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第26話:幸せな未来に向かって歩んでいきます
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翌日、陛下たち王族に連れられて向かった先は、エリザひいおばあ様とジャックひいおじい様の眠るお墓だ。
「ここにエリザが眠っているのか…」
ポツリと呟いたイジャ様。どことなく寂しそうな顔をしている。そんなイジャ様の手を、ギューッと握った。
「ありがとう、エリー。少しだけエリザと話しをしてもいいかな?」
話?どうやって話をするのかしら?疑問に思っていると…
「エリザ、君には本当に酷い事をしてしまった。謝っても許されるとは思っていない。でも、謝罪させてくれ…本当にすまなかった。そして今僕は、君の大切なひ孫のエリーと結婚する事になったんだ。こんな僕だけれど、きっとエリーを幸せにする。だから、どうか見守っていて欲しい」
エリザひいおばあ様の墓前に向かって、そう叫んだイジャ様。すると…お墓が一瞬だけ光った。きっとエリザひいおばあ様も、私たちの結婚を認めてくれているのだろう。そんな気がした。
次に向かったのは、聖なる魔力を持つ者達が惨殺された場所だ。この場所には、イライジャ様も眠っている。と言っても、既に魂は今ここにいるのだけれどね…
「まさか自分自身の墓に来るなんて思わなかったよ…それでも、今日ここに来られて良かった。あの時の僕に教えてあげたい。僕はその後生まれ変わって、大切な人を見つけたよってね」
そう言って私を抱きしめたイジャ様。イジャ様はどんな気持ちで、イライジャ様としての最後を迎えたのかしら…きっとイジャ様の事だから、物凄く後悔して亡くなって行ったのだろう…そう思ったら、物凄く胸が締め付けられる思いがした。
無意識にイジャ様を抱きしめる。
「イジャ様、あなたは必ず私が幸せにして見せますわ!だから、今度こそ長生きして下さいね。2人で共に歩んでいきましょう。幸せな未来に向かって!」
「ありがとう、エリー。君のお陰で再び人を愛する気持ちを思い出したよ。これからは前世に囚われず、エリーとの幸せだけを考えて生きていきたい。それがエリザに対しての、一番の償いにもなると思うから」
「はい!エリザひいおばあ様やジャックひいおじい様も、きっとそれを望んでいますわ!」
その後聖なる魔力を持つ者達にお花を供え、王宮に戻って来た。
「エリー、本当にもう行ってしまうの?後2~3日王宮でゆっくりしてから旅に出ればいいじゃない!」
「ありがとう、シェイル。でも、私が16歳になるまで、後1年とちょっとしかないのよ!その間に、色々な国を見ておきたいの!だからもう行くわ!定期的にこの国に戻って来るから」
「…分かったわ。それにしてもエリー、あなた本当に逞しくなったわね。これなら次期公爵夫人も余裕でこなせそうね。そうそう、イジャ様は公爵になる事が決まったのよ。元公爵の土地も、あなた達のものになる事が決まったの。とりあえず、あなた達が爵位を受けるまでは、国で管理しておくから安心して!」
いつの間にそんな事が決まったのかしら!本当にこの国の王族たちは仕事が早いのだから。
「エリー、そろそろ行こうか!」
「ええ、それじゃあ皆様、行って来ます!」
「イジャ様、エリーをよろしくお願いします」
「エリー、また会いましょうね!」
「元気でね」
見送りに来てくれていたお母様とお姉様たちが、次々に声を掛けてくれる。
「ありがとう。お母様やお姉様たちもお元気で!」
そしてイジャ様の手をしっかりと握り、転移魔法で移動する。移動先は、今まで生活をしていたカラウラ王国だ。
「とりあえず荷物を整えたら、次の国に向かおう。後1年と少ししか旅を続けられないのだからね」
「はい、出来るだけ沢山の国を見て回りたいので、早速出発しましょう!」
魔法で荷物を整え、早速旅に出る2人。2人の顔は、今までになく希望に満ち溢れていた。
~1年半後~
純白のウエディングドレスに身を包んだ私を、同じく真っ白のタキシードに身を包んだイジャ様が手を引いて歩く。
そう、今日は私たちの結婚式だ。4ヶ月前、正式に結婚した私とイジャ様。新たにディーゼラと言う苗字を頂き、正式に公爵の爵位を賜ったのだ。それと同時に、私たちの為に準備された大きな屋敷に移り住んだ。
そして、元スクワーディス公爵家の土地も、今はイジャ様が管理している。さすが元王太子で元侯爵令息だけあり、既に領地経営などについての知識を身につけていたイジャ様。優秀な執事と一緒に、普通に領地経営をこなしている。
「エリー、足元に気を付けるんだよ!君のお腹には、僕達の大切な赤ちゃんがいるのだから」
そう、実は今妊娠5ヶ月。元々結婚式をしない予定だった事もあり、結婚してすぐに授かる事が出来たのだ。でも、やはりお披露目の意味も込めて、急遽式を挙げる事になったのだ。
ゆっくりと皆が待つ教会へと足を踏み入れる。1歩ずつ1歩ずつ、ゆっくり2人で進む。周りには沢山の参列者が。モールズ王国の人たちはもちろん、ヴィクトリアさんやマックさん、さらにイジャ様のご両親と弟さんも来てくれている。
実はあの後すぐにイジャ様の生まれ育った国に行き、ご両親に挨拶をしたのだ。侯爵家の嫡男でもあるイジャ様。正直結婚を反対されるのでは…そんな不安を抱えていたのだが、以外にも歓迎してくれた。
どうやらイジャ様のご両親は、自分たちがイジャ様にほとんど構わなかったから愛想を尽かして出て行ってしまったと思っていたらしい。ちなみに侯爵家は、イジャ様の5つ下の弟さんが継ぐことで話は纏まっている。
それにしても、こんなにも沢山の人に祝福され、今日という日を迎える事が出来るなんてね…思い返せば約2年前、自由を求めてこの国を出た事から始まった。あの時勇気を出してこの国を出ていなかったら、きっと今頃私は、今でも不満を持ちながら鳥籠の中で生活していた事だろう。
でもあの時行動したおかげで、最愛の人イジャ様と出会える事が出来た。これからは2人で手を取り合い、共に生きていきたい。この命が尽きるまでずっと…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
ヒーローでもあるイジャの性格が、全く別人に変わっていた事に違和感を感じた人もいるかもしれませんが、その点はどうぞご了承くださいm(__)m
最後までお読みいただき、ありがとうございました(*'▽')
「ここにエリザが眠っているのか…」
ポツリと呟いたイジャ様。どことなく寂しそうな顔をしている。そんなイジャ様の手を、ギューッと握った。
「ありがとう、エリー。少しだけエリザと話しをしてもいいかな?」
話?どうやって話をするのかしら?疑問に思っていると…
「エリザ、君には本当に酷い事をしてしまった。謝っても許されるとは思っていない。でも、謝罪させてくれ…本当にすまなかった。そして今僕は、君の大切なひ孫のエリーと結婚する事になったんだ。こんな僕だけれど、きっとエリーを幸せにする。だから、どうか見守っていて欲しい」
エリザひいおばあ様の墓前に向かって、そう叫んだイジャ様。すると…お墓が一瞬だけ光った。きっとエリザひいおばあ様も、私たちの結婚を認めてくれているのだろう。そんな気がした。
次に向かったのは、聖なる魔力を持つ者達が惨殺された場所だ。この場所には、イライジャ様も眠っている。と言っても、既に魂は今ここにいるのだけれどね…
「まさか自分自身の墓に来るなんて思わなかったよ…それでも、今日ここに来られて良かった。あの時の僕に教えてあげたい。僕はその後生まれ変わって、大切な人を見つけたよってね」
そう言って私を抱きしめたイジャ様。イジャ様はどんな気持ちで、イライジャ様としての最後を迎えたのかしら…きっとイジャ様の事だから、物凄く後悔して亡くなって行ったのだろう…そう思ったら、物凄く胸が締め付けられる思いがした。
無意識にイジャ様を抱きしめる。
「イジャ様、あなたは必ず私が幸せにして見せますわ!だから、今度こそ長生きして下さいね。2人で共に歩んでいきましょう。幸せな未来に向かって!」
「ありがとう、エリー。君のお陰で再び人を愛する気持ちを思い出したよ。これからは前世に囚われず、エリーとの幸せだけを考えて生きていきたい。それがエリザに対しての、一番の償いにもなると思うから」
「はい!エリザひいおばあ様やジャックひいおじい様も、きっとそれを望んでいますわ!」
その後聖なる魔力を持つ者達にお花を供え、王宮に戻って来た。
「エリー、本当にもう行ってしまうの?後2~3日王宮でゆっくりしてから旅に出ればいいじゃない!」
「ありがとう、シェイル。でも、私が16歳になるまで、後1年とちょっとしかないのよ!その間に、色々な国を見ておきたいの!だからもう行くわ!定期的にこの国に戻って来るから」
「…分かったわ。それにしてもエリー、あなた本当に逞しくなったわね。これなら次期公爵夫人も余裕でこなせそうね。そうそう、イジャ様は公爵になる事が決まったのよ。元公爵の土地も、あなた達のものになる事が決まったの。とりあえず、あなた達が爵位を受けるまでは、国で管理しておくから安心して!」
いつの間にそんな事が決まったのかしら!本当にこの国の王族たちは仕事が早いのだから。
「エリー、そろそろ行こうか!」
「ええ、それじゃあ皆様、行って来ます!」
「イジャ様、エリーをよろしくお願いします」
「エリー、また会いましょうね!」
「元気でね」
見送りに来てくれていたお母様とお姉様たちが、次々に声を掛けてくれる。
「ありがとう。お母様やお姉様たちもお元気で!」
そしてイジャ様の手をしっかりと握り、転移魔法で移動する。移動先は、今まで生活をしていたカラウラ王国だ。
「とりあえず荷物を整えたら、次の国に向かおう。後1年と少ししか旅を続けられないのだからね」
「はい、出来るだけ沢山の国を見て回りたいので、早速出発しましょう!」
魔法で荷物を整え、早速旅に出る2人。2人の顔は、今までになく希望に満ち溢れていた。
~1年半後~
純白のウエディングドレスに身を包んだ私を、同じく真っ白のタキシードに身を包んだイジャ様が手を引いて歩く。
そう、今日は私たちの結婚式だ。4ヶ月前、正式に結婚した私とイジャ様。新たにディーゼラと言う苗字を頂き、正式に公爵の爵位を賜ったのだ。それと同時に、私たちの為に準備された大きな屋敷に移り住んだ。
そして、元スクワーディス公爵家の土地も、今はイジャ様が管理している。さすが元王太子で元侯爵令息だけあり、既に領地経営などについての知識を身につけていたイジャ様。優秀な執事と一緒に、普通に領地経営をこなしている。
「エリー、足元に気を付けるんだよ!君のお腹には、僕達の大切な赤ちゃんがいるのだから」
そう、実は今妊娠5ヶ月。元々結婚式をしない予定だった事もあり、結婚してすぐに授かる事が出来たのだ。でも、やはりお披露目の意味も込めて、急遽式を挙げる事になったのだ。
ゆっくりと皆が待つ教会へと足を踏み入れる。1歩ずつ1歩ずつ、ゆっくり2人で進む。周りには沢山の参列者が。モールズ王国の人たちはもちろん、ヴィクトリアさんやマックさん、さらにイジャ様のご両親と弟さんも来てくれている。
実はあの後すぐにイジャ様の生まれ育った国に行き、ご両親に挨拶をしたのだ。侯爵家の嫡男でもあるイジャ様。正直結婚を反対されるのでは…そんな不安を抱えていたのだが、以外にも歓迎してくれた。
どうやらイジャ様のご両親は、自分たちがイジャ様にほとんど構わなかったから愛想を尽かして出て行ってしまったと思っていたらしい。ちなみに侯爵家は、イジャ様の5つ下の弟さんが継ぐことで話は纏まっている。
それにしても、こんなにも沢山の人に祝福され、今日という日を迎える事が出来るなんてね…思い返せば約2年前、自由を求めてこの国を出た事から始まった。あの時勇気を出してこの国を出ていなかったら、きっと今頃私は、今でも不満を持ちながら鳥籠の中で生活していた事だろう。
でもあの時行動したおかげで、最愛の人イジャ様と出会える事が出来た。これからは2人で手を取り合い、共に生きていきたい。この命が尽きるまでずっと…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
ヒーローでもあるイジャの性格が、全く別人に変わっていた事に違和感を感じた人もいるかもしれませんが、その点はどうぞご了承くださいm(__)m
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