転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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プリュム・シャルール 3

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 父親の心配をよそに、私は王立学園の入園試験を受験しました。

 よくわからない問題が沢山ありましたけど、適当に書いておけば大丈夫でしょ!

 魔術の実技試験というものもありましたけど、私は何といっても治癒魔法が使えるので、その他諸々とは違う場所での試験となりました。

 この国の精霊と契約してできる治癒魔法は、水属性と光属性の精霊魔法になるそうなのですが、私の見た目から言って水属性の治癒魔法ではないと判断されたようで、それだけで特別扱い!

 さすが『ヒロイン』というところかしら。

 もちろん、私の治癒魔法は水属性でもましてや光属性でもないのだけど、そんなことわざわざ教えることもないでしょ。

 そのうちみんなが求める光属性?の治癒魔法だって使えるようになるわよ、『ヒロイン』なんだから。

 ただ、私の治癒魔法は今のところ、自分以外癒すことができない初級魔法だから、魔法を使うことができる証明に、自分を傷つけないといけないところが……痛かったけれど、発動すら見たことがない魔法の形だったらしく、エラソウな教師が驚いた表情を浮かべていたのが面白かった。

 この学園の中級学校からの持ち上がり以外の人はとても少ない様で、ましてや平民から試験を受ける人は私以外いなかったのか、誰にも会うことなく試験は終わったの。

 そもそも試験会場がゲームの背景だった王立学園ではなかったから、つまらなかったのだけど……。

 思い出したゲームの中で私が着ていた「制服」。

 今の私が普段来ている服と大分形が違っているの。

 だけど、私の記憶に間違いはないのだから、さっそくあの可愛らしい膝上丈のスカートの制服を着たくて注文しようとしたの。

 そうしたら、「合格通知がなければお作りすることができません」とかいうのよ、洋服屋風情が。

 頭に来たけど、未来の王妃・・である私は、ぐっとこらえて未来に抹殺するものリストに挙げておくだけで済ませてあげることにするの、寛大でしょ!

 合格することは必然なのだから、すぐにでも注文しておきたかったのに、仕方がないわね、ゲーム未来のことを知っているのは私だけなんだから、凡夫のことは許してあげなくてはね。

 秋には新学期が始まるのに、学園の長期休暇が終る直前になるまで合格通知が届くことがなかったから、父親の機嫌が悪くなる一方で、その一番のとばっちりを受ける使用人たちの機嫌も悪くなって、なぜか元凶と影で言われている私の方までにも嫌な空気が流れてきて、たまったもんじゃないわね。

 大金を払ったらしい貴族にそれとなく催促の手紙を出したようだけれど、求めるような返事が来ないようで、父親の機嫌が良くなることがなかったの。

 心配しなくても私の合格は決まっているんだから、イライラすることもないのに、商売人のくせに大金をどぶに捨てるような事をして、本当にもったいない!

 ただ、制服をオーダーメイドで頼むには期間が足りなくなりそうになったから、母親に頼んで制服ということは伝えずに私の記憶にある学園の制服を作ってもらうことにしたの。

 もちろん、あの初めに頼んで断られた洋服屋ではなく、普段制服を作っていないところらしいけど、私が細かくデザインについて説明をしておいたから、きっと問題なく作ってくれることでしょう。

 父親は合格通知が届いてから制服を注文するようにって言っていたけれど、それでは既製品しか間に合わないじゃない。

 この世界の『ヒロイン』で将来の王妃殿下である私が、既製品の制服なんか着れないわよ。

 その所を詳しく話せないから、父親がうるさく言うのもまぁ仕方がないことだと我慢しているけど……。

 結局、合格通知は入園式の10日前に届いたの。

 どこかで手違いでもあって、我が家に届くのが遅れてしまったのかしら?

 もしかしたら、悪役令嬢の家、確か侯爵家?だったかな?が、妨害してきたのかもしれないわ。

 気を付けないと!

 父親も「やっと肩の荷が下りた」とか言って喜んでいたけれど、元々が余計な心配だったのよ。

 ただ、合格通知には何かしら書かれていたようで、普通学園に入る平民に与えられる特別奨学生・・・・・には当たらない、と書かれていたらしいの。

 当り前よね、家はちょっとした貴族なんて足元にも及ばないような金持ち・・・なのだから、奨学金なんて必要ないもの。

 なのに父親ったら「補欠扱いであっても入れれば何とかなるだろう」とかいっているのよ、わけわかんない。

 私は、治癒魔法が使えて可愛いから学園に求められて入園するのよ、わざわざ特別をつける必要なんてないし、奨学金もいらないことがわかっているから特別奨学生?とか何とかにはならないだけでしょ。

 本当父親の頭の固さには困るわよね。これから次の次の王様の外祖父になるかも……いいえなるのだから、このままではいけないわ。

 まぁ、私がこの家、この商会のことも面倒を見てあげるから、心配はいらないか。


 そんなこともありながら、入園式をむかえたの。それなのに……。

「……なんで?なんでなの?……」 
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