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第14話:イジャ様にプレゼントを贈ります
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アレグラ王国に来て早2ヶ月半。家のお仕事も、アクセサリー作りもすっかり慣れた。最近ではヴィクトリアさんと一緒に、街に買い物にも行くようになった。
「エリーが来てくれてから、アクセサリー作りがはかどって仕方がないよ!本当にいつもありがとう」
「こちらこそ、ヴィクトリアさんには感謝してもしきれないくらいの恩があります!いつも私に色々と教えていただき、ありがとうございます!」
今日もヴィクトリアさんと一緒に、街に買い物に来ている。そう言えば、私のお給料も随分貯まったわ。本来であれば、今後の旅の資金に残しておかないといけないのかもしれないが、せっかくならいつもお世話になっているイジャ様に何かプレゼントをしたい!
でも、一体何がいいかしら?こんな時はやっぱり!
「ヴィクトリアさん、イジャ様に何かプレゼントをしたいのですが、一体何がいいですか?」
そう、人生の大先輩!ヴィクトリアさんに聞くのが一番だ!
「そうだねぇ!この国には、好きな異性にブレスレットを贈ると言う習慣があるんだが、贈ってみるかい?」
そんな習慣があるのね!知らなかったわ!でも、それならさりげなく自分の気持ちも伝えられるし、いいかもしれない!
「それなら私、ブレスレットを贈る事にしますわ!ヴィクトリアさん、選ぶのを手伝ってもらえますか?」
「構わないよ!それじゃあ、私の馴染みの店があるからそこに行こうか。そこならオーダーメイドも行っているから、好きなデザインのものを安く作ってくれるよ!」
「本当ですか!ぜひお願いします!」
早速ヴィクトリアさんに連れられて、1軒のお店にやって来た。どうやら、アクセサリーの専門店の様だ。せっかく海が近くにある街にいるのだから、波をモチーフにしたブレスレットを作ってもらう事にした。さらに真ん中に、私の瞳の色でもある青いサファイアと、イジャ様の瞳の色でもある緑のエメラルドを付けて貰う事にした。結局今まで貯めたお金の半分を使ってしまう事になったが、まあいいだろう!
出来上がりは3日後との事!
「エリー、素敵なデザインのブレスレットが出来るといいね」
「はい、今から楽しみです!」
きっととっても素敵な物が出来るはずよ!だって、あれだけ時間を掛けて決めたのですもの。出来上がりが楽しみだわ!早く3日後にならないかしら!
そして、待ちに待った3日後。
ヴィクトリアさんと一緒に、ブレスレットを取りに行った。
「こちらですよ」
見せて頂いたブレスレットは、予想以上の出来栄えだ!つい笑みがこぼれる。きっとこれなら、イジャ様も喜んでくれるわよね!
早速家に帰り、夕食の準備をしがてらイジャ様の帰りを待つ。こうやって待っている時に限って、帰りが遅いものなのよね。それにしても遅いわ!心配になって外に出ようとしたタイミングで、イジャ様が帰って来た。
「エリー、遅くなってすまなかったね。ちょっと港でトラブルがあって、その対応をしていたんだよ」
「お帰りなさい、イジャ様。まあ、それは大変でしたわね!それで、大丈夫だったのですか?」
「ああ、すぐに解決したからね!さあ、ご飯にしようか」
イジャ様と一緒に、いつもの様に食事を済ます。食後、後片付けを済ませた後、いよいよプレゼントを渡す時が来た!あわよくば、ブレスレットを渡す意味を伝えようと思っている。
「あの…イジャ様!これ、受け取ってください!いつもイジャ様には助けてもらってばかりで…今この生活があるのも、イジャ様のお陰です!本当にありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」
とりあえず、感謝の気持ちをまずは伝えた。急に私がプレゼントを渡したものだから、固まるイジャ様。でもすぐに我に帰り、受け取ってくれた。
「ありがとう、エリー!開けてもいいかな?」
「はい、もちろんです!」
ゆっくり包み紙は剥がしていくイジャ様。気に入ってくれるかしら?緊張の瞬間である。
「これは、海をモチーフにしたブレスレットだよね!宝石まで付いて!結構高かったんじゃないのかい?」
「毎日ヴィクトリアさんのアクセサリー作りを手伝って貯めたお金で買ったので、大丈夫です。気に入って下さいましたか?」
「ああ!もちろんだ!大切にするよ…」
そう言って笑ったイジャ様。でも…なぜだろう。笑顔の奥には悲しみを感じる…もしかして、あまり気に入ってくれなかったのかしら?なんだか不安になって来た。そんな私に気が付いたのか
「ごめん!エリー。本当にエリーからのプレゼントは嬉しいんだ!ありがとう!」
そう言って優しく頭を撫でてくれた。それなら良いのだけれど…
「こんな素敵なプレゼントを貰ったからには、何かお返しをしないといけないね。何がいいかな?」
「それは大丈夫ですわ!だって私は、この真珠のネックレスを頂いておりますので!それに、イジャ様にはお世話になりっぱなしですもの」
ブレスレットくらいでは、とても返しきれないくらいの恩があるのだ。
「分かったよ。それにしても、この2ヶ月半でエリーは随分と成長したね。魔法も上手に使えるし、もう1人でも十分生きて行けるだけの力は持っているよ」
1人で生きていく?そんなの無理だわ…私はイジャ様がいないと、生きていけない!そう叫ぼうとした時だった。
コンコン
「夜分遅くにすまん。イジャ、明日の漁の事でちょっと伝えたい事があって、ちょっといいだろうか?」
訪ねて来たのはマックさんだ。
「ええ、いいですよ。エリー、ちょっと出て来る。戸締りはしっかりするんだよ」
そう言ってマックさんと出て行ったイジャ様。結局イジャ様に自分の気持ちを伝える事は出来なかったけれど、プレゼントはとりあえず喜んでもらえたからまあ良しとしておこう。
「エリーが来てくれてから、アクセサリー作りがはかどって仕方がないよ!本当にいつもありがとう」
「こちらこそ、ヴィクトリアさんには感謝してもしきれないくらいの恩があります!いつも私に色々と教えていただき、ありがとうございます!」
今日もヴィクトリアさんと一緒に、街に買い物に来ている。そう言えば、私のお給料も随分貯まったわ。本来であれば、今後の旅の資金に残しておかないといけないのかもしれないが、せっかくならいつもお世話になっているイジャ様に何かプレゼントをしたい!
でも、一体何がいいかしら?こんな時はやっぱり!
「ヴィクトリアさん、イジャ様に何かプレゼントをしたいのですが、一体何がいいですか?」
そう、人生の大先輩!ヴィクトリアさんに聞くのが一番だ!
「そうだねぇ!この国には、好きな異性にブレスレットを贈ると言う習慣があるんだが、贈ってみるかい?」
そんな習慣があるのね!知らなかったわ!でも、それならさりげなく自分の気持ちも伝えられるし、いいかもしれない!
「それなら私、ブレスレットを贈る事にしますわ!ヴィクトリアさん、選ぶのを手伝ってもらえますか?」
「構わないよ!それじゃあ、私の馴染みの店があるからそこに行こうか。そこならオーダーメイドも行っているから、好きなデザインのものを安く作ってくれるよ!」
「本当ですか!ぜひお願いします!」
早速ヴィクトリアさんに連れられて、1軒のお店にやって来た。どうやら、アクセサリーの専門店の様だ。せっかく海が近くにある街にいるのだから、波をモチーフにしたブレスレットを作ってもらう事にした。さらに真ん中に、私の瞳の色でもある青いサファイアと、イジャ様の瞳の色でもある緑のエメラルドを付けて貰う事にした。結局今まで貯めたお金の半分を使ってしまう事になったが、まあいいだろう!
出来上がりは3日後との事!
「エリー、素敵なデザインのブレスレットが出来るといいね」
「はい、今から楽しみです!」
きっととっても素敵な物が出来るはずよ!だって、あれだけ時間を掛けて決めたのですもの。出来上がりが楽しみだわ!早く3日後にならないかしら!
そして、待ちに待った3日後。
ヴィクトリアさんと一緒に、ブレスレットを取りに行った。
「こちらですよ」
見せて頂いたブレスレットは、予想以上の出来栄えだ!つい笑みがこぼれる。きっとこれなら、イジャ様も喜んでくれるわよね!
早速家に帰り、夕食の準備をしがてらイジャ様の帰りを待つ。こうやって待っている時に限って、帰りが遅いものなのよね。それにしても遅いわ!心配になって外に出ようとしたタイミングで、イジャ様が帰って来た。
「エリー、遅くなってすまなかったね。ちょっと港でトラブルがあって、その対応をしていたんだよ」
「お帰りなさい、イジャ様。まあ、それは大変でしたわね!それで、大丈夫だったのですか?」
「ああ、すぐに解決したからね!さあ、ご飯にしようか」
イジャ様と一緒に、いつもの様に食事を済ます。食後、後片付けを済ませた後、いよいよプレゼントを渡す時が来た!あわよくば、ブレスレットを渡す意味を伝えようと思っている。
「あの…イジャ様!これ、受け取ってください!いつもイジャ様には助けてもらってばかりで…今この生活があるのも、イジャ様のお陰です!本当にありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」
とりあえず、感謝の気持ちをまずは伝えた。急に私がプレゼントを渡したものだから、固まるイジャ様。でもすぐに我に帰り、受け取ってくれた。
「ありがとう、エリー!開けてもいいかな?」
「はい、もちろんです!」
ゆっくり包み紙は剥がしていくイジャ様。気に入ってくれるかしら?緊張の瞬間である。
「これは、海をモチーフにしたブレスレットだよね!宝石まで付いて!結構高かったんじゃないのかい?」
「毎日ヴィクトリアさんのアクセサリー作りを手伝って貯めたお金で買ったので、大丈夫です。気に入って下さいましたか?」
「ああ!もちろんだ!大切にするよ…」
そう言って笑ったイジャ様。でも…なぜだろう。笑顔の奥には悲しみを感じる…もしかして、あまり気に入ってくれなかったのかしら?なんだか不安になって来た。そんな私に気が付いたのか
「ごめん!エリー。本当にエリーからのプレゼントは嬉しいんだ!ありがとう!」
そう言って優しく頭を撫でてくれた。それなら良いのだけれど…
「こんな素敵なプレゼントを貰ったからには、何かお返しをしないといけないね。何がいいかな?」
「それは大丈夫ですわ!だって私は、この真珠のネックレスを頂いておりますので!それに、イジャ様にはお世話になりっぱなしですもの」
ブレスレットくらいでは、とても返しきれないくらいの恩があるのだ。
「分かったよ。それにしても、この2ヶ月半でエリーは随分と成長したね。魔法も上手に使えるし、もう1人でも十分生きて行けるだけの力は持っているよ」
1人で生きていく?そんなの無理だわ…私はイジャ様がいないと、生きていけない!そう叫ぼうとした時だった。
コンコン
「夜分遅くにすまん。イジャ、明日の漁の事でちょっと伝えたい事があって、ちょっといいだろうか?」
訪ねて来たのはマックさんだ。
「ええ、いいですよ。エリー、ちょっと出て来る。戸締りはしっかりするんだよ」
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