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第三章 装備新調と初めてのパーティ
11話「事後報告と新しい装備の購入」
しおりを挟む「はぁ……」
気が付くと、ため息が漏れていた。
あれから八日ほど経過したのだが、その間に起こったことをありのまま話そう。
あれは俺のギルドランクが2になった次の日のログインだった。いつものように宿からのスタートしてギルドに向かおうとしたら、宿の食堂が騒がしかった。何事かと思い食堂に向かうと、宿の店員にプレイヤーが詰め寄っている光景が目に飛び込んできた。
プレイヤーたちが店員に詰め寄っていた理由としては、この宿の食堂でステーキを振舞っていた料理人がいたと聞きつけてきたらしく、その料理人がどこにいるのかという内容のものだった。
当然ではあるが、それが俺だということにいち早く気付いた。そこまではよかったのだが、店員が「あの方です」とこちらを指差してきたものだから、さあ大変。そこから「俺たちにもステーキ作ってクレクレ」と注文が殺到したわけだ。食材がないという言い訳を思いつき逃げようとしたが、想定内の答えだったらしく食材はあるとのことで、結局作る羽目になってしまった。食材を提供している分、値段を200ゴルで提供したことがマイナスに働いたのかなりの人数に注文をされてしまった。
そこから、しばらくログインからのステーキ調理のルーティーンができてしまい、まともな活動ができず仕舞いになっていた。しかしながら、そのお陰でかなりの金額を稼ぐことができ、現在の所持金は100000ゴルを超えている。
それでも、貴重な時間の合間を縫って草原でのポイント稼ぎやクエストをこなしていき、現在の能力とギルドランクはこんな感じだ。
【名前】:イール(レベル11)
【職業】:魔法使い(レベル8)
【ステータス】
HP:115(+17)
MP:106
攻撃力:56(+8)
防御力:29(+4)
素早さ:26(+4)
魔力:40
精神力:31
器用さ:16
幸運:8
スキル:【火魔法Lv2】、【阻害魔法Lv1】、【身体能力向上Lv2】、【料理Lv2】、【採取Lv2】
スキル詳細
【火魔法】:フレイムアロー、ファイヤーボール
【阻害魔法】:バインド
【身体能力向上】:HP・攻撃力・防御力・素早さに対して現在のステータス値に15%の補正が掛かる。(補正値はスキルレベルに依存する)
【料理】調理時に、料理等級に若干の補正が掛かる。また、調理の難しい食材を扱いやすくなる。(補正値と扱いやすさはスキルレベルに依存する)
【採取】薬草やキノコなどを採集する際に、入手できる個数が増える。また、採集時に素材が見つかりやすくなる。(入手できる個数と素材発見確率はスキルレベルに依存する)
《ギルドカード》
【名前】:イール
【職業】:魔法使い
【ランク】:5
【依頼達成数】:18
【冒険者ポイント】:768
ちなみに、各能力値を強化できるAPは48ポイント獲得できたのでHPに三回、攻撃力に十回、防御力に三回に振り分けておいた。
その他にも、魔法使いのレベルが上がったことによって新たに【闇魔法】と【光魔法】のスキルが修得可能になった。
草原でのポイント稼ぎや、プレイヤーに振舞ったステーキを調理した時に入手したポイントを使い、【火魔法】・【身体能力向上】・【料理】・【採取】のスキルレベルを2に上げることができた。それぞれSPを100も使ったが、新しく【ファイヤーボール】というアーツを獲得でき、身体能力向上の補正値も10%から15%に、スフェリカルラビットのステーキの料理等級も六等級から五等級へと上昇し、採取で入手できる個数も単体よりも複数で手に入れることが多くなった。
次にギルドカードについては、ランクが2から5へと上がっていて受注できるクエストの総数も増えている。入手したお金もステーキの売り上げと比べれば大したことはないが、それでもゴルの入手経路の一つとして大いに役立っている。
攻略という視点から見て、他のプレイヤーと比べかなり出遅れた感が出ているものの、公式掲示板の情報で見たところによればレベル自体は二つ目の街を拠点に活動しているプレイヤーのレベル帯とほぼ同等まで上がっていることがわかった。
「ここら辺かな?」
そんなマイペース攻略を絶賛展開中の俺はといえば、主に装備やアイテムなどを販売する店舗が並んでいる区画である商業区へと足を運んでいた。なぜこのような場所に来ているのかというと、俺がステーキクレクレのプレイヤー連中に絡まれていた(?)時にあるプレイヤーが言ったのだ。
「なんでまだ初期装備なんですか? 縛りプレイとかですか?」
「【縛りプレイ】とは一体どんなプレイだよ!?」と一瞬卑猥な想像をしてしまったが、新しい装備を新調するという意見は俺も考えていたところだったので、ステーキクレクレが落ち着いた頃合いを見計らい商業区へとやってきたのだ。
「どこがいいのか、さっぱりわからんな」
こういうのはおすすめの店舗とかがあると思うのだが、こういう類のゲームは初めてプレイするので、どこがいいのか皆目見当がつかない。仕方なく目についた店舗に入ってみたのだが、対応してくれた髭面のオヤジに「お前にまだこの店は早い!」と一喝され、三軒先の向かいの店に行けと追い出されてしまった。
オヤジの言葉に従い指示された店に入ると、今度は中年の女性が店のカウンターで声を掛けてきた。
「いらっしゃい、お兄さん見かけない顔だね」
「あのお店の人にここに行けと言われてきました」
俺がここに来た経緯を簡単に説明すると、「あそこのオヤジさんは腕はいいけど、接客がからっきしだからねぇ」と言いながら苦笑いを浮かべた。俺が魔法使い用の装備を一式見繕ってくれと頼むと、「ちょっと待ってな」と言い残し店の裏手に入っていく。数分後彼女の手にはローブや杖などの魔法使いが身に着けそうな装備品がカウンターに所狭しと並べられた。
「おすすめはこの【フェザーローブ】と【マジックロッド】だね。防御力が不安なら、この【防呪の腕輪】も買っておくといい」
「ふむふむ」
俺が悩んでいるのを見て色々と装備を紹介してくれたのだが、俺が「物理攻撃メインの杖はないのか?」と問い掛けたところ、「あるよ」と低い声で一言発し一本の杖を出すというどこかで見たことのあるシチュエーションだなと思いつつも、一通りの装備が出揃ったので改めて今身に着けている装備を確認してみることにした。
武器:木の杖
頭:なし
胴体:布の服
腰:麻のズボン
腕:なし
足:普通の靴
装飾品:なし
この【アーベントイアー・フライハイト・オンライン】で装備できるのは武器・頭・胴体・腰・腕・足・装飾品の七か所で、現在装備しているのは武器と胴体と腰と足だけだった。
ちなみに、装備には【耐久値】と呼ばれるものがあってそれが0になってしまうと、装備が【破損状態】になり使用することができなくなってしまう。これを回避するためには耐久値が0になる前に店で修繕してもらうか、装備品を修繕することができるスキルを取得して自分でやるしかない。耐久値が0になり破損状態になった装備は、通常の修繕費よりも高額になってしまい自分で修繕する場合失敗すると完全消失してしまうらしい。
「とりあえず、これでお願いします」
「はいよ、【マジックバトルロッド】に【フェザーローブ】、【魔攻のベルト】と【防呪の腕輪】、それと【ライトブーツ】に装飾品が【闘魂のミサンガ】だね。締めて6780ゴルだよ」
てな具合で、いろいろと装備を新調させてもらった。お金に関しては、いろいろと儲けさせてもらっているため問題なく支払った。ちなみに各装備の情報はこんな感じだ。
【マジックバトルロッド】
魔力の籠った木で作られている物理攻撃を主体とした杖。杖としての体裁は保たれているため、魔法も使える。
攻撃力+15 魔力+5 ランク:2 金額:1500ゴル
【フェザーローブ】
鳥系モンスターの羽を使ったローブ。軽いため後衛職に人気の一品。
防御力+12 素早さ+3 ランク:2 金額:1980ゴル
【魔攻のベルト】
魔物の皮を使って作られたベルト。
魔力+3 器用さ+2 ランク:2 金額:680ゴル
【防呪の腕輪】
身を守るという意志が込められた腕輪。
防御力+6 精神力+2 ランク:2 金額:990ゴル
【ライトブーツ】
革職人が懇切丁寧に作り上げた一品。動きやすくて軽い。
防御力+4 素早さ+5 ランク:2 金額:1080ゴル
【闘魂のミサンガ】
戦いに勝利できますようにという願いの籠ったミサンガ。
攻撃力+3 精神力+3 ランク:2 金額550ゴル
新しい装備に身を包むと、なんだか清々しい気分になってくる。これで戦闘に関していえば、ある程度立ち回れるようにはなっただろう。その後、装備を見繕ってくれた中年女性に礼を言い店を後にした。次の行動に移る前にクエストの確認のため、俺は一度冒険者ギルドに行くことにした。
――――――――――――――――――――――――
装備を着けた状態のステータスです。
これはもう、魔法使いのステータスではないですね……(-_-;)
【名前】:イール(レベル11)
【職業】:魔法使い(レベル8)
【ステータス】
HP:115(+17) → 132
MP:106
攻撃力:56(+8)《+18》 → 82
防御力:29(+4)《+22》 → 55
素早さ:26(+4)《+8》 → 38
魔力:40《+8》 → 48
精神力:31《+5》 → 36
器用さ:16《+2》 → 18
幸運:8
スキル:【火魔法Lv2】、【阻害魔法Lv1】、【身体能力向上Lv2】、【料理Lv2】、【採取Lv2】
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