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第24話:イジャ様の正体は…
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声の方を振り向くと、そこにはエルサおばあ様が物凄く怖い顔をして立っていた。隣には陛下と、先代国王でもあるジャン元国王の姿も。エルサおばあ様もジャン元国王も足が悪いのに、わざわざ杖をついて来てくれた様だ。
「公爵!これは一体どういう事だ。それにお前が持っている剣は、聖剣だな!その剣は聖なる一族と一緒に埋葬されているはずだ!まさか掘り出したのか?」
物凄い怖い顔でお父様に詰め寄る陛下。それもそのはず。あの聖剣はそもそも、王族のみが使う事が許されていた物。と言うより、王族以外が使っても、聖剣としての威力を発揮できなかったはず。
そしてジャックひいおじい様が国王の時に、いかなる理由があろうとも、再び聖盾と聖剣を使う事を禁ずる!という法律が満場一致で可決されているのだ。もしその掟を破れば、厳罰が下される。
「お前は何て事をしでかしたんだい!この大バカ者が!!」
バコン!
「痛い!!」
エルサおばあ様がお父様の頭を杖で叩いた。
「本当にどうしてこんなバカに育ってしまったんだろう!このバカを育てた私の責任だよ!私も一緒に裁いておくれ!」
涙を流しながら陛下に訴えるエルサおばあ様。
「エルサ、落ち着きなさい!確かにお前の息子がやった事は重罪だ!でも、しっかり管理できていなかった我が王族にも責任がある。それから、イジャ殿と言ったね。君には本当に申し訳ない事をした。元国王として深く謝罪する」
深々と頭を下げた、ジャン元国王。
「イジャ様と言いましたね。本当に、バカ息子が申し訳ない事をしました。そしてエリー、あなたにも辛い思いをさせてしまったわね。きっとこの状況を見たら、お母様は泣いて悲しむわ。聖なる魔力が原因で、こんな事件が起きてしまったのですもの…」
再び泣き出すエルサおばあ様。おばあ様は本当に心優しく、何度もお父様に
「エリーをもっと自由に、他の子供たちと同じように育てなさい!」
と言ってくれていた。そんなおばあ様も疎ましく思っていたお父様は、さっさと領地におばあ様を閉じ込め、この家に来る事を禁じた…
そしてここ数年でグンと体が弱ってしまい、今はほとんど魔法も使えないと聞いたのだが…
「エルサおばあ様、もう泣かないで。それより、どうやってここまでいらしたの?」
「ジャンお兄様に連れて来てもらったんだよ!ジャンお兄様はずっとあのバカ息子を見張ってくれていてね。最初からずっと物陰に隠れて見ていたんだよ!それにしても、イジャ様。あなたは相当な魔力の持ち主に見受けられる。それなのに、どうして攻撃魔法を受けている時、反撃しなかったのですか?あなたほどの魔力の持ち主なら、魔術師はもちろん、家のバカ息子を倒すことも出来たはずですが」
まあ、何ですって!おばあ様達は最初からここに居たの!それよりもイジャ様よ!どうして反撃しなかったのかしら?
「僕は、エリーの家族を傷つけたくはなかったのです…それに何より、これ以上この国の人達に、迷惑を掛けたくなかったので…」
「迷惑を掛けたくはなかった?」
不審そうに聞き返すおばあ様。まさかイジャ様…
「あの…おばあ様、イジャ様は物凄く心が優しくて、それで…」
「僕は魔術師ザードと一体化してこの国を乗っ取ろうとした元王太子、イライジャ・ディアス・カリファルの生まれ変わりです!だから、僕はこの国の人を傷つける権利は無いんです!僕は心優しい人間なんかじゃない!かつてあなた達の先祖、エリザを苦しめ、ジャックを殺そうとした張本人なんです…」
ポロポロと涙を流すイジャ様の手を、そっと握った。
「イジャ様は前世の自分の行いを悔いて、ここまで生きて来たのです!だから、イジャ様の事を悪く思わないで下さい!」
ずっとイジャ様は前世の行いを後悔し、償いをしながら生きて来た!そもそも、自ら言わらなければバレなかったのに…でも、イジャ様らしいわ!
「そうでしたか…だから懐かしい魔力を感じたんですね…イジャ様、あなたは聖なる魔力を持つザードと一体化して命を落とした。そのせいか、ザードが持つ聖なる魔力を受け継いで生まれて来たのでしょう」
それって、イジャ様も聖なる魔力を持っているという事よね!嘘でしょう…そんな事ってあるの!!当のイジャ様も目を丸くして固まっている。
「イジャ殿、父に代わって謝らせてくれ。前世の君の母親の不倫を暴き、君を王太子の座から引きずり下ろしたのは、私の父ジャックなんだ!父は母を深く愛していてね…それで母を傷つけた君に復讐をしたんだよ。でもそのせいで、君がザードと一体化して命を落とした。父はずっと後悔していたよ。本当にすまなかった!」
何?イジャ様のお母様が不倫?それを暴いたのがジャックひいおじい様?一体何の話をしているのかしら?でも、イジャ様は理解で来たようで…
「母上が護衛騎士と浮気していたのが悪かったのです。そもそも、僕は国王でもある父上の本当の子供ではなかった。そんな僕が、王位を継ぐなんて滑稽だと今なら思います。だから、どうか頭を上げて下さい。それに、もう過ぎた事ですから」
「ありがとう。君の言葉で、父も少しは救われたでしょう…」
そう言って涙を流している元国王。いつも厳格で厳しいイメージのある元国王が涙を流すところを初めて見たわ…
そんな中、1人空気の読めない奴が…
「イジャ殿と言ったな。まさか君も聖なる魔力を持っていたなんてな!いいだろう、エリーとの結婚を認めてやろう。これで公爵家は安泰だ!!ハハハハハッハ」
そう言ったのは、お父様だ…何が結婚を認めてやろうよ!ふざけるのも大概にしてよ!再び怒りで魔力が満ちて来る。一言文句を言おうと思った時だった。
「公爵、お前は禁止されている聖剣を掘り起こし、あろう事か使った!その罪は極刑に値する。覚悟しておけ!この者を今すぐ牢に連れていけ!」
そう叫んだのは現国王でもある陛下だ。
「ちょっと待ってくれ…あれには色々と事情が…」
そう叫んでいるが、あっという間に連れていかれたお父様。本当にどうしようもない人ね…
「公爵!これは一体どういう事だ。それにお前が持っている剣は、聖剣だな!その剣は聖なる一族と一緒に埋葬されているはずだ!まさか掘り出したのか?」
物凄い怖い顔でお父様に詰め寄る陛下。それもそのはず。あの聖剣はそもそも、王族のみが使う事が許されていた物。と言うより、王族以外が使っても、聖剣としての威力を発揮できなかったはず。
そしてジャックひいおじい様が国王の時に、いかなる理由があろうとも、再び聖盾と聖剣を使う事を禁ずる!という法律が満場一致で可決されているのだ。もしその掟を破れば、厳罰が下される。
「お前は何て事をしでかしたんだい!この大バカ者が!!」
バコン!
「痛い!!」
エルサおばあ様がお父様の頭を杖で叩いた。
「本当にどうしてこんなバカに育ってしまったんだろう!このバカを育てた私の責任だよ!私も一緒に裁いておくれ!」
涙を流しながら陛下に訴えるエルサおばあ様。
「エルサ、落ち着きなさい!確かにお前の息子がやった事は重罪だ!でも、しっかり管理できていなかった我が王族にも責任がある。それから、イジャ殿と言ったね。君には本当に申し訳ない事をした。元国王として深く謝罪する」
深々と頭を下げた、ジャン元国王。
「イジャ様と言いましたね。本当に、バカ息子が申し訳ない事をしました。そしてエリー、あなたにも辛い思いをさせてしまったわね。きっとこの状況を見たら、お母様は泣いて悲しむわ。聖なる魔力が原因で、こんな事件が起きてしまったのですもの…」
再び泣き出すエルサおばあ様。おばあ様は本当に心優しく、何度もお父様に
「エリーをもっと自由に、他の子供たちと同じように育てなさい!」
と言ってくれていた。そんなおばあ様も疎ましく思っていたお父様は、さっさと領地におばあ様を閉じ込め、この家に来る事を禁じた…
そしてここ数年でグンと体が弱ってしまい、今はほとんど魔法も使えないと聞いたのだが…
「エルサおばあ様、もう泣かないで。それより、どうやってここまでいらしたの?」
「ジャンお兄様に連れて来てもらったんだよ!ジャンお兄様はずっとあのバカ息子を見張ってくれていてね。最初からずっと物陰に隠れて見ていたんだよ!それにしても、イジャ様。あなたは相当な魔力の持ち主に見受けられる。それなのに、どうして攻撃魔法を受けている時、反撃しなかったのですか?あなたほどの魔力の持ち主なら、魔術師はもちろん、家のバカ息子を倒すことも出来たはずですが」
まあ、何ですって!おばあ様達は最初からここに居たの!それよりもイジャ様よ!どうして反撃しなかったのかしら?
「僕は、エリーの家族を傷つけたくはなかったのです…それに何より、これ以上この国の人達に、迷惑を掛けたくなかったので…」
「迷惑を掛けたくはなかった?」
不審そうに聞き返すおばあ様。まさかイジャ様…
「あの…おばあ様、イジャ様は物凄く心が優しくて、それで…」
「僕は魔術師ザードと一体化してこの国を乗っ取ろうとした元王太子、イライジャ・ディアス・カリファルの生まれ変わりです!だから、僕はこの国の人を傷つける権利は無いんです!僕は心優しい人間なんかじゃない!かつてあなた達の先祖、エリザを苦しめ、ジャックを殺そうとした張本人なんです…」
ポロポロと涙を流すイジャ様の手を、そっと握った。
「イジャ様は前世の自分の行いを悔いて、ここまで生きて来たのです!だから、イジャ様の事を悪く思わないで下さい!」
ずっとイジャ様は前世の行いを後悔し、償いをしながら生きて来た!そもそも、自ら言わらなければバレなかったのに…でも、イジャ様らしいわ!
「そうでしたか…だから懐かしい魔力を感じたんですね…イジャ様、あなたは聖なる魔力を持つザードと一体化して命を落とした。そのせいか、ザードが持つ聖なる魔力を受け継いで生まれて来たのでしょう」
それって、イジャ様も聖なる魔力を持っているという事よね!嘘でしょう…そんな事ってあるの!!当のイジャ様も目を丸くして固まっている。
「イジャ殿、父に代わって謝らせてくれ。前世の君の母親の不倫を暴き、君を王太子の座から引きずり下ろしたのは、私の父ジャックなんだ!父は母を深く愛していてね…それで母を傷つけた君に復讐をしたんだよ。でもそのせいで、君がザードと一体化して命を落とした。父はずっと後悔していたよ。本当にすまなかった!」
何?イジャ様のお母様が不倫?それを暴いたのがジャックひいおじい様?一体何の話をしているのかしら?でも、イジャ様は理解で来たようで…
「母上が護衛騎士と浮気していたのが悪かったのです。そもそも、僕は国王でもある父上の本当の子供ではなかった。そんな僕が、王位を継ぐなんて滑稽だと今なら思います。だから、どうか頭を上げて下さい。それに、もう過ぎた事ですから」
「ありがとう。君の言葉で、父も少しは救われたでしょう…」
そう言って涙を流している元国王。いつも厳格で厳しいイメージのある元国王が涙を流すところを初めて見たわ…
そんな中、1人空気の読めない奴が…
「イジャ殿と言ったな。まさか君も聖なる魔力を持っていたなんてな!いいだろう、エリーとの結婚を認めてやろう。これで公爵家は安泰だ!!ハハハハハッハ」
そう言ったのは、お父様だ…何が結婚を認めてやろうよ!ふざけるのも大概にしてよ!再び怒りで魔力が満ちて来る。一言文句を言おうと思った時だった。
「公爵、お前は禁止されている聖剣を掘り起こし、あろう事か使った!その罪は極刑に値する。覚悟しておけ!この者を今すぐ牢に連れていけ!」
そう叫んだのは現国王でもある陛下だ。
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