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チュート殿下 71 実技試験とその裏側
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筆記試験から一日開けて、魔法学校らしく1年生でも魔力や魔法に関しての試験を行う。
初等学校ではまだ魔力操作しか教科として存在していないので、実技試験としてはその魔力操作能力について行われることになる。
そう、俺がいつも危ないからと見学させられていたあれだ。
一回も教えてもらっていないのに、他の生徒と同じ試験を受けさせられる、このことからして現校長側の思惑がわかるというものだ。
誰もが初めての魔法に関しての試験、皆緊張した面持ちだ。
魔力操作の試験は、簡単に説明すればそれぞれの得意な属性魔法で的を打ち抜く、というただそれだけのものだ。
的の中心部からどのくらい近いかと、的までの距離でその精度の正確さを図るのだ。
だから、まだ魔力を体の外に放出することができない者はこの試験を受けることはできない。
入学してからこれまでの授業の中で、まだそのことができないものに関しては予め試験を受けること自体が免除、というかできるようになった時に行うことが決められていて、もちろんその時の点数は今回行うものよりも点数が低く設定されている。
1年生の中でも比較的階級が低い家の子供で、魔力に関しての家庭教師をつけることのできなかった、学校に入って本当に初めて魔力の操作を習ったものには何名かまだ魔法を体外に放つことのできない者が居るらしい。
もちろんその者たちは今回の試験に不参加だ。
俺?
俺は魔直操作の授業も魔力を外に放出できるかどうか確かめられてもいないのに、しっかり参加扱いですが……。
今回のこの実技試験も、筆記試験の問題を回収するのと同等の、『試験非公開』にしたかったようなのだが、例年この試験に関しては、生徒の親族も見に来るいわば一種の家の力の誇示にも使用されている『行事』である為、そのことはやはりただの校長にしか過ぎないヤツの意見は通らなかったようだ。
そもそも非公開にする根拠としたのが
「王族である殿下が参加されるので……」
で在ったらしいから、「それで?」である。
ヤツとすれば、その後に続くのは「その王族が恥をかく姿を公開するのは校長として忍びない……」という言葉辺りを言いたかったのだろうが、さすがにこれを言えば完全に不敬罪に当たると思ったのか、におわせただけで終わったようだ。
そのことを忖度するのが貴族なのだろうが、わかっていて忖度しない者も多いのだ。
そう、立場的には校長と同じく俺のことを排除しようとする立場の者であっても、だからなおさら公開で王子に恥をかかせられる機会があるのならばそれに乗る者も。
結局、『王族が居るから非公開』は前例がないので却下。完全公開の試験となったのだ。
校長側は俺が全く魔力操作の授業を受けていないから……受けさせていないから、魔力の放出はできないものと考えているが、もしかしたら……があるため非公開にしたかったのだ。
できたとしてもできなかった、もしくは最低な点をつけるくらいに得点操作をする為に。
しかしその思惑は外れ、ある意味味方かもしれない派閥からも突き上げられて、結果例年と同じく公開で魔力試験が行われる。
校長側の最後のあがきとしてなのか、俺の試験の順番は一番最後に行われることに決まっていた。
今回の一連の試験のことに関しては、マーシュに相談をしていた。
これまでのマーシュの行動が、俺の能力に関してはできるだけ全て隠蔽する方向で来ていたと思うので、初級学校で能力の開放!をしてもいいものなのかどうなのか。
「殿下。精霊契約の儀式が終わってこの方、能力を隠すことは諦めました。それに最低限殿下のお命をお守りできるだけの力を私は有していると自負できるまでになりましたし、殿下ご自身もそれに見合う、いえ、それ以上のお力を持っていらっしゃる」
マーシュの口元には苦笑いも見える笑みが、俺を見つめる瞳には慈愛の光が、浮かんでいるように見えた。
「殿下。思いっきりやってしまってください。この国に掬う黒い霧のような悪夢を追い払うくらいに、その力を光を誇示して、悪い大人たちを駆逐して下さいませ」
後のしりぬぐいこそ私の仕事ですから。と笑って後押しをしてくれた。
といって、こんな小物たちに全力を見せるべくもないので、俺が持っていると思われる表面に出ている属性の魔法で、『ぎゃふん』といわせてやることにする。
光魔法を使った方が効果は強いだろうが、それはもう少し手ごたえがありそうな敵に使うことにして、瞳の色とされている水属性の魔法で的を撃ちぬくことに決めた。
この世界の水属性は、どちらかといえば治癒魔法の方に力を傾ける者が多い、なぜならば水属性の治癒よりも効力が強い光属性の治癒魔法を使えるものがほとんどいないためだ。理由は言うまでもなく光属性の者がほとんどいないから。
水属性でも攻撃魔法はもちろんあるが、攻撃魔法は他属性でもたくさん存在するから、水属性の者は治癒魔法の方に力を入れるのだ。
俺は細緻を極めた高圧の水魔法で岩でも砕くことができるからね。それを思いっきり放ってやることにする。
初等学校ではまだ魔力操作しか教科として存在していないので、実技試験としてはその魔力操作能力について行われることになる。
そう、俺がいつも危ないからと見学させられていたあれだ。
一回も教えてもらっていないのに、他の生徒と同じ試験を受けさせられる、このことからして現校長側の思惑がわかるというものだ。
誰もが初めての魔法に関しての試験、皆緊張した面持ちだ。
魔力操作の試験は、簡単に説明すればそれぞれの得意な属性魔法で的を打ち抜く、というただそれだけのものだ。
的の中心部からどのくらい近いかと、的までの距離でその精度の正確さを図るのだ。
だから、まだ魔力を体の外に放出することができない者はこの試験を受けることはできない。
入学してからこれまでの授業の中で、まだそのことができないものに関しては予め試験を受けること自体が免除、というかできるようになった時に行うことが決められていて、もちろんその時の点数は今回行うものよりも点数が低く設定されている。
1年生の中でも比較的階級が低い家の子供で、魔力に関しての家庭教師をつけることのできなかった、学校に入って本当に初めて魔力の操作を習ったものには何名かまだ魔法を体外に放つことのできない者が居るらしい。
もちろんその者たちは今回の試験に不参加だ。
俺?
俺は魔直操作の授業も魔力を外に放出できるかどうか確かめられてもいないのに、しっかり参加扱いですが……。
今回のこの実技試験も、筆記試験の問題を回収するのと同等の、『試験非公開』にしたかったようなのだが、例年この試験に関しては、生徒の親族も見に来るいわば一種の家の力の誇示にも使用されている『行事』である為、そのことはやはりただの校長にしか過ぎないヤツの意見は通らなかったようだ。
そもそも非公開にする根拠としたのが
「王族である殿下が参加されるので……」
で在ったらしいから、「それで?」である。
ヤツとすれば、その後に続くのは「その王族が恥をかく姿を公開するのは校長として忍びない……」という言葉辺りを言いたかったのだろうが、さすがにこれを言えば完全に不敬罪に当たると思ったのか、におわせただけで終わったようだ。
そのことを忖度するのが貴族なのだろうが、わかっていて忖度しない者も多いのだ。
そう、立場的には校長と同じく俺のことを排除しようとする立場の者であっても、だからなおさら公開で王子に恥をかかせられる機会があるのならばそれに乗る者も。
結局、『王族が居るから非公開』は前例がないので却下。完全公開の試験となったのだ。
校長側は俺が全く魔力操作の授業を受けていないから……受けさせていないから、魔力の放出はできないものと考えているが、もしかしたら……があるため非公開にしたかったのだ。
できたとしてもできなかった、もしくは最低な点をつけるくらいに得点操作をする為に。
しかしその思惑は外れ、ある意味味方かもしれない派閥からも突き上げられて、結果例年と同じく公開で魔力試験が行われる。
校長側の最後のあがきとしてなのか、俺の試験の順番は一番最後に行われることに決まっていた。
今回の一連の試験のことに関しては、マーシュに相談をしていた。
これまでのマーシュの行動が、俺の能力に関してはできるだけ全て隠蔽する方向で来ていたと思うので、初級学校で能力の開放!をしてもいいものなのかどうなのか。
「殿下。精霊契約の儀式が終わってこの方、能力を隠すことは諦めました。それに最低限殿下のお命をお守りできるだけの力を私は有していると自負できるまでになりましたし、殿下ご自身もそれに見合う、いえ、それ以上のお力を持っていらっしゃる」
マーシュの口元には苦笑いも見える笑みが、俺を見つめる瞳には慈愛の光が、浮かんでいるように見えた。
「殿下。思いっきりやってしまってください。この国に掬う黒い霧のような悪夢を追い払うくらいに、その力を光を誇示して、悪い大人たちを駆逐して下さいませ」
後のしりぬぐいこそ私の仕事ですから。と笑って後押しをしてくれた。
といって、こんな小物たちに全力を見せるべくもないので、俺が持っていると思われる表面に出ている属性の魔法で、『ぎゃふん』といわせてやることにする。
光魔法を使った方が効果は強いだろうが、それはもう少し手ごたえがありそうな敵に使うことにして、瞳の色とされている水属性の魔法で的を撃ちぬくことに決めた。
この世界の水属性は、どちらかといえば治癒魔法の方に力を傾ける者が多い、なぜならば水属性の治癒よりも効力が強い光属性の治癒魔法を使えるものがほとんどいないためだ。理由は言うまでもなく光属性の者がほとんどいないから。
水属性でも攻撃魔法はもちろんあるが、攻撃魔法は他属性でもたくさん存在するから、水属性の者は治癒魔法の方に力を入れるのだ。
俺は細緻を極めた高圧の水魔法で岩でも砕くことができるからね。それを思いっきり放ってやることにする。
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