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【8*】調子に乗る実家と、愛が重すぎる弟(前編)
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クララがレナス家に嫁いだ翌月。マグラス伯爵領では、次女イザベラが豪華な婚約披露パーティを挙げていた。
イザベラはきらびやかなドレスと宝石で身を飾り、パーティ会場の中心で『次期当主』として堂々と振る舞っている。そんなイザベラのことを、礼装のハンサムな男性――婚約者デリックが優美にエスコートしている。
父親であるドナルド・マグラス伯爵は、快活な笑みを浮かべてパーティの招待客に挨拶して回っている。
「本日は当家の跡取り娘、イザベラの婚約披露パーティにご参加くださり、誠にありがとうございます。どうぞごゆるりとお楽しみください」
招待客の一人が、マグラス伯爵に言った。
「ご息女のイザベラ様は本当にお美しいですなぁ! 婿となられるデリック殿も商才あふれる青年だと聞きますし、マグラス家は安泰ですな」
マグラス伯爵は上機嫌で笑みを返した。イザベラの婚約者デリック・バーヴァーのことを、マグラス伯爵はとても気に入っているからである。
デリックは、国内最大手の商会『バーヴァー商会』を営むバーヴァー伯爵家の三男だ。少年期から商会幹部として働き、数々のヒット商品の発案・流通に携わってきたという。
――デリック君が当家の婿になれば、バーヴァー商会の間に強い結びつきができる! 我がマグラス家が成りあがる一大チャンスだ!
そんな思いから、マグラス伯爵はデリックを何としても婿に迎えたいと思っていたのである。デリックのほうも「ぜひ、マグラス家の婿になりたい」と言ってきたので、まさにwin-winの関係である。
招待客がイザベラとデリックに話しかける声が、マグラス伯爵の耳に届いた。
「イザベラ様とデリック様は、本当にお似合いですわね!」
そして招待客は、「ここだけの話ですが……」という感じで言葉を添えた。
「クララ様が相続辞退なさったと聞いて驚きましたが、正直言ってクララ様よりも、イザベラ様のほうが女伯爵として相応しいように思いますわ。堂々としていらして、お美しくて! デリック様とも仲睦まじくて、とても素敵なカップルですわ」
息ぴったりに寄り添い合ったイザベラとデリックが、自信たっぷりに答える。
「姉の件でご心配をおかけしました。ですがわたくしとデリックが、マグラス家を盛り立てて参りますのでご安心ください。どうか当家と、今後ともよしなに」
「私はバーヴァー商会での経験を活かして、このマグラス家でもさまざまな事業を発展させていくつもりです! 今日はさっそく、マグラス領の新たな特産品を皆様にご紹介させていただきます」
デリックはそう言うと、マグラス伯爵に向かって目配せした。
――あれを発表するのにちょうどいいタイミングだ、という意味である。伯爵はうなずくと、よく響く声で会場全体に呼びかけた。
「皆さま。本日は婚約発表の場ではありますが、この場を借りて我が領の新たな特産品をご紹介させてください。娘婿となるデリックが考案し、我がマグラス家が自信をもってお届けする新商品『薬草入りの美容液』でございます!」
一人の使用人が、大きなワゴンを押しながら伯爵のもとやってきた。
大型ワゴンの上段にはガラスの小瓶がたくさん乗っており、瓶の中で金色に輝く液体が揺れている。ワゴン下段には、タンポポに似た黄金の植物――『ヒールトーチ』が切り花にされて大量に積まれていた。
招待客たちは、ワゴンに熱視線を注いでざわめいている。
「ヒールトーチって、北部の高山地帯でしか採れない貴重な薬草よね。マグラス領で採れるわけが……」
「でも、あれは本物のヒールトーチよ」
「じゃあ、あの小瓶は本当に、薬草入りの美容液? ……すてき!」」
得意げに、マグラス伯爵はワゴン下段からヒールトーチを取り出して、招待客たちに見せた。
「実は、我がマグラス領では十五年以上前から、密かにヒールトーチを栽培しておりました! ご覧ください、こちらが我が領のヒールトーチでございます」
おぉ……と、会場のどよめきが大きくなる。
「我がマグラス領のヒールトーチは、回復薬の材料とするには生産量が少なく、また、法規制によりポーション製造は北部の三領のみでしか行えないため、長らく『宝の持ち腐れ』のような状態でしたが……。この度、化粧品として活用し、紳士淑女の皆様にお役立ていただくことにいたしました! 当家の一大産業として、製品展開していくつもりです」
伯爵はヒールトーチをワゴンに戻すと、今度は美容液入りの小瓶を取って高らかに掲げてみせた。
「今日は特別に、皆様に一瓶ずつこちらの美容液をプレゼントいたします! 美容効果は、我が娘イザベラにて実証済みです」
イザベラが伯爵の隣に並び立ち、白く輝く美貌に笑みをたたえた。
「これを使いますと、お肌の調子がとても良くなりますのよ。どうぞ皆さまも、効果を実感なさってくださいまし」
伯爵とイザベラ、デリックは招待客のひとりひとりに美容液を配布し始めた。女性客はもちろん、情報収集に余念のない男性客たちも目を輝かせて美容液を受け取っている。
会場の各所で、「まさかマグラス家がヒールトーチの栽培を行なっていたとはなぁ」「この美容液、大流行するのは間違いない!」などと、マグラス家への期待の声が高まっていた。
誰も彼もが湧きたつパーティ会場の隅で、ただ一人。冷たい汗を流しながら、険しい表情をしている少年がいた――それはマグラス伯爵家の三番目の子供、ウィリアム・マグラスだ。
「……ヒールトーチで製品開発だと!? 聞いてないぞ、僕は。いつ枯れるか分からない状況なのに、商業化しようだなんて無茶苦茶だ!」
***
パーティの終了後、ウィリアムは父の執務室を訪ねた。幸い、執務室には父しかいなかった。
「無計画すぎるよ、父さん! うちの領のヒールトーチは生産がとても不安定で、商業化できるような状況じゃないだろ!?」
ウィリアムがそう訴えると、父親は鬱陶しそうな顔をした。
「そもそも、高山植物のヒールトーチが、なんで低地のマグラス領で育つのかさえ不明なのに! 奇跡的に育っているだけの植物で事業展開するなんて……無謀だよ!」
「黙れ、ウィリアム。なぜ枯れずに育っているのか――その理由を解明させるために、お前を王都のアカデミーに通わせているんだぞ? なのにお前は、全然成果を出せないじゃないか!」
くっ。と、ウィリアムは悔しそうに顔をゆがめた。
「僕だって頑張ってるんだ。……でも、調べれば調べるほど『栽培不能』と言わざるを得なくなった」
「ふん、そうやってお前は「分からない」「いつか枯れるはず」と、生産性のないことしか言わない。デリック君のほうが、よほど有能だ! 過去十五年以上枯れていないんだから、今後も育つという前提で事業化することを、彼は提案してくれた。回復薬と違って、化粧品なら王家の認可がなくても販売できるからな」
心配するな、と父は言う。
「化粧品で儲かったら、そのカネで有能な植物学者を雇うつもりだ。そして、当家のヒールトーチがなぜ育つのか徹底的に調査させる。理由が分かれば、将来的には大規模生産につながるだろう。今はまだ、マグラス家の屋敷の庭で小規模に育てているだけだからな……」
そう。マグラス伯爵領でのヒールトーチの生産量は、きわめて少ない。きちんとした畑があるわけではなく、生産場所は領主邸の中庭にあるちっぽけな花壇だけだ。
マグラス伯爵家に長年勤めている庭師が、花壇でヒールトーチを栽培している。――化粧品に使うなら、花のエキスを少し垂らせば十分だからその程度の小規模栽培でも意外と足りてしまうのだが。
「ともかく、お前の口出しは無用だ。お前は明日にでも王都に戻り、アカデミーでの勉学に励め。ヒールトーチが枯れない理由を解明出来たら、すぐ連絡しろ」
一方的に押し切られ、ウィリアムは父の執務室をあとにした。
*
「……くそ」
自室に戻ったウィリアムは、机に突っ伏して悔しそうに肩を震わせていた。
「この家は皆、無茶苦茶だ……。金儲けと見栄を張ることで頭がいっぱい。こんな調子ではいつか必ず、大失敗をやらかすぞ」
――クララ姉さんがいないなら、こんな家には価値がない!
ウィリアムは、心の底からそう思っていた。
「クララ姉さん……。どうして、結婚なんてしちゃったんだよ……?」
――悔しい。姉さんを僕から奪った、ジェド・レナスとかいう男が許せない。
「しかも、……契約結婚だなんて!」
ヒステリックに、ウィリアムは机を殴りつけた。
「姉さん……僕は、知っているんだよ。本当はその結婚、ただの契約結婚なんだろう? 愛もないのに、条件につられて嫁いでしまっただけんだろう?」
ウィリアムは、クララの婚姻が契約結婚に過ぎないことを知っていた。
「だって僕は、姉さんの部屋で婚前契約書を読んでしまったんだからね……」
イザベラはきらびやかなドレスと宝石で身を飾り、パーティ会場の中心で『次期当主』として堂々と振る舞っている。そんなイザベラのことを、礼装のハンサムな男性――婚約者デリックが優美にエスコートしている。
父親であるドナルド・マグラス伯爵は、快活な笑みを浮かべてパーティの招待客に挨拶して回っている。
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招待客がイザベラとデリックに話しかける声が、マグラス伯爵の耳に届いた。
「イザベラ様とデリック様は、本当にお似合いですわね!」
そして招待客は、「ここだけの話ですが……」という感じで言葉を添えた。
「クララ様が相続辞退なさったと聞いて驚きましたが、正直言ってクララ様よりも、イザベラ様のほうが女伯爵として相応しいように思いますわ。堂々としていらして、お美しくて! デリック様とも仲睦まじくて、とても素敵なカップルですわ」
息ぴったりに寄り添い合ったイザベラとデリックが、自信たっぷりに答える。
「姉の件でご心配をおかけしました。ですがわたくしとデリックが、マグラス家を盛り立てて参りますのでご安心ください。どうか当家と、今後ともよしなに」
「私はバーヴァー商会での経験を活かして、このマグラス家でもさまざまな事業を発展させていくつもりです! 今日はさっそく、マグラス領の新たな特産品を皆様にご紹介させていただきます」
デリックはそう言うと、マグラス伯爵に向かって目配せした。
――あれを発表するのにちょうどいいタイミングだ、という意味である。伯爵はうなずくと、よく響く声で会場全体に呼びかけた。
「皆さま。本日は婚約発表の場ではありますが、この場を借りて我が領の新たな特産品をご紹介させてください。娘婿となるデリックが考案し、我がマグラス家が自信をもってお届けする新商品『薬草入りの美容液』でございます!」
一人の使用人が、大きなワゴンを押しながら伯爵のもとやってきた。
大型ワゴンの上段にはガラスの小瓶がたくさん乗っており、瓶の中で金色に輝く液体が揺れている。ワゴン下段には、タンポポに似た黄金の植物――『ヒールトーチ』が切り花にされて大量に積まれていた。
招待客たちは、ワゴンに熱視線を注いでざわめいている。
「ヒールトーチって、北部の高山地帯でしか採れない貴重な薬草よね。マグラス領で採れるわけが……」
「でも、あれは本物のヒールトーチよ」
「じゃあ、あの小瓶は本当に、薬草入りの美容液? ……すてき!」」
得意げに、マグラス伯爵はワゴン下段からヒールトーチを取り出して、招待客たちに見せた。
「実は、我がマグラス領では十五年以上前から、密かにヒールトーチを栽培しておりました! ご覧ください、こちらが我が領のヒールトーチでございます」
おぉ……と、会場のどよめきが大きくなる。
「我がマグラス領のヒールトーチは、回復薬の材料とするには生産量が少なく、また、法規制によりポーション製造は北部の三領のみでしか行えないため、長らく『宝の持ち腐れ』のような状態でしたが……。この度、化粧品として活用し、紳士淑女の皆様にお役立ていただくことにいたしました! 当家の一大産業として、製品展開していくつもりです」
伯爵はヒールトーチをワゴンに戻すと、今度は美容液入りの小瓶を取って高らかに掲げてみせた。
「今日は特別に、皆様に一瓶ずつこちらの美容液をプレゼントいたします! 美容効果は、我が娘イザベラにて実証済みです」
イザベラが伯爵の隣に並び立ち、白く輝く美貌に笑みをたたえた。
「これを使いますと、お肌の調子がとても良くなりますのよ。どうぞ皆さまも、効果を実感なさってくださいまし」
伯爵とイザベラ、デリックは招待客のひとりひとりに美容液を配布し始めた。女性客はもちろん、情報収集に余念のない男性客たちも目を輝かせて美容液を受け取っている。
会場の各所で、「まさかマグラス家がヒールトーチの栽培を行なっていたとはなぁ」「この美容液、大流行するのは間違いない!」などと、マグラス家への期待の声が高まっていた。
誰も彼もが湧きたつパーティ会場の隅で、ただ一人。冷たい汗を流しながら、険しい表情をしている少年がいた――それはマグラス伯爵家の三番目の子供、ウィリアム・マグラスだ。
「……ヒールトーチで製品開発だと!? 聞いてないぞ、僕は。いつ枯れるか分からない状況なのに、商業化しようだなんて無茶苦茶だ!」
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パーティの終了後、ウィリアムは父の執務室を訪ねた。幸い、執務室には父しかいなかった。
「無計画すぎるよ、父さん! うちの領のヒールトーチは生産がとても不安定で、商業化できるような状況じゃないだろ!?」
ウィリアムがそう訴えると、父親は鬱陶しそうな顔をした。
「そもそも、高山植物のヒールトーチが、なんで低地のマグラス領で育つのかさえ不明なのに! 奇跡的に育っているだけの植物で事業展開するなんて……無謀だよ!」
「黙れ、ウィリアム。なぜ枯れずに育っているのか――その理由を解明させるために、お前を王都のアカデミーに通わせているんだぞ? なのにお前は、全然成果を出せないじゃないか!」
くっ。と、ウィリアムは悔しそうに顔をゆがめた。
「僕だって頑張ってるんだ。……でも、調べれば調べるほど『栽培不能』と言わざるを得なくなった」
「ふん、そうやってお前は「分からない」「いつか枯れるはず」と、生産性のないことしか言わない。デリック君のほうが、よほど有能だ! 過去十五年以上枯れていないんだから、今後も育つという前提で事業化することを、彼は提案してくれた。回復薬と違って、化粧品なら王家の認可がなくても販売できるからな」
心配するな、と父は言う。
「化粧品で儲かったら、そのカネで有能な植物学者を雇うつもりだ。そして、当家のヒールトーチがなぜ育つのか徹底的に調査させる。理由が分かれば、将来的には大規模生産につながるだろう。今はまだ、マグラス家の屋敷の庭で小規模に育てているだけだからな……」
そう。マグラス伯爵領でのヒールトーチの生産量は、きわめて少ない。きちんとした畑があるわけではなく、生産場所は領主邸の中庭にあるちっぽけな花壇だけだ。
マグラス伯爵家に長年勤めている庭師が、花壇でヒールトーチを栽培している。――化粧品に使うなら、花のエキスを少し垂らせば十分だからその程度の小規模栽培でも意外と足りてしまうのだが。
「ともかく、お前の口出しは無用だ。お前は明日にでも王都に戻り、アカデミーでの勉学に励め。ヒールトーチが枯れない理由を解明出来たら、すぐ連絡しろ」
一方的に押し切られ、ウィリアムは父の執務室をあとにした。
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「……くそ」
自室に戻ったウィリアムは、机に突っ伏して悔しそうに肩を震わせていた。
「この家は皆、無茶苦茶だ……。金儲けと見栄を張ることで頭がいっぱい。こんな調子ではいつか必ず、大失敗をやらかすぞ」
――クララ姉さんがいないなら、こんな家には価値がない!
ウィリアムは、心の底からそう思っていた。
「クララ姉さん……。どうして、結婚なんてしちゃったんだよ……?」
――悔しい。姉さんを僕から奪った、ジェド・レナスとかいう男が許せない。
「しかも、……契約結婚だなんて!」
ヒステリックに、ウィリアムは机を殴りつけた。
「姉さん……僕は、知っているんだよ。本当はその結婚、ただの契約結婚なんだろう? 愛もないのに、条件につられて嫁いでしまっただけんだろう?」
ウィリアムは、クララの婚姻が契約結婚に過ぎないことを知っていた。
「だって僕は、姉さんの部屋で婚前契約書を読んでしまったんだからね……」
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