私はこの人と生きていきたいです!

Karamimi

文字の大きさ
上 下
4 / 26

第4話:どうやら私はかなりの世間知らずな様です!

しおりを挟む
しばらく歩くと、小さな街が見えて来た。でもさっきの出来事が蘇り、無意識にイジャ様にしがみつく。

「そんなにしがみつかなくても大丈夫だよ。ほら、道行く人たちも何も言って来ないだろう?こうやって普通にしていれば、難なく生活できるからね」

そう言って笑っているイジャ様。この人本当に落ち着いているわ。まあ、私が世間を知らなすぎるという事もあるのだろうけれど。

「今日はこの街に泊ろう。そうだな、あのホテルに空きがあるか確認してくるから、少し待っていてくれるかい?」

イジャ様が指さしたのは、どう見ても普通のお屋敷の様にしか見えないのだが。ここがホテルと言うところなのかしら?まあいいわ、イジャ様が帰ってくるまで、あそこのベンチに座って待っていよう。

それにしても、今日はたくさん歩いたから疲れたわ。いくら魔法で体を軽くしてもらっても、やはり疲れるものは疲れる。

「あれ?姉ちゃん1人?」

あら?誰かに声を掛けられている?ふと声の方を見ると、そこには男性が3人立っていた。もしかして、また何か文句を言われるのかしら?そう思い、咄嗟に身構えた。

「へ~、キレイな子だね!ねえ、こんなところで1人で何をしているの?そうだ、俺たちと一緒に美味しいものを食べに行かない?もちろん、奢るからさ!」

まあ、食事をご馳走して下さるですって!そう言えば朝から何も食べていないから、お腹ペコペコだったのよね。それは有難いわ!

「それは本当ですか?ありがとうございます!でも今人を待っていますの!その人も一緒でもよろしいですか?」

私1人ご馳走になったら、イジャ様に悪いものね。そう思ったのだ。

「エリー、君は一体何をやっているんだい?」

ナイスタイミングでイジャ様が戻って来た。でも…怒っている?なぜか男性達から私を庇う様に立った。

「なんだ、男連れかよ!」

そう言って去っていく男性たち。

「あ…待って!食事は…」

せっかくご親切な男性たちが、食事をご馳走して下さると言ってくれたのに…

「イジャ様、せっかくあの男性たちが食事をご馳走してくれると言って下さったのに、行ってしまいましたわ。残念ですわね…」

「残念なものか!いいかい!あの男たちは、ただ食事をご馳走してあげようと思っていた訳ではない!ヘタをすると、無理やり襲われたり、身ぐるみはがされたり、最悪命を奪われることだってあるんだぞ!そもそも、エリーは世間を知らなさすぎる!君に近付く全ての人が、善人ではないんだ!とにかく、知らない人には付いて行っては駄目だ!いいね、分かったね!」

物凄い怖い顔で怒られてしまった。

「ごめんなさい…そんな人たちが居るなんて、知りませんでしたの。でも、優しそうな方達でしたわよ」

「は~、君はまったく…とにかく、知らない人には何があっても付いて行かない事。それから、君は自分が思っている以上に世間を知らない!いいかい?今までは公爵家で何不自由ない生活をしていただろうが、これからは全て自分でやらないといけないんだ!とにかく、今までの常識はほとんど通用しないと思った方がいい!それが無理なら、国に帰る事だね!」

「国に!それだけは嫌です!勝手な行動をしてごめんなさい!今後は知らない人に絶対に付いて行かない様にします。それから、イジャ様の言う事もちゃんと聞きます。だから、どうか捨てないで!」

今イジャ様に捨てられたら、私は野垂れ死ぬか国に帰るかしか道は残されていない。それくらい、いくら常識のない私でも分かるわ!

「僕の方こそごめん。少しきつく言い過ぎた。とりあえずあそこのホテルの予約が取れたから、一旦ホテルに行って荷物を置きに行こう。それから、お腹も空いているだろう?ここのホテルは1階がレストランになっているんだ。荷物を置いたら、食事にしようか?」

「まあ、それは本当ですか?実は私、お腹ペコペコで!それじゃあ、早速行きましょう」

イジャ様の手を掴み、急いでホテルの中に入って行った。中はとても奇麗だ。

「エリー、こっちだよ」

イジャ様に連れられてやって来たのは、扉の前だ。どうして中に入らないのかしら?そう思っていると、急にドアが開いた。

「イジャ様、これは魔法ですの?」

勝手にドアが開いたのだ!一体どうなっているの?

「魔法じゃないよ。ほら、行くよ!」

私の手を引き、狭い部屋に入った。どうやら上に昇っている様だ。何なの、この部屋は!

「これはエレベーターと呼ばれる物だよ。この国はかなり文明が発達していてね。電気という物で動かしているんだ」

電気?初めて聞く言葉ね!しばらくすると、再びドアが開いた。

「さあ、僕達の部屋はこっちだよ!ごめんね、経済的な問題で、部屋は1つにさせてもらったけれどいいかな?もちろん、手は出さないから安心して」

申し訳なさそうにそう言ったイジャ様。

「もちろんです。私がお金を持っていないばかりに、ご迷惑を掛けてごめんなさい」

今の私は、イジャ様におんぶにだっこ状態だ。とにかく私も常識や知識を身につけて、イジャ様の様に何でも出来る様にならないとね!

「そんな事は気にしなくていいよ。それより早く部屋に入ろう」

そう言うと、ゆっくりと部屋を開けたイジャ様。ホテルというところに泊るのは初めて。正直、楽しみすぎてワクワクが止まらない。イジャ様の後ろからゆっくり部屋に入った。そこには、小さなベッドが2つと机に椅子、そして奥にはトイレと浴槽があるだけだ。

随分と小さな部屋なのね。でも、2人なら十分か。それに何より

「イジャ様、見て下さい!街が一望できますわ!あっ!あの山、もしかして私たちがいた山ですか?」

そう、景気がとても奇麗なのだ。つい子供の様にはしゃいでしまう!

「そうだね、あそこから歩いて来たんだ!それにしても、よく頑張ったね。さあ、食事に行こう」

再びエレベーターと呼ばれる不思議な乗り物に乗り、1階のレストランへとやって来た。ほぼ1日ぶりの食事は本当に美味しかった。食後は部屋に戻り、各自湯あみを済ます。でも…

「イジャ様、これはどうやって使うのですか?」

そう、今までは全てメイドにやってもらっていたので、湯あみの仕方が分からないのだ。そんな私に丁寧に教えてくれるイジャ様。本当に自分の無知が情けない。

優しいイジャ様に教えてもらい、何とか湯あみを済ませた。ちなみに、髪はイジャ様が魔法で乾かしてくれた。そしてベッドに入る。

「今日は疲れただろう。ゆっくりお休み、エリー」

「ありがとうございます。お休みなさい、イジャ様」

ゆっくり瞳を閉じる。今日は色々あったわ。それにしても、イジャ様は本当に優しいわね。さあ、明日からまた旅が始まる!楽しみね!

期待に胸膨らませ、眠りに付いたエリーであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る

白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。 伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。 「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、 その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。 失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。 グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。 あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___  異世界恋愛:短編☆(全13話)  ※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

【完結】巻き戻りを望みましたが、それでもあなたは遠い人

白雨 音
恋愛
14歳のリリアーヌは、淡い恋をしていた。相手は家同士付き合いのある、幼馴染みのレーニエ。 だが、その年、彼はリリアーヌを庇い酷い傷を負ってしまった。その所為で、二人の運命は狂い始める。 罪悪感に苛まれるリリアーヌは、時が戻れば良いと切に願うのだった。 そして、それは現実になったのだが…短編、全6話。 切ないですが、最後はハッピーエンドです☆《完結しました》

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】初夜寸前で「君を愛するつもりはない」と言われました。つもりってなんですか?

迦陵 れん
恋愛
侯爵家跡取りのクロディーヌと、公爵家三男のアストルは政略結婚といえども、幸せな結婚をした。 婚約者時代から日々お互いを想い合い、記念日にはプレゼントを交換し合って──。 なのに、記念すべき結婚初夜で、晴れて夫となったアストルが口にしたのは「君を愛するつもりはない」という言葉。 何故? どうして? クロディーヌは混乱に陥るも、アストルの真意は掴めない。 一方で、巷の恋愛小説ばりの言葉を放ったアストルも、悶々とした気持ちを抱えていて──。 政略で結ばれた婚約でありながら奇跡的に両想いとなった二人が、幸せの絶頂である筈の結婚を機に仲違い。 周囲に翻弄されつつ、徐々に信頼を取り戻していくお話です。 元鞘が嫌いな方はごめんなさい。いろんなパターンで思い付くままに書いてます。 楽しんでもらえたら嬉しいです。    

処理中です...