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第一章 冒険者に俺はなる
5話
しおりを挟む「きゃあー、や、やめてっ、許してください」
「ぐへへへへ、大人しくしやがれ」
秋雨が女性の悲鳴をした場所に駆けつけて見れば、そこにいたのは四人の男が一人の少女を襲っている現場だった。
ここまで必死に逃げてきたのか、額から頬に掛けて玉のような汗がぽつりと流れ落ちた。
それとは別に秋雨が目を引いたのは、彼女の衣服が引き裂かれ色々と見えてはいけないものが見えてしまっていた。
(どうやらこっちの世界の言葉は【鑑定】スキルで翻訳されてるようだな。それにしても……ほへー、なかなかに眼福な光景ではあるが……それにしてもピンク色の乳首なんてものは都市伝説かと思ってたが、どうやらこの世界の女の子の乳首はピンクらしいな)
どういう訳か今の状況で不謹慎極まりない事を考えている秋雨であったが、それには理由があった。
彼はこの世界に転移する前は大学生であったが、趣味の一つとして読書を嗜んでいて、特に異世界転生物の小説がお気に入りだったのだ。
その知識から現在襲っているのは盗賊であることは容易に想像できるが、襲われている女の子は下手をすれば今後自分のメインヒロインになるかもしれない女の子なのだ。
(俺は前世では彼女がいなかったから、今回も同じように彼女は必要ないと思ってんだよな……)
そうなのだ。今秋雨が彼女を助けるのを躊躇っているのは、あの少女を助けた場合かなりの高確率で惚れられてしまい、メインヒロイン認定されてしまう可能性があったからだ。
仮にそのような事態にならなかったとしても、自分がかなりの実力を持っている事を知っている人間は少ないに越したことはない。
むしろそんな人間は一人としていない方がいいのだ。この先平穏気ままな悠々自適生活を望んでいる秋雨にとって、自分の実力を知られるという事は面倒事に巻き込まれる可能性を自ら引き上げる愚かな行為だった。
「いやぁぁあああ、やめてください!!」
「柔らけえおっぱいしてんじゃねえか、堪んねぇなおい」
少女を押し倒すように地面に押し付けた盗賊のリーダーらしき男が、前戯とばかりに無遠慮に少女の豊満な胸を揉みしだく。
その度に男の指が少女の柔らかな乳房へと沈んでいき、男の雄としての本能が刺激されていく。
それを見た男の部下らしき盗賊が口々に男に嘆願する。
「お頭、後で俺らにも回してくださいよ」
「そうですぜ、こんな上玉お頭一人で楽しむなんてあんまりだ」
「俺もう我慢できねえ、お頭早く替わってくれ」
それぞれ口々に出す言葉には、少女に対する己の欲望をぶつけたいという願望があからさまに浮かんでおり、目は血走り我慢できないといった様子だ。
もし頭目がいなければ、今少女に覆いかぶさろうとしている男の替わりに自分が少女を襲うという意思がはっきりと見て取れた。
「分かってるよ、こんな上玉滅多にいねぇからな、だが最初は俺からだ」
(な、なんでこんなことになっちゃたのかな……誰か、誰か助けてよぅ……)
なぜ彼女がこの盗賊たちに襲われる事になったかと言えば、それはこの世界ではよくある話だった。
田舎の村から口減らしのため自分から出て行った彼女は、村に立ち寄った行商人の馬車に乗せてもらい近隣の都市であるグリムファームを目指していた。
しかしここは異世界であり、秋雨のいた世界とは違い治安も月とすっぽん並みに違っている。道中モンスターや盗賊に襲われることはままあることで、それにより命を落とす事も珍しくはない。
彼女も例に違わず盗賊に襲われてしまったのだ。そして行商人と護衛達を皆殺しにした盗賊たちは、目の前の少女を慰み者にするため彼女に迫ってきたのだ。
隙を見てなんとかその場から逃げ出すことに成功したものの、女性である少女の足と盗賊との足では逃げ切ること敵わず、途中で捕まってしまい今に至るといった状況だ。
「さて、そろそろ本番といこうじゃねえか」
「きゃぁぁぁああああ、そ、そんなものを出して何をするつもりですか!?」
「んなもん決まってんだろ? さあもう諦めて俺と一緒に気持ちよくなろうぜぃ。どうせ始まちまったら、ヒーヒー言うだけなんだからよー」
「いやぁああああああ、やめてー、許してください!!」
男がズボンを降ろし、自分の一物を露出させる。
何週間も風呂に入っていない男の生臭いそそり立った一物は、ビクビクと脈打っており少女の陰部を蹂躙しようと今か今かと待ち構えている。
少女の拒絶の意思に反し、嫌がる彼女を無理やり犯すことに対する背徳感で男は興奮していた。
「ハハッ、これだから盗賊稼業はやめられねぇんだ!」
(嗚呼、私あれで貫かれちゃうんだ。初めては、好きになった人とがよかったな……)
そうなのだ。彼女は生まれてこの方男性経験が無く生娘であった。
いつか自分にも好きな人ができて、その人に自分の初めてを捧げるというささやかな憧憬を抱いていた。
だが何の因果か、今の自分は好きでもない男と身体を重ねようとしている。
なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか、どうしてこんなことになってしまったのだろうか、こんなことなら村を出なければよかった。
少女の頭の中では後悔と今この状況から逃げそうとする現実逃避の感情がぐるぐると渦巻いていたのだった。
彼女が人生に悲観しているそんな瀬戸際の中、ようやくこの男が動き出す。
(さて、このまま黙って見てるわけにもいかないからな。彼女にバレないよう盗賊を撃退する算段もついたし、ちゃっちゃと済ましちまうか、あまり見てて気持ちのいいものでもないしな……)
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