私はこの人と生きていきたいです!

Karamimi

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第2話:無事国を出られましたが…

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深夜、眠い目を擦りながら何とか起きる事が出来た。早速隠しておいたスーツケースを取り出し、着替えを済ませる。何かの役に立つかもしれないから、エリザひいおばあ様の日記も持って行こう。

よし、準備は完了したわ。早速転移魔法を掛けてこの国から脱出ね。行先は…よく分からないから、適当でいいわ!

魔力を集中させ、“出来るだけ遠くに移動せよ”そう念じた。やはり強力な結界が張ってあるせいで、思う様に転移できない!魔力同士が衝突する感覚を全身で感じる!でも、負けるものですか!一気に魔力を込めた瞬間、物凄い衝撃と共にその場に倒れ込んだ。

ゆっくり目を開けると、そこは真っ暗な森だ!やったわ、転移で来た。でも、きっとすぐに両親に見つかってしまうかもしれない。とにかく、何度も転移魔法を掛けないとね!

その後も何度も何度も転移魔法を使って転移する。さすがに疲れたわね…ふと辺りを見渡すと、太陽が昇り始めていた。私ったら1晩中転移していたのね。駄目だ…眠い…

つい木の下で、ウトウトと眠ってしまったのだった。


「おい、起きろ!お前は誰だ!どうやってこの森に入った!」

男の人の怒鳴り声で目を覚ました。そこには、斧や弓を持った男性たちが5人、怖い顔をして私を囲っていた。

「あなた達こそ、一体誰なのですか?」

恐怖で身を縮こませた。

「それはこっちのセリフだ。この森は俺たちが所有している森だ!通行許可証が無いと入れない森なんだ!お前は通行許可証を持っていないだろう!一体どうやって入ったんだ!」

そう言って、私の喉元に斧を突き付ける男性。恐怖でその場を動く事が出来ず、ただ涙を流す事しか出来ない。

どうしよう…どうしよう…

その時だった!

「どうしたのですか?そんなに大きな声を出して!」

私たちの前に現れたのは、金色の髪に深緑の瞳をした若い男性だ。

「あんたは旅の方か!いや、この女が通行許可証を持たずにここに居たから、不法侵入者として問い詰めているところだ!」

不法侵入者って一体何なの?そもそも、ここは森でしょう?何なの、この人たちは!

「すみません、その子、僕の連れです!ちょっとはぐれちゃって!この子の通行許可証をこれで発行して頂けますか?」

そう言うと、男性は金貨を男たちに渡していた。

「あなたの連れでしたか!お金さえ払ってくれれば、私たちは構いませんよ!はい、これ。通行許可証です!」

カバンから紙を出し、男性に渡した男達。

「それでは俺たちはこれで」

そう言って去って行った。男たちが去った後、私の方にやって来た男性。

「君、大丈夫かい?って…エリザ?」

なぜか私の顔を見て、物凄く驚いている。一体どうしたのだろう?それに、今エリザって言ったわよね…

「助けていただき、ありがとうございます。私はエリー・スクワーディスと言います。あなた、亡くなったエリザひいおばあ様を知っているのですか?」

「エリザは…亡くなったのかい?」

「はい、10年前に」

私の言葉を聞き、物凄く悲しそうな顔をする男性。

「そうか…すまない、さっき言った事は忘れてくれ。僕はイジャ。色々な国を回っているんだ。君はどうしてこんな場所に、通行許可証も持たずにいたんだい?」

今色々な国を回っているって言ったわよね。素敵だわ!

「実は私、訳あって国を逃げて来たんです。転移魔法を繰り返していたら、ここにたどり着いて。それでそのまま眠ってしまって…」

「なるほど。それでこれからどうするんだい?君が思っている程、世間は甘くない!女性の一人旅は結構危険だよ。それにその髪、珍しい虹色をしているね。下手をすると人攫いに連れていかれるかもしれない。さあ、もう国に帰った方がいい!」

イジャ様に帰るよう促された。でも…

「私は国に帰るつもりはありません!あんな窮屈なところで一生生活させられるくらいなら、いっその事危険を承知で自分のやりたい事をやった方がずっといいので!それでは失礼します!」

そもそも、私は魔法が使える。何かあっても魔法で何とかできるわ!転移魔法だって使えるんだもの!そうだ、ボディーガードも兼ねて、ルルを出しましょう。“出でよ、分身”

そう念じると、ルルが出て来た。ルルがいれば寂しくはないものね。そんな私の後ろで

「待って!エリー」

イジャ様の叫び声が聞こえるが、面倒なので再び転移魔法で移動した。次に移動したのは、小さな街だ。でも急に私が現れたものだから

「キャーーー、急に少女とオオカミが現れたわ!何なのこの子たち!」

「魔女だ!!魔女が出た!!」

なぜか周りの皆が物凄く騒ぎ出した。ちょっと、誰が魔女よ!失礼ね!逃げ惑う人々。そして警官と思われる男性数名が、私の方に飛んできた。

「お前は魔女だな!何の目的でここに来た?とにかく、お前を拘束する!」

そう言うと腰に備え付けてあった剣を引き抜き、一斉に私に向かって切り掛かって来た!恐怖でルルをギューッと抱きしめる。そして次の瞬間

「ウワァーー」

男性たちが吹き飛んで行った。どうやら無意識に魔力を使ってしまった様だ。

「キャーー!魔女が攻撃してきた!早く騎士団を呼んで!!」

近くにいた人たちが、さらに騒ぎ始めてしまった。とにかく私が魔女ではない事を、皆に伝えないと!

「私は魔女ではありません。あなた達を傷つけるつもりも無かったのです。ごめんなさい。どうか落ち着いて下さい!」

とにかく私は安全な人物よ!そう伝えたかったのだ。でも…

「嘘を付くな!今警官たちを魔法で攻撃しただろう!とにかくこの女を逃がしたら街が大変な事になる!騎士団が来るまで囲い込め!そう言って、木や鉄の棒などを持って、私の周りを取り囲む人たち。

恐怖と自分が魔女だと言われたショックから完全にパニックになってしまい、どうしていいか分からない。ルルをさらに強く抱きしめた。どうしよう…誰か助けて…
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