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チュート殿下 91 この学園で学ぶべきものとは 1
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高等教育に当たるこの学園は、ほとんどが選択科目だ。
すでに中級学校卒業までに魔術における基礎の学習はすべて終わっているものとして扱われる。
この学園に編入扱いの俺も、入学試験において頑張ってしまったので本当はほぼ習うことがないことが発覚しているのだが、貴族としての社交を学ぶためにもこの学園に通わなければならないらしい。
それがこの国で貴族として生きていくためには最低限必要な事だから、とマーシュに言われている。
貴族として生きていくねぇ……。
どんな形でも生きていければいいかなぁ……。
なんか人生を達観しちゃったな、目の前にあるのは選択科目を決めるためのシラバスのようなものが置かれているだけなのに……。
実務的なことに関しての説明は、攻略対象者でもある若い方の教師がするようだ、これからの自分の進路によって選択する科目も違ってくるものだからか、今までの偉そうな教師の話の時とは違い、皆気を入れて話を聞いているようだ。
授業は受けないまでも、単位は取らなければいけないらしく、俺としては授業の出欠に関係なく試験を受ければ単位が取れる科目のみ、最低単位数申し込めばいいという結論に至る。
この辺の配分は、一番いい塩梅の授業をキールが選択してくれるだろう。
今日はこの後何もないはずなので、とにかく面倒くさいことに巻き込まれる前にこの場から脱出する事を一番に、教師の話が終るのを待つ。
自分の担当の話が終わって、教室の前の偉そうな椅子に偉そうに座っている教師も、一生懸命単位について話をしている教師も、教室の一番後ろの席に座っているはずの俺の方に気を向けていることがわかる。
建物の中では勝手に魔法の展開ができないような結界が張られているはずなのに、何かの魔法(教師であればそれが認識阻害であることぐらいは判断つくだろう)が使用されていることに理解が及ばないのだろう。
答えは簡単、この学園に張られている結界魔法よりも俺の使う魔法の方が精度が良いというだけのことだ。
この学園があるのは一応王城の中。この国で一番の結界魔法が張られている場所のはず。
そのはずであるのに、中級学校にも通っていなかった生徒が、この国一番の結界の中で、魔法を行使している。
この学園の教師であればそれがどのくらい凄いことなのか気付くはずであるのだが……どうやら偉そうな教師の方はそのことには気づいていないのか、こちらの認識ができないことがなぜだかわからないことが気に食わないのか、おもむろに立ち上がると、まっすぐこちらに向かって歩いてくる。
真剣に授業の説明を聞いていたほかの生徒たちも、前触れ無く立ち上がり歩き出した教師を目で追っている。
何かに気付いたのか、何も気づいていないのか、ただまっすぐにこちらに歩を進めるエラソウ(名乗りも挙げていないから名前わからないんだよねぇ)。
興味もなさそうなキールだが、一応鑑定でエラソウを視たようで、
『なんだよこいつ、偉そうにしてるからこのクラスの担任かと思ったけど、教師の資格も持ってないし魔術師としてもお粗末。一応初級の土属性精霊と契約はしてるけど……。伯爵王子の親戚のようだから、その点で偉そうにしているのか?』
取り敢えず、机の周りに張っていた結界魔法は解除する。
一応貴族であるならば、それなりの対応はするだろうという希望から、何も妨害することなく近づいてくることを許可することとした。
そんなこと、この目の前まで来たエラソウは知らないだろうが……。
「これはこれは、アースクエイク殿下。お初にお目にかかります。余りにも存在感を感じることができなかったものですから、近くまで確かめに来てしまいましたよ」
口の端を歪ませて、見下した表情を隠しもせずに片手を机の上にのせながら、上半身をこちらに覆いかぶせるように、歪んだ顔を近づけてくる。
こんな時間でこのような場所なのに酒にでも酔っているのか、アルコール特有の臭いがしてくる。
『クソだな!』
鼻をつまみながら、エラソウのすぐ横に立ってキールが一言吠える。
『実家は、ウインド家の寄り子の子爵家だな。土のそれも初級としか契約できなかったから、ここで無聊を慰めているってところかな、本人はさっき演説をぶっていたように自分のことを偉いと思っているようだし』
最近のキールの鑑定は、ただの鑑定とは言えないほどに詳細。内面まで見ることができるのは、既に神の領域だ。
関心の面持ちで、エラソウの横に立っているキールの方を見てしまう。
その目線がそれたことがエラソウには、俺が彼のことを無視したように見えたのか、瞬間で顔を真っ赤にして唾を掛ける勢いで大声を上げた。
「……アースクエイク・テンペストォ……自分の立場というものがわかっていないようだなぁ……まぁいい、この三年で身に染みることだろう……忘れるなよ!」
言いたいことを言いきったのか、エラソウはそのまま教室を出て行ってしまった。
その様子を確認しつつも何も言わずに選択科目の説明を続ける若い方の教師。
そう、俺に対してとても失礼なことを行ったエラソウに対して、何の咎める言葉もなく、それどころかこちらで起こっていることを全く無視する形で、この教師はずっと選択教科の説明を続けていたのだ。
それは今も変わらず、さすがに大声を上げて失礼な言葉を吐いてそのまま教室を出て行ってしまった男の行動に対して、この教室内の生徒も動揺を隠せない中、この若い教師はそれこそ何事も無いように、自分の仕事を続けていくという態度。
自分の仕事を全うするという点では、認めれる所が少しはあるかもしれないが、その仕事が教師ということであれば、どうであろうか……。
すでに中級学校卒業までに魔術における基礎の学習はすべて終わっているものとして扱われる。
この学園に編入扱いの俺も、入学試験において頑張ってしまったので本当はほぼ習うことがないことが発覚しているのだが、貴族としての社交を学ぶためにもこの学園に通わなければならないらしい。
それがこの国で貴族として生きていくためには最低限必要な事だから、とマーシュに言われている。
貴族として生きていくねぇ……。
どんな形でも生きていければいいかなぁ……。
なんか人生を達観しちゃったな、目の前にあるのは選択科目を決めるためのシラバスのようなものが置かれているだけなのに……。
実務的なことに関しての説明は、攻略対象者でもある若い方の教師がするようだ、これからの自分の進路によって選択する科目も違ってくるものだからか、今までの偉そうな教師の話の時とは違い、皆気を入れて話を聞いているようだ。
授業は受けないまでも、単位は取らなければいけないらしく、俺としては授業の出欠に関係なく試験を受ければ単位が取れる科目のみ、最低単位数申し込めばいいという結論に至る。
この辺の配分は、一番いい塩梅の授業をキールが選択してくれるだろう。
今日はこの後何もないはずなので、とにかく面倒くさいことに巻き込まれる前にこの場から脱出する事を一番に、教師の話が終るのを待つ。
自分の担当の話が終わって、教室の前の偉そうな椅子に偉そうに座っている教師も、一生懸命単位について話をしている教師も、教室の一番後ろの席に座っているはずの俺の方に気を向けていることがわかる。
建物の中では勝手に魔法の展開ができないような結界が張られているはずなのに、何かの魔法(教師であればそれが認識阻害であることぐらいは判断つくだろう)が使用されていることに理解が及ばないのだろう。
答えは簡単、この学園に張られている結界魔法よりも俺の使う魔法の方が精度が良いというだけのことだ。
この学園があるのは一応王城の中。この国で一番の結界魔法が張られている場所のはず。
そのはずであるのに、中級学校にも通っていなかった生徒が、この国一番の結界の中で、魔法を行使している。
この学園の教師であればそれがどのくらい凄いことなのか気付くはずであるのだが……どうやら偉そうな教師の方はそのことには気づいていないのか、こちらの認識ができないことがなぜだかわからないことが気に食わないのか、おもむろに立ち上がると、まっすぐこちらに向かって歩いてくる。
真剣に授業の説明を聞いていたほかの生徒たちも、前触れ無く立ち上がり歩き出した教師を目で追っている。
何かに気付いたのか、何も気づいていないのか、ただまっすぐにこちらに歩を進めるエラソウ(名乗りも挙げていないから名前わからないんだよねぇ)。
興味もなさそうなキールだが、一応鑑定でエラソウを視たようで、
『なんだよこいつ、偉そうにしてるからこのクラスの担任かと思ったけど、教師の資格も持ってないし魔術師としてもお粗末。一応初級の土属性精霊と契約はしてるけど……。伯爵王子の親戚のようだから、その点で偉そうにしているのか?』
取り敢えず、机の周りに張っていた結界魔法は解除する。
一応貴族であるならば、それなりの対応はするだろうという希望から、何も妨害することなく近づいてくることを許可することとした。
そんなこと、この目の前まで来たエラソウは知らないだろうが……。
「これはこれは、アースクエイク殿下。お初にお目にかかります。余りにも存在感を感じることができなかったものですから、近くまで確かめに来てしまいましたよ」
口の端を歪ませて、見下した表情を隠しもせずに片手を机の上にのせながら、上半身をこちらに覆いかぶせるように、歪んだ顔を近づけてくる。
こんな時間でこのような場所なのに酒にでも酔っているのか、アルコール特有の臭いがしてくる。
『クソだな!』
鼻をつまみながら、エラソウのすぐ横に立ってキールが一言吠える。
『実家は、ウインド家の寄り子の子爵家だな。土のそれも初級としか契約できなかったから、ここで無聊を慰めているってところかな、本人はさっき演説をぶっていたように自分のことを偉いと思っているようだし』
最近のキールの鑑定は、ただの鑑定とは言えないほどに詳細。内面まで見ることができるのは、既に神の領域だ。
関心の面持ちで、エラソウの横に立っているキールの方を見てしまう。
その目線がそれたことがエラソウには、俺が彼のことを無視したように見えたのか、瞬間で顔を真っ赤にして唾を掛ける勢いで大声を上げた。
「……アースクエイク・テンペストォ……自分の立場というものがわかっていないようだなぁ……まぁいい、この三年で身に染みることだろう……忘れるなよ!」
言いたいことを言いきったのか、エラソウはそのまま教室を出て行ってしまった。
その様子を確認しつつも何も言わずに選択科目の説明を続ける若い方の教師。
そう、俺に対してとても失礼なことを行ったエラソウに対して、何の咎める言葉もなく、それどころかこちらで起こっていることを全く無視する形で、この教師はずっと選択教科の説明を続けていたのだ。
それは今も変わらず、さすがに大声を上げて失礼な言葉を吐いてそのまま教室を出て行ってしまった男の行動に対して、この教室内の生徒も動揺を隠せない中、この若い教師はそれこそ何事も無いように、自分の仕事を続けていくという態度。
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