転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

文字の大きさ
上 下
139 / 186

チュート殿下 104 生徒総会 5

しおりを挟む
 あぁ~……なんだかすっごく面倒くさくなって、この講堂内の人間全てを眠らせて、記憶もいじって俺の存在をこの場からすべて消し去ってやろうかと現実逃避し始めた時に、壇上で固まって話していた役員たちが、元の位置に戻り、司会担当の役員が咳払いをしてから話し始めた。

「えぇ~長らくお待たせして申し訳ない、今年度初めての総会ということで、こちらの方で少し行き違いがあったようだ、準備不足からこの総会を混乱させてしまったこと、心から役員一同詫びる。申し訳なかった。また、今回役員になる諸君達にも混乱を与えてしまったこと申し訳ない。本日のこれからの総会の議事としては、今年度の主な生徒会主催行事の説明、生徒会管轄下の各委員会の説明、そののち~……」

 司会者が何やら声を拡張して話続けているが音声もシャットアウト。

 先程俺の前に名前を呼ばれた三人、ゲーム内でのチュート殿下と関わりが深かった、この学年の成績及び身分の上位者。壇上で何もできずに中途半端に佇んでいる姿を見ると、もしかして俺が壇上に上がることをブッチしたことで、段取り道理にいかなくなったことが原因んなのかもしれないと思うと、少し・・・ばかり心が痛むが、きっとあっちには事前に話もいっていたのだろうから、何も知らない俺は悪くない!……と思いたい。

 司会者が話している後ろ、役員席のライトが当たらない暗闇で役員の中の数人が、先ほどの伝令役に使った先輩を中心に話し合っている姿が俺には見える。

 あっちも簡単な幻影魔法を使うものが居るのか、そんな魔道具があるのか、闇を少し濃くしてこちらには認識しにくくする程度のモノであるが、意識もそちらに向かわないような効果もあるようなので、それなりなのだろう。

 中央にドシリと構えている生徒会長にも、話し合いは聞こえるような細工もしてあるようで、表向きはなにも混乱がないように見える。

 そんな壇上のやり取りは無論のこと、それぞれが口から出していない心の声も拾うことができるキールってマジチート

「……アースクエイクの言っていることは本当か?本当に誰も事前に説明なり何なり、何もしていないのか?」
『何やってるんだよ?本当に漏れそうなほど怖かったんだからなぁ……なんでこんな役目やらされなければならないんだ、最上級生だぞ!』

「確か……新役員の勧誘担当は……二年の副会長が担当するはずだったよな?……そもそもヤツは今日何で欠席なんだ?」
『……なんか昨日も確かに調子悪そうに顔色良くなかったけど、もしかしたら、今日のこと……』

「確か体調がすぐれないから、本日は寮で休んでいると連絡がありましたが……」
『……そう言えば、会長と二人きりで何度も話し込んでいるところを見かけたけど……』

「寮にいるなら誰か同学年!確認してこい!大したこと無さそうなら役員棟に引っ張ってこい!」
『……今日だってヤツが居れば、こんな役目しなくて済んだんだぞ!』

「引っ張ってって……彼は侯爵子息ですよ。私はイヤです」
『……何かといえば最上級生だと言って威張る……今日だって目立ちたくて自分から言ったくせに……』

「何言ってるんだ。学園内に身分の上下は関係ないだろう!」
『そうだよ、これからは、本物の王族だって鼻で使えるはずなんだ』

「だったら、貴方ご自身で行ってくださいよ!私は御免です!」
『きっとろくでもないこと考えているんだ。本当使えない!』

「同じ役員なんだから、その所は問題ないのではないか?」
『侯爵子息を顎で使えずして、いわんや王族をやだぞ!初めが肝心なんだ、行って来いよ!』

「ですから……子爵家の私がいくら同僚の役員で在ろうとも、具合の悪いと言っている侯爵子息を、引っ張って来るなんて無理だと言っているんです!」
『だったら、お前がやれよ!同じ子爵家なんだから、言うくらいならできるだろう?最上級生なんだし!』

「……おい!話がずれているぞ。副会長に確認は必要だが今はそのことよりも、学園長はどう言っていたんだ?ご本人アースクエイクの話によれば、この学園にはいる条件として役員にはならないというのがあったとすれば、少なくとも学園長はそのことを認識していることになるだろう?我々が新役員の確認のための名簿を提出したとき、何も言われなかったとなれば、どうしてだと思う?」

「……」
『……そんなこと決まってるだろう。アースクエイクに噓をつくメリットなんてないんだから、学園長の方が忘れていたのかしらっばくれているかのどちらかだ。きっと尋ねたところで、「生徒会のことは生徒会で」とか何とかいうに決まってる』

「……」
『……どう思う?って、こちらがどのように考えても結局は、伯爵王子の手の内だろう?』

 

しおりを挟む
感想 137

あなたにおすすめの小説

幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~

月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。 「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。 そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。 『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。 その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。 スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。 ※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。) ※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

【完結】ゲーム開始は自由の時! 乙女ゲーム? いいえ。ここは農業系ゲームの世界ですよ?

キーノ
ファンタジー
 私はゲームの世界に転生したようです。主人公なのですが、前世の記憶が戻ったら、なんという不遇な状況。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか。  ある日、我が家に勝手に住み着いた平民の少女が私に罵声を浴びせて来ました。乙女ゲーム? ヒロイン? 訳が解りません。ここはファーミングゲームの世界ですよ?  自称妹の事は無視していたら、今度は食事に毒を盛られる始末。これもゲームで語られなかった裏設定でしょうか?  私はどんな辛いことも頑張って乗り越えて、ゲーム開始を楽しみにいたしますわ! ※紹介文と本編は微妙に違います。 完結いたしました。 感想うけつけています。 4月4日、誤字修正しました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...