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女神の微笑み編
囮と想定
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その日はヒセラの体調不良により移動は無し。
翌日。一日分の遅れを取り戻す為、ヒセラの提案で大きな街道を外れてショートカットへと入る。足場も見通しも悪い谷間の底を移動する。
人通りも少なく決して安全とは言えないルートへ……さらに日も落ち始め、周囲も暗くなってくる。
俺はリアーナとロザリンドに目配せ。二人も小さく頷く。
感じていた視線。
ベルベッティアの偵察で分かったのは、それがヒセラの指示で動く王国兵であるという事。詳しい理由までは分からないけどな……考えられるのはヒセラこそが囮。
ヒセラ自身で敵対者を誘き出して王国兵で叩く。そう考えればヒセラがこのルートを選んだのも理解が出来る。
つまり敵対者の襲撃は近い可能性。
川の流れに沿う砂利道に馬車の速度は上がらない。そして岩壁に挟まれ逃げ場は無い。絶好の襲撃ポイントじゃん。
岩壁の上部は木々に覆われ何も見えない。しかしその中で王国兵が待機しているのは、コノハナサクヤヒメが確認済み。岩壁を苦も無く上るスライムは貴重過ぎるぜ。
ちなみにベルベッティアはその王国兵をずっと尾行している。
最初の異変はトラコスの大声だった。内容までは聞き取れない。
そしてヒセラと俺達が乗る馬車の戸がバンバンと叩かれる。
「ヒセラさん!!」
トラコスだ。
「どうかしましたか?」
ヒセラが戸を開けるとそこには険しい表情をしたトラコス。その顔にいつもの微笑みは無い。
「何者かが馬車の前後を挟んでいます。まだ姿は見えませんが、気配から合計で二十人程度。警戒が必要です。まずは僕達が対処しますのでヒセラさんは絶対に馬車から出ないで下さい。君達三人もだよ」
言いながらトラコスは剣を抜くのだった。
俺達は馬車に取り付けられた小窓から様子を見守る。
この馬車を守るように傍らに立つトラコス。
馬車の前後をトラコスのパーティーメンバーが二人ずつに分かれて立つ。
そして薄暗い中から姿を現したのは仮面で顔を隠す集団だった。目の部分だけに穴が開けられた無味乾燥な仮面。動きやすい軽装により、男女が入り混じっているのは分かる。
どう見ても普通の奴等じゃないな。
姿を現すと同時だった。仮面の一人がスラリと剣を抜き突進する。それが戦闘監視の合図。
『光剣と銀翼』は珍しい編成だった。
言うなれば女四人は全員が前衛。武器での直接戦闘を主としていた。
そしてリーダーであるトラコスは後衛。後ろから指示を出しつつ魔法でのサポートである。ただ直接戦闘も仲間以上である。
トラコスは剣を薙ぐ。それを相手は同じく剣で受け止めるのだが……
「それで僕が止められるか!!」
強引に振り抜き、力で相手を叩き飛ばす。まず腕力が強い。
そのトラコスに今度は別の仮面が斬り掛かる。振り下ろされた一撃をトラコスは剣で受け止めると同時、力をいなし、巻き込むようにして弾き返す。剣の技術も高い。
さらに周囲に魔法攻撃を飛ばす。振り向きもせず背後の敵にまでもだ。
そんな様子を見て俺は言う。
「ただのバカかと思ったけど、もしかしてトラコスって強い?」
「強いわ。今まで見てきた冒険者の中でも格段の強さ」
ロザリンドの言葉にリアーナも続ける。
「うん。でもトラコスさんだけじゃないよ。他の仲間もみんな強い」
「剣だけだったらキオとどっちが強い?」
「相手にならないわね」
「そ、そこまでなんだ……トラコスって……」
「違うよ、シノブちゃん。キオちゃんの方がもっと凄いよ」
「そっちか!!」
なんて俺達にヒセラが言う。
「襲撃を受けているのに随分と落ち着いていますね」
「まぁ、ヒセラさんも想定されていた事態でしょうし」
「……どういう事でしょうか?」
「王国の護衛の人達、近くにいますよね」
「もうそこまで……そうですね。シノブさんの想像通りです。このままトラコスさんが襲撃者を倒せればそれで良いのですが、もし危ないようなら王国兵の援軍があります。襲撃者から黒幕まで辿り着けなくても、これが何かのきっかけになれば……」
まぁ、想定内の事態なんで慌てる事はないだろ。
……
…………
………………ん?
想定内なのはヒセラの想定であって、俺の想定じゃない。
「シノブちゃん?」
「すんごい嫌な予感がする!!」
「私も出る?」
ロザリンドが腰を上げる。
「待って。リアーナ、探索魔法、飛ばせるだけ遠くに飛ばして」
リアーナは即座に魔導書を開き、魔力を周囲へと飛ばす。
結果。
「……シノブちゃん……王国兵の人達に近付く集団があるよ。その外側にもいくつもの集団……それと今、向こうからの探索魔法でこっちを探られたけど……魔力の質からかなりの強さも感じる。それとこの大きさ……人間じゃない……魔物……」
その時である。
微かに空気が振動する。遠く離れた場所に立ち上る煙。
誰かが戦ってる?
「ヒセラさん、王国兵の人数は分かりますか!!?」
「そ、それはもちろんです……」
……マジか……ヒセラさんの言う人数は、リアーナが探知した人数の半分以下。全く合わない。
さらに。
悲鳴と共に岩壁から何人も王国兵が転がり落ちる。攻め落とされたのだ。
「な、何だ? これは……」
トラコスも業況が掴めない。
これは逃げ切れない。ここまで大人数を掛けたのだ、そういう配置をされているはず。
だがこちらにはリアーナとロザリンドがいる。アルテュールの時に大陸中へ姿を配信されたが、その時よりも二人は格段に強くなっている。それはきっと相手の想像以上にだ。
「リアーナ、ロザリンド、お願い。ヒメには別のお願いがあるの」
「うん。ここで戦うんだね」
「そうね、逃げ切れる配置をしていないと思うから」
「どんな事でもお任せくだされぇぇぇっ」
コノハナサクヤヒメも服の下からにゅるんと現れる。
そうして三人は馬車を降りる。
★★★
岩壁の上では何者かが戦っている。岩壁から落とされた人間の装備を見れば王国兵である事が分かる。
どういう事なのか、トラコスにそれを聞き出す余裕は無い。
そんな中で馬車から降りるリアーナとロザリンドの姿を見付ける。
「どうして降りてきたんだ!!? 君達十等級に敵う相手じゃない!!」
片手で魔導書を開き、リアーナは詠唱を口にする。
「分からないのか!!? 早く逃げるんだ!! ここは僕が絶対に食い止めるから!!」
そのリアーナの周囲、薄闇の中に浮かび上がる無数の魔法陣。そこから撃ち出されるのは細く青白い熱線。無数の熱線が見える範囲、仮面達の手足だけを貫く。
岩壁の上から放たれる矢、そして魔法攻撃。それすらも熱線は正確に撃ち抜いた。夜目が利くエルフという特性もあるのだろう。
リアーナは周囲に人も攻撃も寄せ付けない。
「……」
呆然とするトラコスの元へはロザリンド。
「この程度の人数ならリアーナ一人で問題は無いけれど、これからもっと大勢の敵が向かって来るわ。逃げ切れないと思うからここで迎撃する」
「逃げ切れない相手に勝てるのか?」
「逃げを意識しながらでは充分に戦えない。でも戦いだけに集中できるのなら」
「……分かった」
「それと王国兵は味方よ。あなたのパーティーに回復魔法が使える仲間がいるならそちらの補助をお願いしたいのだけれど」
「ああ。君はどうするつもりだ?」
「そうね。少し上を減らしてくるわ」
ロザリンドは抜いた刀の柄に刻まれた小さな魔法陣を意識する。そして身体強化の魔法を使い、一気に岩壁を掛け上げるのだった。そのまま木々の中に飛び込む。
「……やはり彼女達は僕に相応しい。運命だな」
トラコスは笑みを浮かべるのだった。
翌日。一日分の遅れを取り戻す為、ヒセラの提案で大きな街道を外れてショートカットへと入る。足場も見通しも悪い谷間の底を移動する。
人通りも少なく決して安全とは言えないルートへ……さらに日も落ち始め、周囲も暗くなってくる。
俺はリアーナとロザリンドに目配せ。二人も小さく頷く。
感じていた視線。
ベルベッティアの偵察で分かったのは、それがヒセラの指示で動く王国兵であるという事。詳しい理由までは分からないけどな……考えられるのはヒセラこそが囮。
ヒセラ自身で敵対者を誘き出して王国兵で叩く。そう考えればヒセラがこのルートを選んだのも理解が出来る。
つまり敵対者の襲撃は近い可能性。
川の流れに沿う砂利道に馬車の速度は上がらない。そして岩壁に挟まれ逃げ場は無い。絶好の襲撃ポイントじゃん。
岩壁の上部は木々に覆われ何も見えない。しかしその中で王国兵が待機しているのは、コノハナサクヤヒメが確認済み。岩壁を苦も無く上るスライムは貴重過ぎるぜ。
ちなみにベルベッティアはその王国兵をずっと尾行している。
最初の異変はトラコスの大声だった。内容までは聞き取れない。
そしてヒセラと俺達が乗る馬車の戸がバンバンと叩かれる。
「ヒセラさん!!」
トラコスだ。
「どうかしましたか?」
ヒセラが戸を開けるとそこには険しい表情をしたトラコス。その顔にいつもの微笑みは無い。
「何者かが馬車の前後を挟んでいます。まだ姿は見えませんが、気配から合計で二十人程度。警戒が必要です。まずは僕達が対処しますのでヒセラさんは絶対に馬車から出ないで下さい。君達三人もだよ」
言いながらトラコスは剣を抜くのだった。
俺達は馬車に取り付けられた小窓から様子を見守る。
この馬車を守るように傍らに立つトラコス。
馬車の前後をトラコスのパーティーメンバーが二人ずつに分かれて立つ。
そして薄暗い中から姿を現したのは仮面で顔を隠す集団だった。目の部分だけに穴が開けられた無味乾燥な仮面。動きやすい軽装により、男女が入り混じっているのは分かる。
どう見ても普通の奴等じゃないな。
姿を現すと同時だった。仮面の一人がスラリと剣を抜き突進する。それが戦闘監視の合図。
『光剣と銀翼』は珍しい編成だった。
言うなれば女四人は全員が前衛。武器での直接戦闘を主としていた。
そしてリーダーであるトラコスは後衛。後ろから指示を出しつつ魔法でのサポートである。ただ直接戦闘も仲間以上である。
トラコスは剣を薙ぐ。それを相手は同じく剣で受け止めるのだが……
「それで僕が止められるか!!」
強引に振り抜き、力で相手を叩き飛ばす。まず腕力が強い。
そのトラコスに今度は別の仮面が斬り掛かる。振り下ろされた一撃をトラコスは剣で受け止めると同時、力をいなし、巻き込むようにして弾き返す。剣の技術も高い。
さらに周囲に魔法攻撃を飛ばす。振り向きもせず背後の敵にまでもだ。
そんな様子を見て俺は言う。
「ただのバカかと思ったけど、もしかしてトラコスって強い?」
「強いわ。今まで見てきた冒険者の中でも格段の強さ」
ロザリンドの言葉にリアーナも続ける。
「うん。でもトラコスさんだけじゃないよ。他の仲間もみんな強い」
「剣だけだったらキオとどっちが強い?」
「相手にならないわね」
「そ、そこまでなんだ……トラコスって……」
「違うよ、シノブちゃん。キオちゃんの方がもっと凄いよ」
「そっちか!!」
なんて俺達にヒセラが言う。
「襲撃を受けているのに随分と落ち着いていますね」
「まぁ、ヒセラさんも想定されていた事態でしょうし」
「……どういう事でしょうか?」
「王国の護衛の人達、近くにいますよね」
「もうそこまで……そうですね。シノブさんの想像通りです。このままトラコスさんが襲撃者を倒せればそれで良いのですが、もし危ないようなら王国兵の援軍があります。襲撃者から黒幕まで辿り着けなくても、これが何かのきっかけになれば……」
まぁ、想定内の事態なんで慌てる事はないだろ。
……
…………
………………ん?
想定内なのはヒセラの想定であって、俺の想定じゃない。
「シノブちゃん?」
「すんごい嫌な予感がする!!」
「私も出る?」
ロザリンドが腰を上げる。
「待って。リアーナ、探索魔法、飛ばせるだけ遠くに飛ばして」
リアーナは即座に魔導書を開き、魔力を周囲へと飛ばす。
結果。
「……シノブちゃん……王国兵の人達に近付く集団があるよ。その外側にもいくつもの集団……それと今、向こうからの探索魔法でこっちを探られたけど……魔力の質からかなりの強さも感じる。それとこの大きさ……人間じゃない……魔物……」
その時である。
微かに空気が振動する。遠く離れた場所に立ち上る煙。
誰かが戦ってる?
「ヒセラさん、王国兵の人数は分かりますか!!?」
「そ、それはもちろんです……」
……マジか……ヒセラさんの言う人数は、リアーナが探知した人数の半分以下。全く合わない。
さらに。
悲鳴と共に岩壁から何人も王国兵が転がり落ちる。攻め落とされたのだ。
「な、何だ? これは……」
トラコスも業況が掴めない。
これは逃げ切れない。ここまで大人数を掛けたのだ、そういう配置をされているはず。
だがこちらにはリアーナとロザリンドがいる。アルテュールの時に大陸中へ姿を配信されたが、その時よりも二人は格段に強くなっている。それはきっと相手の想像以上にだ。
「リアーナ、ロザリンド、お願い。ヒメには別のお願いがあるの」
「うん。ここで戦うんだね」
「そうね、逃げ切れる配置をしていないと思うから」
「どんな事でもお任せくだされぇぇぇっ」
コノハナサクヤヒメも服の下からにゅるんと現れる。
そうして三人は馬車を降りる。
★★★
岩壁の上では何者かが戦っている。岩壁から落とされた人間の装備を見れば王国兵である事が分かる。
どういう事なのか、トラコスにそれを聞き出す余裕は無い。
そんな中で馬車から降りるリアーナとロザリンドの姿を見付ける。
「どうして降りてきたんだ!!? 君達十等級に敵う相手じゃない!!」
片手で魔導書を開き、リアーナは詠唱を口にする。
「分からないのか!!? 早く逃げるんだ!! ここは僕が絶対に食い止めるから!!」
そのリアーナの周囲、薄闇の中に浮かび上がる無数の魔法陣。そこから撃ち出されるのは細く青白い熱線。無数の熱線が見える範囲、仮面達の手足だけを貫く。
岩壁の上から放たれる矢、そして魔法攻撃。それすらも熱線は正確に撃ち抜いた。夜目が利くエルフという特性もあるのだろう。
リアーナは周囲に人も攻撃も寄せ付けない。
「……」
呆然とするトラコスの元へはロザリンド。
「この程度の人数ならリアーナ一人で問題は無いけれど、これからもっと大勢の敵が向かって来るわ。逃げ切れないと思うからここで迎撃する」
「逃げ切れない相手に勝てるのか?」
「逃げを意識しながらでは充分に戦えない。でも戦いだけに集中できるのなら」
「……分かった」
「それと王国兵は味方よ。あなたのパーティーに回復魔法が使える仲間がいるならそちらの補助をお願いしたいのだけれど」
「ああ。君はどうするつもりだ?」
「そうね。少し上を減らしてくるわ」
ロザリンドは抜いた刀の柄に刻まれた小さな魔法陣を意識する。そして身体強化の魔法を使い、一気に岩壁を掛け上げるのだった。そのまま木々の中に飛び込む。
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