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チュート殿下 98 学園での生活 2
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少し大げさに感じなくもないが、学園の中で安心できる場所を確保するためには、一棟建物を借り上げるのも仕方がないことなのかもしれない。
今までの王族は必ず生徒会に所属して、この借り上げた建物よりも余程大きく豪奢な生徒会特別棟なるものを大手を振って使用していたようであるのだが、俺は生徒会に関わる気が全くないことを公言してこの学園に入ったのだから、代替えの物を用意することは学園の義務ともいえるだろう。
本心がどのようなもので在れ、王妃が産んだ本物の王族であることがはっきりしている俺が、この学園の中で何かあった場合その責任は計り知れないものであるわけで、そこまで腹が据わった貴族なり教師は居ないということなのだろう。
休憩棟の確保が、通学初日にして叶えられているということは、形だけでも王族を歓迎しているというのを表していることに他ならないのだと、対外的に発表していると言える。
建物の二階に俺の使用する部屋があるようだ。
一階であると襲撃を受けた時に脱出はしやすいが、建物に賊が入ってきてからの時間を稼ぐことが難しい。
二階からぐらいであれば、一般人であっても飛び降りられないこともない。
俺は転移できるから、どこにいてもまぁ一緒なのだが、一般的なそこそこ魔法が使える人間として考えれば、このあたりに考え付くのが妥当なところだろう。
一応学園内は平等という考え方に則って行動することになっているから、上位貴族であっても王族であっても護衛を置くことが許されてはいない。
これは「外部から賊が入ることはありえないので、お子さんを安心して預けてくださいね」という学園側の大きなアピールだ。
王族であっても、この学園内では一人でうろついても安全であることを保障するというものだからだ。
ただ、従者や侍女を一人つけることは許されているから、戦える従者や侍女を付ける者もいるという。
しっかりと世話ができる者をつけるのか戦える者をつけるのかは、その家の判断だ。
俺の場合は、俺自身に自分を守るだけの力があるし、マーシュにはキールの存在が知られていることからも、気心が知れて俺のことをずっと面倒を見てくれていたリフルを従者として選ぶことは当たり前であった。
リフルには戦闘力については全く期待していない。
逆にリフルを何かされたら困るので、しっかりと守りは固めています。結界とかね……。
案内された部屋の中は俺好みにシックに整えられていた。
建物の他の所が結構派手だったので、ケバケバっだたらちょっと……と思っていたら、そこはマーシュが予め準備しているだけあって、取りあえず使う部屋だけは先に整えていたということだ。
「使わないところは手を入れることはないということです。殿下が歩かれる廊下は次の休みの後にはケバケバしたところはなくなる予定です」
すぐに紅茶の用意に入ったリフルは、この部屋の隣に新しくつくられたらしい給湯室に入っていった。
この建物の給湯室は、一階にしかなかったらしい。
新しく使いやすいものを作ってもらえてうれしいと、リフルはにこにこだ。
ここは、言うなればリフル専用の給湯室になるわけだから、リフルの使いやすいように作ってもらえたらしい。
「ここでは軽食も簡単な料理くらいであったら作れます。僕も料理長に習って作れる品数を増やしますね」
今日は初日のこともあり、昼食はすべて離宮の料理長の手によるもの。
午後からの授業は、選択科目を決めるための体験授業であるが、俺はすでに選択する科目を決めているので帰ってもいいのだけど……。
料理長のお弁当?を食べてすぐ帰るのも悪いので、少し時間をおいて帰ることにした。
キールもまだこの学園の中を徘徊し足りないようであるし。
今日は初日で、午後の授業も2コマしかないし、1コマ終ったら帰ろうかな。
体験授業の中で一つ、選択することを決めている科目の授業があったのでそれを受講することにした。
この体験授業は予め登録する必要がないということなので、予定表を見ながら直接その教室に向かう。
特別教室の授業に関しては教室までの従者の同伴は許可されていない。Sクラスのように教室の隣に従者の控室が準備されていないためだ。
今日は初めての教室移動であるし、特別教室棟の入り口横に設置されている控室までは従者の同伴が許されているので、リフルが俺の後ろについて歩いてきている。
「これから受講される科目は薬草学でよろしいのですか?」
学園内の地図と授業の予定表を見比べながら、リフルが質問してくる。同じ方向に歩いている新入生とみられる生徒も何人か見られる中、侍従を連れているような、つまり上級貴族の子息は俺たち以外見られない。
「貴族の子息で薬草学を受講する方は珍しいようですね」
周りを見渡しながら小声で話すリフル。
いつものように防御結界に認識阻害も軽くかけているので、ぶつかりさえしなければ俺たちの存在をきっちりと認識できる者はいないんだけどな。もちろん消音も混ぜて掛けているから、小声で話す必要もない。
そのことをわざわざ教えていない自分は……フフフ……。
特別教室棟は、いつも使う予定の教室棟や俺の休息する棟から結構離れていて、これからも昼食後すぐに授業が組まれているようであれば、いつもよりも早めに昼食を済ませる必要があるようだ。
「俺は錬金術に興味があるからね。貴族だったらそのようなことは自分でするのではなく、雇えばいいと考えている者が多いと思うよ。薬草学に時間を使うよりも、魔法の方に力を入れるのが普通かな」
今までの王族は必ず生徒会に所属して、この借り上げた建物よりも余程大きく豪奢な生徒会特別棟なるものを大手を振って使用していたようであるのだが、俺は生徒会に関わる気が全くないことを公言してこの学園に入ったのだから、代替えの物を用意することは学園の義務ともいえるだろう。
本心がどのようなもので在れ、王妃が産んだ本物の王族であることがはっきりしている俺が、この学園の中で何かあった場合その責任は計り知れないものであるわけで、そこまで腹が据わった貴族なり教師は居ないということなのだろう。
休憩棟の確保が、通学初日にして叶えられているということは、形だけでも王族を歓迎しているというのを表していることに他ならないのだと、対外的に発表していると言える。
建物の二階に俺の使用する部屋があるようだ。
一階であると襲撃を受けた時に脱出はしやすいが、建物に賊が入ってきてからの時間を稼ぐことが難しい。
二階からぐらいであれば、一般人であっても飛び降りられないこともない。
俺は転移できるから、どこにいてもまぁ一緒なのだが、一般的なそこそこ魔法が使える人間として考えれば、このあたりに考え付くのが妥当なところだろう。
一応学園内は平等という考え方に則って行動することになっているから、上位貴族であっても王族であっても護衛を置くことが許されてはいない。
これは「外部から賊が入ることはありえないので、お子さんを安心して預けてくださいね」という学園側の大きなアピールだ。
王族であっても、この学園内では一人でうろついても安全であることを保障するというものだからだ。
ただ、従者や侍女を一人つけることは許されているから、戦える従者や侍女を付ける者もいるという。
しっかりと世話ができる者をつけるのか戦える者をつけるのかは、その家の判断だ。
俺の場合は、俺自身に自分を守るだけの力があるし、マーシュにはキールの存在が知られていることからも、気心が知れて俺のことをずっと面倒を見てくれていたリフルを従者として選ぶことは当たり前であった。
リフルには戦闘力については全く期待していない。
逆にリフルを何かされたら困るので、しっかりと守りは固めています。結界とかね……。
案内された部屋の中は俺好みにシックに整えられていた。
建物の他の所が結構派手だったので、ケバケバっだたらちょっと……と思っていたら、そこはマーシュが予め準備しているだけあって、取りあえず使う部屋だけは先に整えていたということだ。
「使わないところは手を入れることはないということです。殿下が歩かれる廊下は次の休みの後にはケバケバしたところはなくなる予定です」
すぐに紅茶の用意に入ったリフルは、この部屋の隣に新しくつくられたらしい給湯室に入っていった。
この建物の給湯室は、一階にしかなかったらしい。
新しく使いやすいものを作ってもらえてうれしいと、リフルはにこにこだ。
ここは、言うなればリフル専用の給湯室になるわけだから、リフルの使いやすいように作ってもらえたらしい。
「ここでは軽食も簡単な料理くらいであったら作れます。僕も料理長に習って作れる品数を増やしますね」
今日は初日のこともあり、昼食はすべて離宮の料理長の手によるもの。
午後からの授業は、選択科目を決めるための体験授業であるが、俺はすでに選択する科目を決めているので帰ってもいいのだけど……。
料理長のお弁当?を食べてすぐ帰るのも悪いので、少し時間をおいて帰ることにした。
キールもまだこの学園の中を徘徊し足りないようであるし。
今日は初日で、午後の授業も2コマしかないし、1コマ終ったら帰ろうかな。
体験授業の中で一つ、選択することを決めている科目の授業があったのでそれを受講することにした。
この体験授業は予め登録する必要がないということなので、予定表を見ながら直接その教室に向かう。
特別教室の授業に関しては教室までの従者の同伴は許可されていない。Sクラスのように教室の隣に従者の控室が準備されていないためだ。
今日は初めての教室移動であるし、特別教室棟の入り口横に設置されている控室までは従者の同伴が許されているので、リフルが俺の後ろについて歩いてきている。
「これから受講される科目は薬草学でよろしいのですか?」
学園内の地図と授業の予定表を見比べながら、リフルが質問してくる。同じ方向に歩いている新入生とみられる生徒も何人か見られる中、侍従を連れているような、つまり上級貴族の子息は俺たち以外見られない。
「貴族の子息で薬草学を受講する方は珍しいようですね」
周りを見渡しながら小声で話すリフル。
いつものように防御結界に認識阻害も軽くかけているので、ぶつかりさえしなければ俺たちの存在をきっちりと認識できる者はいないんだけどな。もちろん消音も混ぜて掛けているから、小声で話す必要もない。
そのことをわざわざ教えていない自分は……フフフ……。
特別教室棟は、いつも使う予定の教室棟や俺の休息する棟から結構離れていて、これからも昼食後すぐに授業が組まれているようであれば、いつもよりも早めに昼食を済ませる必要があるようだ。
「俺は錬金術に興味があるからね。貴族だったらそのようなことは自分でするのではなく、雇えばいいと考えている者が多いと思うよ。薬草学に時間を使うよりも、魔法の方に力を入れるのが普通かな」
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