婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi

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第1話:婚約者は私以外の女性に興味がある様です

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今日も中庭で楽しそうに話をしている男女が居る。1人は侯爵令嬢のミア様。もう1人は、私の婚約者でもある侯爵令息のオスカー・サマーグレンド様だ。

オスカー様と私は幼馴染、小さい頃からどんくさい私をいつも目に掛けてくれた。そんなオスカー様が、私は大好きだ。

私とオスカー様が婚約したのは、9歳の時。親同士が物凄く仲が良いと言う理由から、お父様達が勝手に決めたのだ。それでも私は天にも昇る様な気持ちだった。大好きなオスカー様と結婚できるのだ。こんなに幸せな事は無い。

それから5年、優しいオスカー様との日々は本当に楽しかった。毎日私の家を訪ねて来てくれるオスカー様。意地悪な令息が居ると、追い払ってくれたりもした。

でも…
そんな幸せも長くは続かなかった。14歳で入学した貴族学院で、オスカー様の人気が爆発したのだ。美しい金髪にグリーンの瞳をした長身のオスカー様は、そこらの令息に比べてずば抜けて美しい。さらに騎士団でも活躍し、既に未来の団長候補という噂もある。

もちろん勉学も優秀で、貴族学院を首席で入学するほどだ。そんなオスカー様を令嬢たちが放っておく訳もなく…

毎日の様にオスカー様に令嬢たちが群がっている。最近では、特に侯爵令嬢のミア様と仲が良い様で、ずっと一緒に居る。

最初は私も婚約者という事で、オスカー様に
「あまり他の令嬢と仲良くして欲しくはないです。私の側に居てください!」
と、何度も何度も訴えた。

そのたびに
「僕が愛しているのはアメリアだけだよ」

そう言って頬に口付けをしてくれる。でも、オスカー様は言葉だけで、結局令嬢に囲まれては、嬉しそうにしているのだ。今だって、ミア様と物凄く楽しそうに話している。あんなに楽しそうなオスカー様は、初めて見たわ!

「はぁ~~」
ついため息が出てしまう。

「またため息!いい加減こっちまで暗くなるから、止めてくれない?」

「そんなこと言わないでよ。私の気持ち、分かるでしょうファビアナ」

私の側で苦笑いしているのは、親友で伯爵令嬢のファビアナだ!

「あの2人を見ていると、本当にお似合いだなって思って。最近ね、恋愛小説を読んだの!お互い惹かれ合っているのに、別に婚約者が居る為に一緒になれないヒーローとヒロイン。最後は、全てを捨てて2人で駆け落ちをするの!その話を読んだら、まさにオスカー様とミア様だなって思って。どう考えても私、邪魔者だと思わない?」

「邪魔者って…それに、あなたが読んだ小説は作り話の世界でしょう?」

「確かに作り話かもしれないけれど、現実に有り得る話よ!ねえファビアナ、私はね、オスカー様にいつも笑顔でいて欲しいの!そして、好きな人と幸せになって欲しいって思っている!間違っても、駆け落ちなんてして欲しくないの。それに、駆け落ちなんてされたら、私も惨めでしょう?だからね、私、身を引こうかなって考えているの!」

「身を引くって言っても、どうするつもり?」

「そんなの決まっているじゃない!お父様に、いかにオスカー様とミア様が愛し合っているかを教えるのよ。そうと決まれば、早い方がいいわね。今日早速お父様に相談してみるわ!」

「アメリア、あなたのそう言う物凄く行動的なところは好きよ!でも、そんなにうまくいくものかしら?」

「あら、きっと大丈夫よ。でも、私はきっとオスカー様と婚約を解消して、寂しい日々を送るのね…」

これでもオスカー様の事は、めちゃくちゃ好きなのだ。いくらオスカー様の為とはいえ、身を引くという事は物凄く辛い。

「いっその事、オスカー様のいないところに行けたら、少しは気持ちが落ち着くかもしれないのに…」

「それだったら、私と一緒に商船に乗らない?実は私ね、今回の半期休みを利用して、商船に乗って色々な国を回ろうと思っているの。それに、他国で素敵な男性に出会えるかもしれないしね」

ファビアナの家は物凄くお金持ちで、いくつもの商船を持っている。ファビアナ自身も、商売に関してかなり興味がある様で、たまに商船に乗り込んで一緒に旅に出ている。

「世界は本当に広いのよ!こんな小さな世界に居るなんて、バカげているわ。ねえ、おじ様には私からも交渉してあげるから、一緒に行きましょうよ」

他国か!きっと私の知らない世界が広がっているのよね。実はファビアナから商船で色々な国を回った話を聞くたびに、羨ましいと思っていた。今までは婚約者がいる身で、商船に乗って旅をするなんて良くないって思っていたけれど、オスカー様と婚約を解消するなら別にいわよね。


「わかったわ、ファビアナ!早速今日お父様に相談してみるわ。もちろん、オスカー様との婚約解消の件もね!」

「そう来なくっちゃ!私からもおじ様に手紙を書いておくから。アメリアと一緒に行けると思うと、ワクワクするわ!」

そう言って、にっこり笑ったファビアナ。なんだか私も楽しみになって来たわ!
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