転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

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チュート殿下 8 3日間高熱が……なんてテンプレは起こらない! 

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 急激な記憶の増大に高熱が……なんてテンプレなこともなく、俺はあの『暗殺未遂』事件とされた『帯剣の儀』から、恙なく毎日を過ごしている。

 一々他人に面倒を見られることにも二日で慣れた。身体が子供なこともあるが『俺』の心の半分は『僕』である訳で、『僕』は何から何まで面倒を見られることが当たり前だった訳だから、身体は介助されることをしっかりと覚えているためかと思われる。でも、目が離れている時にはできるだけ自分で……。気が付いてないと思わないけど、特に何も言われない。

 ほとんど反応を示さなかった、もしかしたら知能が……と思われていた王子様が、いきなり全く違う好奇心旺盛な小僧になったら、それはそれは大騒ぎ⁈

 なんて、心配していた時もありました……。

 ほとんど人気の感じない王子の住んでいるこの棟が、騒がしかったのは『俺』が目覚めた時だけで、熱を出すことなく健やかに?過ごしている王子の元には訪ねてくる者が誰もいなかった。

 たしか、表向き今の王の男子の子供は『僕』しかいなかったはずだ。そして、今の王にはこれからも決して跡継ぎになる男児も、政略に使えるかもしれない女児も生まれてくることはない。王が『僕』が生まれる直前に患った熱病の影響で……。

 表向き、たった一人の子供であるので、今のところ跡継ぎになるはずだが、おつむが随分と弱いと思われている王子様は、5歳で行われる『帯剣の儀』まで、一切お披露目されることがなかった。

 そんなお披露目の時にあの事件である。

 警戒が国一番厳しいはずの王城の大広間で、魔法で主役の王子が襲撃されたのだ。犯人はなぜか現場で捕まることもなければ、今だ特定されることなく、噂だけが城の中で、吹き荒れている状態であるらしい。



 あの事件があった時から後、俺の身の回りにいる者の数がごっそり減った。


 年齢の低めの者はリフル以外めにつかなくなった。

 俺は直接目にしていないが『僕』は結構な数の者が『僕』にかしずいていたことは記憶にある。それなりに若い者が何名かいたことも。年寄りばかりだこれから成長していく王子様に最後まで付き従うことはできないからね。

 今の王子(俺ね)は5歳と幼いから同じ年齢の者に身の回りの世話を、というわけにはいかないが、10歳くらい年上の者がリフル以外いなくなったのは問題ではないのか……。

 憶測に過ぎないかもしれないが、俺の髪の毛の色が『金色』と、この世界の理にとってイレギュラーな変わり方をしてしまったことで、強固な箝口令を敷くために信頼度が高くない者は、とりあえず王子づきから外してしまったのだろう。元々ある意味手のかからないボンクラ王子。直接顔を合わせるのは5人も満たない面子になっている。

 そんなこんなで、非常にさみしい王子の生活棟であるが、、今使っているのは後宮の中の東の棟らしい。日本でも皇太子に当たる者を東宮というくらいだから。ここは日本製のゲームの世界らしいし、なんとなく跡継ぎの王子と言えば東なのだろう。

 ところが、この世界で俺が目覚めてから一週間(時間経過は地球と同じ、何といっても日本製の……)経った時。いきなり後宮からお引越しすることになったのだ。

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