公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi

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第18話:ファミア王女が訪ねて来ました

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一度部屋に戻り、帰りの支度を整える。そんな私の姿を見て、寂しそうにしているルーク様。

「ルーク様、そんな寂しそうな顔をしないで下さい。毎日会えますし、それに婚約を結べばまた私はこのお屋敷で生活するのです」

「ああ、分かっているのだが、今までずっと一緒だっただろう。だから、セリーナがこの屋敷を出て行く事が、どうしても寂しくて…」

そう言って寂しそうに笑うルーク様。そんなルーク様をギューッと抱きしめる。

「私もルーク様に会えないのは寂しいですわ。でも、それ以上にルーク様と結婚出来る事が嬉しくてたまらないのです。ほんの少し寂しい事を我慢すれば、後はずっと一緒です!そう思ったら、寂しい事も我慢できませんか?」

「そうだね!父上の話では、来週には婚約を結べるとの事。それまでの辛抱だと思えば、何とか耐えられそうだ!あぁ、早く婚約を結びたい。そもそも、どうして結婚が16歳からなんだ!年齢制限さえなければ、今直ぐ結婚出来るのに…」

そう、わが国では16歳以上にならないと、結婚する事が出来ないのだ。私が後3ヶ月で15歳になるので、後1年と3ヶ月は結婚する事が出来ない。ただし婚約はいくつでも出来る事になっている。

「セリーナ、君の16歳の誕生日に、僕達の結婚式を挙げよう!そうだな、皆がアッと驚くような式が良いな。そう考えると、後1年と3ヶ月足らずしか準備期間が無いのか。その間に、婚約披露パーティーもあるし!これから忙しくなるね」

どうやら元気を取り戻したルーク様。それにしても婚約から結婚まで、随分と期間が短い気がするが、まあいいか。

ルーク様や公爵様、お義母様に見送られ、久しぶりの我が家に向かう。

「セリーナ、これからは次期公爵夫人になる為の教育を受けてもらう。有難い事に、公爵夫人から家庭教師も紹介してもらっているからね。これからは、今までとは違う意味で忙しくなるが、自分で決めた道だ。しっかり頑張るんだぞ!」

今公爵夫人に家庭教師を紹介してもらったって言っていたわよね。という事は、あのスパルタの先生が来るという事よね…

あの鬼先生のレッスンがまだ続くのか…
そう思ったら、一気に気が重くなってきた…
そんな中、無事伯爵家に着いた。

「お姉さま、お帰りなさい!ルークお兄様は?」

私を見るなり飛んできた弟や妹たち。

「ルーク様は公爵家よ。今日から家に戻って来たの。またよろしくね」

「え~、ルークお兄様は一緒じゃないの!つまらないわ!」

ブーブー文句を言う弟や妹たち。ちょっとあなた達、いくら何でも姉の私に向かって失礼だとは思わないの?そう思ったが、さすがに言えない。

「でも、お姉様だけでも帰ってきてくれて嬉しいわ。早速一緒に遊びましょう」

弟や妹たちに連れられて、早速本を読んであげたり、一緒にお人形ごっこをしたり、鬼ごっこをしたりして遊んだ。

それにしても、相変わらず元気だ。あまりの元気っぷりに、体が付いて行かない。ちょっと休憩を!そう思った時、ちょうど弟や妹の勉強の時間になった様で、家庭教師たちがやって来た。

助かった…
ブーブー文句を言いつつ家庭教師たちに連れていかれる弟や妹たち。まだ14歳なのに、どうやらこの2ヶ月で体力が落ちてしまった様だ!これはマズいわ!もっと体を動かさないと!

それにしても、あの子たちしっかり教育を受けられている様ね。良かったわ!

弟や妹たちから解放された後は、ティータイムだ。1人静かにお茶を飲みながら、本を読む。ただ私が読んでいるのは、医学書だけれどね。

その時だった。
メイドが大慌てで私のところにやって来たのだ。一体どうしたのかしら?

「お嬢様、大変です。ファミア王女が訪ねていらっしゃいました。今旦那様と奥様が居間で対応しております。すぐに居間にお越しください!」

何ですって、ファミア王女ですって!その名前を聞いた瞬間、嫌な予感がした。ファミア王女と言えば、ルーク様の元婚約者だ。それに昨日のパーティーの時、ルーク様に抱き着いていたわよね。

きっとルーク様に未練があるのだろう。という事は、私に別れろとでも言いに来たのかしら?そんな事を考えてしまう。

「お嬢様、お急ぎください」

私が中々動かないので、業を煮やしたメイドに再度促された。

「ごめんなさい、今すぐに向かうわ」

正直行きたくはないが、無視する訳にはいかない。急いで居間へと向かった。居間に入ると、確かにファミア王女が待っていた。扇で口元を隠している為、正直表情は読み取れない。向かいには両親も座っている。

「お待たせしてしまい、申し訳ございませんでした」

深々と頭を下げ、私も席に着く。

「わざわざ王女様が我が家に訪ねていらっしゃるだなんて、一体どういったご用件でしょうか?」

まず口を開いたのは、お父様だ。お父様もお母様も明らかに緊張している。

「今日はね、あなたにとても良いお話を持ってきたのよ。セリーナ嬢、喜びなさい!あなたを正式に王宮治癒師にすることが決まったの。とても名誉な事でしょう」

え?今なんて言ったの?王宮治癒師ですって?
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