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第4話:久しぶりにエディソン様に会いました
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エディソン様を諦めてから、2ヶ月が過ぎた。最初の1ヶ月くらいはやはり辛くて1人涙を流すこともあったが、グレイズをはじめ、仲良くなったクラスメートのお陰で、少しずつだがエディソン様の事を考えない時間も増えてきた。
このままエディソン様の事も、きっと忘れていくのだろう。少し寂しい気もするが、決して報われない恋。いつまでも引きずっていても、仕方がない。とにかく今は、クラスメートたちと楽しく過ごすことに力を入れている。
今も仲良くなったクラスの令嬢たちと、放課後のティータイムだ。
「それでアンリ、グレイズ様との仲はどうなの?」
ブーーーーー。
あまりにもあり得ない事を聞いてくるものだから、飲んでいた紅茶を吹き出してしまった。
「ちょっとアンリ、何をどうしたらお茶を吹き出すのよ。本当にあなた、面白いわね」
吹き出してしまった紅茶を急いでふき取る。そんな私を他所に、令嬢たちはクスクス笑っていた。
「あなたが変な事を言うからでしょう。なにをどうしたら、グレイズと私の仲をなんて聞くのよ」
本当にあり得ないわ。
「あら、だってあなた達、仲良しじゃない。それにいつもアンリの事、気にしているし。あなたは知らないだろうけれど、あなたがマッキーノ侯爵令息を追い回している頃から“アンリと出来たら仲良くしてやって欲しい”て、ずっと言っていたのよ。いつもアンリの事を気にかけてくれていたのに、あなたときたら…」
そうだったのね。全然知らなかったわ…
「当たり前の様に側にいてくれる人って、案外失ってみて大切さに気付く事も多いっていうし。アンリ、あなたも後悔しないようにね」
そう言って私の肩を叩く令嬢。
グレイズの事を今までそんな風に考えた事がなかったが、確かに子供の頃から当たり前の様に一緒にいた。私が領地に行ってからも、定期的に訪ねてきてくれたグレイズ。
いつも当たり前の様に私の側にいてくれたのよね。グレイズがそばにいる事が、当たり前だと思っていたけれど…
「アンリ、そんな顔をしないでよ。幸いあなた達は、まだお互い婚約者がいないのだから。さあ、美味しいクッキーがあるのよ。食べましょう」
どうやら私が暗い顔をしていたせいか、慌ててクッキーを勧めてくれた。その後、令嬢たちとお話をしながら、お茶を楽しんだ。
「それじゃあ、また明日ね」
お茶を楽しんだ後、それぞれ馬車に乗り込もうとした時だった。
「しまった、楽しすぎてカバンをテラスに忘れてきてしまったわ。私ったら、何をしているのかしら?」
急いでテラスに戻る。よかった、カバンがあったわ。カバンを回収すると、再び校門を目指し、歩き始めた時だった。
私の前にいたのは、エディソン様だ。エディソン様も私に気が付いた様で、こちらを見ている。
どうしよう…このままスルーした方がいいわよね。
ぺこりと頭を下げて、小走りでその場を立ち去ろうとしたのだが。
「アンリ嬢、待ってくれ」
なぜか私の腕を掴んだのだ。一体どういうつもりだろう。こんな事をされたら、また心が揺らぐじゃない!
「エディソン様、お久しぶりです。今まで数々のご無礼、お許しください。それでは私はこれで」
再び頭を下げ、その場を足し去った。後ろでエディソン様が何かを叫んでいたが、今はそれどころではない。
この2ヶ月、私は必死にエディソン様の事を忘れようと頑張ってきたのに。顔を見たら、また抑えていた気持ちが溢れ出すじゃない。とにかく落ち着かないと。
無我夢中で走り、そのまま馬車へと乗り込んだ。とにかく落ち着かないと…
でも、どうしてあんなところにエディソン様がいらしたのかしら?あそこは2年棟のテラスだ。本来エディソン様がいらっしゃるはずがない場所。て、そんな事はどうでもいいわ。
やっぱりエディソン様、素敵だったわね。
ゆっくりと深呼吸をした。少し落ち着いたところで、再びエディソン様の事を考える。確かにエディソン様はとても素敵だった。でも、いくら私が素敵だと感じたところで、どうする事もできない。その事は、変わらない事実だ。
屋敷に着くと、急いで自室へと戻ってきた。そして、引き出しからあるものを取り出す。そう、エディソン様について色々と書き留めたノートだ。さらにエディソン様に貰ったお菓子の箱や、香水が入っていた小瓶。エディソン様はとても優しく律儀だったことから、私たち取り巻きにも、お菓子や香水、ハンドクリームなど、色々なものをプレゼントしてくれたのだ。
もちろんエディソン様に深い意味はなく、その他大勢の令嬢にあげていたものを貰っただけだ。
今まで大切に取っておいたエディソン様に関する思い出の品々。それらを、大きな箱に詰めていく。こうやって詰めると、結構あるのね。さあ、詰め終わったわ。
「これを捨てておいてくれるかしら」
近くにいたメイドに、処分を依頼した。これでもう、エディソン様に繋がるものは、我が家には何一つない。
さよなら、エディソン様。
心の中で、そっと別れを告げた。
きっともう二度とエディソン様と関わる事はないだろう。そう考えると、まだ胸が締め付けられる。でも、この痛みもそのうち和らいでいくだろう。現にこの2ヶ月間で、エディソン様の事を随分考えなくなったのだから。
このままエディソン様の事も、きっと忘れていくのだろう。少し寂しい気もするが、決して報われない恋。いつまでも引きずっていても、仕方がない。とにかく今は、クラスメートたちと楽しく過ごすことに力を入れている。
今も仲良くなったクラスの令嬢たちと、放課後のティータイムだ。
「それでアンリ、グレイズ様との仲はどうなの?」
ブーーーーー。
あまりにもあり得ない事を聞いてくるものだから、飲んでいた紅茶を吹き出してしまった。
「ちょっとアンリ、何をどうしたらお茶を吹き出すのよ。本当にあなた、面白いわね」
吹き出してしまった紅茶を急いでふき取る。そんな私を他所に、令嬢たちはクスクス笑っていた。
「あなたが変な事を言うからでしょう。なにをどうしたら、グレイズと私の仲をなんて聞くのよ」
本当にあり得ないわ。
「あら、だってあなた達、仲良しじゃない。それにいつもアンリの事、気にしているし。あなたは知らないだろうけれど、あなたがマッキーノ侯爵令息を追い回している頃から“アンリと出来たら仲良くしてやって欲しい”て、ずっと言っていたのよ。いつもアンリの事を気にかけてくれていたのに、あなたときたら…」
そうだったのね。全然知らなかったわ…
「当たり前の様に側にいてくれる人って、案外失ってみて大切さに気付く事も多いっていうし。アンリ、あなたも後悔しないようにね」
そう言って私の肩を叩く令嬢。
グレイズの事を今までそんな風に考えた事がなかったが、確かに子供の頃から当たり前の様に一緒にいた。私が領地に行ってからも、定期的に訪ねてきてくれたグレイズ。
いつも当たり前の様に私の側にいてくれたのよね。グレイズがそばにいる事が、当たり前だと思っていたけれど…
「アンリ、そんな顔をしないでよ。幸いあなた達は、まだお互い婚約者がいないのだから。さあ、美味しいクッキーがあるのよ。食べましょう」
どうやら私が暗い顔をしていたせいか、慌ててクッキーを勧めてくれた。その後、令嬢たちとお話をしながら、お茶を楽しんだ。
「それじゃあ、また明日ね」
お茶を楽しんだ後、それぞれ馬車に乗り込もうとした時だった。
「しまった、楽しすぎてカバンをテラスに忘れてきてしまったわ。私ったら、何をしているのかしら?」
急いでテラスに戻る。よかった、カバンがあったわ。カバンを回収すると、再び校門を目指し、歩き始めた時だった。
私の前にいたのは、エディソン様だ。エディソン様も私に気が付いた様で、こちらを見ている。
どうしよう…このままスルーした方がいいわよね。
ぺこりと頭を下げて、小走りでその場を立ち去ろうとしたのだが。
「アンリ嬢、待ってくれ」
なぜか私の腕を掴んだのだ。一体どういうつもりだろう。こんな事をされたら、また心が揺らぐじゃない!
「エディソン様、お久しぶりです。今まで数々のご無礼、お許しください。それでは私はこれで」
再び頭を下げ、その場を足し去った。後ろでエディソン様が何かを叫んでいたが、今はそれどころではない。
この2ヶ月、私は必死にエディソン様の事を忘れようと頑張ってきたのに。顔を見たら、また抑えていた気持ちが溢れ出すじゃない。とにかく落ち着かないと。
無我夢中で走り、そのまま馬車へと乗り込んだ。とにかく落ち着かないと…
でも、どうしてあんなところにエディソン様がいらしたのかしら?あそこは2年棟のテラスだ。本来エディソン様がいらっしゃるはずがない場所。て、そんな事はどうでもいいわ。
やっぱりエディソン様、素敵だったわね。
ゆっくりと深呼吸をした。少し落ち着いたところで、再びエディソン様の事を考える。確かにエディソン様はとても素敵だった。でも、いくら私が素敵だと感じたところで、どうする事もできない。その事は、変わらない事実だ。
屋敷に着くと、急いで自室へと戻ってきた。そして、引き出しからあるものを取り出す。そう、エディソン様について色々と書き留めたノートだ。さらにエディソン様に貰ったお菓子の箱や、香水が入っていた小瓶。エディソン様はとても優しく律儀だったことから、私たち取り巻きにも、お菓子や香水、ハンドクリームなど、色々なものをプレゼントしてくれたのだ。
もちろんエディソン様に深い意味はなく、その他大勢の令嬢にあげていたものを貰っただけだ。
今まで大切に取っておいたエディソン様に関する思い出の品々。それらを、大きな箱に詰めていく。こうやって詰めると、結構あるのね。さあ、詰め終わったわ。
「これを捨てておいてくれるかしら」
近くにいたメイドに、処分を依頼した。これでもう、エディソン様に繋がるものは、我が家には何一つない。
さよなら、エディソン様。
心の中で、そっと別れを告げた。
きっともう二度とエディソン様と関わる事はないだろう。そう考えると、まだ胸が締め付けられる。でも、この痛みもそのうち和らいでいくだろう。現にこの2ヶ月間で、エディソン様の事を随分考えなくなったのだから。
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