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第3話:イジャ様と一緒に旅をする事になりました
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恐怖で涙が止まらない。その時だった。
「君は一体何をいているんだ!とにかく逃げるよ!」
突如現れたのは、イジャ様だ。
「もう1人現れたぞ!今度は男だ!」
街の人たちがさらに騒いでいる。でも次の瞬間、森に変わっていた。どうやらイジャ様が、転移魔法を使った様だ。そうか、転移魔法でさっさと移動すればよかったのね。どうしてそんな簡単な事が思いつかなかったのかしら。
「これで分かっただろう?ここら辺の国は魔力を持たない民族なんだ。そんな民族の前に、魔力を持った人間が現れたらどうなる?今みたいにパニックになるだけだ!とにかく、早く国に帰った方がいい!」
強めの口調でイジャ様に怒られてしまった。でも…
「イジャ様、再び助けていただき、ありがとうございます。私の軽率な行動のせいで、街の方にも迷惑を掛けてしまい、本当に申し訳なく思っていますわ。でも、私はあの国に帰る事だけは嫌なのです!」
もうあんな不自由な生活はしたくない!これだけは、絶対に譲れないのだ。
「はぁ~そこまで言うからには、帰りたくない理由があるのだろう?一体何がそんなに嫌なんだい?」
少し呆れ顔のイジャ様。イジャ様に私の事を事細かく話した。もちろん、聖なる魔力の存在についても。
「なるほど、要するに君は貴重な聖なる魔力を受け継ぐ者で、そんな君を守る為、ほとんど屋敷の外に出してもらえなかった。そんな窮屈な生活が嫌で、国を出てきたと言う訳だね」
「そうです!そもそも、同じ虹色の髪を持つ王女のシェイルは、比較的自由に過ごしているのに、どうして私だけ行動を制限されないといけないの?そう思うでしょう!その上4歳のジンとの婚約話まで出ているのですよ!とにかくあんな息苦しい国には、二度と戻りたくはないのです!」
「分かったよ、それじゃあ、僕と一緒に旅をするかい?僕もある国の侯爵令息だったんだけれど、昔人生最大の失態を冒したんだ。その時思った。今度は絶対に失敗しない、もっと世間の荒波に揉まれないとダメだってね!それで1年前国を出て、こうやって旅を続けているんだよ」
なぜか寂しそうに笑ったイジャ様。そもそも私と同じくらいの年に見えるけれど、一体いくつの時に人生最大の失態なんて冒したのかしら?
「あの、失礼ですがイジャ様はおいくつですか?」
「15歳だけれど」
15歳!やっぱり私の1歳年上だ!
「それにしては、考えがしっかりしていますね。もう何十年も生きている人みたい…」
「まあ、僕はちょっと特殊だからね。僕の事は取りあえず置いておいて、これから旅を続けるなら、その髪の色はまずいね。僕が魔法で変えてあげるよ。何色がいいかい?」
確かに虹色の髪だと目立つものね。そうね、よし!決めた!
「それなら金髪がいいですわ!金髪ならどこにでもある髪色で目立たないでしょう?それに、私のひいおばあ様も聖なる力が目覚めるまでは、金髪だったらしいし!」
エリザひいおばあ様と同じ色にして、旅をしたら素敵よね!
「…金髪か、分かったよ」
なぜか一瞬大きく目を開いたイジャ様。でもすぐに私の頭に魔法を掛けてくれて、金髪にしてくれた。
「まあ、本当に髪の色が変わったわ!どう?似合うかしら?」
「ああ…とってもよく似合っているよ」
そう言ってくれたイジャ様。でもどこか寂しそうで、今にも泣き出しそうな顔をしている。一体どうしたのかしら?
「それじゃあ行こうか。いいかい?まずは歩いて山を下りて、そこから街を目指すよ。それから、生きて行く為にはお金を稼がないといけない!よさそうな街を見つけたら、3ヶ月程度その街で暮らして、旅の資金を貯めるんだ。そしてまた旅をする。それの繰り返しになるが、いいかい?」
「ええ、もちろんです!なんだか楽しそうですね!そうと決まれば、早速山を下りましょう!」
嬉しくて急いで山を下り始めた。でも…
「ハ~ハ~、イジャ様…もう歩けません」
ほとんど歩く事の無かった私にとって、歩く事は慣れていない。その為、すぐにバテてしまった。
「仕方ないね。それじゃあ、魔法を掛けてあげるよ」
そう言って私に魔法を掛けてくれたイジャ様。急に体が軽くなった。これならいくらでも歩けそうだ。
「エリー、君は聖なる魔力の持ち主なのに、あまりうまく魔法が使えない様だね。基本的に魔法は念じれば何でも出来るんだよ。もちろん、髪の色も変えられる。これからは、魔法の練習も必要だね」
そう言って苦笑いしたイジャ様。言われてみれば、私の魔力量はかなり多いはず。でも、あまり魔法を使いこなす事が出来ていない様な…よし!この旅で、魔法力もアップさせよう!そして、1人でも生きていけるくらいの知識も身につけないとね。
「君は一体何をいているんだ!とにかく逃げるよ!」
突如現れたのは、イジャ様だ。
「もう1人現れたぞ!今度は男だ!」
街の人たちがさらに騒いでいる。でも次の瞬間、森に変わっていた。どうやらイジャ様が、転移魔法を使った様だ。そうか、転移魔法でさっさと移動すればよかったのね。どうしてそんな簡単な事が思いつかなかったのかしら。
「これで分かっただろう?ここら辺の国は魔力を持たない民族なんだ。そんな民族の前に、魔力を持った人間が現れたらどうなる?今みたいにパニックになるだけだ!とにかく、早く国に帰った方がいい!」
強めの口調でイジャ様に怒られてしまった。でも…
「イジャ様、再び助けていただき、ありがとうございます。私の軽率な行動のせいで、街の方にも迷惑を掛けてしまい、本当に申し訳なく思っていますわ。でも、私はあの国に帰る事だけは嫌なのです!」
もうあんな不自由な生活はしたくない!これだけは、絶対に譲れないのだ。
「はぁ~そこまで言うからには、帰りたくない理由があるのだろう?一体何がそんなに嫌なんだい?」
少し呆れ顔のイジャ様。イジャ様に私の事を事細かく話した。もちろん、聖なる魔力の存在についても。
「なるほど、要するに君は貴重な聖なる魔力を受け継ぐ者で、そんな君を守る為、ほとんど屋敷の外に出してもらえなかった。そんな窮屈な生活が嫌で、国を出てきたと言う訳だね」
「そうです!そもそも、同じ虹色の髪を持つ王女のシェイルは、比較的自由に過ごしているのに、どうして私だけ行動を制限されないといけないの?そう思うでしょう!その上4歳のジンとの婚約話まで出ているのですよ!とにかくあんな息苦しい国には、二度と戻りたくはないのです!」
「分かったよ、それじゃあ、僕と一緒に旅をするかい?僕もある国の侯爵令息だったんだけれど、昔人生最大の失態を冒したんだ。その時思った。今度は絶対に失敗しない、もっと世間の荒波に揉まれないとダメだってね!それで1年前国を出て、こうやって旅を続けているんだよ」
なぜか寂しそうに笑ったイジャ様。そもそも私と同じくらいの年に見えるけれど、一体いくつの時に人生最大の失態なんて冒したのかしら?
「あの、失礼ですがイジャ様はおいくつですか?」
「15歳だけれど」
15歳!やっぱり私の1歳年上だ!
「それにしては、考えがしっかりしていますね。もう何十年も生きている人みたい…」
「まあ、僕はちょっと特殊だからね。僕の事は取りあえず置いておいて、これから旅を続けるなら、その髪の色はまずいね。僕が魔法で変えてあげるよ。何色がいいかい?」
確かに虹色の髪だと目立つものね。そうね、よし!決めた!
「それなら金髪がいいですわ!金髪ならどこにでもある髪色で目立たないでしょう?それに、私のひいおばあ様も聖なる力が目覚めるまでは、金髪だったらしいし!」
エリザひいおばあ様と同じ色にして、旅をしたら素敵よね!
「…金髪か、分かったよ」
なぜか一瞬大きく目を開いたイジャ様。でもすぐに私の頭に魔法を掛けてくれて、金髪にしてくれた。
「まあ、本当に髪の色が変わったわ!どう?似合うかしら?」
「ああ…とってもよく似合っているよ」
そう言ってくれたイジャ様。でもどこか寂しそうで、今にも泣き出しそうな顔をしている。一体どうしたのかしら?
「それじゃあ行こうか。いいかい?まずは歩いて山を下りて、そこから街を目指すよ。それから、生きて行く為にはお金を稼がないといけない!よさそうな街を見つけたら、3ヶ月程度その街で暮らして、旅の資金を貯めるんだ。そしてまた旅をする。それの繰り返しになるが、いいかい?」
「ええ、もちろんです!なんだか楽しそうですね!そうと決まれば、早速山を下りましょう!」
嬉しくて急いで山を下り始めた。でも…
「ハ~ハ~、イジャ様…もう歩けません」
ほとんど歩く事の無かった私にとって、歩く事は慣れていない。その為、すぐにバテてしまった。
「仕方ないね。それじゃあ、魔法を掛けてあげるよ」
そう言って私に魔法を掛けてくれたイジャ様。急に体が軽くなった。これならいくらでも歩けそうだ。
「エリー、君は聖なる魔力の持ち主なのに、あまりうまく魔法が使えない様だね。基本的に魔法は念じれば何でも出来るんだよ。もちろん、髪の色も変えられる。これからは、魔法の練習も必要だね」
そう言って苦笑いしたイジャ様。言われてみれば、私の魔力量はかなり多いはず。でも、あまり魔法を使いこなす事が出来ていない様な…よし!この旅で、魔法力もアップさせよう!そして、1人でも生きていけるくらいの知識も身につけないとね。
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