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第2話:お父様との交渉に挑みます
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ファビアナと一緒に旅に出ると決めたら、俄然やる気が出て来た。屋敷に戻る途中ファビアナの家に行き、世界について詳しく書いてある本を借りた。
せっかく色々な国を回るのだから、しっかり勉強をしておかないとね。どうせなら徹底的に楽しみたい。それにしてもこの本、面白いわ!動物と一緒に移動しながら生活する民族や、船で生活する民族が居るらしい。
さらに、砂で覆われた場所があったり、びっくりするくらい大きな滝がある場所などもあるのね。
あら?空に浮く街があるですって?この国の人たちは、魔力というものを持っていて、その力で空の上に街を作ったのだとか。なんて素敵なのかしら!でも、この国にはどうやって行くのかしら?不思議ね!
本に没頭していると、メイドが呼びに来た。
「お嬢様、明かりも付けずに本を読んで、目を悪くしますよ!もう夕食の時間でございます。旦那様や奥様、お坊ちゃまもお待ちです」
「まあ、もうそんな時間なの?急いで行くわ!」
慌てて食堂に向かうと、お父様とお母様、2つ上のお兄様が既にテーブルに付いていた。
「お待たせしてごめんさない」
「良いんだよ。アメリア。それじゃあ頂こうか」
お父様の掛け声で、皆で食事をする。そうだわ、お父様に話さなければいけない事があったのだった。
「お父様、食後に少しお話があるの。よろしいかしら?」
「もちろんだよ。それじゃあ、居間でお茶を飲みながら皆でゆっくり話そう」
皆ですって?という事は、お兄様も居るって事よね…
チラリとお兄様の方を見た。実はお兄様、物凄く口うるさいのよね。オスカー様との婚約解消の件や、商船に乗る事に対して反対されるかもしれないわ。でも、ダメって言われても、気合で丸め込むつもりだけれどね。そう簡単に諦めてたまるものですか!
食後、家族みんなで居間へと移動した。
「それで、一体どんな話だい?」
早速お父様が話しかけて来た。もちろんお兄様も居る。まずはオスカー様との婚約解消の話からしよう。
「実はね。お父様!オスカー様はどうやら心から愛する人が出来た様なの。でも心優しいオスカー様は、自分からは婚約解消を言いにくい様で!それで、私の方から婚約を解消してあげようと思っているのですわ!」
どや顔で話す私に、目を丸くするお父様とお母様。お兄様に至っては、口をポカンと開けている。
「すまない、アメリア。私に分かる様に1から話してくれるかい?」
理解力のないお父様を持つと面倒ね。仕方ない。今までの出来事を丁寧に話した。
「なるほど、要するに、オスカーは侯爵令嬢のミア・バッカーサル嬢と恋仲にあるとお前は考えているのだね」
「ええ、そうですわ!それはそれは仲がよろしいのよ!私は騎士団への見学を禁止されているのに、ミア様は毎日通っているみたいですし!きっと私と婚約を解消したら、瞬殺でミア様と婚約しますわ。だから、先に身を引こうと考えていますの」
「そう言えば貴族学院に入学してから、随分オスカーは令嬢と仲良くしている様だね。特に、ミア・バッカーサル嬢との事は、俺の耳にも入ってきているよ」
おっと、ここに来てお兄様から援護射撃が来た!
「そうか、ウォルトが言うなら間違いないだろう」
ちょっとお父様、どうしてお兄様のいう事だと信じるのよ!失礼しちゃうわ!
「とにかく、こちらの一存では決められないからな。一度侯爵に相談してみるよ」
「お父様、相談ではなく、一刻も早く婚約解消をお願いしますわ。きっと我が家から婚約解消を申し出れば、オスカー様は泣いて喜ぶと思いますわ!」
「それはどうかな…」
なぜか苦笑いのお父様!
「とにかく、一刻も早く婚約解消をお願いしますね。それと、私は大好きなオスカー様と婚約を解消し、傷心の身になります。そのため、傷をいやす為に半期休みを利用して、ファビアナの家の商船に乗せてもらおうと思っておりますの!」
「何だって!商船で旅だと!そんな危険な事、させられる訳がないだろう!」
やっぱりお兄様が真っ先に反対を表明した。だからお兄様が居ると嫌なのよ!
「ファビアナ嬢からも手紙を貰ったよ。確かに色々な国を見て回る事で、今までに経験した事の無い様な、素晴らしい経験が出来るかもしれないな」
「そうでしょう!お父様。という事は、行ってもいいという事なのね!それでは、私は早速準備がありますので、ごきげんよう」
さっさと席を立とうとしたのだが…
「待ちなさい、アメリア!行ってももいいが約束がある。ファビアナ嬢のいう事をしっかり聞く事。勝手な行動は慎む事!必ず帰って来る事!通信機を渡すから、こまめに連絡を取る事。この約束が守れるなら、行く事を許可しよう」
「そんなの簡単よ!必ず守るわ!任せて!」
「は~、正直お前だけを行かせるのは物凄く心配だな。念のため、メイドを3人連れて行きなさい!それと、ミルソン伯爵にはくれぐれもアメリアをよろしくお願いしますと、強く伝えておくよ…」
「分かったわ!ありがとう、お父様!」
お父様にギューッと抱き着いた。
「あなた、本当にアメリアだけで行かせても大丈夫ですの?私は心配ですわ。それに、オスカーとの件も解決していないのに!」
「もう、お母様ったら大丈夫よ!お母様にもたくさん土産を買って来るから安心して!オスカー様の事は、お父様に任せるわ!でも、必ず侯爵様に伝えてね。あと、私の事は気にせず、ミア様と幸せになって下さいと伝えておいてね。オスカー様はお優しいから、私に気を使うかもしれないから。それでは私はこの辺で失礼いたしますわ」
なぜかお父様たちのため息が聞こえてきたが、気にしない様にしよう。とにかく、明後日には色々な国を回れるのね。楽しみで仕方がないわ!
せっかく色々な国を回るのだから、しっかり勉強をしておかないとね。どうせなら徹底的に楽しみたい。それにしてもこの本、面白いわ!動物と一緒に移動しながら生活する民族や、船で生活する民族が居るらしい。
さらに、砂で覆われた場所があったり、びっくりするくらい大きな滝がある場所などもあるのね。
あら?空に浮く街があるですって?この国の人たちは、魔力というものを持っていて、その力で空の上に街を作ったのだとか。なんて素敵なのかしら!でも、この国にはどうやって行くのかしら?不思議ね!
本に没頭していると、メイドが呼びに来た。
「お嬢様、明かりも付けずに本を読んで、目を悪くしますよ!もう夕食の時間でございます。旦那様や奥様、お坊ちゃまもお待ちです」
「まあ、もうそんな時間なの?急いで行くわ!」
慌てて食堂に向かうと、お父様とお母様、2つ上のお兄様が既にテーブルに付いていた。
「お待たせしてごめんさない」
「良いんだよ。アメリア。それじゃあ頂こうか」
お父様の掛け声で、皆で食事をする。そうだわ、お父様に話さなければいけない事があったのだった。
「お父様、食後に少しお話があるの。よろしいかしら?」
「もちろんだよ。それじゃあ、居間でお茶を飲みながら皆でゆっくり話そう」
皆ですって?という事は、お兄様も居るって事よね…
チラリとお兄様の方を見た。実はお兄様、物凄く口うるさいのよね。オスカー様との婚約解消の件や、商船に乗る事に対して反対されるかもしれないわ。でも、ダメって言われても、気合で丸め込むつもりだけれどね。そう簡単に諦めてたまるものですか!
食後、家族みんなで居間へと移動した。
「それで、一体どんな話だい?」
早速お父様が話しかけて来た。もちろんお兄様も居る。まずはオスカー様との婚約解消の話からしよう。
「実はね。お父様!オスカー様はどうやら心から愛する人が出来た様なの。でも心優しいオスカー様は、自分からは婚約解消を言いにくい様で!それで、私の方から婚約を解消してあげようと思っているのですわ!」
どや顔で話す私に、目を丸くするお父様とお母様。お兄様に至っては、口をポカンと開けている。
「すまない、アメリア。私に分かる様に1から話してくれるかい?」
理解力のないお父様を持つと面倒ね。仕方ない。今までの出来事を丁寧に話した。
「なるほど、要するに、オスカーは侯爵令嬢のミア・バッカーサル嬢と恋仲にあるとお前は考えているのだね」
「ええ、そうですわ!それはそれは仲がよろしいのよ!私は騎士団への見学を禁止されているのに、ミア様は毎日通っているみたいですし!きっと私と婚約を解消したら、瞬殺でミア様と婚約しますわ。だから、先に身を引こうと考えていますの」
「そう言えば貴族学院に入学してから、随分オスカーは令嬢と仲良くしている様だね。特に、ミア・バッカーサル嬢との事は、俺の耳にも入ってきているよ」
おっと、ここに来てお兄様から援護射撃が来た!
「そうか、ウォルトが言うなら間違いないだろう」
ちょっとお父様、どうしてお兄様のいう事だと信じるのよ!失礼しちゃうわ!
「とにかく、こちらの一存では決められないからな。一度侯爵に相談してみるよ」
「お父様、相談ではなく、一刻も早く婚約解消をお願いしますわ。きっと我が家から婚約解消を申し出れば、オスカー様は泣いて喜ぶと思いますわ!」
「それはどうかな…」
なぜか苦笑いのお父様!
「とにかく、一刻も早く婚約解消をお願いしますね。それと、私は大好きなオスカー様と婚約を解消し、傷心の身になります。そのため、傷をいやす為に半期休みを利用して、ファビアナの家の商船に乗せてもらおうと思っておりますの!」
「何だって!商船で旅だと!そんな危険な事、させられる訳がないだろう!」
やっぱりお兄様が真っ先に反対を表明した。だからお兄様が居ると嫌なのよ!
「ファビアナ嬢からも手紙を貰ったよ。確かに色々な国を見て回る事で、今までに経験した事の無い様な、素晴らしい経験が出来るかもしれないな」
「そうでしょう!お父様。という事は、行ってもいいという事なのね!それでは、私は早速準備がありますので、ごきげんよう」
さっさと席を立とうとしたのだが…
「待ちなさい、アメリア!行ってももいいが約束がある。ファビアナ嬢のいう事をしっかり聞く事。勝手な行動は慎む事!必ず帰って来る事!通信機を渡すから、こまめに連絡を取る事。この約束が守れるなら、行く事を許可しよう」
「そんなの簡単よ!必ず守るわ!任せて!」
「は~、正直お前だけを行かせるのは物凄く心配だな。念のため、メイドを3人連れて行きなさい!それと、ミルソン伯爵にはくれぐれもアメリアをよろしくお願いしますと、強く伝えておくよ…」
「分かったわ!ありがとう、お父様!」
お父様にギューッと抱き着いた。
「あなた、本当にアメリアだけで行かせても大丈夫ですの?私は心配ですわ。それに、オスカーとの件も解決していないのに!」
「もう、お母様ったら大丈夫よ!お母様にもたくさん土産を買って来るから安心して!オスカー様の事は、お父様に任せるわ!でも、必ず侯爵様に伝えてね。あと、私の事は気にせず、ミア様と幸せになって下さいと伝えておいてね。オスカー様はお優しいから、私に気を使うかもしれないから。それでは私はこの辺で失礼いたしますわ」
なぜかお父様たちのため息が聞こえてきたが、気にしない様にしよう。とにかく、明後日には色々な国を回れるのね。楽しみで仕方がないわ!
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