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死に戻り編
戦う理由
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何度も繰り返される人生の中で、俺が最後まで捨てきれなかった欲は強くなることだった。
いや、正確には少し違う。俺が強敵と戦う理由、それは強いやつらと戦うことで生きていると実感できたからだ。
何度も死に戻りをしたせいで、もはや俺は自分が生きているのか死んでいるのかも分からなくなっていった。
しかし、強い魔物や冒険者、そして主人公たちと戦って傷つき死が間近に迫った時、俺は確かに生きているのだと感じることができたのだ。
その事に気がついた俺は、それ以降は格上の強者へと挑み、瀕死になりながらも勝利しては、また戦いにいくということを繰り返した。
今思えば、俺はその頃からとっくに壊れていたのだろう。
だからこそ、一つ前の人生では気まぐれで自殺をしたのだから。
俺に残ったのは、生きていることを実感するために戦いたいという感情と、それ以外は全てが面倒なのでどうでも良いという感情だけだった。
好きな事は徹底的に、それ以外は適当に。その過程で死ぬのであればその時はそれまで。それが今の俺を形作る全てである。
俺は右手に持った剣を構えると、スノーワイバーンを見て視線を合わせる。
「ふぅ」
一つ息を吐いた俺は、身体強化をして一気に切り込む。
しかし、振り下ろした剣はスノーワイバーンの硬い鱗によってあっさりと弾かれ、あたりには金属音だけが響き渡る。
「チッ。やっぱ硬いなぁ」
スノーワイバーンの属性は氷だ。だから、通常の鱗に加えて表面を氷で覆い、さらに防御力を上げている。
「なら、魔法はどうかな?」
俺は空中に火球を作り出すと、それをスノーワイバーン目掛けて放った。
「おっと」
しかし、スノーワイバーンの放った氷属性のブレスによって呆気なく鎮火され、さらにそのままブレスが俺のことを飲み込もうとしてくる。
俺は地面を強く蹴ってブレスを避けると、距離を置いてさっきの魔法について考える。
「うーん。火力が弱かったかな。ならもう少し火力を上げてみるか。『蒼火球』」
今度は蒼い火球を作り出し、同じように奴へと向けて放つ。
スノーワイバーンも同じようにブレスを吐いて対抗しようとするが、今度は火球が消えることなく突き進んだ。
すると、今度は自身を覆う氷の鎧を厚くし、蒼い火球を真っ向から受け止める。
あたりは氷が蒸発したのか水蒸気が発生するが、スノーワイバーンが翼を羽ばたかせると、突風で煙が吹き飛ぶ。
「あれでもだめか」
煙の中から現れたスノーワイバーンはどこを見ても傷が無く、俺の攻撃が通じた様子は全くなかった。
(もっと威力の高い魔法を使えば倒せるだろうが、まだ俺の魔力じゃ連発はできないしなぁ)
高威力の魔法は魔力を多く消費するため、それを使うといざという時に動けなくなる可能性がある。
「とりあえず、火魔法と剣で攻めるしかないな」
軽く作戦を立てた俺は、また同じように剣を構えて突っ込む。
しかし、やはり鱗と厚い氷の鎧に塞がれてしまい、攻撃が一切通じない。
どうしたものかと考えていた時、スノーワイバーンの尻尾が後ろから迫ってきて、俺を勢いよく吹き飛ばした。
「かはっ!!」
俺は近くにあった木にぶつかり、その後も数本薙ぎ倒してようやく止まる。
「…くそ。油断した」
口元の血を拭いながら立ち上がった俺は、自身に回復魔法をかけながら、格の違いを見せつけるように空を飛ぶスノーワイバーンを睨みつける。
「くくっ。いいね。実にいい。楽しくなってきた」
しかし、そんな相手を見ても俺は恐怖するどころか、逆に高揚感で満たされていく。
腕を回したりしながら体の状態を確かめたあと、飛行魔法を使ってスノーワイバーンの目の前まで飛んでいく。
「さぁ、ここからはお前の土俵だ。もっと俺を楽しませてくれ!」
俺は尚も挑発する意味を込めてニヤリと笑ってやると、スノーワイバーンは吠えながら俺の方へと全速力で迫ってくる。
「はは!最高だ!もっと攻めてこい!」
スノーワイバーンの噛みつきや爪での攻撃を剣で受け流し、俺はさらに奴を煽る。
しかし、先ほどのような油断はせず、冷静に奴の攻撃パターンを分析していく。
「ガアァァァァア!」
攻撃が当たらない事に苛立ったのか、吠えて威嚇をしてくるが、その分奴の攻撃は単調となりますます俺を捉えきれなくなる。
「あっはっは!頑張れ頑張れ!俺はいつ死んでもいいぞ!」
スノーワイバーンの攻撃を完璧に見切った俺は、いい加減攻撃されるだけなのも飽きてしまったので、今度は俺から攻める事にした。
「さっきは効かなかったけど、今度はどうかな!!」
先ほどよりもさらに魔力を使用して腕力を上昇させた俺は、スノーワイバーンの背後へと回り、俺を吹き飛ばしてくれた尻尾目掛けて剣を振り下ろす。
すると、さっきは簡単に弾かれた俺の剣が、今度は奴の尻尾を簡単に切り落とした。
「ギャァァァァァア!!」
「簡単に切れちまったなぁ。お前、こんな痛み初めてだろ」
ドバドバと血が流れる尻尾の痛みで鳴き喚くスノーワイバーン。
しかし、切断面を器用に凍らせて出血を止めると、今度は全力でブレスを放ってきた。
「『蒼火球』!」
それに対して、俺も蒼い火球をさっきの倍の大きさで作り出すと、それをブレス目掛けて放った。
結果は相打ちとなり、ブレスと蒼火球は俺たちの間でぶつかり消滅した。
自慢のブレスが消されたことで勝てないと感じたのか、奴の瞳には俺と死に対する恐怖が浮かんでおり、もはや戦意は感じられなかった。
「何をそんなに怖がる?たかが死ぬだけだろ」
そんな反応を見せられて興が醒めた俺は、剣を一閃してスノーワイバーンの首を切り落とす。即死した奴はそのまま地面へと落ちて行き、ドーンと音を立てて墜落した。
「あぁー、楽しかった。…さてと。早くお宝を手に入れないと」
スノーワイバーンの近くに降りた俺は、解体を素早く済ませ、魔石と魔力器官を取り出す。
「んじゃ、いただきまーす」
魔力器官は内臓の一つなので、ぐじゅっとした食感と生温かさ、そして血生臭さが口いっぱいに広がる。
「うえぇ、相変わらず不味いなぁ」
しかし、いくら不味くても調理して食べるなんて時間的余裕はないので、嫌でも生で食べるしかないのだ。
そして、全てを食べ終えると俺の中に奴の魔力が流れ込んできて、俺の体を蝕もうとしてくる。
それに対して自身の魔力を当て、パズルのピースを合わせるように形を整えていく。
「…ふぅ。だいぶ魔力が増えたな」
スノーワイバーンの魔力を自分の魔力と同化させた後、自身の中にある魔力を見てみると、かなり増えたことがわかる。
「うーん。この半年間、魔力を増やす特訓はしてきたけど、やっぱこの方法には敵わないか」
しかし、何もしないよりはマシなので、今後も魔力枯渇と魔力操作の訓練は続けていくつもりだ。
「あとは剣術か。まだまだ無駄が多いから、そこら辺の修正はしていかないとな」
まだまだ足りないところがたくさんあることを自覚した俺は、今日はとりあえず帰って休む事に決め、飛行魔法で屋敷へと戻った。
スノーワイバーンを倒してから一ヶ月が経った。俺はあの日以来、剣術の訓練を重点的に行なった。
無駄な動きが多いことを知った俺は、最小限の動きで攻防ができるよう意識して修正していく。
体がその動きに慣れてきたら、今度は無意識で自然にその動きができるように仕上げる。
しかし、そこが一番難しいところでもある。人間は危機が迫った時は咄嗟の動きで物を避けたり捉えたり出来るが、それが常時出来るというわけではない。
それに、咄嗟の動きにこそ、その人の癖や無駄な動きが混じるのだ。
だからまずは動きの修正をして無駄な動きや癖を無くし、次に咄嗟に動ける反射速度を鍛えて無意識に修正した動きができるようにしなければならないのだ。
「はぁ、疲れたー」
一日の訓練を終えた俺は、お風呂に入りながらぐでっとしていた。
「そろそろ次の魔物を探さないとなぁ」
いくら訓練で経験を積んでも、実践でそれらの動きができなければ意味がない。
どうしようかと悩んでいた時、近くにちょうど良いものがあることを思い出した。
「そういえば、少し離れたところにAランクのダンジョンがあったな。でも、そうなると冒険者登録が必要か」
これまでの人生で、強さを求めて魔物を探したことはあったが、冒険者になった事は一度もなかった。
どうしようかと悩んだ結果、俺はダンジョンに潜るため冒険者登録をすることに決めてお風呂から上がるのであった。
翌日。俺は朝から一人で冒険者ギルドへと向かっていた。
え?バレたら大変な事になる?大丈夫。闇魔法で俺の分身体を作って置いてきたから。
闇魔法って悪そうなイメージあるけど、結構便利だから俺はよくお世話になっているのだ。
しばらく歩いて冒険者ギルドへとやってきた俺は、堂々と扉を開けて中へと入る。
すると、中にいた冒険者たちが一斉に俺の方に顔を向けると、品定めをするように見てくる。
今の俺は魔法で姿を変えているため、濃紺の髪と青い瞳に普通の装備を着た少年だ。
この半年間で身長も伸び、現在は165cmほどとなったがまだまだ子供なので、そんな俺が一人で冒険者ギルドに来たことを訝しんでいるのだろう。
あるいは自分たちのライバルになり得るのか、実力を確認しているといったところか。
俺はそんな奴らの視線を無視して受付まで向かい、ちょうど空いていた美人なお姉さんに話しかける。
「すみません」
「はい。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をお願いします」
「かしこまりました。では、こちらの必要書類の記載をお願いいたします。代筆は必要ですか?」
「大丈夫です」
紙には名前と年齢、そして死んだ場合は自己責任などの同意事項が書いてあった。
さすがに実名を書くわけにはいかないので、エイルと適当な名前を書く。
「終わりました」
「確認させていただきます。…はい、問題ありません。では、ギルドカードを発行いたしますので、少々お待ちください」
受付のお姉さんはそういうと、ギルドの奥の方へと入っていき、少しするとカードを持って戻ってきた。
「こちらがギルドカードになります」
受け取ったカードを見てみると、そこには俺の名前であるエイルと、現在のランクであるFという文字が書かれていた。
「では次に、冒険者についての説明を行います」
そして今度は、冒険者ギルドやギルドカードついての説明をお姉さんから聞かされるのであった。
いや、正確には少し違う。俺が強敵と戦う理由、それは強いやつらと戦うことで生きていると実感できたからだ。
何度も死に戻りをしたせいで、もはや俺は自分が生きているのか死んでいるのかも分からなくなっていった。
しかし、強い魔物や冒険者、そして主人公たちと戦って傷つき死が間近に迫った時、俺は確かに生きているのだと感じることができたのだ。
その事に気がついた俺は、それ以降は格上の強者へと挑み、瀕死になりながらも勝利しては、また戦いにいくということを繰り返した。
今思えば、俺はその頃からとっくに壊れていたのだろう。
だからこそ、一つ前の人生では気まぐれで自殺をしたのだから。
俺に残ったのは、生きていることを実感するために戦いたいという感情と、それ以外は全てが面倒なのでどうでも良いという感情だけだった。
好きな事は徹底的に、それ以外は適当に。その過程で死ぬのであればその時はそれまで。それが今の俺を形作る全てである。
俺は右手に持った剣を構えると、スノーワイバーンを見て視線を合わせる。
「ふぅ」
一つ息を吐いた俺は、身体強化をして一気に切り込む。
しかし、振り下ろした剣はスノーワイバーンの硬い鱗によってあっさりと弾かれ、あたりには金属音だけが響き渡る。
「チッ。やっぱ硬いなぁ」
スノーワイバーンの属性は氷だ。だから、通常の鱗に加えて表面を氷で覆い、さらに防御力を上げている。
「なら、魔法はどうかな?」
俺は空中に火球を作り出すと、それをスノーワイバーン目掛けて放った。
「おっと」
しかし、スノーワイバーンの放った氷属性のブレスによって呆気なく鎮火され、さらにそのままブレスが俺のことを飲み込もうとしてくる。
俺は地面を強く蹴ってブレスを避けると、距離を置いてさっきの魔法について考える。
「うーん。火力が弱かったかな。ならもう少し火力を上げてみるか。『蒼火球』」
今度は蒼い火球を作り出し、同じように奴へと向けて放つ。
スノーワイバーンも同じようにブレスを吐いて対抗しようとするが、今度は火球が消えることなく突き進んだ。
すると、今度は自身を覆う氷の鎧を厚くし、蒼い火球を真っ向から受け止める。
あたりは氷が蒸発したのか水蒸気が発生するが、スノーワイバーンが翼を羽ばたかせると、突風で煙が吹き飛ぶ。
「あれでもだめか」
煙の中から現れたスノーワイバーンはどこを見ても傷が無く、俺の攻撃が通じた様子は全くなかった。
(もっと威力の高い魔法を使えば倒せるだろうが、まだ俺の魔力じゃ連発はできないしなぁ)
高威力の魔法は魔力を多く消費するため、それを使うといざという時に動けなくなる可能性がある。
「とりあえず、火魔法と剣で攻めるしかないな」
軽く作戦を立てた俺は、また同じように剣を構えて突っ込む。
しかし、やはり鱗と厚い氷の鎧に塞がれてしまい、攻撃が一切通じない。
どうしたものかと考えていた時、スノーワイバーンの尻尾が後ろから迫ってきて、俺を勢いよく吹き飛ばした。
「かはっ!!」
俺は近くにあった木にぶつかり、その後も数本薙ぎ倒してようやく止まる。
「…くそ。油断した」
口元の血を拭いながら立ち上がった俺は、自身に回復魔法をかけながら、格の違いを見せつけるように空を飛ぶスノーワイバーンを睨みつける。
「くくっ。いいね。実にいい。楽しくなってきた」
しかし、そんな相手を見ても俺は恐怖するどころか、逆に高揚感で満たされていく。
腕を回したりしながら体の状態を確かめたあと、飛行魔法を使ってスノーワイバーンの目の前まで飛んでいく。
「さぁ、ここからはお前の土俵だ。もっと俺を楽しませてくれ!」
俺は尚も挑発する意味を込めてニヤリと笑ってやると、スノーワイバーンは吠えながら俺の方へと全速力で迫ってくる。
「はは!最高だ!もっと攻めてこい!」
スノーワイバーンの噛みつきや爪での攻撃を剣で受け流し、俺はさらに奴を煽る。
しかし、先ほどのような油断はせず、冷静に奴の攻撃パターンを分析していく。
「ガアァァァァア!」
攻撃が当たらない事に苛立ったのか、吠えて威嚇をしてくるが、その分奴の攻撃は単調となりますます俺を捉えきれなくなる。
「あっはっは!頑張れ頑張れ!俺はいつ死んでもいいぞ!」
スノーワイバーンの攻撃を完璧に見切った俺は、いい加減攻撃されるだけなのも飽きてしまったので、今度は俺から攻める事にした。
「さっきは効かなかったけど、今度はどうかな!!」
先ほどよりもさらに魔力を使用して腕力を上昇させた俺は、スノーワイバーンの背後へと回り、俺を吹き飛ばしてくれた尻尾目掛けて剣を振り下ろす。
すると、さっきは簡単に弾かれた俺の剣が、今度は奴の尻尾を簡単に切り落とした。
「ギャァァァァァア!!」
「簡単に切れちまったなぁ。お前、こんな痛み初めてだろ」
ドバドバと血が流れる尻尾の痛みで鳴き喚くスノーワイバーン。
しかし、切断面を器用に凍らせて出血を止めると、今度は全力でブレスを放ってきた。
「『蒼火球』!」
それに対して、俺も蒼い火球をさっきの倍の大きさで作り出すと、それをブレス目掛けて放った。
結果は相打ちとなり、ブレスと蒼火球は俺たちの間でぶつかり消滅した。
自慢のブレスが消されたことで勝てないと感じたのか、奴の瞳には俺と死に対する恐怖が浮かんでおり、もはや戦意は感じられなかった。
「何をそんなに怖がる?たかが死ぬだけだろ」
そんな反応を見せられて興が醒めた俺は、剣を一閃してスノーワイバーンの首を切り落とす。即死した奴はそのまま地面へと落ちて行き、ドーンと音を立てて墜落した。
「あぁー、楽しかった。…さてと。早くお宝を手に入れないと」
スノーワイバーンの近くに降りた俺は、解体を素早く済ませ、魔石と魔力器官を取り出す。
「んじゃ、いただきまーす」
魔力器官は内臓の一つなので、ぐじゅっとした食感と生温かさ、そして血生臭さが口いっぱいに広がる。
「うえぇ、相変わらず不味いなぁ」
しかし、いくら不味くても調理して食べるなんて時間的余裕はないので、嫌でも生で食べるしかないのだ。
そして、全てを食べ終えると俺の中に奴の魔力が流れ込んできて、俺の体を蝕もうとしてくる。
それに対して自身の魔力を当て、パズルのピースを合わせるように形を整えていく。
「…ふぅ。だいぶ魔力が増えたな」
スノーワイバーンの魔力を自分の魔力と同化させた後、自身の中にある魔力を見てみると、かなり増えたことがわかる。
「うーん。この半年間、魔力を増やす特訓はしてきたけど、やっぱこの方法には敵わないか」
しかし、何もしないよりはマシなので、今後も魔力枯渇と魔力操作の訓練は続けていくつもりだ。
「あとは剣術か。まだまだ無駄が多いから、そこら辺の修正はしていかないとな」
まだまだ足りないところがたくさんあることを自覚した俺は、今日はとりあえず帰って休む事に決め、飛行魔法で屋敷へと戻った。
スノーワイバーンを倒してから一ヶ月が経った。俺はあの日以来、剣術の訓練を重点的に行なった。
無駄な動きが多いことを知った俺は、最小限の動きで攻防ができるよう意識して修正していく。
体がその動きに慣れてきたら、今度は無意識で自然にその動きができるように仕上げる。
しかし、そこが一番難しいところでもある。人間は危機が迫った時は咄嗟の動きで物を避けたり捉えたり出来るが、それが常時出来るというわけではない。
それに、咄嗟の動きにこそ、その人の癖や無駄な動きが混じるのだ。
だからまずは動きの修正をして無駄な動きや癖を無くし、次に咄嗟に動ける反射速度を鍛えて無意識に修正した動きができるようにしなければならないのだ。
「はぁ、疲れたー」
一日の訓練を終えた俺は、お風呂に入りながらぐでっとしていた。
「そろそろ次の魔物を探さないとなぁ」
いくら訓練で経験を積んでも、実践でそれらの動きができなければ意味がない。
どうしようかと悩んでいた時、近くにちょうど良いものがあることを思い出した。
「そういえば、少し離れたところにAランクのダンジョンがあったな。でも、そうなると冒険者登録が必要か」
これまでの人生で、強さを求めて魔物を探したことはあったが、冒険者になった事は一度もなかった。
どうしようかと悩んだ結果、俺はダンジョンに潜るため冒険者登録をすることに決めてお風呂から上がるのであった。
翌日。俺は朝から一人で冒険者ギルドへと向かっていた。
え?バレたら大変な事になる?大丈夫。闇魔法で俺の分身体を作って置いてきたから。
闇魔法って悪そうなイメージあるけど、結構便利だから俺はよくお世話になっているのだ。
しばらく歩いて冒険者ギルドへとやってきた俺は、堂々と扉を開けて中へと入る。
すると、中にいた冒険者たちが一斉に俺の方に顔を向けると、品定めをするように見てくる。
今の俺は魔法で姿を変えているため、濃紺の髪と青い瞳に普通の装備を着た少年だ。
この半年間で身長も伸び、現在は165cmほどとなったがまだまだ子供なので、そんな俺が一人で冒険者ギルドに来たことを訝しんでいるのだろう。
あるいは自分たちのライバルになり得るのか、実力を確認しているといったところか。
俺はそんな奴らの視線を無視して受付まで向かい、ちょうど空いていた美人なお姉さんに話しかける。
「すみません」
「はい。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「冒険者登録をお願いします」
「かしこまりました。では、こちらの必要書類の記載をお願いいたします。代筆は必要ですか?」
「大丈夫です」
紙には名前と年齢、そして死んだ場合は自己責任などの同意事項が書いてあった。
さすがに実名を書くわけにはいかないので、エイルと適当な名前を書く。
「終わりました」
「確認させていただきます。…はい、問題ありません。では、ギルドカードを発行いたしますので、少々お待ちください」
受付のお姉さんはそういうと、ギルドの奥の方へと入っていき、少しするとカードを持って戻ってきた。
「こちらがギルドカードになります」
受け取ったカードを見てみると、そこには俺の名前であるエイルと、現在のランクであるFという文字が書かれていた。
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