転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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チュート殿下 87 学園にもあったSクラス!

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 クラス分けも、まぁよくある感じで、ギルドランクと同じように上から下にA~Fで、一番上にSクラスが存在する。

 やる気はなかったが、あまりにも簡単すぎる編入試験に、回答しないというのも、プライドが邪魔をして出来なかった。

「こんな問題もできないのか?」

 と思われたくなかったのだ。それくらい簡単な問題で、俺をバカにしてるのか、忖度入っているの?と思ったほどだった。

 それもあったのか、一応王子様でもあるからか、しっかりSクラスに入っておりました……。

 ゲームの中では、性格に難ありだけど、それなりにきちんと教育はされていたわけで、スペック的にも腐っても王族だからやる気さえあれば結構いけていたと思うんだけど……ばかだったから、いろいろな意味で……。

 でもSクラスだった。忖度ね。

 ゲームのSクラスは上位貴族ばっかりだった、ヒロイン以外は。人数も少なかったし。

 今俺が足を踏み入れたSクラスも、あまりにもゲームと変わりない顔ぶれで、名前も顔も記憶済みだった。

 俺の元?じゃないな、ゲーム上では婚約者だった、フォスキーア・マルケーゼ・ゲイル侯爵令嬢。

 スチルで見た通り、少しきつめの美少女だ。二人きりで会ったことも話したこともない。

 ゲームでいうところの熱血脳筋枠とでもいうのか、ゲームではアースクエイクの幼馴染兼護衛担当としていつも近くにいた、トレント・カウント・トルネード伯爵子息。現騎士団長の長男だ。

 赤茶の短髪に、赤い瞳。赤のトレントの名に恥じぬ様に、火属性の魔法に長けているのだろう。彼とも絡んだことは無い。

 ゲームでは男の娘枠?というのか、魔法使い枠というのか、少し小柄な可愛らしい系で尚且つ口が悪い系の、アピス・ヴィスカウント・ブリーズ子爵令息。彼は魔法に自信があったようで、あの実技試験の時から、敵を見るように睨まれると言う記憶しかない。

 以上の三人はしっかりとゲームに出てくる準主役系の人々で、男子に関してはフォスキーア・マルケーゼ・ゲイル侯爵令嬢の兄も、次作で選択されれば、主役になる人物たちだ。

 とても学校とは思えない豪奢な椅子と机が10組程度並べられている教室。初級学校の時ととはまた違う趣だ。

 一人用の物なのだろうが、サイズ感が二人でも使えそうなぐらいゆったりしている。

 そしてこの教室の隣には、従者の控えの間があったりするようだ。そこには簡単な給湯ができる施設も造られているらしい。

 だからか、このSクラスと隣にあるはずのAクラスは結構離れている。

 高等教育を行うこの学園は、比較的選択教科が多いと聞いていたが、この教室で受ける授業も多いのだろうか。

 座る所は決まっているのか、先に教室に入っていたリフルが俺にあてがわれたのだろう机の横に控えていた。

 ほかの上級貴族の従者もそれぞれの主人の机の横に控えている。

 従者が付いていない机の主は、実家が従者をつけるほどの地位を持たない家の子どもということになるのか。

 裕福であっても、さすがに平民には従者をつけることは認められていないようだ。

 ここでも身分に関係なく云々は絵に描いた餅であることがわかる。

 この教室には扉が前後に二つあるが、基本的に後ろの扉は従者が使うものとされているらしい。

 俺の席は扉のある廊下から離れていて教室の一番後ろ、他クラスメイトから授業中見られることのない位置に設けられたようだ。

 教室が広いこともあり、どの席もひとつひとつが離されて設置されている。

 教室に入るまで隠蔽と認識阻害を外すのを忘れていたので、俺の机の横に控えて居るリフルがこちらを向いているのに俺に気が付いていない姿を見て、どの瞬間に外せばいいのか少し躊躇した。

 一旦教室の中から外に出て、クラスの全員が教室の中に入ったことを確かめてから、廊下で隠蔽を外し認識阻害を薄くしてリフルの待つ席に近づいたのだった。

 流石にリフルは近づいた俺の存在に気が付いたし、俺がなぜ認識阻害を薄くかけたままなのかも理解しているので無言のまま、その場から控室に下がっていった。

 リフルたち侍従は、どの席が主人の席であるか知らしめるためだけにその場にいたらしい。

 侍従が居ない者は教卓の上に置かれている、席順が書かれた紙を見て自分で確かめる必要があるようだが、そのようなこと生徒本人全員がやればいいことなのに、何をはじめからやらせているのか、少し頭が痛くなった。

 教卓の上の席順を見たものは教室の一番後ろに置かれている机の主が誰であるかわかるからか、好奇心が浮かんだ瞳をこちらに向けるのだが、今の俺の姿はよほど魔法適性が高い者でなければはっきりと認識することはできないことだろう。

 ほぼ俺以外は中級学校からの持ちあがりであるだろうから皆顔見知りで、それでも雑談を交わさないのは、それとなくでも俺の存在を認識しているからだろう。

 しばらく待つと、このクラスの担当教師だろうか年配の男と、まだそれほど経験を積んでいるようには見えない若い男が入ってきた。

 よく見たら若い方は知っていた……ゲームの方の記憶だけどね。

 次作の攻略対象者の一人だ。
 
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