碧落に君は消えゆく

藤橋峰妙

文字の大きさ
上 下
4 / 10
第一章 根雪

第一章 登場人物・用語集

しおりを挟む
「確定申告」
「……は?」
「確定申告だよッ!!」

 だから何だよと。
 いきなり現れては机の前で仁王立ちしてくるメタ子。
 お昼ご飯で食べたであろうオニギリの米粒をほっぺにたくさん付けている。昨今のわんぱく小僧でも例を見ない量だ。かき集めて握り直せば小さなオニギリが出来ちゃう量ぞ?

 閑話休題。

 確定申告? はてさて、名前は聞いた事があるけれど、その意味までは知らない言葉だ。ただ間違いなく言えるのは、華の女子高生には関係ないという事だろう。
 それをメタ子に口にされるとは、確定申告とやらもさぞ不服だろうに。

「梨々香……申告を、確定するんだよ」
「おん」
「確定する、だよ? なんだか圧を感じない?」
「……で?」

 私に何をどうしろと。

「今日のニュースで見たんだよ。確定申告がスマホで出来るようになるんだって」
「へぇ、そうなんだ」
「でねでね、私ってスマホ好きじゃない?」
「大体の人が好きだと思うよ?」
「いや、その中でも三本の指に入る筈なの!」
「どんな雑な統計とったらそうなるんだよ」

 メーカー別に全機種揃えてから言いやがれ。

「そんなスマホで確定申告が出来るってぇんなら見過ごすワケにはいかないよね!?」
「なんでちょっと江戸っ子みたいになったの?」
「つい興奮して」

 興奮したのなら仕方がない。

「それでね、かしこい梨々香に教えてもらおうと思ってさ」
「……ねぇスマホ博士」
「うむ、なんだね梨々香助手」

 ボケに対する対応力だけは流石と言ってやろう。

「その大好きなスマホで調べればいいんじゃない?」
「!?」

 アニメだと“カッ!コーン”みたいなSEが流れる表情すんなし。
 ともあれ、私が言えるのはコレだけだ。

「ググれカス」

 次の日、結果を聞いたら「えへへ、むずかしくて分かんなかったー」との事である。

 因みに、確定申告とはその年の1月1日から12月31日まで所得に対する税金などを計算し税務署に申告することを指すのだ。覚えておいてもテストに出ないよ多分。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...