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37 貴族は嫌い!
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ルフェルの話によれば、個別の認識までできていないようだが、ルフェルの魔法使っている魔法に気付いている様子であることから魔法について詳しそうであるので、相手は貴族ではないか、ということだ。
今日も含めてここ数日、職場に通うことなくこの家にとどまっている要因となった、貴族を含めた招かれざる冒険者パーティー。
カーラは貴族が好きではない。
元々そうであったのかと聞かれれば、とても小さい子供の時はそもそも貴族と関わることがなかったので、どうとも思っていなかった、というのが正解で、魔力を持っていることがわかって、貴族と呼ばれる人々と関わるようになってからは、人それぞれであるが、総じて関わらないで済むのなら関わりたくないと答えるだろう。
そして、この村にやって来るきっかけになったあのことから後は、絶対に関わりたくない存在であり、大嫌いなものになったことは間違いない。
もちろん、この村にも元貴族という人は存在している。
魔法を上手に使える人のほとんどが貴族であることから、上位の冒険者としてあった人々の多くは貴族であるのだ。
ただ、冒険者であるということは、一方では貴族世界からの脱落者であるという証左でもあるわけであるが……。
今、庭から部屋の中を窺っている冒険者も貴族であったとしても冒険者であれば、そう気にすることもない存在であるかもしれないのだが、ことこのようなことに鼻が利くフロマが注意喚起をするということは、あの冒険者がそれなりの貴族の関係者であることや、カーラのためにならない存在であることは確かなのだろう。
このままこの家に何もすることがないのであれば、わざわざ寝た子を起こすことは無い。フロマから何か連絡があるまではこのままこの家に引きこもっているだけだ。
もし、この後で男が正面から訪ねてくることがあれば……、とにかくカーラはその時のために行動を起こすことにした。
ルフェルは外の様子に神経を使っているのだろう、外から見えない位置に陣取って何かしらの魔法を使っているようだ。
男のことももちろん心配であるが、カーラは自分の考えていたレベルよりももっと高いレベルで魔法を使いこなしているルフェルのことの方が多いに気になった。
気になりながらもまず魔の前のこと、カーラはおろしていた髪の毛を簡単にであるがアップに結い上げると、その髪の毛をひっ詰めるようにスカーフで包み、外から髪の毛が見えないようにする。
この髪型は、この付近の国々の庶民の中で女性が既婚者であることを表す髪型である。
カーラはルフェルやヴォラスが髪を下ろしている方を好むので普段この髪型をしてはいない。
そもそも村の中に女性はカーラとルフェルフロマしかいない為、このひっつめ髪をする必要がない。村の住人はカーラが所帯持であることをしっているからだ。
『外の男が訪ねてきても、決してルフェルには会わせない』
貴族ではないカーラにはそこまできちんとした魔法教育を受けた経験がないから、はっきりとした物差しを持っているわけでは荷が、今のルフェルの魔法操作のレベルの高さがただものでは無いことは体感でわかる。
顔を合わせれば貴族できちんと教育を受けているものほどルフェルの凄さがわかってしまうかもしれない。
『あのこは、やはり公爵家の……』
色々なことを考える時間はたくさんあって、きっと正解である考えも比較的にすぐに思い至ったけれど、まず生きていくことに精一杯で、その答えをどうするかということについては考えないようにしてきて……。
流されながらも、今のこの幸せを壊したくない。壊さないためには何でもできる。
髪をひっ詰めてきたカーラの姿に気づいたルフェルは、カーラがなぜそのような姿になったのかにも気づいたようで、あまりいい顔をしない。
「男はさっきの場所から庭の周りを回って玄関の方に向かっている。居留守を使うのは難しいかな。下手したら家の中に勝手に入ってくるかもしれないし」
僕が対応に当たる。と言うルフェルの言葉を遮るように、カーラは言葉を挟んだ。
「ルフェルの魔法のことを知られると困ったことになるかもしれないわ。それにこの家の家長は私だから、ね」
ルフェルをその場に残して、カーラはいつ男が来ても良いように玄関近くに移動する。
いくら無法者の代名詞である冒険者であっても、人の住んでいる家の中に勝手に入ってくることは無いだろうが、いきなり扉を開けるくらいはするかもしれない、そう思うとほんの少しの時間が随分と長く感じた。
ルフェルは、母に何かあったらいけないが、母は自分に人前では魔法を使ってほしくないと思っていることもわかっているので、どうすればいいのか迷った。
こんな時に限ってテリオがすぐそばにいてくれない、今日森の中に行くことを提案したのは自分である手前、まだそんなに時間が経っていないのに呼び戻すことをためらっている自分が居て、心の中はぐちゃぐちゃだ。
ここに帰ってきてほしいと呼ぶではなしに、ルフェルは心の中でテリオの名前をただ呟いた。
今日も含めてここ数日、職場に通うことなくこの家にとどまっている要因となった、貴族を含めた招かれざる冒険者パーティー。
カーラは貴族が好きではない。
元々そうであったのかと聞かれれば、とても小さい子供の時はそもそも貴族と関わることがなかったので、どうとも思っていなかった、というのが正解で、魔力を持っていることがわかって、貴族と呼ばれる人々と関わるようになってからは、人それぞれであるが、総じて関わらないで済むのなら関わりたくないと答えるだろう。
そして、この村にやって来るきっかけになったあのことから後は、絶対に関わりたくない存在であり、大嫌いなものになったことは間違いない。
もちろん、この村にも元貴族という人は存在している。
魔法を上手に使える人のほとんどが貴族であることから、上位の冒険者としてあった人々の多くは貴族であるのだ。
ただ、冒険者であるということは、一方では貴族世界からの脱落者であるという証左でもあるわけであるが……。
今、庭から部屋の中を窺っている冒険者も貴族であったとしても冒険者であれば、そう気にすることもない存在であるかもしれないのだが、ことこのようなことに鼻が利くフロマが注意喚起をするということは、あの冒険者がそれなりの貴族の関係者であることや、カーラのためにならない存在であることは確かなのだろう。
このままこの家に何もすることがないのであれば、わざわざ寝た子を起こすことは無い。フロマから何か連絡があるまではこのままこの家に引きこもっているだけだ。
もし、この後で男が正面から訪ねてくることがあれば……、とにかくカーラはその時のために行動を起こすことにした。
ルフェルは外の様子に神経を使っているのだろう、外から見えない位置に陣取って何かしらの魔法を使っているようだ。
男のことももちろん心配であるが、カーラは自分の考えていたレベルよりももっと高いレベルで魔法を使いこなしているルフェルのことの方が多いに気になった。
気になりながらもまず魔の前のこと、カーラはおろしていた髪の毛を簡単にであるがアップに結い上げると、その髪の毛をひっ詰めるようにスカーフで包み、外から髪の毛が見えないようにする。
この髪型は、この付近の国々の庶民の中で女性が既婚者であることを表す髪型である。
カーラはルフェルやヴォラスが髪を下ろしている方を好むので普段この髪型をしてはいない。
そもそも村の中に女性はカーラとルフェルフロマしかいない為、このひっつめ髪をする必要がない。村の住人はカーラが所帯持であることをしっているからだ。
『外の男が訪ねてきても、決してルフェルには会わせない』
貴族ではないカーラにはそこまできちんとした魔法教育を受けた経験がないから、はっきりとした物差しを持っているわけでは荷が、今のルフェルの魔法操作のレベルの高さがただものでは無いことは体感でわかる。
顔を合わせれば貴族できちんと教育を受けているものほどルフェルの凄さがわかってしまうかもしれない。
『あのこは、やはり公爵家の……』
色々なことを考える時間はたくさんあって、きっと正解である考えも比較的にすぐに思い至ったけれど、まず生きていくことに精一杯で、その答えをどうするかということについては考えないようにしてきて……。
流されながらも、今のこの幸せを壊したくない。壊さないためには何でもできる。
髪をひっ詰めてきたカーラの姿に気づいたルフェルは、カーラがなぜそのような姿になったのかにも気づいたようで、あまりいい顔をしない。
「男はさっきの場所から庭の周りを回って玄関の方に向かっている。居留守を使うのは難しいかな。下手したら家の中に勝手に入ってくるかもしれないし」
僕が対応に当たる。と言うルフェルの言葉を遮るように、カーラは言葉を挟んだ。
「ルフェルの魔法のことを知られると困ったことになるかもしれないわ。それにこの家の家長は私だから、ね」
ルフェルをその場に残して、カーラはいつ男が来ても良いように玄関近くに移動する。
いくら無法者の代名詞である冒険者であっても、人の住んでいる家の中に勝手に入ってくることは無いだろうが、いきなり扉を開けるくらいはするかもしれない、そう思うとほんの少しの時間が随分と長く感じた。
ルフェルは、母に何かあったらいけないが、母は自分に人前では魔法を使ってほしくないと思っていることもわかっているので、どうすればいいのか迷った。
こんな時に限ってテリオがすぐそばにいてくれない、今日森の中に行くことを提案したのは自分である手前、まだそんなに時間が経っていないのに呼び戻すことをためらっている自分が居て、心の中はぐちゃぐちゃだ。
ここに帰ってきてほしいと呼ぶではなしに、ルフェルは心の中でテリオの名前をただ呟いた。
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