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第18話:それでも私はイジャ様が好きです!
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「エリー、どうやってここまで来たんだ!もしかして、ヴィクトリアさんに連れて来てもらったのかい?」
抱き着く私を引き離したイジャ様。
「いいえ、1人で来ましたの。実は私、ヴィクトリアさんから魔法の勉強を密かに受けていて、ある程度の魔法は使える様になったのです。それでイジャ様の居場所も、特定する事が出来ましたの」
凄いでしょう!そう言わんばかりに、イジャ様に話した。でも…
「とにかく、今すぐヴィクトリアさんの元に戻るんだ!もう君とは旅をする事は出来ない!」
「どうしてですか?私もイジャ様の事が好きです!大好きです!私にとってイジャ様は、かけがえのない大切な人なのです!これからの人生、イジャ様と共に歩んでいきたいです!だから、何があってももうイジャ様から離れません!」
再びギューッとイジャ様に抱き着いた。そんな私を再び引き離す。
「手紙を読みました。どうしてイジャ様と一緒にいたら、私が傷つくのですか?イジャ様は一体何を隠しているのですか?どうか1人で抱え込まないで下さい!私に出来る事があれば何でもしますから!私はイジャ様の力になりたいのです!」
必死にイジャ様に訴えた。唇を噛み、両手を握りしめて下を向いているイジャ様が、ゆっくりと顔を上げた。
「分かったよ。エリーは頑固だからね…僕が真実を話さない限り、ずっと僕から離れないつもりだろう?」
そう言って悲しそうに笑ったイジャ様。まあ、真実を聞こうが聞かまいが、離れるつもりはないけれどね!
「僕はね、前世の記憶を持ってこの世に生まれて来たんだ」
「前世の記憶ですか?」
思いがけない言葉に、つい聞き返してしまった。
「そうだよ!前世での僕の名前は、イライジャ・ディアス・カリファル。カリファル王国の元王太子だ…」
イライジャですって…
「もしかして、イジャ様はエリザひいおばあ様の元婚約者で、魔術師のザードと一体化して命を落とした元王太子、イライジャ様ですの?」
そうか、だから私を見た時、“エリザ”と呼んだのね。私がエリザひいおばあ様によく似ているから…まさかイジャ様が、あのイライジャ様だったなんて…
「エリーも僕の前世を知っているんだね。そうだよ、僕は婚約者だったエリザを裏切っただけでなく、自分の意志でザードと一体化したんだ。そしてモールズ王国を支配し、エリザを無理やり手に入れようとした、最低最悪な人間なんだよ!」
そう言うと、心底苦しそうな顔で俯いてしまった。そうか…イジャ様はずっと前世の自分の行いを悔いて生きて来たのね…だから私に親切にしてくれたのか…
「1つお伺いしてもよろしいですか?私に好意を抱いてくれていると手紙に書いてありましたが、それは私がエリザひいおばあ様に容姿が似ているからですか?」
「確かに最初はエリザによく似ている君に興味を持ったのは事実だ…でも、いつも一生懸命で物凄く頑固で、何を見ても嬉しそうに笑っている心が物凄く奇麗なエリーと一緒にいたら、いつの間にかエリーという人間に惹かれていった」
イジャ様から感じる、優しいオーラ。それに私をまっすぐ見つめる瞳には、嘘偽りは一切感じられない。
「それでしたら私たちは両想いですので、恋人同士という事でよろしいですよね!これからも、ずっと末永くよろしくお願いいたします!」
イジャ様に向かって、ぺこりと頭を下げた。
「エリー、君は僕の話を聞いていなかったのかい?僕は君の大切な曾祖母を傷つけた張本人なんだよ!」
「それは前世の話しでしょう?そもそも、イジャ様は前世の記憶が残っていたせいで、今まで随分と傷つき苦労されたのではありませんか?もう十分苦しんだはずです!それに私だって知らないだけで、前世では物凄く悪い事をしていたかもしれませんし!そもそも、私は今のイジャ様が好きなのです!イジャ様の前世なんて、全くこれっぽっちも関係ありませんわ!」
イジャ様はずっと前世の行いを悔いて生きていたことぐらい、私にも分かる。いい加減、前世の呪縛から抜け出して欲しい!そして今を、未来をこれからは見て行って欲しい!
「でも僕は、前世でエリザを裏切り他の女性を抱いた男だ…今世でも君を裏切るかもしれないよ…」
「それなら魔法で監視しますわ!そうだわ、ルルに監視させましょう!最近出してあげていないから、きっと拗ねているわ」
きっと今のイジャ様なら、浮気なんて絶対しないだろう。でもイジャ様が心配だと言うなら、監視を付ければいい。早速ルルを出した。
「クゥゥゥン」
久しぶりに出したルルは、案の定少し拗ねているようだが、それでも私に巻きついて来た。
「ルル、イジャ様が浮気しない様に見張ってくれる?」
私の言葉を聞き、イジャ様に巻きつきに行ったルル。
「君って子は…本当に…」
そう言って私を抱きしめたイジャ様。瞳からは大粒の涙が流れていた。
「イジャ様、これからは私の側にずっといてくれますか?」
「ああ、もちろんだ!僕から離れたいと言っても、もう離してやるものか!」
「それは良かったです!私も離れろと言われても、離れるつもりはありませんから」
ギューッとイジャ様に抱き着き、そう伝えた。やっぱりイジャ様の腕の中が一番落ち着く。何があってもこの温もりは離さない!絶対に。
抱き着く私を引き離したイジャ様。
「いいえ、1人で来ましたの。実は私、ヴィクトリアさんから魔法の勉強を密かに受けていて、ある程度の魔法は使える様になったのです。それでイジャ様の居場所も、特定する事が出来ましたの」
凄いでしょう!そう言わんばかりに、イジャ様に話した。でも…
「とにかく、今すぐヴィクトリアさんの元に戻るんだ!もう君とは旅をする事は出来ない!」
「どうしてですか?私もイジャ様の事が好きです!大好きです!私にとってイジャ様は、かけがえのない大切な人なのです!これからの人生、イジャ様と共に歩んでいきたいです!だから、何があってももうイジャ様から離れません!」
再びギューッとイジャ様に抱き着いた。そんな私を再び引き離す。
「手紙を読みました。どうしてイジャ様と一緒にいたら、私が傷つくのですか?イジャ様は一体何を隠しているのですか?どうか1人で抱え込まないで下さい!私に出来る事があれば何でもしますから!私はイジャ様の力になりたいのです!」
必死にイジャ様に訴えた。唇を噛み、両手を握りしめて下を向いているイジャ様が、ゆっくりと顔を上げた。
「分かったよ。エリーは頑固だからね…僕が真実を話さない限り、ずっと僕から離れないつもりだろう?」
そう言って悲しそうに笑ったイジャ様。まあ、真実を聞こうが聞かまいが、離れるつもりはないけれどね!
「僕はね、前世の記憶を持ってこの世に生まれて来たんだ」
「前世の記憶ですか?」
思いがけない言葉に、つい聞き返してしまった。
「そうだよ!前世での僕の名前は、イライジャ・ディアス・カリファル。カリファル王国の元王太子だ…」
イライジャですって…
「もしかして、イジャ様はエリザひいおばあ様の元婚約者で、魔術師のザードと一体化して命を落とした元王太子、イライジャ様ですの?」
そうか、だから私を見た時、“エリザ”と呼んだのね。私がエリザひいおばあ様によく似ているから…まさかイジャ様が、あのイライジャ様だったなんて…
「エリーも僕の前世を知っているんだね。そうだよ、僕は婚約者だったエリザを裏切っただけでなく、自分の意志でザードと一体化したんだ。そしてモールズ王国を支配し、エリザを無理やり手に入れようとした、最低最悪な人間なんだよ!」
そう言うと、心底苦しそうな顔で俯いてしまった。そうか…イジャ様はずっと前世の自分の行いを悔いて生きて来たのね…だから私に親切にしてくれたのか…
「1つお伺いしてもよろしいですか?私に好意を抱いてくれていると手紙に書いてありましたが、それは私がエリザひいおばあ様に容姿が似ているからですか?」
「確かに最初はエリザによく似ている君に興味を持ったのは事実だ…でも、いつも一生懸命で物凄く頑固で、何を見ても嬉しそうに笑っている心が物凄く奇麗なエリーと一緒にいたら、いつの間にかエリーという人間に惹かれていった」
イジャ様から感じる、優しいオーラ。それに私をまっすぐ見つめる瞳には、嘘偽りは一切感じられない。
「それでしたら私たちは両想いですので、恋人同士という事でよろしいですよね!これからも、ずっと末永くよろしくお願いいたします!」
イジャ様に向かって、ぺこりと頭を下げた。
「エリー、君は僕の話を聞いていなかったのかい?僕は君の大切な曾祖母を傷つけた張本人なんだよ!」
「それは前世の話しでしょう?そもそも、イジャ様は前世の記憶が残っていたせいで、今まで随分と傷つき苦労されたのではありませんか?もう十分苦しんだはずです!それに私だって知らないだけで、前世では物凄く悪い事をしていたかもしれませんし!そもそも、私は今のイジャ様が好きなのです!イジャ様の前世なんて、全くこれっぽっちも関係ありませんわ!」
イジャ様はずっと前世の行いを悔いて生きていたことぐらい、私にも分かる。いい加減、前世の呪縛から抜け出して欲しい!そして今を、未来をこれからは見て行って欲しい!
「でも僕は、前世でエリザを裏切り他の女性を抱いた男だ…今世でも君を裏切るかもしれないよ…」
「それなら魔法で監視しますわ!そうだわ、ルルに監視させましょう!最近出してあげていないから、きっと拗ねているわ」
きっと今のイジャ様なら、浮気なんて絶対しないだろう。でもイジャ様が心配だと言うなら、監視を付ければいい。早速ルルを出した。
「クゥゥゥン」
久しぶりに出したルルは、案の定少し拗ねているようだが、それでも私に巻きついて来た。
「ルル、イジャ様が浮気しない様に見張ってくれる?」
私の言葉を聞き、イジャ様に巻きつきに行ったルル。
「君って子は…本当に…」
そう言って私を抱きしめたイジャ様。瞳からは大粒の涙が流れていた。
「イジャ様、これからは私の側にずっといてくれますか?」
「ああ、もちろんだ!僕から離れたいと言っても、もう離してやるものか!」
「それは良かったです!私も離れろと言われても、離れるつもりはありませんから」
ギューッとイジャ様に抱き着き、そう伝えた。やっぱりイジャ様の腕の中が一番落ち着く。何があってもこの温もりは離さない!絶対に。
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