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第25話:私たちの今後について話し合います
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「イジャ殿、今回の件、本当に申し訳なかった。改めて国王として謝罪する。それで今後なのだが、イジャ殿とエリーがこの国に残ってくれると言うのなら、新たに爵位を与えよう。残念だが、公爵は今回の事件で極刑は免れない。さらに公爵家も取り潰しになるだろから」
「あの…どうしても公爵の罪は軽くはならないのでしょうか?確かに聖剣を持ち出した罪は重いかと思います。国には法律があり、それに従わなくてはいけない事は分かっています。でも…あんな男でもエリーのたった1人と父親なんです…どうかご慈悲を!」
そう叫んだのはイジャ様だ!あんな酷い事をされたのに、まだお父様を庇うなんて…
「イジャ様、息子を庇おうとしてくれてありがとうございます。でも、あの子はやってはいけない事をしたのです。こればっかりは、覆せないのですよ…」
イジャ様に優しく語り掛けるエルサおばあ様。きっとおばあ様も辛いだろう…
「叔母上、イジャ殿がせっかくそう言ってくれているのだ。極刑は見逃してやろう。ただし、さすがに野放しという事には出来ん。北の国で、幽閉生活を送らせる事にすると言うのはどうだろう」
「ありがとうございます!」
なぜかイジャ様が嬉しそうに頭を下げた。正直イジャ様を殺そうとした事を、私はどうしても許せない。でも…あれでも14年間育ててくれた父親だ。命だけは助かって、良かったわ。そう素直に思っておこう。
「それで、イジャ殿、エリー。この国に残る気はあるかい?」
「ありません!!!そもそもイジャ様にとって、この国は良い思い出はありませんわ!一度目の生では命を落とした場所、今回の生だって、生き返りはしましたが、殺されたのですよ!とにかくすぐに国を出ようと思っています!」
そうよ!こんな国、一刻も早く出るべきよ!
「エリーの気持ちは分かったよ。イジャ殿はどうしたい?」
「僕は…出来ればこのままエリーと共に旅を続けたいです。ただ、今後産れるであろう子供たちの事を考えると、やはりこの国で子供を育てた方が良いかと…」
「イジャ様、子育てなら他国でも出来ますわ!実際、ヴィクトリアさんは魔力の無い国でしっかりお子さんたちを育て上げましたし!」
わざわざこの国に戻って子育てをしなくても、問題ないだろう。
「いいや、マックさんの話では、子供の頃は随分と苦労したそうだ!それにヴィクトリアさんの旦那さんは、魔力を持っていなかったらしい。それに対し、僕達は2人共聖なる魔力を持っている。虹色の髪の子供が産まれる可能性だって有るんだ!虹色の髪は非常に珍しく、他の魔力持ちの国では人体実験に使われる事もある!とにかく子供と安全に暮らすなら、この国が一番なんだよ!」
色々な経験を積んだイジャ様がそう言うなら、きっとそうなんだろう。そもそも、私も虹色の髪を隠して旅をしていたくらいだし…
「分かりましたわ。イジャ様がそうおっしゃるなら、それに従いますわ!」
とにかくイジャ様の言う通りにした方が間違いなさそうね。
「それだったら、エリーの16歳の誕生日まで旅をすると言うのはどうだろう?この国は、16歳から結婚出来るからね。2人が結婚したと同時に、爵位を与えよう。それでどうだい?」
かなり好条件を提示してくれた陛下。
「僕達の要望に、そこまで答えて頂けるなんて…ありがとうございます!」
「お礼を言うのは私たちの方だ。そもそも、聖なる魔力を持つ者達をあまり外に出したくはないからね。最終的に国に残ってくれると言う判断をして貰えたのだから、出来るだけ協力させてもらうよ」
そう言って笑った陛下。そう言えば、お母様やお姉様たちはどうなるのかしら?
「あの、陛下。お母様やお姉様は…」
恐る恐る陛下に確認してみる。
「そうだな、今回こんな事になってしまったから、母親の実家でもある侯爵家に帰るだろう。もちろん、王家としても、しっかりバックアップするから安心しなさい」
「エリー、あんなにも酷い事をした私の事を心配してくれるのね。ありがとう。でも大丈夫よ。陛下がおっしゃった通り、実家に帰るから。イジャ様とおっしゃいましたね。本当に申し訳ございませんでした。どうかエリーを幸せにしてやってください」
深々と頭を下げたお母様。お父様と一緒で家の事しか考えていないと思っていたけれど、そうではなかったのね…
「とにかく、これにて一件落着ってところね!ねえ、エリー、今すぐに出発しなくても、今日1日王宮に泊って行きなさいよ!もちろんイジャ様も!いいですよね、イジャ様!」
最後に締めくくったのはシェイルだ。確かに今すぐ出発って言うのはね…チラリとイジャ様の方を見ると、予想通り目が合った。
「シェイル王女、それではお言葉に甘えさせて頂きます」
どうやらイジャ様からOKが出た様だ。早速皆で王宮へと移動した。正直疲れていたが、私たちの為に急遽他の貴族も集められ、今後の説明をしていた。最初は驚いていた貴族たちも、陛下に賛同する形で認めてもらえた。
そして夜は急遽パーティーが行われた。と言っても、王族とエルサおばあ様、お母様とお姉様たちだけだが。ちなみに2人のお姉様たちは、ずっと私の事を不憫に思っていてくれていた様で、今回の話を聞き祝福してくれた。
今回の事件に全く関係のないお姉様たちまで巻き込んでしまい、申し訳ない気持ちは拭えないが、そこら辺は陛下が上手く根回ししてくれるとの事。
この日は結局夜遅くまで、皆で食事を楽しんだのであった。
※次回最終回です。
よろしくお願いしますm(__)m
「あの…どうしても公爵の罪は軽くはならないのでしょうか?確かに聖剣を持ち出した罪は重いかと思います。国には法律があり、それに従わなくてはいけない事は分かっています。でも…あんな男でもエリーのたった1人と父親なんです…どうかご慈悲を!」
そう叫んだのはイジャ様だ!あんな酷い事をされたのに、まだお父様を庇うなんて…
「イジャ様、息子を庇おうとしてくれてありがとうございます。でも、あの子はやってはいけない事をしたのです。こればっかりは、覆せないのですよ…」
イジャ様に優しく語り掛けるエルサおばあ様。きっとおばあ様も辛いだろう…
「叔母上、イジャ殿がせっかくそう言ってくれているのだ。極刑は見逃してやろう。ただし、さすがに野放しという事には出来ん。北の国で、幽閉生活を送らせる事にすると言うのはどうだろう」
「ありがとうございます!」
なぜかイジャ様が嬉しそうに頭を下げた。正直イジャ様を殺そうとした事を、私はどうしても許せない。でも…あれでも14年間育ててくれた父親だ。命だけは助かって、良かったわ。そう素直に思っておこう。
「それで、イジャ殿、エリー。この国に残る気はあるかい?」
「ありません!!!そもそもイジャ様にとって、この国は良い思い出はありませんわ!一度目の生では命を落とした場所、今回の生だって、生き返りはしましたが、殺されたのですよ!とにかくすぐに国を出ようと思っています!」
そうよ!こんな国、一刻も早く出るべきよ!
「エリーの気持ちは分かったよ。イジャ殿はどうしたい?」
「僕は…出来ればこのままエリーと共に旅を続けたいです。ただ、今後産れるであろう子供たちの事を考えると、やはりこの国で子供を育てた方が良いかと…」
「イジャ様、子育てなら他国でも出来ますわ!実際、ヴィクトリアさんは魔力の無い国でしっかりお子さんたちを育て上げましたし!」
わざわざこの国に戻って子育てをしなくても、問題ないだろう。
「いいや、マックさんの話では、子供の頃は随分と苦労したそうだ!それにヴィクトリアさんの旦那さんは、魔力を持っていなかったらしい。それに対し、僕達は2人共聖なる魔力を持っている。虹色の髪の子供が産まれる可能性だって有るんだ!虹色の髪は非常に珍しく、他の魔力持ちの国では人体実験に使われる事もある!とにかく子供と安全に暮らすなら、この国が一番なんだよ!」
色々な経験を積んだイジャ様がそう言うなら、きっとそうなんだろう。そもそも、私も虹色の髪を隠して旅をしていたくらいだし…
「分かりましたわ。イジャ様がそうおっしゃるなら、それに従いますわ!」
とにかくイジャ様の言う通りにした方が間違いなさそうね。
「それだったら、エリーの16歳の誕生日まで旅をすると言うのはどうだろう?この国は、16歳から結婚出来るからね。2人が結婚したと同時に、爵位を与えよう。それでどうだい?」
かなり好条件を提示してくれた陛下。
「僕達の要望に、そこまで答えて頂けるなんて…ありがとうございます!」
「お礼を言うのは私たちの方だ。そもそも、聖なる魔力を持つ者達をあまり外に出したくはないからね。最終的に国に残ってくれると言う判断をして貰えたのだから、出来るだけ協力させてもらうよ」
そう言って笑った陛下。そう言えば、お母様やお姉様たちはどうなるのかしら?
「あの、陛下。お母様やお姉様は…」
恐る恐る陛下に確認してみる。
「そうだな、今回こんな事になってしまったから、母親の実家でもある侯爵家に帰るだろう。もちろん、王家としても、しっかりバックアップするから安心しなさい」
「エリー、あんなにも酷い事をした私の事を心配してくれるのね。ありがとう。でも大丈夫よ。陛下がおっしゃった通り、実家に帰るから。イジャ様とおっしゃいましたね。本当に申し訳ございませんでした。どうかエリーを幸せにしてやってください」
深々と頭を下げたお母様。お父様と一緒で家の事しか考えていないと思っていたけれど、そうではなかったのね…
「とにかく、これにて一件落着ってところね!ねえ、エリー、今すぐに出発しなくても、今日1日王宮に泊って行きなさいよ!もちろんイジャ様も!いいですよね、イジャ様!」
最後に締めくくったのはシェイルだ。確かに今すぐ出発って言うのはね…チラリとイジャ様の方を見ると、予想通り目が合った。
「シェイル王女、それではお言葉に甘えさせて頂きます」
どうやらイジャ様からOKが出た様だ。早速皆で王宮へと移動した。正直疲れていたが、私たちの為に急遽他の貴族も集められ、今後の説明をしていた。最初は驚いていた貴族たちも、陛下に賛同する形で認めてもらえた。
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今回の事件に全く関係のないお姉様たちまで巻き込んでしまい、申し訳ない気持ちは拭えないが、そこら辺は陛下が上手く根回ししてくれるとの事。
この日は結局夜遅くまで、皆で食事を楽しんだのであった。
※次回最終回です。
よろしくお願いしますm(__)m
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