転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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チュート殿下 22 詠唱ってなんか厨二くさい……

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 この世界の魔法には詠唱が必要だ。

 『ドキ恋』の中のミニゲームの、学園の魔法の実地演習編で、普段獣すらいないような王都近郊の森の中で、魔獣に出くわして攻撃魔法をぶっ放、というのがあった。チュート殿下(俺)以外の次作の攻略対象者それぞれの得意属性の攻撃魔法を、詠唱付きで放つシーンの全スチル、集めたことを思い出す。

 チュート殿下は得意なのが光と水属性なのだが、性格的に自主練とかするわけないから、レベルが低い。特に光属性はレベルが高くないと攻撃系の魔法は放てない。このシーンでは何とか水属性魔法の方で撃退するのだ。

 みんなそれぞれ、なんか大声で長々と詠唱した後、魔法名を叫んでいた。俺は見ることすら恥ずかしかったから、ゲーム時はミュートかけてた。姉鬼がゲームするときは、大音響で流すから、声はしっかり覚えているけど……。

 「詠唱……ヤダナ……」

 何と言っても厨二感満載だし。

 それに,『僕』は詠唱なんかしてなかったよ。それとも,鑑定には詠唱いらないの?元々。

「攻撃魔法は詠唱することがほとんどです。詠唱する方が魔力量を効率的に使うことができると言われています」
  
 駄々洩れの魔力を意識して抑えるために、キッチリと魔法のことを学ぶことから始めることになった。教本はリフルも使っていた初級学校のもの。教師役は、上級精霊の契約者でもあるマーシュ。

 10歳から使う教本で、まず字が読めるのか不安だったが。なんか、読めた……。 

 もしかしたら、よくある異世界特典もってるかもしれない。

「私が使う地属性の結界魔法などは、詠唱ではなく魔方陣を使うこともあります。魔導具は魔石に効果のある魔方陣を刻むことで稼働する道具のことです。この離宮にも数多くの魔導具がございます」

 電力の変わりが魔力。ゲームのなかでもいろいろな魔導具が出てきていたが、なぜか乗り物が馬車で、飛行機は存在がなく、個人的な通信機器スマホのようなものも、テレビもない。文化レベルは中世ヨーロッパ、何と言っても乙女ゲームの世界だから、ご都合主義もいっぱいの生活様式だ。

 不便なところは乙女の萌要素なんだろう。

 不都合なところは魔法で何とかしちゃうか、不都合とすら考えないかだ。

 だから、色々転生者ヒャッハーができる余地があるんだな。俺はヒャッハーする気はこれっぽちもないけど……。

 魔導具のことは、使う都度教えてもらうことにして、やっぱり詠唱に話は戻る。

 初級学校の教本にも、各属性の初級魔法の詠唱の台詞が書かれている。
 
 『我は乞う、火の精霊フォーコとの契約の元に、燃え盛れファイアアロー』

 【火属性の初級魔法 火のやを放つ レベル差は射程距離に強く現れる】

 俺が教本を読んでいると、その部分の補強をマーシュがしてくれる。

「詠唱で必ず必要なのは、契約している精霊の御名と使用する魔法の名前です。しかし、使える魔法まに自身のレベルが足りない場合、その魔法は発動致しません」

 もちろん、自分が契約できている精霊の属性魔法しか使うことはできない。これには生活魔法は含まれないらしい。何故かは……わかっていない。ただ昔からそうであって、使えるものは使えるのだから、原因を調べるまでもない、という考えらしい。

「以上のことから、通常生活魔法と呼ばれる、種火を付けたり、小さいライトを灯したり、魔導具を使用するために初めに流す魔力は、属性を問わないので誰でも、幼子でも使えますが、属性魔法は契約をしなければ使えない魔法であるので、通常契約できる10歳以降に使うことのできる魔法とされているのです」

 このことは研究されていて、過去の事例からも、例外はほぼ無いとされている通説らしい。 

 例外がここに居るけどな!

 詠唱も、全くしないつまり、無詠唱で発動せることができた例はないらしい。

 優秀な魔導士が短縮詠唱で発動した事例は残っているようだが、威力が落ちるため、よほどのことがないと、きっちり詠唱するのがこの世界の魔法の常識で、強い攻撃魔法を打てる魔法使いはあくまでも後衛、安全な後ろの方から魔法を打ち込む砲台の役目だそうだ。

「そこまで強い攻撃魔法を扱える者が少ないのです。ここ最近特に上級精霊と契約できる者が少なくなってしまったので」

 だから、超魔法使い以外は自分の身を守るための何か武器、剣とか槍とかを、訓練するのが常識だそうだ。

 そこで、思いっきり期待したまなざしでマーシュがを仰ぎ見る。ビバ!剣と魔法の世界‼
   
「貴族の男児は帯剣の儀を迎えた後から、武器を決めて練習を始めます。……あくまでも個人差がありますので……」

 ……俺はもやし君の中のもやし君だから、もう少し身体がしっかりしてきてから……ということになった。

 まぁ、仕方ないよね、まだ走れるかどうかもわからないし……。でも、約束できたし、楽しみだなぁ、どんな武器を遣おうか。
  
 俺は早速マーシュに、この世界の武器について書かれた本を見てみたいとお願いをした。
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