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チュート殿下 74 まずは水の弾丸で腕慣らし!
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いつまで待たせるつもりなのか、ただ一人にしてこの競技場に居る全員の注目の元、恥をかかせる算段なのか。
中央の校長たちのもめごとは終わったようで、何かの指令がこの場の教師に送られているのか、手旗信号ではないけど、何かジェスチャーしてるし……。
そう言えば、リフルはこの観覧席のどこかで見ているのかな?
見渡してみると、満席ではないが結構な数の見学者が居ることに改めて気付く。皆家族が見に来てくれているのだろう。
俺には家族はいないから、そのことについては悲しいとか寂しいとかそう言う感情は全く生まれてこない。
観覧席の随分上の方に従僕たちが集まって見ている席があった。
距離があるがここからでもリフルのことはどこに居るか判別できる。
一人だけでも心から自分の事を応援してくれている人が居るとわかるとやる気出ちゃうね。
この実技に使われている的に意識を向けると、俺の行うところに建てられている物だけ、他の物と放っている魔力が違うことに気付く。
的の周囲に結界は張られていないのに、的には何か他の物とは違う魔力の波動を感じるのはなぜか。
競技場の隅に集められている的は、どこか少しへこんだ跡があるものと、薄っすら黒ずんでいる物が見受けられる。残っている魔力を鑑定すると、土魔法でへこまされたものと、火魔法で焦げ付いたものであるとわかった。
初級レベルの水魔法は濡らすことがせいぜいで、乾けば次の者も使えるから交換する必要はないのだろう。風魔法もそれと同じで、初級の風魔法では金属の的に傷はつけることはできない。
その的に比べて、俺の目の前のそれは少し金属の種類が違うようだ。
鑑定してみると、競技場の隅に集められている物はやはり初級に対応した的で、初級魔法でも的に届けばその痕跡がしっかりと着く、やわらかい金属でできているもののようだ。
それに比べて俺に用意された的は、上級用の的で、しっかりした攻撃魔法でなければ全く傷をつけることができない物、と鑑定できた。
攻撃魔法は放てないと踏んで的の周りに結界は張っていないのに、一応の保険のためか的は上級用の物を用意するとか……。
鑑定魔法が使えるものが視ればこの的のこともわかってしまうと思うのだけれど……。まさかこの国の教師に鑑定魔法が使えるものが居ないことは無いだろう?
今回の試験、まぁ言い換えれば的当てだが、円の中心に置かれている的のどの場所にどのくらいの強さで攻撃魔法を打ち込んだのかを測るもの。
ここは競技場のほぼ中央だから、射線を調整したら、あの観覧席の中央でふんぞり返っている校長たちに当てることができるかもしれないことに気が付いた。
もちろん観覧席に居る人に直接攻撃魔法は当てることができなくなっているから、目の前に張られている結界に当てるだけだけど。
まだ、中央から何かしらの答えをもらっていないのか、この場の担当の教師はもたもたしているが、敵の準備を待つこともない。
俺は移動しながら魔法を放つことにした。
ゆっくりと的の周囲に書かれている縁に沿って、初めは弱く徐々に強くなるように。
まだ魔力操作を始めたばかりの1年生は、その場にとどまって集中し何とか魔力をまとめて放つことが精一杯というものが殆どで、それもできない者もいなくはない。
俺はその放てない者だと思われている訳だけどね。
俺が動き出したのを見て、担当教師は困っているけど、他の場所担当の教師たちは自分たちの場所の生徒もいなくなったことから、一番最後に始めたようになっている俺の試技に注目し始めて、返って止めることはできなくなっている。
場所の準備はとうにできていて、教師がその場に居れば試験を始めることができるわけで、その条件は満たしているので何か仕掛けがあったのかどうなのか、止めようとすれば逆に教師が悪目立ちするだろう。
ふんぞり返っていた校長たちも、予定外に始まった俺の試技に少し驚いたような表情を見せていたが、始めた俺の攻撃魔法のしょぼさに安心したような嫌味な笑顔を浮かべている。
水魔法も初めは花壇に水を撒くのとそう変わらないような、ただ水を生み出してその場に巻くだけのような強さから、一歩一歩演習を進むにつれて水量と水圧を上げていく。
この世界の魔法であると、水魔法でのボールとかは、ほんとただの水まきに過ぎないから使用頻度もそれほどないものだ。カッター系の魔法もアロー系の魔法も、水魔法で攻撃力を持つのは余程レベルが高くないと難しいとされている。
スクリーンは火を消すのには結構役に立つが、火魔法の攻撃魔法による火を消すのではなく、自然に使われている火による火災の時に使われることが多い魔法とされている。
今回は的あてだから、ボールで的に当ててもいいものであるし、ほとんどの水属性適性の者はそれで得点を得ている。
俺は細く絞った、高圧洗浄機のような水をイメージして的に当てる。まだここでは的を濡らすボールとそう変わりなく、的を濡らす程度のことしかできない。
ただ、絶え間なく生み出した水を放て続けているので、見るものが視ればそれすら簡単ではないことは気付くはずだ。
もう少しすると,射線が校長たちの位置と重なる所に来る。
俺は一度高圧洗浄機モードの魔法を切って、バレット系の魔法に切り替えた。要するに水で作った銃弾を放つような魔法である。
ただし、ただ水を弾丸のようにしたものを放つでは面白くないし、威力もない。
俺は今までかけていた水圧を放つことの方ではなく、固めることの方に掛けて岩でも作れないほど硬い水でできた弾丸を作る。そして、放つ力を又徐々に上げていく。
カーン……カーン……カーン……。
特殊な金属でできた中央にある的に水の弾丸が当たる音が響き始める。
カン・カン・カンカン……カカカカカカカカ・キーンキーン・キーンキューンキューン・キーキー……シュッツ!
低めの音から高めの音へ。
はじかれる音が大きくなって、そして丁度校長達の席が射線に乗った時、水の弾丸がはじかれることなく、その的の中央を貫通し、観覧席と競技場を分けるように張られている結界に当たった。
中央の校長たちのもめごとは終わったようで、何かの指令がこの場の教師に送られているのか、手旗信号ではないけど、何かジェスチャーしてるし……。
そう言えば、リフルはこの観覧席のどこかで見ているのかな?
見渡してみると、満席ではないが結構な数の見学者が居ることに改めて気付く。皆家族が見に来てくれているのだろう。
俺には家族はいないから、そのことについては悲しいとか寂しいとかそう言う感情は全く生まれてこない。
観覧席の随分上の方に従僕たちが集まって見ている席があった。
距離があるがここからでもリフルのことはどこに居るか判別できる。
一人だけでも心から自分の事を応援してくれている人が居るとわかるとやる気出ちゃうね。
この実技に使われている的に意識を向けると、俺の行うところに建てられている物だけ、他の物と放っている魔力が違うことに気付く。
的の周囲に結界は張られていないのに、的には何か他の物とは違う魔力の波動を感じるのはなぜか。
競技場の隅に集められている的は、どこか少しへこんだ跡があるものと、薄っすら黒ずんでいる物が見受けられる。残っている魔力を鑑定すると、土魔法でへこまされたものと、火魔法で焦げ付いたものであるとわかった。
初級レベルの水魔法は濡らすことがせいぜいで、乾けば次の者も使えるから交換する必要はないのだろう。風魔法もそれと同じで、初級の風魔法では金属の的に傷はつけることはできない。
その的に比べて、俺の目の前のそれは少し金属の種類が違うようだ。
鑑定してみると、競技場の隅に集められている物はやはり初級に対応した的で、初級魔法でも的に届けばその痕跡がしっかりと着く、やわらかい金属でできているもののようだ。
それに比べて俺に用意された的は、上級用の的で、しっかりした攻撃魔法でなければ全く傷をつけることができない物、と鑑定できた。
攻撃魔法は放てないと踏んで的の周りに結界は張っていないのに、一応の保険のためか的は上級用の物を用意するとか……。
鑑定魔法が使えるものが視ればこの的のこともわかってしまうと思うのだけれど……。まさかこの国の教師に鑑定魔法が使えるものが居ないことは無いだろう?
今回の試験、まぁ言い換えれば的当てだが、円の中心に置かれている的のどの場所にどのくらいの強さで攻撃魔法を打ち込んだのかを測るもの。
ここは競技場のほぼ中央だから、射線を調整したら、あの観覧席の中央でふんぞり返っている校長たちに当てることができるかもしれないことに気が付いた。
もちろん観覧席に居る人に直接攻撃魔法は当てることができなくなっているから、目の前に張られている結界に当てるだけだけど。
まだ、中央から何かしらの答えをもらっていないのか、この場の担当の教師はもたもたしているが、敵の準備を待つこともない。
俺は移動しながら魔法を放つことにした。
ゆっくりと的の周囲に書かれている縁に沿って、初めは弱く徐々に強くなるように。
まだ魔力操作を始めたばかりの1年生は、その場にとどまって集中し何とか魔力をまとめて放つことが精一杯というものが殆どで、それもできない者もいなくはない。
俺はその放てない者だと思われている訳だけどね。
俺が動き出したのを見て、担当教師は困っているけど、他の場所担当の教師たちは自分たちの場所の生徒もいなくなったことから、一番最後に始めたようになっている俺の試技に注目し始めて、返って止めることはできなくなっている。
場所の準備はとうにできていて、教師がその場に居れば試験を始めることができるわけで、その条件は満たしているので何か仕掛けがあったのかどうなのか、止めようとすれば逆に教師が悪目立ちするだろう。
ふんぞり返っていた校長たちも、予定外に始まった俺の試技に少し驚いたような表情を見せていたが、始めた俺の攻撃魔法のしょぼさに安心したような嫌味な笑顔を浮かべている。
水魔法も初めは花壇に水を撒くのとそう変わらないような、ただ水を生み出してその場に巻くだけのような強さから、一歩一歩演習を進むにつれて水量と水圧を上げていく。
この世界の魔法であると、水魔法でのボールとかは、ほんとただの水まきに過ぎないから使用頻度もそれほどないものだ。カッター系の魔法もアロー系の魔法も、水魔法で攻撃力を持つのは余程レベルが高くないと難しいとされている。
スクリーンは火を消すのには結構役に立つが、火魔法の攻撃魔法による火を消すのではなく、自然に使われている火による火災の時に使われることが多い魔法とされている。
今回は的あてだから、ボールで的に当ててもいいものであるし、ほとんどの水属性適性の者はそれで得点を得ている。
俺は細く絞った、高圧洗浄機のような水をイメージして的に当てる。まだここでは的を濡らすボールとそう変わりなく、的を濡らす程度のことしかできない。
ただ、絶え間なく生み出した水を放て続けているので、見るものが視ればそれすら簡単ではないことは気付くはずだ。
もう少しすると,射線が校長たちの位置と重なる所に来る。
俺は一度高圧洗浄機モードの魔法を切って、バレット系の魔法に切り替えた。要するに水で作った銃弾を放つような魔法である。
ただし、ただ水を弾丸のようにしたものを放つでは面白くないし、威力もない。
俺は今までかけていた水圧を放つことの方ではなく、固めることの方に掛けて岩でも作れないほど硬い水でできた弾丸を作る。そして、放つ力を又徐々に上げていく。
カーン……カーン……カーン……。
特殊な金属でできた中央にある的に水の弾丸が当たる音が響き始める。
カン・カン・カンカン……カカカカカカカカ・キーンキーン・キーンキューンキューン・キーキー……シュッツ!
低めの音から高めの音へ。
はじかれる音が大きくなって、そして丁度校長達の席が射線に乗った時、水の弾丸がはじかれることなく、その的の中央を貫通し、観覧席と競技場を分けるように張られている結界に当たった。
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