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崩壊編

100話目記念と夜の出来事

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 100話目記念にエッチな話を作るのです……

 ハッ!!?
 な、何だ!!?今、誰かが、頭の中で何かを呟いたような気がする!!
 ただその内容が全く分からねぇ!!
 ……けど、まぁ、大した事じゃねぇか、多分。

 これは性行為をしないと出られない部屋から出た直後、その夜の出来事である。

★★★

 大陸の移動中、夜は基本的に野営。
 いくつか張られたテント。俺の所は、俺、フレア、ホーリー、キオの四人で使っている。テントの中は狭く、お互いの体が近い。
 特にフレアとホーリーは俺の護衛を兼ねているので、どちらかが必ず起きている。寝ている方も感覚が鋭敏ですぐ目を覚ます。
 そんな中なのに……どうしよう……めっちゃオナニーがしたい……
 現状が現状だから今まで我慢をしていた。しかし性行為を出られない部屋で、リアーナとあんな行為をした後なので気持ちが昂ぶっている。
 俺はコッソリと静かに、下着の中に手を滑り込ませる。片手は胸に、片手は下腹部に。
 ゆっくりと、ゆっくりと指先を動かす。
 自分でもガッカリするぐらいの小さい胸だけど、その先端はしっかりと反応していた。
 それは下腹部も同じ。指を上下にゆっくりと動かす。その指先に粘り気のある液体が絡み付く。
 ……
 …………
 ………………いや、無理。これ以上すると絶対に気付かれる。かと言って、ここまで燃え上がったら止められないんだよ!!
 俺は上半身を起こす。
「シノブ様、どうかされましたか?」
 起きていたのはホーリー。
「……ちょっとトイレ」
「分かりました」
「いや、付いて来なくても大丈夫だから。すぐそこ近くだから。何かあったらすぐ呼ぶし。ホント一人で大丈夫」
 ここでの行動は二人一組が基本。しかしこればっかりは……オナニーしたいから一緒に来てとは言えんだろ?
 しかしホーリーは……
「シノブ様。今のこの状況の中、一人で行動する事。それがどれだけ危険な事かは分かっていますね?」
「分かってるけど、すぐだし、大丈夫だって」
「私はシノブ様のメイドです。シノブ様が忘れろと言うなら、見た事さえ忘れます」
「えっ、それってどういう……」
「大丈夫です。分かっておりますので」

★★★

 少しみんなから離れた場所。
 木々があり、野営地からは見えない。
 地面にシーツを敷き、クッションまで用意してくれるホーリー。
「あの……ホーリー……バレてる?」
「……はい」
「な、何の事が?」
「……自慰行為です」
 バレとるがな、完璧にバレとるがな。
「ああ~まぁ~その~我慢出来なくて~」
「統計資料では女性の六割が経験をしています。公に言う事ではありませんが、珍しい事ではありません」
「……ホーリーもする?」
「……はい、たまにですが」
 ええいっ、もう良い!!どうせバレてんならやってやらぁ!!
「……誰も来ないように見張ってて」

 俺はパンツを脱ぐ。
 うわー濡れてるぅ。
 膝を前に、足首を後ろに、両足の間にぺたんと座り込んだ。俗に言うアヒル座りとか女の子座りとか言われる座り方。
 上着を捲り上げ、両手で胸を触る。
「んっ……」
 男と女では全く違う感覚。最初は優しくゆっくりと。徐々に感度が増していくような気がする。やがて手の動きを大きくして、胸全体を刺激する。
 見られていないのは分かっていても、近くにホーリーがいると思うと興奮する。その証拠に……下腹部、そこを触ると……
「……凄い……思ったより濡れてる……んんっ」
 思わず呟く。
 ぬるぬるとした液体を指先に絡めながら、浅い位置を上下に動かす。
 濡れた音が微かに聞こえる。
「ふっ、うんっ、んんっ、ふぅ、あ、んんっ」
 押し殺す甘い声。そこにくちゅくちゅとした水音が加わる。そして指先が一番敏感な部分を弾く。
「あぅっ」
 その刺激の強さに腰が跳ね上がった。そして上半身を少しだけ前に倒して、片手で体を支える。
「……ねぇ、ホーリー……いる?」
「はい」
「見た事も、僕が言えば忘れてくれるんだよね?」
「もちろんです」
 久しぶりのオナニーでテンションが上がり過ぎてしまったのかも知れない。だから普段は言わない事を口にする。
「あのさ……」
「はい」
「見ててくれる?」
「シノブ様をでしょうか?」
「うん……僕がオナニーする所」
「……かしこまりました」

 ホーリーの目の前で続けられる行為。
 温かく柔らかいそこを、何度も指が往復する。
「ふぅ、んんっ、ん、んっ、んっ」
 その指先の動きが速くなる、それに伴い水音も大きくなる。
「……もう……僕……そろそろ……んんっ」
「はい。シノブ様の姿、きちんと全て見ていますよ」
 その瞬間。
「あっ、あっ、んんっ」
 ビクンッと全身が震える。一度、二度。下腹部からの快感が全身を駆け抜ける。
 射精の感覚とは全くの別物。こればっかりは女になってみないと分からない。
 快感の波が通り過ぎると、心地良い疲労感と共に全身の力がフッと抜けた。その場に横たわる。そんな俺の口元、よだれをホーリーがハンカチで拭う。
「シノブ様、かわいかったですよ」
「ありがとう……でも絶対に忘れてよ」
「はい」
 ホーリーは微笑むのだった。

★★★

 翌日。
 おっ、タックルベリーとユリアンが一緒にいるじゃん。
 ……よし、イタズラしたろ!!
「ちょっと、ベリー、ユリアン」
「ん、何だよ?」
 俺は二人に近付く。
 そしてクンクンと鼻は鳴らす。
「何か二人とも変なにおいしない?」
「!!?」「!!?」
 ふふふっ、俺には分かっているんだぜ。昨日、俺とリアーナのやり取りを直接には見ていなくても、声や音を二人は聞いていたはずだ。その夜にする事……同じ男だったら分かるってもんよ。
「な、何だ、変なにおいって。仕方ないだろ、毎日、水浴びなんて出来ないんだから」
 タックルベリーも動揺しておるわ。
「そういうにおいじゃなくて……何て言うか、生臭いと言うか……もしかして!!?」
「おっと、僕にはやる事があるんだった!!さらば!!」
 タックルベリーはその場から逃げ出す。
「あははっ、馬鹿じゃないの。においなんて残ってるわけないじゃん」
「えっと、シノブ……」
 何かを探るようなユリアンの視線。
「まぁ、二人とも男の子だしね。分かってるって。それにそういう事をするのも普通だよ」
「……シノブは?」
「……オナニー?」
 ユリアンは黙って頷く。
「…するよ」
 俺は微笑みを浮かべる。
 ユリアンは息を飲み、言葉を失う。
 そして言葉を続けた。
「昨日もした……か、どうかは想像に任せるけど」
 何を言って良いのか迷うユリアン。ちょっとかわいいなコイツは。
 まぁでも、ユリアンをからかうのもこの辺りにしとくか。リコリスにも悪いような気がするしな。
「さてとおしゃべりはここまで。そろそろ出発するからね」

 そうして、また旅が始まるのだった。
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