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神々の手編
心と体
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そんなわけで特訓も終了。
塔から戻ると既に編成も終わっていた。
司令部。
俺、ヴォルフラム、ホーリー、アルタイル、シャーリー。他200名。
まぁ、いつも通り、ヴォルフラム達4人は俺の護衛だね。それとは別に王国兵とギルドの冒険者が周りを固める。ついでに予備隊の人数も含まれている。
救護班。
タックルベリー、フレア、アリエリ。他100名。
タックルベリーは回復と護衛、フレアは回復と負傷者回収、アリエリは負傷者回収と護衛。
第一本隊。
隊長ビスマルク、副隊長ヴイーヴル、ミツバ。他600名。
とにかくの大火力。
第二本隊。
隊長ミラン、副隊長ドレミド。他400名。
基本的には第一本隊の補佐となるが、ビスマルクが離脱する場合はこちらが主隊となる。
防御と攻撃のバランスが取れた隊。
遊撃隊その一。
隊長リアーナ、副隊長タカニャ。他300名。
基本的には自由に動いてもらう。
遊撃隊その二。
隊長ロザリンド、副隊長フォリオ。他300名。
こっちも基本的には自由に動いてもらう。
偵察班。
ベルベッティア、キオ、ハリエット。他50人。
先行して偵察、索敵、場合によっては敵の足止め等の役割を担ってもらう。
連絡班。
リコリス、ユリアン。他50名。
各隊、各班の連絡と連携が主な役割になる。
そんな大編成になっていた。
★★★
特訓の終わり、戦いの始まり。その間。
元同級生の三人がちょうど集まっているので。
「リアーナ、ロザリンド、恋バナしようぜ、恋バナ」
「どうしたの急に? シノブちゃんってあんまりそういう話に興味無さそうだったのに」
「いやさ、リコリスとユリアンを見てたらね。リアーナもロザリンドも学校では人気あったでしょ。二人とも彼氏とか全くいなかったの?」
「私はいないわね。あまり考えた事も無いわ」
「そうなの? ロザリンドちゃんはパルさんと仲良いからてっきり……」
「待って、リアーナ。その話詳しく」
「二人ともたまに一緒に出掛けるから……ロザリンドちゃん……もしかして秘密だった?」
「あの浮気モンがぁぁぁぁぁっ!! ロザリンドと私の二又だったかぁぁぁぁぁっ!!」
「完全に誤解ね。特訓に付き合ってもらっているのよ。私の攻撃は殺傷能力が高過ぎて、普通の人には試す事ができないから」
「ああ、刀に魔法を乗せるヤツでしょ? パルってそういうのも手伝ってくれるんだ?」
「代わりに女性の好きそうな事や物を教えてあげているわ。シノブの為に色々と調べているのよ」
「凄い……シノブちゃん……アバンセさんにも、パルさんにも愛されているんだね」
「さっきパルの事を二又って言っていたけど、シノブもあまり変わらないんじゃない?」
「あ、それ私も聞いたよ。二人を誘惑しつつ利用しているって」
「だ、誰からそれを!!?」
「ヴォルから」
「私はシャーリーちゃんから」
「あの野郎ども!! 余計な事を喋りやがって!!」
「そろそろシノブもハッキリさせたらどう?」
「だ、だって本当は自分でもよく分からないし……って、私の事はどうでも良いんだよ!!」
「自分で言い出したくせに」
「そうだ、リアーナ!! リアーナはどうなの? 好きな人とか」
「う~ん、好きなのはシノブちゃんかな」
「よし、結婚しよう」
「あはははっ、そうだね。だってほら、シノブちゃんって時々だけど男の子みたいに見えるから」
「それ、私も分かるわ。今は昔程ではないけど、言葉だったり態度だったり、男性みたいに見える事があるのよ」
「そ、そう? 自分じゃ分からないけど」
「だからかな、他の男の子とシノブちゃんを比べちゃう事があるの。そうなるとシノブちゃんにはみんな勝てないかなぁ」
「見た目はこんな子供なのにね」
「ロザリンドだって子供みたいな胸じゃん!!」
「む、胸は関係無いでしょう!!」
「ちょっと二人とも」
「今、この空間で貧乳が多数派。巨乳は黙ってて」
「そんな……」
なんて会話もたまに繰り広げられるのであった。
★★★
ここはアバンセの館。竜、不死身のアバンセが山の中腹に建てた館。俺の為にだ。しかも前には無かったはずだけど、庭にはちょっとした庭園が出来上がっていた。
色とりどりの花が咲いている。
「これ……アバンセが植えたの?」
隣に立つ人型のアバンセは得意気な表情を浮かべていた。
「そうだぞ。前に花の都に行った事があるだろう? シノブも楽しそうだったからな。規模は小さいが、ここにも作ってみたんだ。ちなみに向こうには野菜も植えてある」
竜なのに……俺の為にガーデニングに家庭菜園まで……
俺は片手を差し出す。
「ん」
「ん?」
「手ぇ。繋ぐんでしょ?」
「も、もちろんだ!!」
嬉しそうに笑うアバンセ。
二人で小さな花園を回る。
アバンセの野郎、めちゃくちゃ嬉しそうな顔してやがる。
「アバンセはそんなに私の事が好き?」
「もちろんだ。何を今更」
即答。
思い出すのはロザリンドの言葉。
『そろそろシノブもハッキリさせたらどう?』
ハッキリなんかさせられない。
どこかおかしい……心と体のバランスが崩れているような感じ。パズルがきちっと合っていないような心地悪さ。
前世では男だったから、今の体は女でも、心は男だと思っていた。実際にリアーナやロザリンドを含めて女性に興味があるし。
ただ同時に今のアバンセの言葉が嬉しくも感じる。アバンセの男の体で、俺の女の体を触られる事が嫌じゃない。
心が体に影響を受けているのか……だとしたら、いつか前世の俺は完全に消えてしまうのか?
分からない。
けど……
「私はアバンセにまだ『好き』とは言ってあげられないけど……」
「ああ」
「嫌いじゃないよ」
「……そうか」
「だからね、いつかは結論は出ると思う。その時まで待ってられる?」
「前にも言っただろう。竜の時間は長い」
「アバンセが望む結果とは違うかも」
「構わない。時間は長いんだ。その後に結果も変えてみせよう」
「馬鹿じゃないの」
俺は笑った。
そしてアバンセも笑うのだった。
★★★
その突然の報告に俺は言葉を失う。
「島国が……降伏?」
ロザリンドの故郷でもある島国が、アルテュールの軍門に下ったのである。
塔から戻ると既に編成も終わっていた。
司令部。
俺、ヴォルフラム、ホーリー、アルタイル、シャーリー。他200名。
まぁ、いつも通り、ヴォルフラム達4人は俺の護衛だね。それとは別に王国兵とギルドの冒険者が周りを固める。ついでに予備隊の人数も含まれている。
救護班。
タックルベリー、フレア、アリエリ。他100名。
タックルベリーは回復と護衛、フレアは回復と負傷者回収、アリエリは負傷者回収と護衛。
第一本隊。
隊長ビスマルク、副隊長ヴイーヴル、ミツバ。他600名。
とにかくの大火力。
第二本隊。
隊長ミラン、副隊長ドレミド。他400名。
基本的には第一本隊の補佐となるが、ビスマルクが離脱する場合はこちらが主隊となる。
防御と攻撃のバランスが取れた隊。
遊撃隊その一。
隊長リアーナ、副隊長タカニャ。他300名。
基本的には自由に動いてもらう。
遊撃隊その二。
隊長ロザリンド、副隊長フォリオ。他300名。
こっちも基本的には自由に動いてもらう。
偵察班。
ベルベッティア、キオ、ハリエット。他50人。
先行して偵察、索敵、場合によっては敵の足止め等の役割を担ってもらう。
連絡班。
リコリス、ユリアン。他50名。
各隊、各班の連絡と連携が主な役割になる。
そんな大編成になっていた。
★★★
特訓の終わり、戦いの始まり。その間。
元同級生の三人がちょうど集まっているので。
「リアーナ、ロザリンド、恋バナしようぜ、恋バナ」
「どうしたの急に? シノブちゃんってあんまりそういう話に興味無さそうだったのに」
「いやさ、リコリスとユリアンを見てたらね。リアーナもロザリンドも学校では人気あったでしょ。二人とも彼氏とか全くいなかったの?」
「私はいないわね。あまり考えた事も無いわ」
「そうなの? ロザリンドちゃんはパルさんと仲良いからてっきり……」
「待って、リアーナ。その話詳しく」
「二人ともたまに一緒に出掛けるから……ロザリンドちゃん……もしかして秘密だった?」
「あの浮気モンがぁぁぁぁぁっ!! ロザリンドと私の二又だったかぁぁぁぁぁっ!!」
「完全に誤解ね。特訓に付き合ってもらっているのよ。私の攻撃は殺傷能力が高過ぎて、普通の人には試す事ができないから」
「ああ、刀に魔法を乗せるヤツでしょ? パルってそういうのも手伝ってくれるんだ?」
「代わりに女性の好きそうな事や物を教えてあげているわ。シノブの為に色々と調べているのよ」
「凄い……シノブちゃん……アバンセさんにも、パルさんにも愛されているんだね」
「さっきパルの事を二又って言っていたけど、シノブもあまり変わらないんじゃない?」
「あ、それ私も聞いたよ。二人を誘惑しつつ利用しているって」
「だ、誰からそれを!!?」
「ヴォルから」
「私はシャーリーちゃんから」
「あの野郎ども!! 余計な事を喋りやがって!!」
「そろそろシノブもハッキリさせたらどう?」
「だ、だって本当は自分でもよく分からないし……って、私の事はどうでも良いんだよ!!」
「自分で言い出したくせに」
「そうだ、リアーナ!! リアーナはどうなの? 好きな人とか」
「う~ん、好きなのはシノブちゃんかな」
「よし、結婚しよう」
「あはははっ、そうだね。だってほら、シノブちゃんって時々だけど男の子みたいに見えるから」
「それ、私も分かるわ。今は昔程ではないけど、言葉だったり態度だったり、男性みたいに見える事があるのよ」
「そ、そう? 自分じゃ分からないけど」
「だからかな、他の男の子とシノブちゃんを比べちゃう事があるの。そうなるとシノブちゃんにはみんな勝てないかなぁ」
「見た目はこんな子供なのにね」
「ロザリンドだって子供みたいな胸じゃん!!」
「む、胸は関係無いでしょう!!」
「ちょっと二人とも」
「今、この空間で貧乳が多数派。巨乳は黙ってて」
「そんな……」
なんて会話もたまに繰り広げられるのであった。
★★★
ここはアバンセの館。竜、不死身のアバンセが山の中腹に建てた館。俺の為にだ。しかも前には無かったはずだけど、庭にはちょっとした庭園が出来上がっていた。
色とりどりの花が咲いている。
「これ……アバンセが植えたの?」
隣に立つ人型のアバンセは得意気な表情を浮かべていた。
「そうだぞ。前に花の都に行った事があるだろう? シノブも楽しそうだったからな。規模は小さいが、ここにも作ってみたんだ。ちなみに向こうには野菜も植えてある」
竜なのに……俺の為にガーデニングに家庭菜園まで……
俺は片手を差し出す。
「ん」
「ん?」
「手ぇ。繋ぐんでしょ?」
「も、もちろんだ!!」
嬉しそうに笑うアバンセ。
二人で小さな花園を回る。
アバンセの野郎、めちゃくちゃ嬉しそうな顔してやがる。
「アバンセはそんなに私の事が好き?」
「もちろんだ。何を今更」
即答。
思い出すのはロザリンドの言葉。
『そろそろシノブもハッキリさせたらどう?』
ハッキリなんかさせられない。
どこかおかしい……心と体のバランスが崩れているような感じ。パズルがきちっと合っていないような心地悪さ。
前世では男だったから、今の体は女でも、心は男だと思っていた。実際にリアーナやロザリンドを含めて女性に興味があるし。
ただ同時に今のアバンセの言葉が嬉しくも感じる。アバンセの男の体で、俺の女の体を触られる事が嫌じゃない。
心が体に影響を受けているのか……だとしたら、いつか前世の俺は完全に消えてしまうのか?
分からない。
けど……
「私はアバンセにまだ『好き』とは言ってあげられないけど……」
「ああ」
「嫌いじゃないよ」
「……そうか」
「だからね、いつかは結論は出ると思う。その時まで待ってられる?」
「前にも言っただろう。竜の時間は長い」
「アバンセが望む結果とは違うかも」
「構わない。時間は長いんだ。その後に結果も変えてみせよう」
「馬鹿じゃないの」
俺は笑った。
そしてアバンセも笑うのだった。
★★★
その突然の報告に俺は言葉を失う。
「島国が……降伏?」
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