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第20話:イジャ様の過保護が止まりません!
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「今日泊まるホテルはここなんだけれど…僕1人で泊まるつもりだったから、少し古くてごめんね」
イジャ様に連れられてやって来たのは、少し古めのホテルだ。
「たまにはいいではありませんか!さあ、せっかくなのでホテルの中に入りましょう!」
イジャ様と手を繋いで、ホテルに入った。
「実は1人分しか予約していなくて、今から2人部屋に出来ないか聞いて来るよ」
そう言って急いで受付に向かうイジャ様。とりあえず座って待っていよう、そう思ったのだが…
「エリー、こっちにおいで!」
すぐにイジャ様に呼ばれたので、私も受付へと向かう。一体どうしたのかしら?何か不都合でもあったのかしら?そう思ったのだが…
「君を1人にしておくと、すぐに男共が群がるからね!とにかく、外にいる間は極力僕の側にいる事!」
そう言われてしまった。そんなに私って信用無いかしら…1人ショックを受けているうちに、イジャ様が話を付けてくれた様だ。
「2人部屋に替えてもらえたよ!ただ、大きなベッドが1つしかない部屋だけれど、問題ないよね」
にっこりと笑ってそう言ったイジャ様。今までベッドは別々だったとはいえ、一緒の部屋で寝ていたのだ。今更ベッドが一緒でもどうって事はない。早速部屋に向かい、荷物を置いた後は街に食事に出掛ける事にした。
「エリー、君はすぐに迷子になるから物凄く心配だ!魔法で拘束させてもらうね。大丈夫だよ、周りには見えないから」
えっ?拘束?
「あの…イジャ様…」
さすがにそこまでしなくても…そう思ったのだが、あっという間に見えない紐で繋がれてしまった。と言っても、お互いの手首に紐が巻きついている感じなので、拘束と言う程でもないが…
さらに私の腰をがっちり掴んでいる。でもこの街は比較的人も少なく、はぐれる心配はなさそうだが…でもイジャ様とこうやってくっ付いていられるのだから、まあいいか!
「この街は、近くに宝石鉱山があってね。沢山の人が出稼ぎに来ているんだよ。特に男が多いから気を付けるんだよ」
イジャ様が言った通り、街には男性が多い。それに、何だがちょっと怖そうな人達もいる。イジャ様も同じ事を思ったのか
「とりあえず、あそこのお店で食事をしよう」
急遽近くのお店で食事をする事になった。ただこのお店で何人かの男性に絡まれてしまい、そのたびにイジャ様が追い払うと言う事が起こった。なんだか食事をするのも疲れたわ…
「全くこの国はどうなっているんだ!とにかく、これ以上エリーを危険に晒す訳にはいかない!」
そう言うと、私に魔法を掛けたイジャ様。あら?透けている?
「他の奴らからエリーを見えなくしたんだ!とにかく急いでホテルに戻ろう!」
そう言うと、私を抱きかかえて走り出した。
「自分で歩けるのですが…」
「静かに!今君は周りから見えないんだよ。声だけ聞こえたらおかしいだろう!」
そう怒られてしまった。そしてそのままホテルの部屋に戻って来たところで、魔法を解いてもらった。
「全く何なんだこの国は!とにかく、明日の朝には別の国に移ろう!クソ…ここならエリーを忘れて思う存分働けると思ったのに…」
最後の方がよく聞こえなかったが、珍しく怒りに満ちているイジャ様のオーラ。怖くて聞き返すことが出来なかった。ホテルに戻った後は、湯あみを済ませベッドに入った。そう言えば、私達恋人同士になったのよね。という事は…
ずっと家から出してもらえなかったので、暇つぶしに沢山の恋愛小説を読んだ。その為、無駄に知識だけは豊富なのだ。緊張からか、心臓の音がうるさい…
「エリー、そんな端っこの方で丸くなっていないで、こっちにおいで。ベッドから落ちてしまうよ!」
そう言って私の腕を掴んで、自分の腕の中に閉じ込めたイジャ様。緊張もピークを迎えたのだが…
「今日は疲れたね。ゆっくりお休み」
そう言って私を抱き枕にして、さっさと眠ってしまったのだ。あら?完全に拍子抜けだ。仕方ない、私も寝るか…それにしても、イジャ様の腕の中は温かい…
結局私もすぐに爆睡してしまったのであった。
翌日
「いいかい!絶対に部屋から出てはいけないよ!念のため魔法で出られないようにしておくが、君の魔力量なら簡単に破れるからね!でも破ったらすぐにばれるからね!その時は許さないから!とにかく、ルルとここでいい子に待っているんだよ!」
朝から私にしつこいくらい言い聞かせるイジャ様。この国は治安が悪すぎるから、とりあえずイジャ様1人街に出て食糧を調達。さらに、次に移動する国の手続きも一緒に行って来るとの事。
「そんなに何度も言われなくても大丈夫ですわ。ねえ、ルル」
「クゥゥゥン」
なぜかイジャ様にすり寄って行くルル。ちょっと、私の事は無視なの!
「ルル、今日は悪いがエリーを見ていてくれるかい?」
そう言ってルルの頭をイジャ様が撫でると、こちらにやって来て私の隣に座った。何でイジャ様の言う事を聞くのよ!私の分身なのに!ルルを睨むが、知らん顔をしている。
「それじゃあ行って来るから。なるべくすぐに戻るからね!」
そう言って部屋から出て行ったイジャ様。それにしても暇ね…そう思い、窓を開けようとしたのだが開かない。イジャ様ったら、まさか窓にまで魔法を掛けて行くなんて!
仕方ないのでルルと遊んで待つことに。でも…もう2時間も経っているのに全然帰ってこない。もしかして、男たちに襲われたんじゃ…もうこれ以上待てないわ!イジャ様の元に行こうと、転移魔法を掛けようとした時だった。
急に後ろにイジャ様の魔力を感じ、振り向くとやっぱりイジャ様がいた。
「お帰りなさい!遅かったですね。ずっと待っていたのですよ!」
ギューッとイジャ様に抱き着いた。ルルも足に巻きついている。
「エリー、ルル、随分と待たせてごめんね」
私を抱きしめ、ルルの頭を撫でているイジャ様。
「それよりもエリー、今転移魔法を使おうとしていなかったかい?」
耳元で囁かれ、一気に冷や汗が流れ出る。
「い…いいえ…転移魔法だなんて、気のせいですわ。そもそも、この部屋から出てはいけないと言われておりましたので…」
声が裏返ってしまった。どうしよう…怒られるかしら?
「そう、それならいいんだ。さすがのエリーも、あそこまで言われて転移魔法を使おうなんて、考える訳がないよね!!」
「もちろんですわ…」
そう言い切ったものの、イジャ様の目は明らかに笑っていない…それに、怒りのオーラで満ちている!これは、私が転移魔法を使おうとした事を知っていて、あえて気づいていないフリをしているのだろう。今回は見逃してくれる様だけれど、次回はない!そう語っていた…
優しい人ほど怒らせると怖いと言うものね…とにかく、イジャ様との約束は出来るだけ守る様に努力しないと!
イジャ様に連れられてやって来たのは、少し古めのホテルだ。
「たまにはいいではありませんか!さあ、せっかくなのでホテルの中に入りましょう!」
イジャ様と手を繋いで、ホテルに入った。
「実は1人分しか予約していなくて、今から2人部屋に出来ないか聞いて来るよ」
そう言って急いで受付に向かうイジャ様。とりあえず座って待っていよう、そう思ったのだが…
「エリー、こっちにおいで!」
すぐにイジャ様に呼ばれたので、私も受付へと向かう。一体どうしたのかしら?何か不都合でもあったのかしら?そう思ったのだが…
「君を1人にしておくと、すぐに男共が群がるからね!とにかく、外にいる間は極力僕の側にいる事!」
そう言われてしまった。そんなに私って信用無いかしら…1人ショックを受けているうちに、イジャ様が話を付けてくれた様だ。
「2人部屋に替えてもらえたよ!ただ、大きなベッドが1つしかない部屋だけれど、問題ないよね」
にっこりと笑ってそう言ったイジャ様。今までベッドは別々だったとはいえ、一緒の部屋で寝ていたのだ。今更ベッドが一緒でもどうって事はない。早速部屋に向かい、荷物を置いた後は街に食事に出掛ける事にした。
「エリー、君はすぐに迷子になるから物凄く心配だ!魔法で拘束させてもらうね。大丈夫だよ、周りには見えないから」
えっ?拘束?
「あの…イジャ様…」
さすがにそこまでしなくても…そう思ったのだが、あっという間に見えない紐で繋がれてしまった。と言っても、お互いの手首に紐が巻きついている感じなので、拘束と言う程でもないが…
さらに私の腰をがっちり掴んでいる。でもこの街は比較的人も少なく、はぐれる心配はなさそうだが…でもイジャ様とこうやってくっ付いていられるのだから、まあいいか!
「この街は、近くに宝石鉱山があってね。沢山の人が出稼ぎに来ているんだよ。特に男が多いから気を付けるんだよ」
イジャ様が言った通り、街には男性が多い。それに、何だがちょっと怖そうな人達もいる。イジャ様も同じ事を思ったのか
「とりあえず、あそこのお店で食事をしよう」
急遽近くのお店で食事をする事になった。ただこのお店で何人かの男性に絡まれてしまい、そのたびにイジャ様が追い払うと言う事が起こった。なんだか食事をするのも疲れたわ…
「全くこの国はどうなっているんだ!とにかく、これ以上エリーを危険に晒す訳にはいかない!」
そう言うと、私に魔法を掛けたイジャ様。あら?透けている?
「他の奴らからエリーを見えなくしたんだ!とにかく急いでホテルに戻ろう!」
そう言うと、私を抱きかかえて走り出した。
「自分で歩けるのですが…」
「静かに!今君は周りから見えないんだよ。声だけ聞こえたらおかしいだろう!」
そう怒られてしまった。そしてそのままホテルの部屋に戻って来たところで、魔法を解いてもらった。
「全く何なんだこの国は!とにかく、明日の朝には別の国に移ろう!クソ…ここならエリーを忘れて思う存分働けると思ったのに…」
最後の方がよく聞こえなかったが、珍しく怒りに満ちているイジャ様のオーラ。怖くて聞き返すことが出来なかった。ホテルに戻った後は、湯あみを済ませベッドに入った。そう言えば、私達恋人同士になったのよね。という事は…
ずっと家から出してもらえなかったので、暇つぶしに沢山の恋愛小説を読んだ。その為、無駄に知識だけは豊富なのだ。緊張からか、心臓の音がうるさい…
「エリー、そんな端っこの方で丸くなっていないで、こっちにおいで。ベッドから落ちてしまうよ!」
そう言って私の腕を掴んで、自分の腕の中に閉じ込めたイジャ様。緊張もピークを迎えたのだが…
「今日は疲れたね。ゆっくりお休み」
そう言って私を抱き枕にして、さっさと眠ってしまったのだ。あら?完全に拍子抜けだ。仕方ない、私も寝るか…それにしても、イジャ様の腕の中は温かい…
結局私もすぐに爆睡してしまったのであった。
翌日
「いいかい!絶対に部屋から出てはいけないよ!念のため魔法で出られないようにしておくが、君の魔力量なら簡単に破れるからね!でも破ったらすぐにばれるからね!その時は許さないから!とにかく、ルルとここでいい子に待っているんだよ!」
朝から私にしつこいくらい言い聞かせるイジャ様。この国は治安が悪すぎるから、とりあえずイジャ様1人街に出て食糧を調達。さらに、次に移動する国の手続きも一緒に行って来るとの事。
「そんなに何度も言われなくても大丈夫ですわ。ねえ、ルル」
「クゥゥゥン」
なぜかイジャ様にすり寄って行くルル。ちょっと、私の事は無視なの!
「ルル、今日は悪いがエリーを見ていてくれるかい?」
そう言ってルルの頭をイジャ様が撫でると、こちらにやって来て私の隣に座った。何でイジャ様の言う事を聞くのよ!私の分身なのに!ルルを睨むが、知らん顔をしている。
「それじゃあ行って来るから。なるべくすぐに戻るからね!」
そう言って部屋から出て行ったイジャ様。それにしても暇ね…そう思い、窓を開けようとしたのだが開かない。イジャ様ったら、まさか窓にまで魔法を掛けて行くなんて!
仕方ないのでルルと遊んで待つことに。でも…もう2時間も経っているのに全然帰ってこない。もしかして、男たちに襲われたんじゃ…もうこれ以上待てないわ!イジャ様の元に行こうと、転移魔法を掛けようとした時だった。
急に後ろにイジャ様の魔力を感じ、振り向くとやっぱりイジャ様がいた。
「お帰りなさい!遅かったですね。ずっと待っていたのですよ!」
ギューッとイジャ様に抱き着いた。ルルも足に巻きついている。
「エリー、ルル、随分と待たせてごめんね」
私を抱きしめ、ルルの頭を撫でているイジャ様。
「それよりもエリー、今転移魔法を使おうとしていなかったかい?」
耳元で囁かれ、一気に冷や汗が流れ出る。
「い…いいえ…転移魔法だなんて、気のせいですわ。そもそも、この部屋から出てはいけないと言われておりましたので…」
声が裏返ってしまった。どうしよう…怒られるかしら?
「そう、それならいいんだ。さすがのエリーも、あそこまで言われて転移魔法を使おうなんて、考える訳がないよね!!」
「もちろんですわ…」
そう言い切ったものの、イジャ様の目は明らかに笑っていない…それに、怒りのオーラで満ちている!これは、私が転移魔法を使おうとした事を知っていて、あえて気づいていないフリをしているのだろう。今回は見逃してくれる様だけれど、次回はない!そう語っていた…
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