楽しむ事が出来たよ。急に君が立ち去ってしまったから、ちゃんとお礼を言えずにすまなかったね」
そう言ってにっこり微笑むギルバート様。
「いいえ、とんでもございません。私こそ、第三王子様とは知らず、馴れ馴れしくお話をしてしまい、申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げた。そんな私たちのやり取りを聞いていた陛下が、私に話しかけて来た。
「アメリア嬢は、ミルソン伯爵家のファビアナ嬢と一緒に、商船に乗って旅をしていたと聞いたよ。旅はどうだった?」
「はい、とても素晴らしかったです。今まで見た事も想像したことも無い世界が広がっていました。物凄く有意義な旅でございましたわ」
「そうかい、これからは令嬢も活躍する時代が来ると、私は思っているのだ。君の様に、休みを利用して世界を見て回るという事は、非常に素晴らしい事だ。ぜひ今後も続けて欲しい」
「ありがとうございます。陛下」
やっぱり陛下は素晴らしい男性だわ。常に未来を見据えているのね。
「そうだ、ギルバートの件だが、しばらく我がカルダス王国を見て回りたいと言っていてね。せっかくだから、アメリア嬢にギルバートの案内役をお願いしても良いだろうか?」
「私にギルバート様の案内役をですか?」
そんな恐れ多い事、出来れば避けたい。ふとお父様の方を見ると、私と同じく固まっている。
「陛下、娘はまだ学生の身でございます。その上、この子は少しどんくさいところもありまして!大切なパッショナル王国の第三王子様のご案内役だなんて、恐れ多すぎてとても娘には任せられません」
お父様がやんわりと断りを入れた。でも、どんくさいは余計だけれどね。
「こいつなら大丈夫だよ。第三王子と言っても、平民に交じって祭りに出るような人間だ。多少放っておいても勝手に帰って来るし。とにかく友人を案内する感じで、気楽に対応してもらえば良いから」
「しかし…アメリアには婚約者がおりますゆえ、あまり別の男性と2人きりにさせるのは…」
確かに、オスカー様がきっと許さないわ。
「そう言えば、サマーグレンド侯爵家の次男、オスカーと恋仲にあると社交界でももっぱらの噂だったね。それなら、オスカーと一緒に案内してもらえばいいよ。とにかく、こいつの面倒を見るのは嫌なんだ。引き受けてくれるかい?」
要するに、陛下がギルバート様の面倒を見たくないと言う理由から、私に押し付けようとしているのね。思ったよりも、ふざけている人だわ!
「おい、アルト!お前随分俺の事をこけ落としてくれるな。アメリア、もし君さえ嫌では無かったら、カルダス王国を案内してくれないだろうか?」
そこまで言われては、断る訳にはいかない。
「わかりました。私でよろしければ、お願いいたします」
こうして私は、ギルバート様の案内役をする事が決まったのであった。
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