私はこの人と生きていきたいです!

Karamimi

文字の大きさ
上 下
12 / 26

第12話:エリーといると心が温かいもので包まれる様だ~イジャ視点~

しおりを挟む
とにかくこれから一緒に旅をするのなら、虹色の髪ではマズい。そう思った僕は、髪の色を変える事を提案した。

「何色がいいかい?」

そう聞いた僕に、少し悩んだエリーは

「金色がいいですわ!」

そう答えたのだ。金髪か…でも、本人が希望するなら、叶えてあげないと!そんな思いから、エリーの髪を魔法で金髪にしてあげた。髪の色が変わり、喜ぶエリー。でも…

その姿は、僕が知っているエリザそのものだった。あの頃の記憶が、ずっと蓋をしていたエリザへの思いが、今にも溢れ出しそうになるのを必死に抑えた。落ち着け!彼女はエリザではない!落ち着くんだ!そう自分に言い聞かせた。

気を取り直して、早速エリーと一緒に山を下りた。街に着くと、やはりさっき別の街の住民から暴言を吐かれたのがショックだったのか、僕にギューッとしがみついて来た。

やっぱり可愛いな…って、僕は何を考えているんだ!とにかく、今日泊まる為のホテルを予約しないと!エリーを近くに座らせ、目の前のホテルの予約を取る。幸いすぐに予約を取ることができた。

ホッとして外に出ると、エリーが嬉しそうに男たちと話をしていた!急いで近付き、エリーをかばう様に男たちの前に立った。僕が睨むと、逃げていく男達。何だあいつら、根性なしどもめ。でも、エリーが無事でよかった!そう思ったのも束の間、あろう事か

「せっかくあの男性たちが食事をご馳走してくれると言って下さったのに、行ってしまいましたわ。残念ですわね…」

なんてふざけた事を言っている!エリーはどれだけ世間知らずなんだ!感情が抑えきれずに、ついエリーをきつく叱ってしまった。とにかく、もう二度と知らない人には付いて行かない様に!そうきつく言い聞かせた。

かなりきつく怒ったからか、シュンとするエリー。そんな姿を見たら、どうしても許してしまう自分が情けない…

気を取り直し、エリーを連れてホテルに入った。ホテルが初めての様で、キョロキョロしながら歩くエリー。さらにエレベーターに大興奮し、部屋に入っては子供の様にはしゃいでいる。

彼女は本当に世間を知らないのだろう…そして物凄く純粋で、汚れた世界を知らない…そんな彼女と僕が一緒にいてもいいのだろうか…そう考えてしまう程、エリーは純粋でまっすぐだ。

とは言っても、僕が側にいないとエリーは何もできない。だから今はエリーを守る為にも、側にいる必要がある。そうだ、僕がエリーを守らないといけないんだ!よし!

気を取り直して、エリーを連れてレストランへと向かった。ここでも嬉しそうに食事をするエリー。よほどお腹が空いていたのか、黙々と食べていた。そんな姿が可愛くて、つい僕のデザートをあげた。すると

「いいんですか?ありがとうございます!」

それはそれは嬉しそうにお礼を言い、デザートを食べている。その笑顔を見ているだけで、なぜか僕の心は満たされていく…心の奥が温かいもので包まれる様な、そんな気持ちになった。

食後、何も知らないエリーにシャワーの使い方を教える。本当に僕がいないと何もできない。それでも一生懸命学ぼうとする姿が、また可愛い…

湯あみが終わると、お互いベッドに入って休む事にした。すぐに眠りに付いたエリーに対し、僕は中々眠る事が出来ない。エリーに近付き、そっと寝顔を覗き込む。本当にこの子は、警戒心という物がないのだろうか…

そう思う程、スヤスヤと眠っていた。金色の髪にそっと触れる…柔らかくてサラサラだ…そっと頬に触れると、こちらも柔らかい…ぽってりとした唇に目が留まる…無意識に顔を近づけ、エリーの唇が僕の唇に触れそうになった時、ハッと我に返った。

僕は一体何をしようとしているんだ!落ち着け!僕が彼女に触れる権利はない!彼女は僕が散々傷つけた、エリザの子孫だ。それに何より、僕はきっと彼女を通してエリザを見ている!

それはエリーに対して、物凄く失礼な事だ!とにかく、変な感情を持つのは止めよう!そうだ、エリーは僕の妹だ!そう思う様にすれば、きっと変な感情は抱かないはずだ!そう思ったものの、やはりエリーが気になって眠れない…結局一睡もできないまま、朝を迎えた。

早朝、まだエリーが眠っているうちに、転移魔法を使って、今日乗る予定の電車と飛行船のチケットを取りに行った。ついでに次に行く予定の、アレグラ王国のホテルも予約した。

もうエリーが起きてしまっているかもしれない!そう思って急いでホテルに戻るが、まだ眠っていた。そんなエリーをしばらく観察する…て、僕は何をしているんだ!とにかく、今度行くアレグラ王国に関する資料を読んでおかないと!今回はエリーも一緒だ!エリーに快適に過ごしてもらう為にも、情報収集は重要だからね!

ちょうど本を読み始めたタイミングで起きたエリー。まだ眠そうに目を擦っている。頭も爆発している。いつも身なりがしっかりしていたエリザに比べ、かなり抜けているエリー。顔はそっくりなのに、性格は全然違う。でも行動力があるところは、よく似ているか…

そんな事を考えているうちに、着替えを済ませ戻って来たエリー。急いで朝食を食べ、電車に乗り込んだ。ここでも、興奮してはしゃいでいた!本当に彼女は見ていて飽きない。それに、やっぱり心の奥が温かいもので包まれる…

きっとこんな気持ちを抱いてはいけないのだろう…でも…
とにかく、エリーが1人で生きて行けるようになるまでは、僕が守ってあげないと!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

変人令息は悪女を憎む

くきの助
恋愛
「ブリジット=バールトン。あなたを愛する事はない。」 ああ、ようやく言えた。 目の前の彼女は14歳にしてこれが二度目の結婚。 こんなあどけない顔をしてとんでもない悪女なのだ。 私もそのことを知った時には腹も立ったものだが、こちらにも利がある結婚だと割り切ることにした。 「当初話した通り2年間の契約婚だ。離婚後は十分な慰謝料も払おう。ただ、白い結婚などと主張されてはこちらも面倒だ。一晩だけ付き合ってもらうよ。」 初夜だというのに腹立たしい気持ちだ。 私だって悪女と知る前は契約なんて結ぶ気はなかった。 政略といえど大事にしようと思っていたんだ。 なのになぜこんな事になったのか。 それは半年ほど前に遡る。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

幸せのありか

神室さち
恋愛
 兄の解雇に伴って、本社に呼び戻された氷川哉(ひかわさい)は兄の仕事の後始末とも言える関係企業の整理合理化を進めていた。  決定を下した日、彼のもとに行野樹理(ゆきのじゅり)と名乗る高校生の少女がやってくる。父親の会社との取引を継続してくれるようにと。  哉は、人生というゲームの余興に、一年以内に哉の提示する再建計画をやり遂げれば、以降も取引を続行することを決める。  担保として、樹理を差し出すのならと。止める両親を振りきり、樹理は彼のもとへ行くことを決意した。  とかなんとか書きつつ、幸せのありかを探すお話。 ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ 自サイトに掲載していた作品を、閉鎖により移行。 視点がちょいちょい変わるので、タイトルに記載。 キリのいいところで切るので各話の文字数は一定ではありません。 ものすごく短いページもあります。サクサク更新する予定。 本日何話目、とかの注意は特に入りません。しおりで対応していただけるとありがたいです。 別小説「やさしいキスの見つけ方」のスピンオフとして生まれた作品ですが、メインは単独でも読めます。 直接的な表現はないので全年齢で公開します。

お飾り王妃の愛と献身

石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。 けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。 ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。 国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人

白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。 だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。 罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。 そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。 切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

処理中です...