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チュート殿下 64 生徒会?お断りいたします!
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「殿下。そもそもこちらの説明が初めから足りていませんでした。申し訳ございませんでした」
生徒会長は、深々と頭を下げてしばらく頭を上げなかった。
……こういう時はどうすればいいの?「許す」って言えばいいの?
「ありがとうございます」
生徒会長が頭を上げた!アッ!声出てた。まぁ、結果オーライでいいか……。
コホンっと一つ咳払いをしてから、生徒会長の演説が始まった。
「我が国アミュレット王国では、現王陛下のお声がけの元、教育に力を入れており、学園生活においては基本的に生徒の自主性を重んじること身分に関係なく実力主義であることが第一義になっております。それは初級学校においても例外はなく、学校行事等を生徒の手で運営、実行すること、つまり自主自立が求められております。そのために、初級学校においても生徒会を設け、選ばれた生徒を中心として教師たちと共に学校運営そのものにも参加できる権利すら持つ生徒会は、全生徒の見本、あこがれとして存在し……」
最後の方は聞き流しちゃったよ、自分たちの自慢?
聞き流してからも、5分は演説が続いた。身振り手振りまでついた大演説だった。彼が生徒会のことを非常な栄誉なものだと考えていることがわかった。だから、それに誘われることすら光栄なことと考えていることも分かった。
彼は、演説が終わった自分を、俺が冷めた目で見ていることに気が付いたが、なぜそんな目で見られているかは全く分からないようだ。
彼なりに、それはきっと自分の語りが長すぎたことだろうと考えたようで、そのことについいて誤ってきた。
「長々と私だけ話してしまって、申し訳ございません。……それで……あの……」
彼にしてみれば、俺が生徒会のことを聞いていない、ということに関して説明をしたのだから、さっき話した俺が生徒会の手伝いをすることに是と答えることを待っているのだろうが……。
「生徒会長は、先ほど生徒会は選ばれた生徒が云々といわれてましたが……僕がその選ばれた生徒であると?なぜ?」
俺の疑問に生徒会長は、鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべた。
「なぜ?なぜ、といわれましても……」
全く俺の疑問がわからない、とその表情で答えているが、俺にしてみれば素朴な疑問だよね、この学校は試験なしで入ってきているし、入学してからこの方、試験みたいなものはまだないから、個人の技量なんて図りようがないじゃないか。
俺が彼からの応えをそれでも待っていることが分かったのだろう、不思議な顔をしながら答えを絞り出したようだ。
「それは殿下が……殿下が王族で在られるからで……」
「この学校、自主自立?の次に、まぁ初級学校は貴族しかいないからどうかとも思うけど、身分に関係ない能力主義が第一義ではなかったのか?僕はそう聞いたような気がしているが、気のせいか……この国お得意の表面だけというやつか」
俺の疑問、反撃ともとられかねない問いかけに、11歳の少年が答えられるわけもない。
「僕はまだ実力も何も選ばれるような何物も表に出していないよ。もし、生徒会長が言われている王族というものが理由だとしても……クリフ・マークィス・ゲイル宰相子息、あなたなら、僕の扱いがどのようであったのか、他の人より知っているのではないか?今ここで、人目を避けるように僕に会いに来たのも、何か宰相からの入れ知恵でもあったからでは?」
俺の顔はきっと今は悪役令嬢ならぬ悪役令息に違いない。
彼からの返答はない、秘密裏にといわれているのだろう、親の言うことは絶対か……。
「今までの僕はあなたも知っているように、まるで居ない者のように扱われてきた。出来の悪い王子など存在しては、この王家の恥なのだろう。それがどうだ、この金色の髪の毛が欲しいのならば、差し上げるから鬘でもおつくりしましょうか、と、宰相閣下に聞いておいてくれ。僕以外の王族が被ればそれでいいのではないか?」
「そ……それは殿下といえども失礼では……」
何も言い返さずにはいられなかったのか、最後の方はか細い声だったが彼なりの親への愛なのか。
「ゲイル侯爵家子息。あなたは、ウインド伯爵家子息の側近になるために努力をしているのでしょ?であれば、どちらにもいい顔、なんてことはしない方がいい。今は卒業されてこの学校に居なくとも、噂などすぐ伝わりますよ。あなたも、こうもり宰相とか言われたくないでしょ」
「……」
下を向いたまま彼は何も言い返せないことが悔しいのか、体のわきに下げられた両腕は握りこぶしを作って小刻みに震えている。
「とにかく、僕は王族だからという理由で、生徒会に選ばれたくないし、そもそもこの学校の運営の手伝いなどしたくもない。これから先も、生徒会に関わるつもりない。中級でもその上でもね。頭のいい宰相子息ならわかるはずだ。一度関わればそれを理由として断れなくなる、彼とは2歳しか変わらないのだよ」
学校で伯爵王子と被らないのはこの初級学校だけ。ここで生徒会に関われば、中級学校でも例の高等学園でも生徒会に関わることになるのだ。今までそれが本道とされてきたのだから、次の代の国王陛下とその側近たちの。
生徒会長は、深々と頭を下げてしばらく頭を上げなかった。
……こういう時はどうすればいいの?「許す」って言えばいいの?
「ありがとうございます」
生徒会長が頭を上げた!アッ!声出てた。まぁ、結果オーライでいいか……。
コホンっと一つ咳払いをしてから、生徒会長の演説が始まった。
「我が国アミュレット王国では、現王陛下のお声がけの元、教育に力を入れており、学園生活においては基本的に生徒の自主性を重んじること身分に関係なく実力主義であることが第一義になっております。それは初級学校においても例外はなく、学校行事等を生徒の手で運営、実行すること、つまり自主自立が求められております。そのために、初級学校においても生徒会を設け、選ばれた生徒を中心として教師たちと共に学校運営そのものにも参加できる権利すら持つ生徒会は、全生徒の見本、あこがれとして存在し……」
最後の方は聞き流しちゃったよ、自分たちの自慢?
聞き流してからも、5分は演説が続いた。身振り手振りまでついた大演説だった。彼が生徒会のことを非常な栄誉なものだと考えていることがわかった。だから、それに誘われることすら光栄なことと考えていることも分かった。
彼は、演説が終わった自分を、俺が冷めた目で見ていることに気が付いたが、なぜそんな目で見られているかは全く分からないようだ。
彼なりに、それはきっと自分の語りが長すぎたことだろうと考えたようで、そのことについいて誤ってきた。
「長々と私だけ話してしまって、申し訳ございません。……それで……あの……」
彼にしてみれば、俺が生徒会のことを聞いていない、ということに関して説明をしたのだから、さっき話した俺が生徒会の手伝いをすることに是と答えることを待っているのだろうが……。
「生徒会長は、先ほど生徒会は選ばれた生徒が云々といわれてましたが……僕がその選ばれた生徒であると?なぜ?」
俺の疑問に生徒会長は、鳩が豆鉄砲を食ったような表情を浮かべた。
「なぜ?なぜ、といわれましても……」
全く俺の疑問がわからない、とその表情で答えているが、俺にしてみれば素朴な疑問だよね、この学校は試験なしで入ってきているし、入学してからこの方、試験みたいなものはまだないから、個人の技量なんて図りようがないじゃないか。
俺が彼からの応えをそれでも待っていることが分かったのだろう、不思議な顔をしながら答えを絞り出したようだ。
「それは殿下が……殿下が王族で在られるからで……」
「この学校、自主自立?の次に、まぁ初級学校は貴族しかいないからどうかとも思うけど、身分に関係ない能力主義が第一義ではなかったのか?僕はそう聞いたような気がしているが、気のせいか……この国お得意の表面だけというやつか」
俺の疑問、反撃ともとられかねない問いかけに、11歳の少年が答えられるわけもない。
「僕はまだ実力も何も選ばれるような何物も表に出していないよ。もし、生徒会長が言われている王族というものが理由だとしても……クリフ・マークィス・ゲイル宰相子息、あなたなら、僕の扱いがどのようであったのか、他の人より知っているのではないか?今ここで、人目を避けるように僕に会いに来たのも、何か宰相からの入れ知恵でもあったからでは?」
俺の顔はきっと今は悪役令嬢ならぬ悪役令息に違いない。
彼からの返答はない、秘密裏にといわれているのだろう、親の言うことは絶対か……。
「今までの僕はあなたも知っているように、まるで居ない者のように扱われてきた。出来の悪い王子など存在しては、この王家の恥なのだろう。それがどうだ、この金色の髪の毛が欲しいのならば、差し上げるから鬘でもおつくりしましょうか、と、宰相閣下に聞いておいてくれ。僕以外の王族が被ればそれでいいのではないか?」
「そ……それは殿下といえども失礼では……」
何も言い返さずにはいられなかったのか、最後の方はか細い声だったが彼なりの親への愛なのか。
「ゲイル侯爵家子息。あなたは、ウインド伯爵家子息の側近になるために努力をしているのでしょ?であれば、どちらにもいい顔、なんてことはしない方がいい。今は卒業されてこの学校に居なくとも、噂などすぐ伝わりますよ。あなたも、こうもり宰相とか言われたくないでしょ」
「……」
下を向いたまま彼は何も言い返せないことが悔しいのか、体のわきに下げられた両腕は握りこぶしを作って小刻みに震えている。
「とにかく、僕は王族だからという理由で、生徒会に選ばれたくないし、そもそもこの学校の運営の手伝いなどしたくもない。これから先も、生徒会に関わるつもりない。中級でもその上でもね。頭のいい宰相子息ならわかるはずだ。一度関わればそれを理由として断れなくなる、彼とは2歳しか変わらないのだよ」
学校で伯爵王子と被らないのはこの初級学校だけ。ここで生徒会に関われば、中級学校でも例の高等学園でも生徒会に関わることになるのだ。今までそれが本道とされてきたのだから、次の代の国王陛下とその側近たちの。
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