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 初めてこの神様というものに会った時、既に今と全く変わらない姿であったが、この姿がライトの心の奥底で求めている理想の姿なのだと伝えられた時に、膝から崩れ落ちたのは言うまでもない。

 ライトの直属の上司、ライトの担当、言い方は様々だが、とにかくライトが出会ったことがあるのはこの神のみ。

 姿形からしか判断できないが、神がライトの望む姿を取るものであるならば、会うたびに中身が違う神であったとしても、そこの判断はライトにはできない。

 ただ突っ込まれたりからかわれたりするところのツボがいつも変わらないので、きっとおなじ神様なのだろうなぁと思っているだけである。

 ひとしきり自身の姿でライトをからかったのち、満足したのか今回呼び出した本題について話し始めた。

「もう既にベテランの域に入っているライト君はわかっていると思うけど、今回も日本人の若者たちが『召喚』という名の『誘拐』をされたので、現地に赴き情状酌量の余地があるのかないのか、調査をしてもらうと共に、彼らを何事もなく元の世界、元の時間に戻せるように手を尽くすというものだ」

 神様ロリババアの言葉が終るとともに、ライトの手の中にこの場にはそぐわないライトの見慣れている、A5の紙の束が現れた。

 書かれている文字も勿論日本語。

 そこには今回もとある異世界に誘拐された高校生らしい制服姿の4人組の写真と共にプロフィールがびっしりと書かれている。

 この神様は、何事も知らないよりは知っている方が判断を下すうえで役に立つ、というもっともな理由をのたまいながら、毎回調査対象の人たちの今日着ている下着の色までそのプロフィールにのせていることは、本当にいかがなものかと思う。

「すでに君の性癖には刺さらない年齢のお嬢さんたちかもしれないけれど、私からの優秀な部下に与えるご褒美みたいなものだな」

 今日もかわいい顔に似合わない黒い笑みを浮かべて、プロフィールを読み込むライトの心の中をのぞいているのであろう。

 そんな絶対いらない情報以外にも、心の中を丸裸にできる神の齎す報告書だ、本人たちの気付いていない性格や、ライトも暴かれた?フェチのようなことまで載っているのだ。

 4人分のプロフィールを読むだけで十分疲れたライトは、次に誘拐犯である国または世界についての情報を求めるのであった。



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