5 / 27
第5話:私、どうしちゃったんだろう
しおりを挟む
エディソン様とばったり出くわしてから、1ヶ月が過ぎた。あの日エディソン様に関する思い出の数々を捨てた事で、気持ちの整理がついたのか、たまたまエディソン様を見ても、心がざわつく事も少なくなった。
きっとグレイズたちクラスメートが、私の傍にいてくれるからだろう。
グレイズ…
あの日令嬢たちに聞いたグレイズの事。私の為に、色々と動いてくれていたらしい。その事に関して、あの後お礼を言ったのだが…
“べ…別に俺はお前が可哀そうだから、同情のつもりで皆に声を掛けていただけだ”
と、相変わらず暴言を吐いていた。それでも、私の為に動いてくれていたことは素直に嬉しい。いつも暴言ばかり吐いていたグレイズだけれど、よく考えると子供の頃からずっと私の事を考えてくれていたのよね…
ふとグレイズの方を見ると、令息たちと楽しそうに話しをしていた。確かに他の令息たちに比べると、グレイズは男前だ。背も高いし顔も整っている。
その時だった。グレイズの緑色の瞳と目があった。その瞬間、なぜか一気に鼓動が早くなる。ちょっと、どうしてドキドキするのよ。
「おい、急にどうしたんだよ。俺の顔をジロジロ見て。それになんだか顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
私の方に近づいて来たと思ったら、そのまま自分のおでこを私のおでこにくっ付けたのだ。近い、近すぎるわ!
「ちょっと、何するのよ。熱何てないわよ」
ダメだ、心臓の音がうるさくてたまらない。落ち着くのよ、私。
クルリとグレイズに背中を向ける。きっと顔は真っ赤だろう。
「何だよ、変な奴だな。なあ、顔も赤いし医務室に行った方がいいんじゃないか?」
そう言うと、何を思ったのか今度は私を抱きかかえたのだ。
「ちょっと、グレイズ。何するのよ」
「何って、医務室に連れていてやるんだよ。おい、暴れるな、落っことすぞ」
ギューッと力を入れるグレイズ。そのせいで、グレイズの胸板が私に当たっている。グレイズっていつからこんな立派な体になったのよ。もう、増々心臓の音がうるさくなるじゃない!
「グレイズ、本当に大丈夫だから下ろしてよ」
「何を言っているんだよ。お前、元々体が弱いんだから、無理するな」
グレイズは子供の頃から、いつも私の体調を気遣ってくれていた。私が熱を出すたびに、可愛いお花を1輪だけ持って、見舞いに来てくれていたな…
そんな事を考えているうちに、医務室についてしまった。早速先生に私の事を話すグレイズ。
「う~ん、特に熱もない様だし、大丈夫そうよ」
そう言って首をかしげる先生。そりゃそうだろう、私はすこぶる元気なのだから。先生にも、特に体調に問題ないと伝えた。
「とにかく、また体調が悪くなったらいらっしゃい」
そう先生に言われ、医務室を後にする。
「お前、本当に大丈夫なのか?さっきは顔が真っ赤だったぞ」
心配そうに私の顔を覗き込むグレイズ。
あなたがおでこをくっつけなければ、私は赤くなることもなかったのよ。でも、それだけ私の事を心配してくれているという事だろう。そう思ったら、なんだか嬉しくなった。そして、そっとグレイズの手を握った。温かくて大きな手。
「何だよお前、急に手なんか握って来て」
「あら、子供の頃はいつもこうやって手を握っていたじゃない」
「そうだけど…」
今度はグレイズが顔を赤くしている。あら?もしかして照れているのかしら?グレイズったら、意外と可愛いところがあるのね。
そう思ったら、笑いがこみ上げてきた。
「おい、何が可笑しいんだよ」
「だってグレイズ、耳まで真っ赤よ。手を繋いだくらいで照れるだなんて、可愛いなと思ったのよ」
「べ…別に俺は照れていない!変な言いがかりはよせ。ほら、もうすぐ授業が始まるぞ」
ギューッと私の手を握り、再び歩き始めたグレイズ。なんだかこの手の温もり、落ち着くわ…
その時、令嬢の“当たり前の様に傍にいてくれる人って、案外失ってみて大切さに気付く事も多いっていうし。アンリ、あなたも後悔しないようにね”の言葉を思い出した。
グレイズがもし他の令嬢と婚約して、私の元から離れて行ったら…
想像しただけで、胸がキュッと締め付けられるような気持ちになった。
私、もしかして…
いいえ、そんな事はないわ。だって大好きだったエディソン様を諦めて、まだ3ヶ月しか経っていないのですもの。それなのに、他の、それも幼馴染を…
きっと最近令嬢たちが変な事ばかり言うから、気持ちが不安定なんだわ。そうよ、そうに決まっているわ…
きっとグレイズたちクラスメートが、私の傍にいてくれるからだろう。
グレイズ…
あの日令嬢たちに聞いたグレイズの事。私の為に、色々と動いてくれていたらしい。その事に関して、あの後お礼を言ったのだが…
“べ…別に俺はお前が可哀そうだから、同情のつもりで皆に声を掛けていただけだ”
と、相変わらず暴言を吐いていた。それでも、私の為に動いてくれていたことは素直に嬉しい。いつも暴言ばかり吐いていたグレイズだけれど、よく考えると子供の頃からずっと私の事を考えてくれていたのよね…
ふとグレイズの方を見ると、令息たちと楽しそうに話しをしていた。確かに他の令息たちに比べると、グレイズは男前だ。背も高いし顔も整っている。
その時だった。グレイズの緑色の瞳と目があった。その瞬間、なぜか一気に鼓動が早くなる。ちょっと、どうしてドキドキするのよ。
「おい、急にどうしたんだよ。俺の顔をジロジロ見て。それになんだか顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
私の方に近づいて来たと思ったら、そのまま自分のおでこを私のおでこにくっ付けたのだ。近い、近すぎるわ!
「ちょっと、何するのよ。熱何てないわよ」
ダメだ、心臓の音がうるさくてたまらない。落ち着くのよ、私。
クルリとグレイズに背中を向ける。きっと顔は真っ赤だろう。
「何だよ、変な奴だな。なあ、顔も赤いし医務室に行った方がいいんじゃないか?」
そう言うと、何を思ったのか今度は私を抱きかかえたのだ。
「ちょっと、グレイズ。何するのよ」
「何って、医務室に連れていてやるんだよ。おい、暴れるな、落っことすぞ」
ギューッと力を入れるグレイズ。そのせいで、グレイズの胸板が私に当たっている。グレイズっていつからこんな立派な体になったのよ。もう、増々心臓の音がうるさくなるじゃない!
「グレイズ、本当に大丈夫だから下ろしてよ」
「何を言っているんだよ。お前、元々体が弱いんだから、無理するな」
グレイズは子供の頃から、いつも私の体調を気遣ってくれていた。私が熱を出すたびに、可愛いお花を1輪だけ持って、見舞いに来てくれていたな…
そんな事を考えているうちに、医務室についてしまった。早速先生に私の事を話すグレイズ。
「う~ん、特に熱もない様だし、大丈夫そうよ」
そう言って首をかしげる先生。そりゃそうだろう、私はすこぶる元気なのだから。先生にも、特に体調に問題ないと伝えた。
「とにかく、また体調が悪くなったらいらっしゃい」
そう先生に言われ、医務室を後にする。
「お前、本当に大丈夫なのか?さっきは顔が真っ赤だったぞ」
心配そうに私の顔を覗き込むグレイズ。
あなたがおでこをくっつけなければ、私は赤くなることもなかったのよ。でも、それだけ私の事を心配してくれているという事だろう。そう思ったら、なんだか嬉しくなった。そして、そっとグレイズの手を握った。温かくて大きな手。
「何だよお前、急に手なんか握って来て」
「あら、子供の頃はいつもこうやって手を握っていたじゃない」
「そうだけど…」
今度はグレイズが顔を赤くしている。あら?もしかして照れているのかしら?グレイズったら、意外と可愛いところがあるのね。
そう思ったら、笑いがこみ上げてきた。
「おい、何が可笑しいんだよ」
「だってグレイズ、耳まで真っ赤よ。手を繋いだくらいで照れるだなんて、可愛いなと思ったのよ」
「べ…別に俺は照れていない!変な言いがかりはよせ。ほら、もうすぐ授業が始まるぞ」
ギューッと私の手を握り、再び歩き始めたグレイズ。なんだかこの手の温もり、落ち着くわ…
その時、令嬢の“当たり前の様に傍にいてくれる人って、案外失ってみて大切さに気付く事も多いっていうし。アンリ、あなたも後悔しないようにね”の言葉を思い出した。
グレイズがもし他の令嬢と婚約して、私の元から離れて行ったら…
想像しただけで、胸がキュッと締め付けられるような気持ちになった。
私、もしかして…
いいえ、そんな事はないわ。だって大好きだったエディソン様を諦めて、まだ3ヶ月しか経っていないのですもの。それなのに、他の、それも幼馴染を…
きっと最近令嬢たちが変な事ばかり言うから、気持ちが不安定なんだわ。そうよ、そうに決まっているわ…
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
4,469
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる