私はこの人と生きていきたいです!

Karamimi

文字の大きさ
上 下
21 / 26

第21話:平和な日々は長くは続かない様です

しおりを挟む
気を取り直して、早速この国を脱出だ。まず転移魔法で隣国まで移動した。そこから再び電車に乗り、移動して行く。

「とりあえず1ヶ月程度移動した後は、カラウラ王国という国でしばらく暮らそうと思う。この国は他国から来た人に優しくてね。魔法が使える人にも、住みやすいらしいんだ。それに、エリーが好きな海もあるしね」

「まあ、そんな素敵な国があるのですね!楽しみですわ!」

そして1ヶ月間移動しながら色々な国を見て回った後、ついにカラウラ王国に入った。ここでは在留許可証なども必要なく、入国時にお金を払うだけでその日から普通に暮らせるらしい。

早速海の近くの小さな家を借りてそこで暮らし始めた。イジャ様は、アレグラ王国での漁の経験を生かして、今回も漁に出て稼いでくれている。私もヴィクトリアさんに教えてもらったアクセサリーを作り、街の商人に買ってもらう事にした。

有難い事に私の作ったアクセサリーは人気の様で、作ったら作った分だけ買ってくれるので助かっている。少しでも旅の資金を増やしたいものね。もちろん、家の事も私がすべてしている。と言っても、魔法で全て片付いてしまうので、特に負担に感じる事も無いのだけれどね。

ちなみに相変わらず過保護なイジャ様。基本的にイジャ様と一緒の時以外、外出は禁止されている。随分と常識を身につけてきているとはいえ、まだまだ心配な様だ。その為商人にアクセサリーを売る時も、イジャ様が隣で必ず見守っている。

でもそのおかげで、適正価格で商人に買ってもらえている。そう、私は物の値段がさっぱり分からず、初めて商人にアクセサリーを買ってもらう時、物凄く安い値段で取引しそうになったのだ。

その時イジャ様が色々と交渉してくれて、当初の10倍程度の値段で買ってもらう事になったのだ。

「エリーは少し物価も覚えた方がいいね」

と、その時イジャ様に苦笑いされた。今まで買い物なんてほとんどした事がない私は、物価と言われてもよく分からない。アレグラ王国の時も、ヴィクトリアさんに言われるがまま、買い物をしていたしね。

それでもイジャ様との日々は、毎日が楽しくてたまらない。特にイジャ様と心が通じ合ってからは、物凄くスキンシップを大切にしている。行って来ますとお帰りなさいの抱擁&口付けを始め、2人きりの時はずっとくっ付いている。

アレグラ王国にいた時のイジャ様とは、まるで別人の様だ。イジャ様曰く

「ずっとエリーに触れたかったのを我慢していたんだ!これからは、時間が許す限りエリーとくっ付いていたい」

との事。私もイジャ様が大好きなので、正直嬉しい。今日も食事の後、イジャ様の膝の上に座ってティータイムだ。

「エリー、今後の事なのだが、僕はエリーと結婚したいと思っている。でも、このまま君のご両親から逃げ回っていては、良くないと思うんだ。一度ご両親に会って、僕達の事を認めてもらえないか頼んでみないかい?」

急にそんな事を言いだしたイジャ様。でも…

「私もイジャ様と結婚したいです。でも家の両親、特にお父様は他国の人間でもあるイジャ様を認めてくれるとは思えません!力ずくでも別れさせられてしまいます!私はこの生活で満足しております。ですから、どうかこの生活を続けましょう!」

確かにイジャ様の言う事も分かる。でも、あのお父様が認めてくれるはずなんて、絶対にない!あの人は私の幸せよりも、聖なる魔力を持つ者の血を増やしたいだけなのだから…

「そうかな?僕は話せば分かってくれると思うけれどな…」

「イジャ様はお父様の事を知らないから、そんな事が言えるのです!あの人は、私を心配するふりをして、結局は聖なる魔力を持つ者の血をより色濃く後世に残し、自分の地位をもっともっと高めたいだけなのです!とにかく、私は両親には会いませんから」

私はとにかくイジャ様と幸せに暮らしたい!ただそれだけなのだ。

「分かったよ!ごめんねエリー。さあ、そろそろ寝ようか」

2人でベッドに入り込み、イジャ様に抱きしめてられて眠る。一応正式に結婚するまでは、一線を越えるつもりはないと言われているが、いつ正式に結婚するのかしら?私ももうすぐ15歳になる。そう言えば、モーズル王国では16歳から結婚できるのだったわよね。

という事は、後1年後くらいかしら?そんな事を考えながら、眠りに付いた。

翌日
「それじゃあ行ってくるね。ルル、エリーが外に出ない様にしっかり見張っているのだよ」

そう言って今日も仕事へと出掛けて行ったイジャ様。そんなに心配しなくても、勝手に出歩いたりしないのに…結局私の分身でもあるルルは、見張り役としてずっと私の側にいる。どうしてこの子は、私のいう事を聞かないのかしら?そうだわ!

「ルル、あなたのご主人は私よね!今日はイジャ様の側でイジャ様を見張っていて!いいわね!」

そう言い聞かせてみたものの、なぜか動かないルル!本当にこの子はもう!

「ルル!!!」

強めに叱って見たものの、くるりと反対の方を向いて丸くなっている!

「は~、これは駄目ね…」

ルルの事は諦めて、早速家事をこなしていく。家事が終わったらアクセサリー作りだ。

その時だった。物凄い魔力が迫ってきているのを感じる。この魔力…間違いない、お父様だわ!

身構えた瞬間、やはり目の前に現れたのはお父様だ。周りには、護衛たちを大勢連れている。

「エリー、やっと見つけたぞ!さあ、今すぐ国に帰るんだ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人

白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。 だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。 罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。 そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。 切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

【完結】双子の入れ替わりなんて本当に出来るのかしら、と思ったら予想外の出来事となりました。

まりぃべる
恋愛
シェスティン=オールストレームは、双子の妹。 フレドリカは双子の姉で気が強く、何かあれば妹に自分の嫌な事を上手いこと言って押し付けていた。 家は伯爵家でそれなりに資産はあるのだが、フレドリカの急な発言によりシェスティンは学校に通えなかった。シェスティンは優秀だから、という理由だ。 卒業間近の頃、フレドリカは苦手な授業を自分の代わりに出席して欲しいとシェスティンへと言い出した。 代わりに授業に出るなんてバレたりしないのか不安ではあったが、貴族の友人がいなかったシェスティンにとって楽しい時間となっていく。 そんなシェスティンのお話。 ☆全29話です。書き上げてありますので、随時更新していきます。時間はばらばらかもしれません。 ☆現実世界にも似たような名前、地域、名称などがありますが全く関係がありません。 ☆まりぃべるの独特な世界観です。それでも、楽しんでいただけると嬉しいです。 ☆現実世界では馴染みの無い言葉を、何となくのニュアンスで作ってある場合もありますが、まりぃべるの世界観として読んでいただけると幸いです。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【改稿版・完結】その瞳に魅入られて

おもち。
恋愛
「——君を愛してる」 そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった—— 幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。 あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは…… 『最初から愛されていなかった』 その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。 私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。  『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』  『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』 でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。 必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。 私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……? ※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。 ※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。 ※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。 ※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。

処理中です...