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番外編
地方に出張治療に行く事になりました【1】
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「セリーナ先生、実は地方で原因不明の流行り病に侵されている人が多数出ていてね。申し訳ないのだが、先生さえよければ治療に行ってもらえないだろうか?」
ルーク様と結婚してから半年が経とうとしていたある日、院長に呼び出された。どうやら地方に出張治療に行って欲しいと言う話だった。
「まあ、それは大変ですわ。一度ルーク様に相談してみますわね!」
とは言ったものの、出張なんて絶対に反対されるわよね…でも、沢山の人が病で苦しんでいるのを、放っておく訳にもいかない。
ダメ元で聞いてみるか!
屋敷に着くと、珍しくまだルーク様は帰っていなかった。どうやらまだ王太子様の仕事が終わらないのだろう。
実は先日、ビアンカ様が無事第一子となる王子様を産んだのだ。その為、王太子殿下が王子様にメロメロで、ほとんど仕事をしないらしい。初めての子供だから、メロメロになるのは良いが、一応王太子なのだ。仕事はきっちりして欲しい。
結局ルーク様が帰って来たのは、夕食後だった。
「本当にディオの奴には、いい加減頭に来たよ。全く仕事をしていないんだから!挙句“ルークが毎日来てくれたら、仕事を溜めこまないんだけれどな”なんて言うんだ。さすがに僕も堪忍袋の緒が切れて、怒鳴りつけてやったよ」
ルーク様が怒鳴るか…今でこそ穏やかな性格のルーク様だが、私がここに来たばかりの頃は、よく怒鳴ったりお皿を投げて暴れていたりしていたわね。
「本当にバカ王太子のせいで、今日はクタクタだよ。セリーナ。僕を癒してくれるかい?」
そう言って、私の膝を枕にして、横になったルーク様。ルーク様の美しい銀色の髪を、優しく撫でる。そうだわ、ルーク様に言わなければいけない事があったのだった。
でも、物凄く機嫌の悪いルーク様に出張の話をしたら、きっと怒られるわよね…
どうしよう。でも、出来るだけ早く病院に報告した方がいいわよね。
「あの、ルーク様。話があるのですが」
「何だい?」
「実は…地方で原因不明の病が流行している様で、多数の病人が出ている様なのです。それで、出張治療に行きたいのですが…」
「何だって!出張治療だと!そんなもの、ダメに決まっているだろう。君は次期公爵夫人になるんだ!そもそも、何日も離れ離れになるなんて、僕が耐えられない!絶対に行かせないから!」
飛び起きたルーク様に、案の定反対されてしまった。でも、このまま諦めるのも嫌だ。
「でも、大勢の人が病気で苦しんでいるのです!」
「君が行かなくても、他にもたくさん治癒師はいるだろう!どうして君が行く必要があるんだ!とにかくダメだ!この話はもう終わりだ!いいな」
こう言われては、もう何も言えない。やっぱりダメか…そう諦めかけたその時だった。
「何をそんなに大声を出しているんだい?」
部屋に入って来たのは、お義父様とお義母様だ。
「セリーナが、地方で原因不明の病が流行っているから、出張治療に行きたいと言うんだよ!」
「そう言えばシャディソン公爵の領地で、原因不明の病気が流行っていると言っていたな。既に多数の死者も出ている様だ。シャディソン公爵には、ファミア王女の件で随分お世話になったし。セリーナ、行ってあげなさい」
「父上、何を勝手な事を言っているんだ!僕は絶対に反対だ!」
「ルーク、落ち着きなさい。そんなにセリーナちゃんが心配なら、あなたも付いて行けばいいじゃないの。そもそも家の領地だって、いつ何時有事の自体に陥るか分からないのよ!将来の為にも、見ておくといいかもしれないわ」
どうやらお義父様もお義母様も、私が出張治療に行く事に賛成の様だ。
「一緒にか…分かったよ。僕も一緒に行くと言う条件なら、出張治療を認めよう。それで、出発はいつなんだ?」
「多分、私の返事が決まり次第すぐだと思います」
「分かった、明日ディオにしばらく王宮には来られないと、話して来るよ。父上も、陛下に話を付けて欲しい」
「分かった、陛下には話しておくよ。でも、今の王太子を1人にして、仕事が回るだろうか…」
心配そうなお義父様。
「そもそも、あいつは王太子なんだ!陛下も父上も少しディオを甘やかしすぎだ。このまま行けば、ろくでもない国王になるぞ!とにかく、自分の仕事は自分でやらせる様に父上から陛下に強く言ってくれ!」
「分かったよ。確かに王太子には、もっとしっかりしてくれないと困るしな」
「それにしても、ファミアと言いディオと言い、どうやらお兄様は子育てに失敗した様ね。そもそも、甘やかしすぎなのよ!そうだわ、ルークが留守の間、私がディオの元に行くわ!あのなまけ癖を叩き直して来るから、任せて!」
物凄く張り切るお義母様。王太子様、大丈夫かしら…
翌日
「という訳で、出張治療に行ける事になりました」
「それは良かった。では、早速明日出発でもいいだろうか?」
「はい、大丈夫です。公爵家の馬車で現地に向かいますわ」
やっぱりすぐに行って欲しいと言われた。でもルーク様も一緒だし、きっと大丈夫ね。
早速屋敷に戻ると、ルーク様に報告した。
「明日出発か。分かったよ。早速準備を整えよう。とにかく原因不明の病気が流行っている場所に行くんだ。気を引き締めて行かないと!」
その時だった。
コンコン
「失礼します。シャディソン公爵がお見えです」
メイドが私たちを呼びに来た。急いで客間へと向かうと、既に義両親が公爵の相手をしていた。
「セリーナ先生!病院の関係者から話は聞いたよ。まさか先生が自ら足を運んでくれるなんて!本当にありがとう!私も行きたいのだが、生憎仕事が立て込んでいてね。向こうには息子がいるから、ぜひこき使ってやって欲しい。もちろん、先生もルーク殿も領地の公爵家に泊ってもらう様、手配はしておくから」
「シャディソン公爵、お気遣いありがとうございます」
「お礼を言うのはこっちだよ。本当に先生には助けてもらいっぱなしだ!本当にありがとう」
そう言って何度も頭を下げるシャディソン公爵。これは責任重大ね。しっかりと治療しないと!
ルーク様と結婚してから半年が経とうとしていたある日、院長に呼び出された。どうやら地方に出張治療に行って欲しいと言う話だった。
「まあ、それは大変ですわ。一度ルーク様に相談してみますわね!」
とは言ったものの、出張なんて絶対に反対されるわよね…でも、沢山の人が病で苦しんでいるのを、放っておく訳にもいかない。
ダメ元で聞いてみるか!
屋敷に着くと、珍しくまだルーク様は帰っていなかった。どうやらまだ王太子様の仕事が終わらないのだろう。
実は先日、ビアンカ様が無事第一子となる王子様を産んだのだ。その為、王太子殿下が王子様にメロメロで、ほとんど仕事をしないらしい。初めての子供だから、メロメロになるのは良いが、一応王太子なのだ。仕事はきっちりして欲しい。
結局ルーク様が帰って来たのは、夕食後だった。
「本当にディオの奴には、いい加減頭に来たよ。全く仕事をしていないんだから!挙句“ルークが毎日来てくれたら、仕事を溜めこまないんだけれどな”なんて言うんだ。さすがに僕も堪忍袋の緒が切れて、怒鳴りつけてやったよ」
ルーク様が怒鳴るか…今でこそ穏やかな性格のルーク様だが、私がここに来たばかりの頃は、よく怒鳴ったりお皿を投げて暴れていたりしていたわね。
「本当にバカ王太子のせいで、今日はクタクタだよ。セリーナ。僕を癒してくれるかい?」
そう言って、私の膝を枕にして、横になったルーク様。ルーク様の美しい銀色の髪を、優しく撫でる。そうだわ、ルーク様に言わなければいけない事があったのだった。
でも、物凄く機嫌の悪いルーク様に出張の話をしたら、きっと怒られるわよね…
どうしよう。でも、出来るだけ早く病院に報告した方がいいわよね。
「あの、ルーク様。話があるのですが」
「何だい?」
「実は…地方で原因不明の病が流行している様で、多数の病人が出ている様なのです。それで、出張治療に行きたいのですが…」
「何だって!出張治療だと!そんなもの、ダメに決まっているだろう。君は次期公爵夫人になるんだ!そもそも、何日も離れ離れになるなんて、僕が耐えられない!絶対に行かせないから!」
飛び起きたルーク様に、案の定反対されてしまった。でも、このまま諦めるのも嫌だ。
「でも、大勢の人が病気で苦しんでいるのです!」
「君が行かなくても、他にもたくさん治癒師はいるだろう!どうして君が行く必要があるんだ!とにかくダメだ!この話はもう終わりだ!いいな」
こう言われては、もう何も言えない。やっぱりダメか…そう諦めかけたその時だった。
「何をそんなに大声を出しているんだい?」
部屋に入って来たのは、お義父様とお義母様だ。
「セリーナが、地方で原因不明の病が流行っているから、出張治療に行きたいと言うんだよ!」
「そう言えばシャディソン公爵の領地で、原因不明の病気が流行っていると言っていたな。既に多数の死者も出ている様だ。シャディソン公爵には、ファミア王女の件で随分お世話になったし。セリーナ、行ってあげなさい」
「父上、何を勝手な事を言っているんだ!僕は絶対に反対だ!」
「ルーク、落ち着きなさい。そんなにセリーナちゃんが心配なら、あなたも付いて行けばいいじゃないの。そもそも家の領地だって、いつ何時有事の自体に陥るか分からないのよ!将来の為にも、見ておくといいかもしれないわ」
どうやらお義父様もお義母様も、私が出張治療に行く事に賛成の様だ。
「一緒にか…分かったよ。僕も一緒に行くと言う条件なら、出張治療を認めよう。それで、出発はいつなんだ?」
「多分、私の返事が決まり次第すぐだと思います」
「分かった、明日ディオにしばらく王宮には来られないと、話して来るよ。父上も、陛下に話を付けて欲しい」
「分かった、陛下には話しておくよ。でも、今の王太子を1人にして、仕事が回るだろうか…」
心配そうなお義父様。
「そもそも、あいつは王太子なんだ!陛下も父上も少しディオを甘やかしすぎだ。このまま行けば、ろくでもない国王になるぞ!とにかく、自分の仕事は自分でやらせる様に父上から陛下に強く言ってくれ!」
「分かったよ。確かに王太子には、もっとしっかりしてくれないと困るしな」
「それにしても、ファミアと言いディオと言い、どうやらお兄様は子育てに失敗した様ね。そもそも、甘やかしすぎなのよ!そうだわ、ルークが留守の間、私がディオの元に行くわ!あのなまけ癖を叩き直して来るから、任せて!」
物凄く張り切るお義母様。王太子様、大丈夫かしら…
翌日
「という訳で、出張治療に行ける事になりました」
「それは良かった。では、早速明日出発でもいいだろうか?」
「はい、大丈夫です。公爵家の馬車で現地に向かいますわ」
やっぱりすぐに行って欲しいと言われた。でもルーク様も一緒だし、きっと大丈夫ね。
早速屋敷に戻ると、ルーク様に報告した。
「明日出発か。分かったよ。早速準備を整えよう。とにかく原因不明の病気が流行っている場所に行くんだ。気を引き締めて行かないと!」
その時だった。
コンコン
「失礼します。シャディソン公爵がお見えです」
メイドが私たちを呼びに来た。急いで客間へと向かうと、既に義両親が公爵の相手をしていた。
「セリーナ先生!病院の関係者から話は聞いたよ。まさか先生が自ら足を運んでくれるなんて!本当にありがとう!私も行きたいのだが、生憎仕事が立て込んでいてね。向こうには息子がいるから、ぜひこき使ってやって欲しい。もちろん、先生もルーク殿も領地の公爵家に泊ってもらう様、手配はしておくから」
「シャディソン公爵、お気遣いありがとうございます」
「お礼を言うのはこっちだよ。本当に先生には助けてもらいっぱなしだ!本当にありがとう」
そう言って何度も頭を下げるシャディソン公爵。これは責任重大ね。しっかりと治療しないと!
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