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プリュム・シャルール 1
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「……なんで?なんでなの?……」
私がここが乙女ゲーム「ドキドキ☆王立学園♡貴公子達と愛のエチュード」の世界なのだと気が付いたのは、父がこのアミュレット王国に私たち家族と共に移住してきて、この国での商売に成功し、貴族と言われる人々と交流を持つようになってからだ。
父は金では買えない名誉、つまり貴族としての階級を手に入れるために、手っ取り早く娘である私をどうにかして貴族に嫁がせようと画策していた。
自分でいうのもなんだけど、私は可愛い。
元の国タリスマン帝国ではそう珍しくなかった髪や目の色も、この国では全く見ることがない色のようで、特に髪色に関しては、「この国の王族のご落胤ではないのか?」と聞いてくる貴族が居るくらいで、そのことに関してあいまいな答えを返す父が、私には信じられないような心持がしていたのだけれど、今にして思えば願ったりな事なのかもしれない。
何でもピンク掛かった髪色は、この国では火属性だけでなく光属性の精霊とも契約したように感じられるのだって。
確かに私は魔法を使うことができる。
だけどそれは、タリスマン帝国では当たり前のことで、使える魔法は魔力量から大したことはできない初期魔法の、治癒魔法だけ。
これはタリスマン帝国においては、魔力量が少ない女の子が選択する一般的なもの。男の子であれば攻撃系の魔法を選択する人もいるけれど、女の子であって少し金銭的な余裕があれば、初級の治癒魔法のスクロールを買うことができるためだ。
タリスマン帝国では魔法は買うことのできるモノとして存在している。
確かにそれぞれに得手不得手はあるようだけど、そのことが判明する15歳のスキル確認をする前には、一つ二つの初級魔法を購入しているものがほとんどであるのがタリスマン帝国なのだ。
私も、親が用意してくれた治癒の初級魔法のスクロールを10歳のころには読込んでいたと思う。
スクロールを読込んでからは、自身の小さなケガや軽い風邪はそのことを意識するだけで治るまでの時間がかからなくなったことを実感している。
この治癒の初級のスクロールは、他人に対してまで治癒の魔法を使うことができないものなので、それほど高い金額で取引されていないものなのだった。
私は、11歳になった時点でアミュレット王国に移住してきたので、タリスマン帝国で行うスキルの確認も、またこのアミュレット王国で行う精霊契約の儀式も、どちらも受けることなく14歳になった。
そして私は、父が成金になったお陰で、最近よく我が家にやって来る貴族の方々と顔を合わせる機会が増え、この国の国王や上級貴族と言われる方々の名前を聞く機会が増えたことで、その中に知った名前が時々出てくることに気付いたのだ。
「なんてこと!」
国の名前を知った時に何故気づかなかったのか。アミュレット王国とタリスマン帝国といえば……。
「ドキ恋」じゃないの‼
なぜか主人公ともいえる王太子殿下『アースクエイク・デューク・テンペスト』の名前は全く上がって来ることは無かったが、私の年齢が15歳になることや、魔法も使えることを見て取った男爵家や子爵家辺りで、それほど裕福ではない家の当主たち、つまり父から融資という名の借金をしている方々が、伯爵子息の名前や侯爵子息の名前、ヴォーテックスやクリフの名を挙げながら、やたらと王立学園に入ることを薦めだしたのだ。
「我が家の養女にならないか」の枕詞と共に。
この国の貴族の世界にそう詳しくはない父は、下級貴族の当主たちの話を聞きながら商人らしく計算をして、今すぐにどこか下級貴族の後妻のようなものとして嫁がせるよりも、はっきりと自分の娘であることをにおわせながら、平民の魔力持ちとして、貴族がほとんどである王立学園に入れる方が将来絶対高く売れると踏んだようだ。
私も、父の腹の中全ては計り知れないが、髪色のことを貴族たちに気を持たせるためにか、この国の中級学校に通わせることなく、駒としての教育を施されてきたことも知っていた。
どのような思惑があったとしてもこの世界が「ドキ恋」と知った今、学園に入園しない手はないし、そもそも入園しないなんてことは無いだろう。
そうよ何と言っても、これだけカワイイ私はこの世界の『ヒロイン』なのだから‼
私がここが乙女ゲーム「ドキドキ☆王立学園♡貴公子達と愛のエチュード」の世界なのだと気が付いたのは、父がこのアミュレット王国に私たち家族と共に移住してきて、この国での商売に成功し、貴族と言われる人々と交流を持つようになってからだ。
父は金では買えない名誉、つまり貴族としての階級を手に入れるために、手っ取り早く娘である私をどうにかして貴族に嫁がせようと画策していた。
自分でいうのもなんだけど、私は可愛い。
元の国タリスマン帝国ではそう珍しくなかった髪や目の色も、この国では全く見ることがない色のようで、特に髪色に関しては、「この国の王族のご落胤ではないのか?」と聞いてくる貴族が居るくらいで、そのことに関してあいまいな答えを返す父が、私には信じられないような心持がしていたのだけれど、今にして思えば願ったりな事なのかもしれない。
何でもピンク掛かった髪色は、この国では火属性だけでなく光属性の精霊とも契約したように感じられるのだって。
確かに私は魔法を使うことができる。
だけどそれは、タリスマン帝国では当たり前のことで、使える魔法は魔力量から大したことはできない初期魔法の、治癒魔法だけ。
これはタリスマン帝国においては、魔力量が少ない女の子が選択する一般的なもの。男の子であれば攻撃系の魔法を選択する人もいるけれど、女の子であって少し金銭的な余裕があれば、初級の治癒魔法のスクロールを買うことができるためだ。
タリスマン帝国では魔法は買うことのできるモノとして存在している。
確かにそれぞれに得手不得手はあるようだけど、そのことが判明する15歳のスキル確認をする前には、一つ二つの初級魔法を購入しているものがほとんどであるのがタリスマン帝国なのだ。
私も、親が用意してくれた治癒の初級魔法のスクロールを10歳のころには読込んでいたと思う。
スクロールを読込んでからは、自身の小さなケガや軽い風邪はそのことを意識するだけで治るまでの時間がかからなくなったことを実感している。
この治癒の初級のスクロールは、他人に対してまで治癒の魔法を使うことができないものなので、それほど高い金額で取引されていないものなのだった。
私は、11歳になった時点でアミュレット王国に移住してきたので、タリスマン帝国で行うスキルの確認も、またこのアミュレット王国で行う精霊契約の儀式も、どちらも受けることなく14歳になった。
そして私は、父が成金になったお陰で、最近よく我が家にやって来る貴族の方々と顔を合わせる機会が増え、この国の国王や上級貴族と言われる方々の名前を聞く機会が増えたことで、その中に知った名前が時々出てくることに気付いたのだ。
「なんてこと!」
国の名前を知った時に何故気づかなかったのか。アミュレット王国とタリスマン帝国といえば……。
「ドキ恋」じゃないの‼
なぜか主人公ともいえる王太子殿下『アースクエイク・デューク・テンペスト』の名前は全く上がって来ることは無かったが、私の年齢が15歳になることや、魔法も使えることを見て取った男爵家や子爵家辺りで、それほど裕福ではない家の当主たち、つまり父から融資という名の借金をしている方々が、伯爵子息の名前や侯爵子息の名前、ヴォーテックスやクリフの名を挙げながら、やたらと王立学園に入ることを薦めだしたのだ。
「我が家の養女にならないか」の枕詞と共に。
この国の貴族の世界にそう詳しくはない父は、下級貴族の当主たちの話を聞きながら商人らしく計算をして、今すぐにどこか下級貴族の後妻のようなものとして嫁がせるよりも、はっきりと自分の娘であることをにおわせながら、平民の魔力持ちとして、貴族がほとんどである王立学園に入れる方が将来絶対高く売れると踏んだようだ。
私も、父の腹の中全ては計り知れないが、髪色のことを貴族たちに気を持たせるためにか、この国の中級学校に通わせることなく、駒としての教育を施されてきたことも知っていた。
どのような思惑があったとしてもこの世界が「ドキ恋」と知った今、学園に入園しない手はないし、そもそも入園しないなんてことは無いだろう。
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