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地獄のタワーディフェンス編
襲撃と想定外
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「今度はそっち?」
入った報告に俺は眉を顰めた。
別方向から黒い炎の攻撃である。今度は9時方向。避難方向からは少し離れているが……
「ドレミド、お願い。有志の人を10人連れてって良いから」
「任せてくれ!!」
「ヴォルはドレミドを送ったらすぐに戻って」
「分かった」
ヴォルフラムは移動速度が速く、報告連絡の伝達に凄く役立ってくれる。そして体力もある。ここを防衛するのに必須の存在だぜ。
忙しくなりそうな雰囲気があるから、なるべくヴォルフラムには俺の近くにいてもらいたい。
そして残されるのは俺とシャーリー。
「ねぇ、シノブ。話と違くない? ここって攻められるような場所じゃないって話だったんだけど」
「うーん。攻められた事は過去に一度も無かったんだけどねぇ」
だからこそ嫌な予感がするぜ……つまり過去の記録が役に立たないという事。本当に黒い炎は弱いままなのか、数はこの程度なのか、期間は最長で2日間なのか……全てが不透明になってくる。もちろんそれなりに作戦は考えているけど。
基本的な作戦は防御力に秀でたアリエリが盾となり黒い炎を抑える。そして他の場所に黒い炎が現れた場合、ドレミド、ミランが素早く黒い炎を殲滅。最終的にアリエリの所へ加勢する、そういう流れを考えていた。
細かい報告がいくつも入る。
他の方向からも黒い炎は現れるが、その数は少なく巡回班で対応。想定より敵の数は多いが、それでも充分に対応はできている。なんて思っていた矢先。
ヴォルフラムが戻ると同時。
3時方向から黒い炎が現れたとの報告である。
「ごめん、ヴォル。今度はそっちでとりあえず黒い炎を抑えて。すぐに警備隊の人を向かわせるから、警備隊の人が来たらすぐにまた戻って」
「ああ」
そうしてすぐにまたヴォルフラムは飛び出した。そして3時方向には警備隊員10人と有志10人をすぐに向かわせる。
「ちょっとちょっと、シノブぅ!!大変な事になってない?」
「ハッキリと私の意見を聞きたい?」
「うん。そりゃ」
「大変だっつぅーの!!」
「やっぱり!!」
「そもそもエルフの町は外敵に襲われる想定とかしてないんだよ、アバンセの庇護もあるし。なのにいきなり4方向から攻め込まれるなんて。それに町の中にも直接現れてるし、ハッキリ言ってヤバッ」
「えっ、ヤバッ」
「うん、ヤバッ」
二人でヤバヤバ言っている間にも……
「増えた!!?」
戻ったヴォルフラム、戻る途中に得た情報である。
5時方向。ミランとタカニャの所に黒い炎が一気に増えた。それはミランとタカニャ、有志の10人で対応ができる量ではなかった。
そこでミランは退避護衛班から、有志20人を引き抜く。それでも黒い炎を殲滅させる事はできない。耐えるので精一杯だという。
「俺が行くか?」
ヴォルフラムは言うが……
「警備隊員10人を援軍に出す。ヴォルは私と一緒にいて。これからは移動しながら指揮する事になると思うから」
ちなみに長距離の移動ができない高齢者や病人には、エルフの町の中、病院の一ヶ所に集まってもらっている。そこの警備に警備隊員5人、有志10人が割かれている。
もう現状での予備人員は警備隊員5人、有志10人しか残っていない。こいつはヤバイ。余裕が無ぇ!!
なのに……
「マジでか……」
1時方向から黒い炎。
「警備隊員と有志の人、全員をそっちに回して。ヴォル、シャーリー、私達も出るよ」
予備人員、これで無し。
★★★
俺とシャーリーはヴォルフラムの背に乗る。
ここからは移動しながらの指示だ。
それはヴォルフラムの足だからできる事。
町中の至る所から黒い炎が現れる。それなりの面積のある町の中、少数ではあるが、ランダムに現れる黒い炎に巡回班は大忙しで町中を駆け回っていた。
ここでちょっと状況を整理。
12時方向……敵少数。アリエリ、ベルベッティア。
1時方向……敵少数。警備隊員5人、有志10人。
3時方向……敵少数。警備隊員10人、有志10人。
5時方向……敵多数。ミラン、タカニャ、警備隊員10人、有志30人。
6時方向……避難経路。護衛として警備隊員10人、有志30人。
9時方向……敵少数。ドレミド、有志10人。
町中巡回班……お父さん、警備隊員10人、有志50人。
移動ができない住人の病人護衛……警備隊員5人、有志10人。
お昼過ぎから始まった黒い炎の襲撃。そろそろ日が落ち始める。
住人の避難はまだ終わらない。
このまま深夜もブッ続け、明日まで襲撃が連続する可能性もある。黒い炎に対応する人員をギリギリまで減らして休んでもらわないと。
俺は実際の現場を見て指示を出す。
3時方向の警備隊員5人、9時方向の有志5人を下げて、警備隊本部で休養。
そして1時方向、3時方向、病人護衛の警備隊員と有志をローテーションで入れ替える。病院護衛は現状、戦う必要が無いので、そっちで休養してもらう。
そんな微調整をしながら日が暮れる。
そして日が暮れる頃には避難が完了するのである。
一応として警備隊員と有志の半数がそのまま護衛を続け、半数が町へと戻る。戻った半数をそのまま休ませて、っと。
日が暮れても黒い炎の襲撃は治まらない。
夜になり12時方向のアリエリとベルベッティアを下げ、代わりに休養していた警備隊員5人と有志の10人を向わせる。
幸いにして9時方向の黒い炎の出現が止まる。ドレミドと有志10人を下げる。
しかし町中に直接現れる黒い炎の数が増える。ここはもうお父さんに頑張ってもらうしかない。お父さんは少ない人員を休ませて交代させながら巡回、排除を続けていた。
さて問題は5時方向。黒い炎が多いのはもちろんだが、ミランもタカニャも昼間からブッ続けで戦っている。二人に常人以上の力があっても、さすがに体力が尽きる。そこでヴォルフラムと交代。自分は戦っていないから、まだ大丈夫……と、ベルベッティアが同伴する。黒い炎が多いながら、ベルベッティアの指示で警備隊員と有志を休ませる。
そして本部で休んでいる警備隊員5人と有志15人を交代させながら攻防は夜中も続いていく。
深夜、仮眠を取っていたミランが目を覚ます。
「おい。少しは休んだらどうだ?」
「ミラン……私は戦ってないしさ。徹夜ぐらい平気だよ。ドレミドとアリエリは?」
「二人とも普通に寝てるよ。ドレミドもアリエリも体力の化物みたいな存在だからな。あれくらいの相手なら心配は無いだろう。それよりシノブ、仮眠ぐらいしろ。簡単な指揮なら俺にもできるし、何かあったらすぐ起こすから」
「だから私は大丈夫だって、徹夜の一日ぐら」
そんな俺の言葉を遮るミラン。
「徹夜の一日ぐらいならな」
「……」
「お前が万全じゃないと俺達が困る。分かるだろ?」
「……分かった。お願い」
「任せろ」
俺は仮眠室へと向かう。
そこでは既にシャーリーがベッドでヨダレを垂らしながら寝ていた。
この野郎、ぐーすかと寝やがって。
シャーリーの鼻を摘んで押さえる。
「ぐがががっ」
「あはっ」
俺は笑ってしまう。
……
…………
………………徹夜の一日ぐらいなら……ミランの言いたい事は分かっている。二日間で治まれば問題は無い。しかし記録には無かった事が起きている。
つまり黒い炎の襲撃が長引く可能性があるのだ。
そうなるとエルフの町が持たない。これは指揮や作戦でどうにか解決ができる問題じゃない。そもそも丸一日以上継続的に攻められる事など普通の戦いではありえない。こちらの消耗が激し過ぎる。
もちろん切り札はある。アバンセだ。
アバンセの力なら継続して戦う事も可能だろうから。
そして明け方。
『……城主様……』
闇の向こう側、遠い所から俺を呼ぶ声が聞こえる。
『……城主様……起きてください、城主様』
城主様……俺の事か?
俺の事を城主様と呼ぶのは天空の城の管理者でもあるカタリナ。カタリナには黒い炎の襲撃に関して、事前にいくつか頼んでいた事があった。
そのカタリナが俺を呼ぶ……
「……カタリナ!!?」
俺は飛び起きて、左手薬指の指輪を見る。
透き通る緑色のガラスのような指輪。それが淡く発光していたのだ。そこからカタリナの声が届く。
「カタリナ、カタリナ、何かあったの!!?」
『はい。城主様に指示され監視しておりましたが、王都、そして王立学校が陥落します』
「はっ!!?」
それは信じられないようなカタリナからの報告だったのである。
全くの想定外だぜぇ……
入った報告に俺は眉を顰めた。
別方向から黒い炎の攻撃である。今度は9時方向。避難方向からは少し離れているが……
「ドレミド、お願い。有志の人を10人連れてって良いから」
「任せてくれ!!」
「ヴォルはドレミドを送ったらすぐに戻って」
「分かった」
ヴォルフラムは移動速度が速く、報告連絡の伝達に凄く役立ってくれる。そして体力もある。ここを防衛するのに必須の存在だぜ。
忙しくなりそうな雰囲気があるから、なるべくヴォルフラムには俺の近くにいてもらいたい。
そして残されるのは俺とシャーリー。
「ねぇ、シノブ。話と違くない? ここって攻められるような場所じゃないって話だったんだけど」
「うーん。攻められた事は過去に一度も無かったんだけどねぇ」
だからこそ嫌な予感がするぜ……つまり過去の記録が役に立たないという事。本当に黒い炎は弱いままなのか、数はこの程度なのか、期間は最長で2日間なのか……全てが不透明になってくる。もちろんそれなりに作戦は考えているけど。
基本的な作戦は防御力に秀でたアリエリが盾となり黒い炎を抑える。そして他の場所に黒い炎が現れた場合、ドレミド、ミランが素早く黒い炎を殲滅。最終的にアリエリの所へ加勢する、そういう流れを考えていた。
細かい報告がいくつも入る。
他の方向からも黒い炎は現れるが、その数は少なく巡回班で対応。想定より敵の数は多いが、それでも充分に対応はできている。なんて思っていた矢先。
ヴォルフラムが戻ると同時。
3時方向から黒い炎が現れたとの報告である。
「ごめん、ヴォル。今度はそっちでとりあえず黒い炎を抑えて。すぐに警備隊の人を向かわせるから、警備隊の人が来たらすぐにまた戻って」
「ああ」
そうしてすぐにまたヴォルフラムは飛び出した。そして3時方向には警備隊員10人と有志10人をすぐに向かわせる。
「ちょっとちょっと、シノブぅ!!大変な事になってない?」
「ハッキリと私の意見を聞きたい?」
「うん。そりゃ」
「大変だっつぅーの!!」
「やっぱり!!」
「そもそもエルフの町は外敵に襲われる想定とかしてないんだよ、アバンセの庇護もあるし。なのにいきなり4方向から攻め込まれるなんて。それに町の中にも直接現れてるし、ハッキリ言ってヤバッ」
「えっ、ヤバッ」
「うん、ヤバッ」
二人でヤバヤバ言っている間にも……
「増えた!!?」
戻ったヴォルフラム、戻る途中に得た情報である。
5時方向。ミランとタカニャの所に黒い炎が一気に増えた。それはミランとタカニャ、有志の10人で対応ができる量ではなかった。
そこでミランは退避護衛班から、有志20人を引き抜く。それでも黒い炎を殲滅させる事はできない。耐えるので精一杯だという。
「俺が行くか?」
ヴォルフラムは言うが……
「警備隊員10人を援軍に出す。ヴォルは私と一緒にいて。これからは移動しながら指揮する事になると思うから」
ちなみに長距離の移動ができない高齢者や病人には、エルフの町の中、病院の一ヶ所に集まってもらっている。そこの警備に警備隊員5人、有志10人が割かれている。
もう現状での予備人員は警備隊員5人、有志10人しか残っていない。こいつはヤバイ。余裕が無ぇ!!
なのに……
「マジでか……」
1時方向から黒い炎。
「警備隊員と有志の人、全員をそっちに回して。ヴォル、シャーリー、私達も出るよ」
予備人員、これで無し。
★★★
俺とシャーリーはヴォルフラムの背に乗る。
ここからは移動しながらの指示だ。
それはヴォルフラムの足だからできる事。
町中の至る所から黒い炎が現れる。それなりの面積のある町の中、少数ではあるが、ランダムに現れる黒い炎に巡回班は大忙しで町中を駆け回っていた。
ここでちょっと状況を整理。
12時方向……敵少数。アリエリ、ベルベッティア。
1時方向……敵少数。警備隊員5人、有志10人。
3時方向……敵少数。警備隊員10人、有志10人。
5時方向……敵多数。ミラン、タカニャ、警備隊員10人、有志30人。
6時方向……避難経路。護衛として警備隊員10人、有志30人。
9時方向……敵少数。ドレミド、有志10人。
町中巡回班……お父さん、警備隊員10人、有志50人。
移動ができない住人の病人護衛……警備隊員5人、有志10人。
お昼過ぎから始まった黒い炎の襲撃。そろそろ日が落ち始める。
住人の避難はまだ終わらない。
このまま深夜もブッ続け、明日まで襲撃が連続する可能性もある。黒い炎に対応する人員をギリギリまで減らして休んでもらわないと。
俺は実際の現場を見て指示を出す。
3時方向の警備隊員5人、9時方向の有志5人を下げて、警備隊本部で休養。
そして1時方向、3時方向、病人護衛の警備隊員と有志をローテーションで入れ替える。病院護衛は現状、戦う必要が無いので、そっちで休養してもらう。
そんな微調整をしながら日が暮れる。
そして日が暮れる頃には避難が完了するのである。
一応として警備隊員と有志の半数がそのまま護衛を続け、半数が町へと戻る。戻った半数をそのまま休ませて、っと。
日が暮れても黒い炎の襲撃は治まらない。
夜になり12時方向のアリエリとベルベッティアを下げ、代わりに休養していた警備隊員5人と有志の10人を向わせる。
幸いにして9時方向の黒い炎の出現が止まる。ドレミドと有志10人を下げる。
しかし町中に直接現れる黒い炎の数が増える。ここはもうお父さんに頑張ってもらうしかない。お父さんは少ない人員を休ませて交代させながら巡回、排除を続けていた。
さて問題は5時方向。黒い炎が多いのはもちろんだが、ミランもタカニャも昼間からブッ続けで戦っている。二人に常人以上の力があっても、さすがに体力が尽きる。そこでヴォルフラムと交代。自分は戦っていないから、まだ大丈夫……と、ベルベッティアが同伴する。黒い炎が多いながら、ベルベッティアの指示で警備隊員と有志を休ませる。
そして本部で休んでいる警備隊員5人と有志15人を交代させながら攻防は夜中も続いていく。
深夜、仮眠を取っていたミランが目を覚ます。
「おい。少しは休んだらどうだ?」
「ミラン……私は戦ってないしさ。徹夜ぐらい平気だよ。ドレミドとアリエリは?」
「二人とも普通に寝てるよ。ドレミドもアリエリも体力の化物みたいな存在だからな。あれくらいの相手なら心配は無いだろう。それよりシノブ、仮眠ぐらいしろ。簡単な指揮なら俺にもできるし、何かあったらすぐ起こすから」
「だから私は大丈夫だって、徹夜の一日ぐら」
そんな俺の言葉を遮るミラン。
「徹夜の一日ぐらいならな」
「……」
「お前が万全じゃないと俺達が困る。分かるだろ?」
「……分かった。お願い」
「任せろ」
俺は仮眠室へと向かう。
そこでは既にシャーリーがベッドでヨダレを垂らしながら寝ていた。
この野郎、ぐーすかと寝やがって。
シャーリーの鼻を摘んで押さえる。
「ぐがががっ」
「あはっ」
俺は笑ってしまう。
……
…………
………………徹夜の一日ぐらいなら……ミランの言いたい事は分かっている。二日間で治まれば問題は無い。しかし記録には無かった事が起きている。
つまり黒い炎の襲撃が長引く可能性があるのだ。
そうなるとエルフの町が持たない。これは指揮や作戦でどうにか解決ができる問題じゃない。そもそも丸一日以上継続的に攻められる事など普通の戦いではありえない。こちらの消耗が激し過ぎる。
もちろん切り札はある。アバンセだ。
アバンセの力なら継続して戦う事も可能だろうから。
そして明け方。
『……城主様……』
闇の向こう側、遠い所から俺を呼ぶ声が聞こえる。
『……城主様……起きてください、城主様』
城主様……俺の事か?
俺の事を城主様と呼ぶのは天空の城の管理者でもあるカタリナ。カタリナには黒い炎の襲撃に関して、事前にいくつか頼んでいた事があった。
そのカタリナが俺を呼ぶ……
「……カタリナ!!?」
俺は飛び起きて、左手薬指の指輪を見る。
透き通る緑色のガラスのような指輪。それが淡く発光していたのだ。そこからカタリナの声が届く。
「カタリナ、カタリナ、何かあったの!!?」
『はい。城主様に指示され監視しておりましたが、王都、そして王立学校が陥落します』
「はっ!!?」
それは信じられないようなカタリナからの報告だったのである。
全くの想定外だぜぇ……
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