婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi

文字の大きさ
上 下
2 / 36

第2話:お父様との交渉に挑みます

しおりを挟む
ファビアナと一緒に旅に出ると決めたら、俄然やる気が出て来た。屋敷に戻る途中ファビアナの家に行き、世界について詳しく書いてある本を借りた。

せっかく色々な国を回るのだから、しっかり勉強をしておかないとね。どうせなら徹底的に楽しみたい。それにしてもこの本、面白いわ!動物と一緒に移動しながら生活する民族や、船で生活する民族が居るらしい。

さらに、砂で覆われた場所があったり、びっくりするくらい大きな滝がある場所などもあるのね。

あら?空に浮く街があるですって?この国の人たちは、魔力というものを持っていて、その力で空の上に街を作ったのだとか。なんて素敵なのかしら!でも、この国にはどうやって行くのかしら?不思議ね!

本に没頭していると、メイドが呼びに来た。

「お嬢様、明かりも付けずに本を読んで、目を悪くしますよ!もう夕食の時間でございます。旦那様や奥様、お坊ちゃまもお待ちです」

「まあ、もうそんな時間なの?急いで行くわ!」

慌てて食堂に向かうと、お父様とお母様、2つ上のお兄様が既にテーブルに付いていた。

「お待たせしてごめんさない」

「良いんだよ。アメリア。それじゃあ頂こうか」

お父様の掛け声で、皆で食事をする。そうだわ、お父様に話さなければいけない事があったのだった。

「お父様、食後に少しお話があるの。よろしいかしら?」

「もちろんだよ。それじゃあ、居間でお茶を飲みながら皆でゆっくり話そう」

皆ですって?という事は、お兄様も居るって事よね…

チラリとお兄様の方を見た。実はお兄様、物凄く口うるさいのよね。オスカー様との婚約解消の件や、商船に乗る事に対して反対されるかもしれないわ。でも、ダメって言われても、気合で丸め込むつもりだけれどね。そう簡単に諦めてたまるものですか!

食後、家族みんなで居間へと移動した。

「それで、一体どんな話だい?」

早速お父様が話しかけて来た。もちろんお兄様も居る。まずはオスカー様との婚約解消の話からしよう。

「実はね。お父様!オスカー様はどうやら心から愛する人が出来た様なの。でも心優しいオスカー様は、自分からは婚約解消を言いにくい様で!それで、私の方から婚約を解消してあげようと思っているのですわ!」

どや顔で話す私に、目を丸くするお父様とお母様。お兄様に至っては、口をポカンと開けている。

「すまない、アメリア。私に分かる様に1から話してくれるかい?」

理解力のないお父様を持つと面倒ね。仕方ない。今までの出来事を丁寧に話した。

「なるほど、要するに、オスカーは侯爵令嬢のミア・バッカーサル嬢と恋仲にあるとお前は考えているのだね」

「ええ、そうですわ!それはそれは仲がよろしいのよ!私は騎士団への見学を禁止されているのに、ミア様は毎日通っているみたいですし!きっと私と婚約を解消したら、瞬殺でミア様と婚約しますわ。だから、先に身を引こうと考えていますの」

「そう言えば貴族学院に入学してから、随分オスカーは令嬢と仲良くしている様だね。特に、ミア・バッカーサル嬢との事は、俺の耳にも入ってきているよ」

おっと、ここに来てお兄様から援護射撃が来た!

「そうか、ウォルトが言うなら間違いないだろう」

ちょっとお父様、どうしてお兄様のいう事だと信じるのよ!失礼しちゃうわ!

「とにかく、こちらの一存では決められないからな。一度侯爵に相談してみるよ」

「お父様、相談ではなく、一刻も早く婚約解消をお願いしますわ。きっと我が家から婚約解消を申し出れば、オスカー様は泣いて喜ぶと思いますわ!」

「それはどうかな…」

なぜか苦笑いのお父様!

「とにかく、一刻も早く婚約解消をお願いしますね。それと、私は大好きなオスカー様と婚約を解消し、傷心の身になります。そのため、傷をいやす為に半期休みを利用して、ファビアナの家の商船に乗せてもらおうと思っておりますの!」

「何だって!商船で旅だと!そんな危険な事、させられる訳がないだろう!」

やっぱりお兄様が真っ先に反対を表明した。だからお兄様が居ると嫌なのよ!

「ファビアナ嬢からも手紙を貰ったよ。確かに色々な国を見て回る事で、今までに経験した事の無い様な、素晴らしい経験が出来るかもしれないな」

「そうでしょう!お父様。という事は、行ってもいいという事なのね!それでは、私は早速準備がありますので、ごきげんよう」

さっさと席を立とうとしたのだが…

「待ちなさい、アメリア!行ってももいいが約束がある。ファビアナ嬢のいう事をしっかり聞く事。勝手な行動は慎む事!必ず帰って来る事!通信機を渡すから、こまめに連絡を取る事。この約束が守れるなら、行く事を許可しよう」

「そんなの簡単よ!必ず守るわ!任せて!」

「は~、正直お前だけを行かせるのは物凄く心配だな。念のため、メイドを3人連れて行きなさい!それと、ミルソン伯爵にはくれぐれもアメリアをよろしくお願いしますと、強く伝えておくよ…」

「分かったわ!ありがとう、お父様!」

お父様にギューッと抱き着いた。

「あなた、本当にアメリアだけで行かせても大丈夫ですの?私は心配ですわ。それに、オスカーとの件も解決していないのに!」

「もう、お母様ったら大丈夫よ!お母様にもたくさん土産を買って来るから安心して!オスカー様の事は、お父様に任せるわ!でも、必ず侯爵様に伝えてね。あと、私の事は気にせず、ミア様と幸せになって下さいと伝えておいてね。オスカー様はお優しいから、私に気を使うかもしれないから。それでは私はこの辺で失礼いたしますわ」

なぜかお父様たちのため息が聞こえてきたが、気にしない様にしよう。とにかく、明後日には色々な国を回れるのね。楽しみで仕方がないわ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】夫が私に魅了魔法をかけていたらしい

綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。 そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。 気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――? そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。 「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」   私が夫を愛するこの気持ちは偽り? それとも……。 *全17話で完結予定。

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

元婚約者が愛おしい

碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。 留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。 フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。 リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。 フラン王子目線の物語です。

婚約者を解放してあげてくださいと言われましたが、わたくしに婚約者はおりません

碧桜 汐香
恋愛
見ず知らずの子爵令嬢が、突然家に訪れてきて、婚約者と別れろと言ってきました。夫はいるけれども、婚約者はいませんわ。 この国では、不倫は大罪。国教の教義に反するため、むち打ちの上、国外追放になります。 話を擦り合わせていると、夫が帰ってきて……。

義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました

さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。 私との約束なんかなかったかのように… それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。 そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね… 分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……

藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」 大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが…… ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。 「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」 エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。 エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話) 全44話で完結になります。

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!

高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。 7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。 だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。 成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。 そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る 【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

処理中です...