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チュート殿下 42 「モイヒェルメルダー」王の手と呼ばれる者たち
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この場で直接殺しにかかってくる馬鹿も居ないと思うが、殺気をバンバン感じるんだよね。
マーシュの機嫌も悪いし、もちろんキールの機嫌も悪い。
マーシュがいる時にはキールはまだ実体化はしていないが、中に居るキールからの殺気がマーシュに気付かれないか心配だ。
離宮の裏門は大きくない。
馬車一台がユックリくぐることができる幅しかない。
速度を落としたときに狙ってくるのか?でもこの馬車も離宮の結界と同じくらい硬いんだけど。
ほとんど止まるくらいに速度を落として、裏門をくぐろうとする馬車。
どこからか魔力の塊が放たれた。御者を狙っているのだろう。
ドガン!
鈍い音をして、長距離の攻撃魔法としては強い火属性の魔法が放たれたようだ。
ここ、外れとは言え王城内だよ。なんで攻撃魔法打てるの?
「……モイヒェルメルダー……王の手の者の仕業なのか?」
狭い馬車の中、俺に聞かせるつもりはないだろうマーシュのほんの小さな呟きを俺の耳は捉えた。
以前俺が襲撃された城の中心部での襲撃。攻撃魔法がを使うことができない結界を施されたはずの場所で、魔法が使われた時も、一番に犯行の主犯として名前が挙がったのが、王城内での攻撃魔法使用が唯一許されている『モイヒェルメルダー』通称王の手と呼ばれる組織だ。
しかし、以前の襲撃の時には、使われた魔法が特殊で、白光が攻撃魔法の範疇にないと言う結論から、王の手の仕業かどうかはうやむやのまま。
『王の手というくらいなのだから、誰が後ろで糸を引いているかなんてはっきりしているじゃないか!』
キールはさらにご立腹!もう、殺気抑えられないよ!マーシュも同じように殺気を出しているから、お互いさまで相殺されていてわからなくなっているけど。
ドカン!ドゴン!
続けて放たれる、火魔法。
離宮内は消音魔法をかけているが、ここはかろうじて外だから、この爆音は響き渡っているはずだが、誰もここに近づいてくる気配はない。
マーシュが選び抜いている馬だけあって、慌てることなく入門していく。
「マーシュ。こいつら何が目的?俺を殺す気なの?」
厳しい表情で馬車の外を見つめている、俺の対面に座っているマーシュに声をかける。
「大丈夫ですよ」
マーシュは視線を外から外すことなく、いつもの様子と変わらない平板な声で答えを返してきた。
そう言っている間に、馬車は門をくぐり抜けて結界内に入り込んだ。
この中には外の音は聞こえないが、魔力の塊が撃ち込まれていることや、隠れていた何者かがこちらの方向に移動してくるのがわかる。
俺が心の中に声をかける前に、すでにキールは動いていて、もちろんマーシュに見られることなんてなく、門の外側に向かって行っていた。
『襲撃犯確認してきてやる』
そう言葉を残して。
考えてみると、意識がちゃんとしている時に、キールと離れ離れになることはほとんどないことに気が付いて、少し寂しい気分になったのは、キールにはないしょ。
裏口から入った馬車は、ぐるりと建物を周って正面の車寄せに馬車を付けた。
ここでは全く安全であると思うのだが、マーシュはいつものように馬車の扉を開ける際には、外をしっかりと確認してから内鍵を開けて、扉を押し開ける。
この離宮の使用人は必要最小限しかいない為、普段帰って来た時の迎はいないのだが、今日は特別な日であるためか、数少ない使用人全員が玄関前に並んで待っていた。
今。外で起こった騒動も、音は聞こえていないとはいえ気が付いたことだろう。女性の中には幾分か顔色の悪い者のも見受けられる。
こんなに歓迎されている状態なのに、俺はほおっかむりしてから出ていかないといけないのか?ここに居るのは信頼している者だけだろうに。
そんな俺の考えは一切マーシュには関係ない様子で、外を確認したその顔を外から戻すと、どこから取り出したのか、まるでご令嬢がお忍びの時に使うような、細かい刺繍が施されたシフォンのストールを頭からかぶせられた。
マーシュの機嫌も悪いし、もちろんキールの機嫌も悪い。
マーシュがいる時にはキールはまだ実体化はしていないが、中に居るキールからの殺気がマーシュに気付かれないか心配だ。
離宮の裏門は大きくない。
馬車一台がユックリくぐることができる幅しかない。
速度を落としたときに狙ってくるのか?でもこの馬車も離宮の結界と同じくらい硬いんだけど。
ほとんど止まるくらいに速度を落として、裏門をくぐろうとする馬車。
どこからか魔力の塊が放たれた。御者を狙っているのだろう。
ドガン!
鈍い音をして、長距離の攻撃魔法としては強い火属性の魔法が放たれたようだ。
ここ、外れとは言え王城内だよ。なんで攻撃魔法打てるの?
「……モイヒェルメルダー……王の手の者の仕業なのか?」
狭い馬車の中、俺に聞かせるつもりはないだろうマーシュのほんの小さな呟きを俺の耳は捉えた。
以前俺が襲撃された城の中心部での襲撃。攻撃魔法がを使うことができない結界を施されたはずの場所で、魔法が使われた時も、一番に犯行の主犯として名前が挙がったのが、王城内での攻撃魔法使用が唯一許されている『モイヒェルメルダー』通称王の手と呼ばれる組織だ。
しかし、以前の襲撃の時には、使われた魔法が特殊で、白光が攻撃魔法の範疇にないと言う結論から、王の手の仕業かどうかはうやむやのまま。
『王の手というくらいなのだから、誰が後ろで糸を引いているかなんてはっきりしているじゃないか!』
キールはさらにご立腹!もう、殺気抑えられないよ!マーシュも同じように殺気を出しているから、お互いさまで相殺されていてわからなくなっているけど。
ドカン!ドゴン!
続けて放たれる、火魔法。
離宮内は消音魔法をかけているが、ここはかろうじて外だから、この爆音は響き渡っているはずだが、誰もここに近づいてくる気配はない。
マーシュが選び抜いている馬だけあって、慌てることなく入門していく。
「マーシュ。こいつら何が目的?俺を殺す気なの?」
厳しい表情で馬車の外を見つめている、俺の対面に座っているマーシュに声をかける。
「大丈夫ですよ」
マーシュは視線を外から外すことなく、いつもの様子と変わらない平板な声で答えを返してきた。
そう言っている間に、馬車は門をくぐり抜けて結界内に入り込んだ。
この中には外の音は聞こえないが、魔力の塊が撃ち込まれていることや、隠れていた何者かがこちらの方向に移動してくるのがわかる。
俺が心の中に声をかける前に、すでにキールは動いていて、もちろんマーシュに見られることなんてなく、門の外側に向かって行っていた。
『襲撃犯確認してきてやる』
そう言葉を残して。
考えてみると、意識がちゃんとしている時に、キールと離れ離れになることはほとんどないことに気が付いて、少し寂しい気分になったのは、キールにはないしょ。
裏口から入った馬車は、ぐるりと建物を周って正面の車寄せに馬車を付けた。
ここでは全く安全であると思うのだが、マーシュはいつものように馬車の扉を開ける際には、外をしっかりと確認してから内鍵を開けて、扉を押し開ける。
この離宮の使用人は必要最小限しかいない為、普段帰って来た時の迎はいないのだが、今日は特別な日であるためか、数少ない使用人全員が玄関前に並んで待っていた。
今。外で起こった騒動も、音は聞こえていないとはいえ気が付いたことだろう。女性の中には幾分か顔色の悪い者のも見受けられる。
こんなに歓迎されている状態なのに、俺はほおっかむりしてから出ていかないといけないのか?ここに居るのは信頼している者だけだろうに。
そんな俺の考えは一切マーシュには関係ない様子で、外を確認したその顔を外から戻すと、どこから取り出したのか、まるでご令嬢がお忍びの時に使うような、細かい刺繍が施されたシフォンのストールを頭からかぶせられた。
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