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死に戻り編
エスコート
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ミリアが部屋を出て行ってからしばらくすると、夕食の用意が出来たとのことで、俺は食堂へ向かおうとするが、その前にフィエラのもとへ寄ることにした。
(フィエラ食堂の場所わかんないじゃん)
俺が行かなくてもおそらく他のメイドが案内してくれるだろうが、俺が泊まるように言ったので、流石に任せきりは悪いと思ったのだ。
フィエラが泊まる部屋の前に来ると、俺は彼女がいるか確認をするためにノックをする。
すると、中から出て来たのはフィエラではなく一人のメイドだった。
「ルイス様?」
「フィエラはいるか?一緒に行こうと思ったんだけど」
「あ、はい。今ちょうど準備が終わりましたので、中へお入りください」
準備という言葉に少し疑問を感じながらも中へ入ると、そこにはドレスに着替えたフィエラが椅子に座っていた。
「あ、エル」
フィエラは俺が入って来たことに気がつくと、座っていた椅子から立ち上がってこちらへと近づいてくる。
いつもは髪を結んだりせず下ろしている彼女だが、今は綺麗に編み込まれており、顔は薄っすらと化粧がされている。
そしてなにより、肩を出したデザインの青いドレスがとても魅力的で、彼女の白い肌や髪色とも合っていてすごく綺麗だった。
「似合ってるな」
「ありがと」
フィエラは褒められたことが嬉しかったのか、後ろに見える尻尾がふさふさと左右に揺れていた。
(あの尻尾どうやって出てるんだ。てか、何でフィエラにピッタリのドレスがあるのだろうか…)
いろいろと気になる点は合ったが、おそらく母上が用意させたのだろう思いそれ以上は考えることをやめた。
「それじゃあいくか」
俺はそう言うと、フィエラの方へと腕を差し出す。
「これは?」
「エスコートしてやる。せっかく綺麗な格好してるのに、一人で行かせるわけにもいかないだろ」
「…ん。嬉しい」
フィエラは珍しく少しだけ恥じらいながら俺と腕を組む。
彼女がしっかりと腕を組んだのを確認すると、俺はフィエラに合わせてゆっくりと歩き出す。
「靴は大丈夫か?」
「ん。慣れない靴だけど、エルが合わせてくれてるから大丈夫」
「そうか」
いつもならすぐに着く食堂だが、今日はフィエラが慣れないヒールを履いているため、いつもより時間をかけて歩いた。
食堂に着くと、すでに父上と母上は席についており、俺たちが来るのを待っていてくれた。
「お待たせして申し訳ありません」
「大丈夫だ。さぁ二人とも、席につきなさい」
「フィエラちゃんは私の隣にいらっしゃい」
「わかりました」
フィエラを母上の隣まで連れていくと、彼女を席に座らせてから俺も自分の席へと座る。
「よし。では食事を始めよう」
父上の一声で、そばに控えていた給仕たちがテーブルに料理を並べていく。
俺たちはいつものように並べられた料理を食べていくが、チラッとフィエラの方を見てみると、あまり食べる手が動いていなかった。
(あぁ、そうか…)
彼女がなかなか料理を食べない理由を察した俺は、彼女に声をかけた。
「フィエラ。マナーは気にしなくていい。いつものように食べろ」
彼女は獣人族であるため、人族のテーブルマナーなどを細かく知っているわけではない。そのため、フィエラは慣れない場でどうやって食事をすれば良いのか分からなかったのだろう。
「あら。私ったら気がつかなくてごめんなさいね。私たちのことは気にせず、楽に食べてね」
「あぁ。君は私たちにとってお客様だし、何より今後は大事な息子と旅をしてもらうのだ。そんなに気を遣わず楽にしてくれ」
「ありがとうございます」
フィエラは父上や母上からも気にせず食べるように言われると、ようやく落ち着いて料理を食べ始めた。
その後、食事を終えた俺たちは最後にデザートを食べながら話をしていた。
と言っても、主に話しているのは母上とフィエラの二人だけだったが。
「それじゃあ、フィエラちゃんがルイスのことをパーティーに誘ったの?」
「ん。エルは強い。私は強い人と一緒にいたかったから、私から声をかけました」
「あらあら。フィエラちゃんは意外と大胆なのね」
何やら誤解を招きそうな言葉もあったが、フィエラは特に気にした様子もなく話を続けていく。
母上はフィエラと話をするのが楽しいのか、それとも外での俺の話を聞くのが楽しいのかは分からないが、終始ニコニコしながら話を聞いていた。
「父上、母上、俺はそろそろ部屋に戻ろうと思います」
デザートを食べ終えた俺は、席を立ちながら二人に話しかける。
「そうか。私はもう少しここにいるよ」
「私もここに残るわ。ほら、ルイス。フィエラちゃんを最後までエスコートしてあげなさい」
「わかりました」
母上にそう言われた俺は、フィエラが座っている席まで近づくと、手のひらを彼女に向けて差し出した。
「さぁ、お手をどうぞ」
「ん。エルかっこいい」
フィエラは冗談を交えながら俺の手を握ると、席を立って父上と母上に挨拶をする。
「今日はありがとうございました」
「はは。気にするな。あとは部屋でゆっくり休みなさい」
「えぇ。何かあればメイドに言うのよ」
「はい」
「では、お先に失礼いたします」
二人に挨拶を済ませると、俺はフィエラを連れて食堂をでる。
しばらく歩いて彼女が泊まる部屋の前に着くと、俺はそこでフィエラと別れる。
「明日は帰る前にミリアに声をかけろ。門の前まで見送ってやる。あ、ミリアは分かるか?」
「ん。大丈夫」
「わかった。じゃあまた明日な」
「またね」
その後、部屋に戻った俺はお風呂に入って体を癒したあと、すぐにベットに横になって眠りについた。
翌朝。俺はメイドの一人に声をかけられて目を覚ます。
「お前は?ミリアはどうした?」
「それが朝、街の方に買い物に行かせたっきり戻ってこないそうです」
「ふーん」
何かあったのかもしれないが、別に俺が直接被害を受けたわけではないし、今はまだ状況もわからないため放置することにした。
ベットから降りると、メイドに着替えを任せて支度を済ませ、フィエラを見送るために門の方へと向かう。
「それじゃあフィエラ、また明日な」
「ん。明日も頑張る」
短く挨拶を済ませると、フィエラは門を通って宿までの帰路に着く。
(さて。俺は何をしようかな…)
本来であれば、今日はダンジョンに向かう予定だったのだが、急遽お休みにしたため暇になってしまった。
「冒険者ギルドに面白そうな依頼がないか見に行こうかな」
どうせ街に行くならフィエラと一緒に向かえば良かったと思わなくもないが、彼女とギルドに行くとそのまま依頼を受けることになりそうな気がするので、やっぱり一緒に行かなくて正解だったと思うのであった。
いつもの変装をして冒険者ギルドにやって来た俺は、久しぶりに依頼掲示板を眺めていた。
「ゴブリンの討伐にホワイトベアーの毛皮採取。…あとは薪の調達依頼か」
冬の公爵領周辺は、雪が多いこともあって魔物があまり多くない。
いても食料が足りなくて冬眠できなかった動物型の魔物や年がら年中元気なゴブリンくらいだ。
そのため、依頼もそんな魔物たちの討伐や雑用のような依頼しかほとんどないのだ。
「ん?行方不明者の捜索依頼?それも多数だと?」
毎年この時期は、薪や食料を求めて森に入り行方不明になる者が何人かいた。
しかし、15人近くも行方不明者が出ることはこれまでなかったため、そのことに疑問を感じた俺は何となくその依頼書を持って受付へと向かう。
「あ、エイルさん。今日はお一人ですか?」
「どうもシーラさん。今日は休みにしたんですよ。だからフィエラはいないんです」
「なるほど。では何故こちらに?」
「何となく来ただけです。そしたら少し気になる依頼を見つけまして」
俺はそう言うと、テーブルの上に先ほど取ってきた依頼書を置く。
「あぁ、この依頼書ですね。確かに多数の人が行方不明になっているので、ギルド側も早く解決したいと思っていたんです。それに…」
「誘拐の可能性がありますからね」
「はい。これまでも、冬の森に入って行方不明になる方は何人かいらっしゃいましたが、数日のうちに、それも多数ともなるとさすがに…」
「ギルド側ではどこまで分かっていますか?」
「お恥ずかしながら何も。冒険者の方々にも協力をしてもらい探したのですが、何の手がかりも得られませんでした」
と言うことは、いよいよ誘拐の可能性が出てくるわけだが、これまでの前世でこんな事は一度もなかったため不思議でならない。
(今世では、今までになかったことがいろいろと起きている。何故だ?)
しばらくその理由について考えてみたが、やはり思いつくのは一つ前の前世で自殺をしたことだけだった。
(俺の自殺が理由で何かが変わったのか?)
もしそうなら、これまで経験して来た未来の知識は役に立たないかもしれないが、それよりも気になるのは今死んだらどうなるのかということだ。
(何かが変わったのなら、もしかしたら今死ねばこのループからも抜け出せる?)
何度も繰り返される人生が終わるのではないかとも思ったが、俺の直感がそれはありえないと否定する。
(とりあえず今は様子を見よう。それより…)
「この依頼、受けさせてください」
「いいんですか?今日はお休みだったのでは」
「大丈夫です」
「わかりました。今手続きをします。少々お待ちください」
人助けに興味はないが、何となくこの依頼を見逃すことが出来ないと感じた俺は、依頼書をシーラさんに渡す。
彼女は俺から依頼書を受け取ると、それを持って奥へと入っていき、少しして手続きを終えて戻って来た。
「これで手続きは終わりました。どうかお気をつけて」
「ありがとうございます」
シーラさんに別れを告げた俺は、冒険者ギルドを出るとフードを深く被ってニヤリと笑う。
(あぁ、楽しみだ。これまでに無い初めてのイベント。鬼が出るか蛇が出るか。何でもいいから俺を楽しませてくれ)
前世には一度もなかった今回の行方不明事件。周りが心配しているのとは裏腹に、俺は未知との遭遇でワクワクが止まらないのであった。
(フィエラ食堂の場所わかんないじゃん)
俺が行かなくてもおそらく他のメイドが案内してくれるだろうが、俺が泊まるように言ったので、流石に任せきりは悪いと思ったのだ。
フィエラが泊まる部屋の前に来ると、俺は彼女がいるか確認をするためにノックをする。
すると、中から出て来たのはフィエラではなく一人のメイドだった。
「ルイス様?」
「フィエラはいるか?一緒に行こうと思ったんだけど」
「あ、はい。今ちょうど準備が終わりましたので、中へお入りください」
準備という言葉に少し疑問を感じながらも中へ入ると、そこにはドレスに着替えたフィエラが椅子に座っていた。
「あ、エル」
フィエラは俺が入って来たことに気がつくと、座っていた椅子から立ち上がってこちらへと近づいてくる。
いつもは髪を結んだりせず下ろしている彼女だが、今は綺麗に編み込まれており、顔は薄っすらと化粧がされている。
そしてなにより、肩を出したデザインの青いドレスがとても魅力的で、彼女の白い肌や髪色とも合っていてすごく綺麗だった。
「似合ってるな」
「ありがと」
フィエラは褒められたことが嬉しかったのか、後ろに見える尻尾がふさふさと左右に揺れていた。
(あの尻尾どうやって出てるんだ。てか、何でフィエラにピッタリのドレスがあるのだろうか…)
いろいろと気になる点は合ったが、おそらく母上が用意させたのだろう思いそれ以上は考えることをやめた。
「それじゃあいくか」
俺はそう言うと、フィエラの方へと腕を差し出す。
「これは?」
「エスコートしてやる。せっかく綺麗な格好してるのに、一人で行かせるわけにもいかないだろ」
「…ん。嬉しい」
フィエラは珍しく少しだけ恥じらいながら俺と腕を組む。
彼女がしっかりと腕を組んだのを確認すると、俺はフィエラに合わせてゆっくりと歩き出す。
「靴は大丈夫か?」
「ん。慣れない靴だけど、エルが合わせてくれてるから大丈夫」
「そうか」
いつもならすぐに着く食堂だが、今日はフィエラが慣れないヒールを履いているため、いつもより時間をかけて歩いた。
食堂に着くと、すでに父上と母上は席についており、俺たちが来るのを待っていてくれた。
「お待たせして申し訳ありません」
「大丈夫だ。さぁ二人とも、席につきなさい」
「フィエラちゃんは私の隣にいらっしゃい」
「わかりました」
フィエラを母上の隣まで連れていくと、彼女を席に座らせてから俺も自分の席へと座る。
「よし。では食事を始めよう」
父上の一声で、そばに控えていた給仕たちがテーブルに料理を並べていく。
俺たちはいつものように並べられた料理を食べていくが、チラッとフィエラの方を見てみると、あまり食べる手が動いていなかった。
(あぁ、そうか…)
彼女がなかなか料理を食べない理由を察した俺は、彼女に声をかけた。
「フィエラ。マナーは気にしなくていい。いつものように食べろ」
彼女は獣人族であるため、人族のテーブルマナーなどを細かく知っているわけではない。そのため、フィエラは慣れない場でどうやって食事をすれば良いのか分からなかったのだろう。
「あら。私ったら気がつかなくてごめんなさいね。私たちのことは気にせず、楽に食べてね」
「あぁ。君は私たちにとってお客様だし、何より今後は大事な息子と旅をしてもらうのだ。そんなに気を遣わず楽にしてくれ」
「ありがとうございます」
フィエラは父上や母上からも気にせず食べるように言われると、ようやく落ち着いて料理を食べ始めた。
その後、食事を終えた俺たちは最後にデザートを食べながら話をしていた。
と言っても、主に話しているのは母上とフィエラの二人だけだったが。
「それじゃあ、フィエラちゃんがルイスのことをパーティーに誘ったの?」
「ん。エルは強い。私は強い人と一緒にいたかったから、私から声をかけました」
「あらあら。フィエラちゃんは意外と大胆なのね」
何やら誤解を招きそうな言葉もあったが、フィエラは特に気にした様子もなく話を続けていく。
母上はフィエラと話をするのが楽しいのか、それとも外での俺の話を聞くのが楽しいのかは分からないが、終始ニコニコしながら話を聞いていた。
「父上、母上、俺はそろそろ部屋に戻ろうと思います」
デザートを食べ終えた俺は、席を立ちながら二人に話しかける。
「そうか。私はもう少しここにいるよ」
「私もここに残るわ。ほら、ルイス。フィエラちゃんを最後までエスコートしてあげなさい」
「わかりました」
母上にそう言われた俺は、フィエラが座っている席まで近づくと、手のひらを彼女に向けて差し出した。
「さぁ、お手をどうぞ」
「ん。エルかっこいい」
フィエラは冗談を交えながら俺の手を握ると、席を立って父上と母上に挨拶をする。
「今日はありがとうございました」
「はは。気にするな。あとは部屋でゆっくり休みなさい」
「えぇ。何かあればメイドに言うのよ」
「はい」
「では、お先に失礼いたします」
二人に挨拶を済ませると、俺はフィエラを連れて食堂をでる。
しばらく歩いて彼女が泊まる部屋の前に着くと、俺はそこでフィエラと別れる。
「明日は帰る前にミリアに声をかけろ。門の前まで見送ってやる。あ、ミリアは分かるか?」
「ん。大丈夫」
「わかった。じゃあまた明日な」
「またね」
その後、部屋に戻った俺はお風呂に入って体を癒したあと、すぐにベットに横になって眠りについた。
翌朝。俺はメイドの一人に声をかけられて目を覚ます。
「お前は?ミリアはどうした?」
「それが朝、街の方に買い物に行かせたっきり戻ってこないそうです」
「ふーん」
何かあったのかもしれないが、別に俺が直接被害を受けたわけではないし、今はまだ状況もわからないため放置することにした。
ベットから降りると、メイドに着替えを任せて支度を済ませ、フィエラを見送るために門の方へと向かう。
「それじゃあフィエラ、また明日な」
「ん。明日も頑張る」
短く挨拶を済ませると、フィエラは門を通って宿までの帰路に着く。
(さて。俺は何をしようかな…)
本来であれば、今日はダンジョンに向かう予定だったのだが、急遽お休みにしたため暇になってしまった。
「冒険者ギルドに面白そうな依頼がないか見に行こうかな」
どうせ街に行くならフィエラと一緒に向かえば良かったと思わなくもないが、彼女とギルドに行くとそのまま依頼を受けることになりそうな気がするので、やっぱり一緒に行かなくて正解だったと思うのであった。
いつもの変装をして冒険者ギルドにやって来た俺は、久しぶりに依頼掲示板を眺めていた。
「ゴブリンの討伐にホワイトベアーの毛皮採取。…あとは薪の調達依頼か」
冬の公爵領周辺は、雪が多いこともあって魔物があまり多くない。
いても食料が足りなくて冬眠できなかった動物型の魔物や年がら年中元気なゴブリンくらいだ。
そのため、依頼もそんな魔物たちの討伐や雑用のような依頼しかほとんどないのだ。
「ん?行方不明者の捜索依頼?それも多数だと?」
毎年この時期は、薪や食料を求めて森に入り行方不明になる者が何人かいた。
しかし、15人近くも行方不明者が出ることはこれまでなかったため、そのことに疑問を感じた俺は何となくその依頼書を持って受付へと向かう。
「あ、エイルさん。今日はお一人ですか?」
「どうもシーラさん。今日は休みにしたんですよ。だからフィエラはいないんです」
「なるほど。では何故こちらに?」
「何となく来ただけです。そしたら少し気になる依頼を見つけまして」
俺はそう言うと、テーブルの上に先ほど取ってきた依頼書を置く。
「あぁ、この依頼書ですね。確かに多数の人が行方不明になっているので、ギルド側も早く解決したいと思っていたんです。それに…」
「誘拐の可能性がありますからね」
「はい。これまでも、冬の森に入って行方不明になる方は何人かいらっしゃいましたが、数日のうちに、それも多数ともなるとさすがに…」
「ギルド側ではどこまで分かっていますか?」
「お恥ずかしながら何も。冒険者の方々にも協力をしてもらい探したのですが、何の手がかりも得られませんでした」
と言うことは、いよいよ誘拐の可能性が出てくるわけだが、これまでの前世でこんな事は一度もなかったため不思議でならない。
(今世では、今までになかったことがいろいろと起きている。何故だ?)
しばらくその理由について考えてみたが、やはり思いつくのは一つ前の前世で自殺をしたことだけだった。
(俺の自殺が理由で何かが変わったのか?)
もしそうなら、これまで経験して来た未来の知識は役に立たないかもしれないが、それよりも気になるのは今死んだらどうなるのかということだ。
(何かが変わったのなら、もしかしたら今死ねばこのループからも抜け出せる?)
何度も繰り返される人生が終わるのではないかとも思ったが、俺の直感がそれはありえないと否定する。
(とりあえず今は様子を見よう。それより…)
「この依頼、受けさせてください」
「いいんですか?今日はお休みだったのでは」
「大丈夫です」
「わかりました。今手続きをします。少々お待ちください」
人助けに興味はないが、何となくこの依頼を見逃すことが出来ないと感じた俺は、依頼書をシーラさんに渡す。
彼女は俺から依頼書を受け取ると、それを持って奥へと入っていき、少しして手続きを終えて戻って来た。
「これで手続きは終わりました。どうかお気をつけて」
「ありがとうございます」
シーラさんに別れを告げた俺は、冒険者ギルドを出るとフードを深く被ってニヤリと笑う。
(あぁ、楽しみだ。これまでに無い初めてのイベント。鬼が出るか蛇が出るか。何でもいいから俺を楽しませてくれ)
前世には一度もなかった今回の行方不明事件。周りが心配しているのとは裏腹に、俺は未知との遭遇でワクワクが止まらないのであった。
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