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チュート殿下 2 目覚めてみれば……なんだかなぁ……
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ぐるぐる……キュ~……
自分の腹の音で目が覚めた……。
真っ直ぐ上を向いて寝ていた?倒れていた?俺の目の前には、全面鏡張りの天蓋。
大人が5,6人横になってもまだ余りそうな立派なベッドの真ん中に、小さい金色の毛玉が一つ……俺か?
なんだかなぁ…天井全面鏡張りとか、何処のラブホだよ!…行ったことないけど…。
そうだよ、そんなところ行くこともなく、俺の前世は終わってしまったらしい。異世界転生のテンプレ、トラックアタックによって…。
それも十分問題だけど、今の俺のこの状態?状況?も十二分に大問題だ。
先程浴びた白い光の中で、『死んじゃうかも⁈』の走馬燈が現世の5年間をあっという間に投影し終わった後、何故か頭の中に映し出される映像は続いて、普通見ることはないんじゃね、って言う物語があの一瞬にダイジェスト版として上映されて…。
気を失ってからどのくらいの時間眠っていたかわからないが目が覚めた今、ダイジェスト版からディレクターズカット版ぐらいに詳しい内容を押し込まれて、心臓はドキドキしたままだが、頭の中はやけに冷静に今の状況を受け止めている俺……。
体は今の実年齢5歳の状態を引きずったままで、心は前世で過ごした年月を飲み込んだ、所謂見た目は子供な探偵君と同じ状態になってしまったってこと。
今世の『僕』の人格は、薄ぼんやりと過ごしていたようで、自分を全く主張することなく、前世の『俺』の人格に飲み込まれてしまったようだ。
大人な自分としては、まだ情報の整理と状況の把握のため一人の時間が欲しいが、子供の体としては、もう何も食べないでいることは我慢できないと訴える。
しばらく異様に広いベッドの上をゴロゴロと転がっていたが、そんな気配に気が付いたのか、この寝室にある幾つもの扉(サッと数えて6つ見つけた)の中の一つが音もなく開き、『俺』ではない『僕』の記憶の中の侍従長が水差しを持って入ってきた。
「殿下、ご不快なところはございませんか?」
『僕』の記憶の中の普段の侍従長と全く違いのない姿に、落ち着くとともに少し肩透かしな気分を味わいつつ、彼の介助を受けながら背を起こした。
はぁ~余りにも頭の中の『僕』の気配が希薄すぎて、今までの自分の態度がトレースできない。
いっそのこと、このような状況の時の伝家の宝刀『記憶喪失』を振り下ろすか……。
とにかく、こちらから行動を起こすことに躊躇する。
無言のまま、ただ侍従長の顔色を伺う、チキンな『俺』……。
イヤイヤ!一番はじめが勝負だ。
まだ余り消化しきれていないが、あの記憶が真実であるならばこれから『俺』のとる行動の一つでこれからの『僕』の運命が決まるのだから……。
『僕』の父親、つまりこの国の国王と同年代の侍従長、そしてまた一人、湯気ののぼる盆を持って入室して来た『僕』専従の侍従。
しかし今は何も行動を起こさないことが正解だったようで、一つも反応しない俺に何の戸惑いも見せず、流れるようにベッドの上に軽食がセットされると、いつの間にか涎掛けが付けられた『僕』の口元に躊躇なく、侍従長の持つ湯気の立つ粥?が掬い取られた匙が、口を開けるのが予定調和のごとく差し出されている。
「……」
これは口を開けないといけないのか?いけないよなぁ……。
能面のように見えなくもない笑ったようで笑っていないその顔が怖い……。慣れていない『俺』が怖いのはわかるが、慣れているはずの『僕』も怖がっているのは何故?
ぐるぐる……キュウ~!
そこでまた、こらえ性のない子供の身体がお腹が空いたと訴えた。
自分の腹の音で目が覚めた……。
真っ直ぐ上を向いて寝ていた?倒れていた?俺の目の前には、全面鏡張りの天蓋。
大人が5,6人横になってもまだ余りそうな立派なベッドの真ん中に、小さい金色の毛玉が一つ……俺か?
なんだかなぁ…天井全面鏡張りとか、何処のラブホだよ!…行ったことないけど…。
そうだよ、そんなところ行くこともなく、俺の前世は終わってしまったらしい。異世界転生のテンプレ、トラックアタックによって…。
それも十分問題だけど、今の俺のこの状態?状況?も十二分に大問題だ。
先程浴びた白い光の中で、『死んじゃうかも⁈』の走馬燈が現世の5年間をあっという間に投影し終わった後、何故か頭の中に映し出される映像は続いて、普通見ることはないんじゃね、って言う物語があの一瞬にダイジェスト版として上映されて…。
気を失ってからどのくらいの時間眠っていたかわからないが目が覚めた今、ダイジェスト版からディレクターズカット版ぐらいに詳しい内容を押し込まれて、心臓はドキドキしたままだが、頭の中はやけに冷静に今の状況を受け止めている俺……。
体は今の実年齢5歳の状態を引きずったままで、心は前世で過ごした年月を飲み込んだ、所謂見た目は子供な探偵君と同じ状態になってしまったってこと。
今世の『僕』の人格は、薄ぼんやりと過ごしていたようで、自分を全く主張することなく、前世の『俺』の人格に飲み込まれてしまったようだ。
大人な自分としては、まだ情報の整理と状況の把握のため一人の時間が欲しいが、子供の体としては、もう何も食べないでいることは我慢できないと訴える。
しばらく異様に広いベッドの上をゴロゴロと転がっていたが、そんな気配に気が付いたのか、この寝室にある幾つもの扉(サッと数えて6つ見つけた)の中の一つが音もなく開き、『俺』ではない『僕』の記憶の中の侍従長が水差しを持って入ってきた。
「殿下、ご不快なところはございませんか?」
『僕』の記憶の中の普段の侍従長と全く違いのない姿に、落ち着くとともに少し肩透かしな気分を味わいつつ、彼の介助を受けながら背を起こした。
はぁ~余りにも頭の中の『僕』の気配が希薄すぎて、今までの自分の態度がトレースできない。
いっそのこと、このような状況の時の伝家の宝刀『記憶喪失』を振り下ろすか……。
とにかく、こちらから行動を起こすことに躊躇する。
無言のまま、ただ侍従長の顔色を伺う、チキンな『俺』……。
イヤイヤ!一番はじめが勝負だ。
まだ余り消化しきれていないが、あの記憶が真実であるならばこれから『俺』のとる行動の一つでこれからの『僕』の運命が決まるのだから……。
『僕』の父親、つまりこの国の国王と同年代の侍従長、そしてまた一人、湯気ののぼる盆を持って入室して来た『僕』専従の侍従。
しかし今は何も行動を起こさないことが正解だったようで、一つも反応しない俺に何の戸惑いも見せず、流れるようにベッドの上に軽食がセットされると、いつの間にか涎掛けが付けられた『僕』の口元に躊躇なく、侍従長の持つ湯気の立つ粥?が掬い取られた匙が、口を開けるのが予定調和のごとく差し出されている。
「……」
これは口を開けないといけないのか?いけないよなぁ……。
能面のように見えなくもない笑ったようで笑っていないその顔が怖い……。慣れていない『俺』が怖いのはわかるが、慣れているはずの『僕』も怖がっているのは何故?
ぐるぐる……キュウ~!
そこでまた、こらえ性のない子供の身体がお腹が空いたと訴えた。
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