私はこの人と生きていきたいです!

Karamimi

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第6話:海はとても楽しいです

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イジャ様と一緒に手を繋いで海に向かって歩いて行く。すると、そこには美しい海が目に入った。そして海の手前には砂の地面が広がっていた。

「海ってあんな風に動いているのですね。水しぶきを立てながら、こっちにやって来たり引いて行ったり不思議ですわ。まるで生きているみたい!」

「海には波があるからね。エリー、少し海に入ってみるかい?足くらいなら浸けても問題ないよ」

「本当ですか!嬉しいです!では早速」

靴を脱いで、ゆっくり海に向かって歩く。少し歩くと、足に波がかかった。

「キャー、冷たい!でも気持ちいいわ!」

せっかくなので、もう少し奥まで進んでいく。波がザブンザブンと音をたてて、私の足に流れて来ては戻っていき、流れて来ては戻っていきを繰り返している。これは楽しいわね!

「イジャ様もこっちにいらしてはいかがですか?」

砂の上に座り、こちらを見ているイジャ様に話しかけるも

「僕はいいよ」

そう言って断られてしまった。こんなにも気持ちいいのに、入らないなんて勿体ないわね。もしかして、イジャ様は海のある国で育ったのかしら?それなら、あえて海に入りたいとは思わないのかもしれないわ。

ふと海の中を見てみると、キラキラ光るものを見つけた。早速拾ってイジャ様に見せに行く。

「イジャ様、見て下さい!海にこんな奇麗なものが落ちていましたわ!」

「あぁ、それは貝殻だね。貝の抜け殻だよ」

貝。聞いた事があるわ。それにしても奇麗ね。そうだわ!せっかくだから、沢山集めて貝殻のアクセサリーを作ろう。そう思い、早速貝殻を集め始めた。結構沢山落ちている貝殻。出来るだけ奇麗なものを探して拾っていく。

「エリー、そろそろ行こうか!街も見たいし、夕食も食べないといけないからね」

貝殻拾いに必死になりすぎていて、全く気が付かなかったが、日が沈みかけている。随分と長い時間海にいた様だ。急いでイジャ様の元へと戻る。でも、足が砂だらけね…

そうだ!こういう時は魔法で“足よ、キレイになれ”と念じる。すると、あっという間にキレイになった。

「エリーは少しずつ魔法を使いこなせる様になって来たんだね。でも魔法を使う時は、周りに人が居ないか確認してから使うんだよ」

確かにイジャ様の言う通り、誰かに見られたら大変だものね。

「分かりましたわ!今度から周りを確認してから使う様にしますね」

私の返答に満足そうなイジャ様。早速靴を履いて、街の方に向かって歩く。しばらくすると街が見えて来た。

「何か見たいものとかあるかい?」

見たいものか…特に思い浮かばないわね。

「特にはありませんわ。イジャ様にお任せします」

「それじゃあ、気に入った店があったら適当に入ってみよう」


早速イジャ様と一緒に、街を散策する。さすが海が近くにある街ね。見た事のない魚がたくさん並んでいるわ。それに、さっき私が拾った貝殻を使ったアクセサリーも売られている。やっぱり考える事は同じなのね。

あら?あの奇麗な粒は何かしら?貝殻のアクセサリーの横に、美しい丸い粒が付いたネックレスやイヤリング、ブレスレットが並んでいた。

「これは真珠と呼ばれる物だよ。とても貴重なんだ」

「まあ、そうなのですね!それにしても、奇麗だわ…」

光の加減で七色に光っている真珠。すると何を思ったのか、真珠のネックレスを手に取り会計を済ませたイジャ様。

「はい、これ!エリーにあげる。欲しかったんでしょう?」

そう言って私に真珠のネックレスを渡してくれた。

「でもこれって、とても高価なものなのでは?」

ただでさえお荷物でしかない私の為に、こんな高価な物を買って下さるなんて、物凄く申し訳ない…

「これくらい大丈夫だよ。ほら、受け取って!僕はエリーが喜ぶ顔が見たいんだ」

そう言って恥ずかしそうに笑ったイジャ様。その姿がとてもカッコよくて、なんだか急に心臓の音がうるさくなった。

「ありがとうございます!私の宝物にしますね!」

高鳴る鼓動を落ち着かせ、早速ネックレスを付けた。美しい真珠が光っていて、物凄く奇麗だ。嬉しくてつい眺めてしまう。

「喜んでもらえて良かったよ。さあ、そろそろ晩ご飯にしよう!飛行船に乗る時間も迫っているしね」

再び2人で手を繋いで街を歩く。そして1軒のお店に入った。どうやらこのお店は、お魚の専門店の様だ。

早速魚料理が運ばれてくる。それにしても、お魚ってこんなにも美味しいものだったのね。

「お魚料理、本当に美味しいです!どうせなら、海の見える街に住みたいですわ。そうすれば毎日海を見られるし、美味しい魚料理も食べられますもの」

「エリーは随分と海が気に入ったみたいだね。ちょうど次に行く国は海があるから、海沿いにしばらく住む事にしよう」

「本当ですか!ありがとうございます、イジャ様!」

イジャ様は本当に優しい、私の思い付きのお願いでも聞いてくれる。こんな素敵な真珠のネックレスもくださったし。それにイジャ様と一緒にいると、心の奥が温かいもので包まれる。こんな気持ちは初めてだ。このままずっと、イジャ様と一緒に居られたらいいのに…

「急にボーっとしてどうしたんだい?」

心配そうに私の顔を覗き込むイジャ様。

「いいえ、何でもありませんわ!それにしても、本当に美味しいですわね」

急にイジャ様に話しかけられて、完全に動揺してしまった。とにかく、今は食事に集中しましょう。

食事の後は飛行船に乗る為、空港と呼ばれるところにバスと呼ばれる乗り物に乗って向かった。もちろんバスに乗るのも初めてで、ここでも周りをキョロキョロ見る私に苦笑いのイジャ様。

しばらく走ると、これまた大きな乗り物が見えて来た。どうやらあれが飛行船の様だ!あんな大きな物が空を飛ぶなんて、なんだか信じられない。

「もう搭乗手続きが始まっている様だ。急ごう!」

目を見開いて固まる私の手を引っ張り、受付を済ますイジャ様。そしていよいよ飛行船に乗船だ!
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